Season 4 Episode 4 Flashcards
被保佐人が、不動産を売却する場合には、保佐人の同意が必要であるが、贈与の申し出を拒絶する場合には、保佐人の同意は不要である。
誤り。被保佐人は、不動産の売買などの重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為を行う場合だけでなく、贈与の申込みを拒絶する場合にも、その保佐人の同意を得なければなりません。
被補助人が、補助人の同意を得なければならない行為について、同意を得ていないにもかかわらず、詐術を用いて相手方に補助人の同意を得たと信じさせていたときは、被補助人は当該行為を取り消すことができない。
正しい。制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができません。そして、自らが行為能力者であると相手方に信じさせようとした場合だけでなく、保護者の同意を得たと信じさせようとした場合にも、この規定が適用されます。
Aは、その所有する甲土地を譲渡する意思がないのに、Bと通謀して、Aを売主、B を買主とする甲土地の仮装の売買契約を締結した。善意のCがBから甲土地を買い受けた場合、Cがいまだ登記を備えていなくても、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない。なお、この問において「善意」とは、虚偽表示の事実についての善意とする。
正しい。相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効は、善意の第三者に対抗できません。この場合、第三者が登記を備えているかどうかは関係ありません。
AがBに甲土地を売却した。AB間の売買契約がAの重大な過失によらない錯誤に基づくものであり、その錯誤が重要なものである場合でも、Aの錯誤の事実を過失により知らないCが、Bから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えていたときは、Aは、 錯誤による取消しをして、Cに対して、甲土地の返還を請求することはできない。
誤り。錯誤による意思表示の取消しは、善意無過失の取消し前の第三者に対抗できませんが、 逆に、悪意または善意有過失の取消し前の第三者には、対抗できます。
この場合、第三者が登記を備えているかどうかは関係ありません。本問の「Aの錯誤の事実を過失により知らない」Cは、善意有過失の第三者です。したがって、Aは、Cに対して錯誤による意思表示の取消しを対抗して、 甲土地の返還を請求できます。
AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた。AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消す前に、Bの詐欺について悪意のCが、Bから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えていた場合、AはCに対して、甲土地の返還を請求することがで きる。
正しい。詐欺による意思表示の取消しは、善意無過失の第三者に対抗できません。しかし、悪意 の第三者には対抗できます。この場合、第三者が登記を備えているかどうかは関係ありません。
AがBに甲土地を売却した。Aが第三者の詐欺によってBに甲土地を売却し、その後BがCに甲土地を転売した場合、Bが第三者の詐欺の事実を知らず、かつ、知ることができなかったとしても、Cが第三者の詐欺の事実を知っていれば、Aは詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。
誤り。相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合、相手方がその事実を知り (悪意)、または知ることができた(善意有過失)ときに限り、その意思表示を取り消すことができます。したがって、本問では、相手方Bが第三者の詐欺の事実を知らず(善意)、かつ、知ることがで きない(無過失)ので、Aは、AB間の売買契約を取り消すことができません。この点は、Cが悪意であっても同様です。
Aが、所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与するより前に、Bが補助開始の審判を受けていた場合、Bは有効に代理権を取得することができない。
誤り。制限行為能力者が代理人としてした行為は、原則として、行為能力の制限によっては取り消すことができないと規定されていますが、この規定は、制限行為能力者であっても代理人になれることが前提となっています。したがって、補助開始の審判を受けている者(被補助人)であっても、有効に代理権を取得できます。
