Season 4 Episode 4 Flashcards

1
Q

被保佐人が、不動産を売却する場合には、保佐人の同意が必要であるが、贈与の申し出を拒絶する場合には、保佐人の同意は不要である。

A

誤り。被保佐人は、不動産の売買などの重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為を行う場合だけでなく、贈与の申込みを拒絶する場合にも、その保佐人の同意を得なければなりません。

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2
Q

被補助人が、補助人の同意を得なければならない行為について、同意を得ていないにもかかわらず、詐術を用いて相手方に補助人の同意を得たと信じさせていたときは、被補助人は当該行為を取り消すことができない。

A

正しい。制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができません。そして、自らが行為能力者であると相手方に信じさせようとした場合だけでなく、保護者の同意を得たと信じさせようとした場合にも、この規定が適用されます。

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3
Q

Aは、その所有する甲土地を譲渡する意思がないのに、Bと通謀して、Aを売主、B を買主とする甲土地の仮装の売買契約を締結した。善意のCがBから甲土地を買い受けた場合、Cがいまだ登記を備えていなくても、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない。なお、この問において「善意」とは、虚偽表示の事実についての善意とする。

A

正しい。相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効は、善意の第三者に対抗できません。この場合、第三者が登記を備えているかどうかは関係ありません。

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4
Q

AがBに甲土地を売却した。AB間の売買契約がAの重大な過失によらない錯誤に基づくものであり、その錯誤が重要なものである場合でも、Aの錯誤の事実を過失により知らないCが、Bから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えていたときは、Aは、 錯誤による取消しをして、Cに対して、甲土地の返還を請求することはできない。

A

誤り。錯誤による意思表示の取消しは、善意無過失の取消し前の第三者に対抗できませんが、 逆に、悪意または善意有過失の取消し前の第三者には、対抗できます。
この場合、第三者が登記を備えているかどうかは関係ありません。本問の「Aの錯誤の事実を過失により知らない」Cは、善意有過失の第三者です。したがって、Aは、Cに対して錯誤による意思表示の取消しを対抗して、 甲土地の返還を請求できます。

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5
Q

AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた。AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消す前に、Bの詐欺について悪意のCが、Bから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えていた場合、AはCに対して、甲土地の返還を請求することがで きる。

A

正しい。詐欺による意思表示の取消しは、善意無過失の第三者に対抗できません。しかし、悪意 の第三者には対抗できます。この場合、第三者が登記を備えているかどうかは関係ありません。

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6
Q

AがBに甲土地を売却した。Aが第三者の詐欺によってBに甲土地を売却し、その後BがCに甲土地を転売した場合、Bが第三者の詐欺の事実を知らず、かつ、知ることができなかったとしても、Cが第三者の詐欺の事実を知っていれば、Aは詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。

A

誤り。相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合、相手方がその事実を知り (悪意)、または知ることができた(善意有過失)ときに限り、その意思表示を取り消すことができます。したがって、本問では、相手方Bが第三者の詐欺の事実を知らず(善意)、かつ、知ることがで きない(無過失)ので、Aは、AB間の売買契約を取り消すことができません。この点は、Cが悪意であっても同様です。

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7
Q

Aが、所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与するより前に、Bが補助開始の審判を受けていた場合、Bは有効に代理権を取得することができない。

A

誤り。制限行為能力者が代理人としてした行為は、原則として、行為能力の制限によっては取り消すことができないと規定されていますが、この規定は、制限行為能力者であっても代理人になれることが前提となっています。したがって、補助開始の審判を受けている者(被補助人)であっても、有効に代理権を取得できます。

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8
Q

法定代理人は、やむを得ない事由がなくとも、復代理人を選任することができる。

A

正しい。法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任できます。したがって、やむを得ない事由 がなくても、復代理人を選任できます。