法定代理人は、やむを得ない事由がなくとも、復代理人を選任することができる。
正しい。法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任できます。したがって、やむを得ない事由 がなくても、復代理人を選任できます。
AがBに対して、A所有の甲土地を売却する代理権を授与した。Bが自己又は第三者の利益を図る目的で、Aの代理人として甲土地をCに売却した場合、Cがその目的を知り、又は知ることができたときは、Bの代理行為は無権代理とみなされる。
正しい。代理人(B)が自己または第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合に、相手方(C)がその目的を知り、または知ることができたときは、その行為は、無権代理行為とみなされます(代理権の濫用)。
Aが、所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し、BがCとの間で、Aを売主、Cを買主とする甲土地の売買契約を締結した。AがBに代理権を授与した後にBが後見開始の審判を受け、その後に当該契約が締結された場合、Bによる当該契約の締結は無権代理行為となる。
正しい。
1,本人の死亡、
2,代理人の死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判を受けたこと、
3,任意代理の場合は、本人が破産手続開始の決定を受けたことによって、代理権は消滅します。
したがって、本問の場合、本人Aが代理権を授与した後に、代理人Bが後見開始の審判を受けたことで、Bの代理権は消滅しています。よって、Bによる契約の締結は、無権代理行為となります。
A所有の甲土地につき、Aから売却に関する代理権を与えられていないBが、Aの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した。Bの死亡により、AがBの唯一の相続人として相続した場合、AがBの無権代理行為の追認を拒絶しても信義則には反せず、AC間の売買契約が当然に有効になるわけではない。なお、表見代理は成立しないものとする。
正しい。本人(A)が無権代理人(B)を相続した場合に、本人が追認を拒絶しても信義則に反するとはいえず、無権代理行為は当然に有効にはなりません。
A所有の甲土地につき、Aから売却に関する代理権を与えられていないBが、Aの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した。Aの死亡により、BがAの唯一の相続人として相続した場合、Bは、Aの追認拒絶権を相続するので、自らの無権代理行為の追認を拒絶することができる。
誤り。本人(A)が追認も追認拒絶もしないまま死亡し、無権代理人(B)が本人を単独で相続した場合、無権代理人が本人の資格で追認を拒絶することは信義則に反するため許されず、その無権代理行為は当然に有効となります。したがって、Bは、自らの無権代理行為の追認を拒絶できません。
AがBに対して、A所有の甲土地を売却する代理権を授与した。AがBに授与した代理権が消滅した後、BがAの代理人と称して、甲土地をCに売却した場合、AがCに対して甲土地を引き渡す責任を負うことはない。
誤り。代理権消滅の事実について相手方が善意無過失である場合、表見代理が成立します。したがって、Bの代理権消滅について相手方Cが善意無過失であれば表見代理が成立し、本人Aが Cに対して甲土地を引き渡す責任を負います。
裁判上の請求をした場合、裁判が終了するまでの間は時効が完成しないが、当該請求を途中で取り下げて権利が確定することなく当該請求が終了した場合には、その終了した時から新たに時効の進行が始まる。
誤り。裁判上の請求をした場合、原則として裁判上の請求が終了するまでの間は時効が完成しませんが(時効の完成猶予)、確定判決等によって権利が確定したときは、時効は裁判上の請求が終了した時から新たにその進行を始めます(時効の更新)。ただし、裁判上の請求を途中で取り下げたなど、確定判決等によって権利が確定することなく裁判上の請求が終了した場合には、その終了の時から6カ月を経過するまでの間は時効が完成しないものの(時効の完成猶予)、時効の更新は生じません。したがって、「その終了した時から新たに時効の進行が始まる」(時効の更 新)というのは、誤りです。
Aが甲土地を所有している。Bが、所有者と称するCから、Cが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることに気付いた場合、そのままさらに7年間甲土地の占有を継続したとしても、Bは、甲土地の所有権を時効取得することはできない。