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9
Q

AがBに対して、A所有の甲土地を売却する代理権を授与した。Bが自己又は第三者の利益を図る目的で、Aの代理人として甲土地をCに売却した場合、Cがその目的を知り、又は知ることができたときは、Bの代理行為は無権代理とみなされる。

A

正しい。代理人(B)が自己または第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合に、相手方(C)がその目的を知り、または知ることができたときは、その行為は、無権代理行為とみなされます(代理権の濫用)。

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10
Q

Aが、所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し、BがCとの間で、Aを売主、Cを買主とする甲土地の売買契約を締結した。AがBに代理権を授与した後にBが後見開始の審判を受け、その後に当該契約が締結された場合、Bによる当該契約の締結は無権代理行為となる。

A

正しい。
1,本人の死亡、
2,代理人の死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判を受けたこと、
3,任意代理の場合は、本人が破産手続開始の決定を受けたことによって、代理権は消滅します。
したがって、本問の場合、本人Aが代理権を授与した後に、代理人Bが後見開始の審判を受けたことで、Bの代理権は消滅しています。よって、Bによる契約の締結は、無権代理行為となります。

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11
Q

A所有の甲土地につき、Aから売却に関する代理権を与えられていないBが、Aの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した。Bの死亡により、AがBの唯一の相続人として相続した場合、AがBの無権代理行為の追認を拒絶しても信義則には反せず、AC間の売買契約が当然に有効になるわけではない。なお、表見代理は成立しないものとする。

A

正しい。本人(A)が無権代理人(B)を相続した場合に、本人が追認を拒絶しても信義則に反するとはいえず、無権代理行為は当然に有効にはなりません。

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12
Q

A所有の甲土地につき、Aから売却に関する代理権を与えられていないBが、Aの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した。Aの死亡により、BがAの唯一の相続人として相続した場合、Bは、Aの追認拒絶権を相続するので、自らの無権代理行為の追認を拒絶することができる。

A

誤り。本人(A)が追認も追認拒絶もしないまま死亡し、無権代理人(B)が本人を単独で相続した場合、無権代理人が本人の資格で追認を拒絶することは信義則に反するため許されず、その無権代理行為は当然に有効となります。したがって、Bは、自らの無権代理行為の追認を拒絶できません。

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13
Q

AがBに対して、A所有の甲土地を売却する代理権を授与した。AがBに授与した代理権が消滅した後、BがAの代理人と称して、甲土地をCに売却した場合、AがCに対して甲土地を引き渡す責任を負うことはない。

A

誤り。代理権消滅の事実について相手方が善意無過失である場合、表見代理が成立します。したがって、Bの代理権消滅について相手方Cが善意無過失であれば表見代理が成立し、本人Aが Cに対して甲土地を引き渡す責任を負います。

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14
Q

裁判上の請求をした場合、裁判が終了するまでの間は時効が完成しないが、当該請求を途中で取り下げて権利が確定することなく当該請求が終了した場合には、その終了した時から新たに時効の進行が始まる。

A

誤り。裁判上の請求をした場合、原則として裁判上の請求が終了するまでの間は時効が完成しませんが(時効の完成猶予)、確定判決等によって権利が確定したときは、時効は裁判上の請求が終了した時から新たにその進行を始めます(時効の更新)。ただし、裁判上の請求を途中で取り下げたなど、確定判決等によって権利が確定することなく裁判上の請求が終了した場合には、その終了の時から6カ月を経過するまでの間は時効が完成しないものの(時効の完成猶予)、時効の更新は生じません。したがって、「その終了した時から新たに時効の進行が始まる」(時効の更 新)というのは、誤りです。

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15
Q

Aが甲土地を所有している。Bが、所有者と称するCから、Cが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることに気付いた場合、そのままさらに7年間甲土地の占有を継続したとしても、Bは、甲土地の所有権を時効取得することはできない。