誤り。10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意無過失であったときは、その所有権を取得します。この占有者の善意無過失は、占有開始の時点において判定すれば足りるので、占有の途中で事実に気が付いても関係ありません。したがって、Bは、占有開始時に善意無過失であったので、10年間、所有の意思をもって平穏かつ公然に占有を継続すれば、甲土地の所有権を時効取得できます。
Aが甲土地を所有している。Bが、所有者と称するCから、Cが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることを知っているDに売却し、Dが所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を7年間占有した場合、Dは甲土地の所有権を時効取得する ことができる。
正しい。10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意無過失であったときは、その所有権を取得します。本問のような占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、または自己の占有に前の占有者の占有 を併せて主張できます。この場合、前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継しますが、占有者の善意無過失は、その主張に係る最初の占有者の占有開始の時点だけで判定します。したがって、Dは、Bの占有を承継し、自分の7年間の占有に、Bの善意無過失で開始 した3年間の占有を併せて主張することで、甲土地の所有権を時効取得できます。
20年間、平穏に、かつ、公然と他人が所有する土地を占有した者は、占有取得の原因たる事実のいかんにかかわらず、当該土地の所有権を取得する。
誤り。20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得します。これに対して、当該土地の賃貸借契約を占有取得の原因としたような場合は、所有の意思がないので、所有権を時効取得できません。よって、「占有取得の原因たる事実のいかんにかかわらず」という点は誤りです。
AとBとの間で、5か月後に実施される試験にBが合格したときにはA所有の甲建物をBに贈与する旨を書面で約した。Bは、当該試験に合格したときは、当該約定の時点にさかのぼって甲建物の所有権を取得する。
誤り。停止条件付法律行為は、原則として停止条件が成就した時からその効力を生じます。したがって、Bが甲建物の所有権を取得するのは、本件試験に合格するという停止条件が成就した時からです。当該約定の時点にさかのぼって取得するわけではありません。
Aは、自己所有の甲不動産を3か月以内に、1,500万円以上で第三者に売却でき、その代金全額を受領することを停止条件として、Bとの間でB所有の乙不動産を2,000万円で購入する売買契約を締結した。条件成就に関する特段の定めはしなかった。この場合において、乙不動産が値上がりしたために、Aに乙不動産を契約どおり売却したくなくなったBが、甲不動産の売却を故意に妨げたときは、Aは停止条件が成就したものとみなしてBにAB間の売買契約の履行を求めることができる。
正しい。条件の成就によって不利益を受ける者が、故意にその条件が成就することを妨げた場合、相手方はその条件が成就したとみなすことができます。したがって、Bが甲不動産の売却を故意に妨げた場合、Aは、本件停止条件が成就したものとみなして、BにAB間の売買契約の履行を求めることができます。
Aは、Aが所有している甲土地をBに売却した。甲土地を何らの権原なく不法占有しているCがいる場合、BがCに対して甲土地の所有権を主張して明渡請求をするには、 甲土地の所有権移転登記を備えなければならない。
誤り。不動産の買主は、登記がなくても、不法占拠者に対して所有権を主張して明渡請求ができます。
Aは、Aが所有している甲土地をBに売却した。Bが甲土地の所有権移転登記を備えないまま甲土地をCに売却した場合、Cは、甲土地の所有権移転登記なくして、Aに対して甲土地の所有権を主張することができる。
正しい。不動産がA(前主)→B→C(買主)と順次に譲渡された場合、買主(C)は、登記がなくても、前主(A)に対して所有権を主張できます。
AからA所有の甲土地を購入したBは、所有権移転登記を備えていなかった。Cがこれに乗じてBに高値で売りつけて利益を得る目的でAから甲土地を購入し所有権移転登記を備えた場合、CはBに対して甲土地の所有権を主張することができない。
正しい。不動産の買主は、登記がなくても、背信的悪意者に対して所有権を主張できます。Cは「Bに高値で売りつけて利益を得る目的」で甲土地を購入しているので、背信的悪意者です。したがって、Bは登記を備えていなくてもCに対して甲土地の所有権を主張でき、逆に、CはBに対して甲土地の所有権を主張できません。
AがA所有の甲土地をBとCとに対して二重に譲渡した場合において、Bが所有権移転登記を備えない間にCが甲土地を善意のDに譲渡してDが所有権移転登記を備えたときは、Cがいわゆる背信的悪意者であっても、Bは、Dに対して自らが所有者であることを主張することができない。
正しい。背信的悪意者Cは、所有権移転登記を備えたとしても、信義則上、Bに登記がないことを主張できません。もっとも、背信的悪意者は、信義則上、相手に登記がないことの主張をすることが許されないにすぎず、所有権自体を取得できないわけではありません。したがって、背信的悪意者からの譲受人Dは有効に所有権を取得できます。よって、Bは、登記を備えたDに対して自ら が所有者であることを主張できません。
A所有の甲土地をBが占有している。Aから甲土地を買い受けたCが所有権の移転登記を備えた後に、Bについて甲土地所有権の取得時効が完成した場合、Bは、Cに対し、 登記がなくても甲土地の所有者であることを主張することができる。
正しい。第三者が登記をした後に時効が完成した場合は、占有者(時効取得者)は、その第三者 (=時効完成前の第三者)に対して、登記がなくても、時効取得を主張できます。
他の共有者との協議に基づかないで、自己の持分に基づいて1人で現に共有物全部を占有する共有者に対し、他の共有者は単独で自己に対する共有物の明渡しを請求することができる。
誤り。各共有者は、持分に応じて、共有物の全部を使用できます。したがって、他の共有者との協議に基づかないで共有物全部を占有する共有者でも、その共有物の全部を使用できるため、他の共有者がその明渡しを請求することは、当然にはできません。
A、B及びCが、持分を各3分の1とする甲土地を共有している。Aがその持分を放棄した場合には、その持分は所有者のない不動産として、国庫に帰属する。
誤り。共有者の1人が、その持分を放棄したときは、その持分は、他の共有者に帰属します。したがって、「国庫」に帰属するわけではありません。
抵当権の対象不動産が借地上の建物であった場合、特段の事情がない限り、抵当権の効力は当該建物のみならず借地権についても及ぶ。
正しい。抵当権の対象不動産が借地上の建物であった場合、特段の事情がない限り、抵当権の効力は、当該建物のみならず借地権についても及びます。
Aの抵当権設定登記があるB所有の建物について、CがBと賃貸借契約を締結した上でDに転貸していた場合、Aは、CのDに対する転貸賃料債権に当然に物上代位することはできない。
正しい。抵当権者が転貸賃料に対して物上代位をすることは、「抵当不動産の賃借人を所有者と同視」できる場合のような例外的な事情がある場合を除き、認められていません。したがって、Aは、CのDに対する転貸賃料債権に当然に物上代位することはできません。
Aは、Bから借金をし、Bの債権を担保するためにA所有の土地及びその上の建物に抵当権を設定した。Bの抵当権の実行により、Cが建物、Dが土地を競落した場合、D は、Cに対して土地の明渡しを請求することはできない。
正しい。抵当権設定時に、土地とその土地上の建物の所有者が同一人で、その実行により土地と建物の所有者が異なるに至ったときは、建物について法定地上権が成立します。したがって、土地の競落人Dは建物競落人Cに対して、土地の明渡しを請求することはできません。
Aは、Bを抵当権者としてA所有の甲土地に抵当権を設定した。その後、Aが甲土地に建物を築造したときは、一定の場合を除き、Bは甲土地とともに建物を競売することができるが、その優先権は土地の代価についてのみ行使することができる。
正しい。抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができます。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができます。
抵当不動産の被担保債権の主債務者は、抵当権消滅請求をすることはできないが、その債務について連帯保証をした者は、抵当権消滅請求をすることができる。
誤り。抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求ができます。しかし、主たる債務者、保証人、 これらの者の承継人は、抵当権消滅請求ができません。
根抵当権者は、総額が極度額の範囲内であっても、被担保債権の範囲に属する利息の請求権については、その満期となった最後の2年分についてのみ、その根抵当権を行使することができる。
誤り。普通抵当権の場合、利息・遅延損害金等は、原則として最後の2年分についてのみ担保されます。しかし、根抵当権の場合、最後の2年分という制限はなく、極度額の範囲内であれば、確定した元本・利息・遅延損害金等の合計額がすべて担保されます。