A

誤り。10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意無過失であったときは、その所有権を取得します。この占有者の善意無過失は、占有開始の時点において判定すれば足りるので、占有の途中で事実に気が付いても関係ありません。したがって、Bは、占有開始時に善意無過失であったので、10年間、所有の意思をもって平穏かつ公然に占有を継続すれば、甲土地の所有権を時効取得できます。

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16
Q

Aが甲土地を所有している。Bが、所有者と称するCから、Cが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることを知っているDに売却し、Dが所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を7年間占有した場合、Dは甲土地の所有権を時効取得する ことができる。

A

正しい。10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意無過失であったときは、その所有権を取得します。本問のような占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、または自己の占有に前の占有者の占有 を併せて主張できます。この場合、前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継しますが、占有者の善意無過失は、その主張に係る最初の占有者の占有開始の時点だけで判定します。したがって、Dは、Bの占有を承継し、自分の7年間の占有に、Bの善意無過失で開始 した3年間の占有を併せて主張することで、甲土地の所有権を時効取得できます。

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17
Q

20年間、平穏に、かつ、公然と他人が所有する土地を占有した者は、占有取得の原因たる事実のいかんにかかわらず、当該土地の所有権を取得する。

A

誤り。20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得します。これに対して、当該土地の賃貸借契約を占有取得の原因としたような場合は、所有の意思がないので、所有権を時効取得できません。よって、「占有取得の原因たる事実のいかんにかかわらず」という点は誤りです。

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18
Q

AとBとの間で、5か月後に実施される試験にBが合格したときにはA所有の甲建物をBに贈与する旨を書面で約した。Bは、当該試験に合格したときは、当該約定の時点にさかのぼって甲建物の所有権を取得する。

A

誤り。停止条件付法律行為は、原則として停止条件が成就した時からその効力を生じます。したがって、Bが甲建物の所有権を取得するのは、本件試験に合格するという停止条件が成就した時からです。当該約定の時点にさかのぼって取得するわけではありません。

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19
Q

Aは、自己所有の甲不動産を3か月以内に、1,500万円以上で第三者に売却でき、その代金全額を受領することを停止条件として、Bとの間でB所有の乙不動産を2,000万円で購入する売買契約を締結した。条件成就に関する特段の定めはしなかった。この場合において、乙不動産が値上がりしたために、Aに乙不動産を契約どおり売却したくなくなったBが、甲不動産の売却を故意に妨げたときは、Aは停止条件が成就したものとみなしてBにAB間の売買契約の履行を求めることができる。

A

正しい。条件の成就によって不利益を受ける者が、故意にその条件が成就することを妨げた場合、相手方はその条件が成就したとみなすことができます。したがって、Bが甲不動産の売却を故意に妨げた場合、Aは、本件停止条件が成就したものとみなして、BにAB間の売買契約の履行を求めることができます。

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20
Q

Aは、Aが所有している甲土地をBに売却した。甲土地を何らの権原なく不法占有しているCがいる場合、BがCに対して甲土地の所有権を主張して明渡請求をするには、 甲土地の所有権移転登記を備えなければならない。

A

誤り。不動産の買主は、登記がなくても、不法占拠者に対して所有権を主張して明渡請求ができます。

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21
Q

Aは、Aが所有している甲土地をBに売却した。Bが甲土地の所有権移転登記を備えないまま甲土地をCに売却した場合、Cは、甲土地の所有権移転登記なくして、Aに対して甲土地の所有権を主張することができる。

A

正しい。不動産がA(前主)→B→C(買主)と順次に譲渡された場合、買主(C)は、登記がなくても、前主(A)に対して所有権を主張できます。

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22
Q

AからA所有の甲土地を購入したBは、所有権移転登記を備えていなかった。Cがこれに乗じてBに高値で売りつけて利益を得る目的でAから甲土地を購入し所有権移転登記を備えた場合、CはBに対して甲土地の所有権を主張することができない。

A

正しい。不動産の買主は、登記がなくても、背信的悪意者に対して所有権を主張できます。Cは「Bに高値で売りつけて利益を得る目的」で甲土地を購入しているので、背信的悪意者です。したがって、Bは登記を備えていなくてもCに対して甲土地の所有権を主張でき、逆に、CはBに対して甲土地の所有権を主張できません。

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23
Q

AがA所有の甲土地をBとCとに対して二重に譲渡した場合において、Bが所有権移転登記を備えない間にCが甲土地を善意のDに譲渡してDが所有権移転登記を備えたときは、Cがいわゆる背信的悪意者であっても、Bは、Dに対して自らが所有者であることを主張することができない。

A

正しい。背信的悪意者Cは、所有権移転登記を備えたとしても、信義則上、Bに登記がないことを主張できません。もっとも、背信的悪意者は、信義則上、相手に登記がないことの主張をすることが許されないにすぎず、所有権自体を取得できないわけではありません。したがって、背信的悪意者からの譲受人Dは有効に所有権を取得できます。よって、Bは、登記を備えたDに対して自ら が所有者であることを主張できません。

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24
Q

A所有の甲土地をBが占有している。Aから甲土地を買い受けたCが所有権の移転登記を備えた後に、Bについて甲土地所有権の取得時効が完成した場合、Bは、Cに対し、 登記がなくても甲土地の所有者であることを主張することができる。

A

正しい。第三者が登記をした後に時効が完成した場合は、占有者(時効取得者)は、その第三者 (=時効完成前の第三者)に対して、登記がなくても、時効取得を主張できます。

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25
Q

他の共有者との協議に基づかないで、自己の持分に基づいて1人で現に共有物全部を占有する共有者に対し、他の共有者は単独で自己に対する共有物の明渡しを請求することができる。

A

誤り。各共有者は、持分に応じて、共有物の全部を使用できます。したがって、他の共有者との協議に基づかないで共有物全部を占有する共有者でも、その共有物の全部を使用できるため、他の共有者がその明渡しを請求することは、当然にはできません。

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26
Q

A、B及びCが、持分を各3分の1とする甲土地を共有している。Aがその持分を放棄した場合には、その持分は所有者のない不動産として、国庫に帰属する。

A

誤り。共有者の1人が、その持分を放棄したときは、その持分は、他の共有者に帰属します。したがって、「国庫」に帰属するわけではありません。

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27
Q

抵当権の対象不動産が借地上の建物であった場合、特段の事情がない限り、抵当権の効力は当該建物のみならず借地権についても及ぶ。

A

正しい。抵当権の対象不動産が借地上の建物であった場合、特段の事情がない限り、抵当権の効力は、当該建物のみならず借地権についても及びます。

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28
Q

Aの抵当権設定登記があるB所有の建物について、CがBと賃貸借契約を締結した上でDに転貸していた場合、Aは、CのDに対する転貸賃料債権に当然に物上代位することはできない。

A

正しい。抵当権者が転貸賃料に対して物上代位をすることは、「抵当不動産の賃借人を所有者と同視」できる場合のような例外的な事情がある場合を除き、認められていません。したがって、Aは、CのDに対する転貸賃料債権に当然に物上代位することはできません。

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29
Q

Aは、Bから借金をし、Bの債権を担保するためにA所有の土地及びその上の建物に抵当権を設定した。Bの抵当権の実行により、Cが建物、Dが土地を競落した場合、D は、Cに対して土地の明渡しを請求することはできない。

A

正しい。抵当権設定時に、土地とその土地上の建物の所有者が同一人で、その実行により土地と建物の所有者が異なるに至ったときは、建物について法定地上権が成立します。したがって、土地の競落人Dは建物競落人Cに対して、土地の明渡しを請求することはできません。

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30
Q

Aは、Bを抵当権者としてA所有の甲土地に抵当権を設定した。その後、Aが甲土地に建物を築造したときは、一定の場合を除き、Bは甲土地とともに建物を競売することができるが、その優先権は土地の代価についてのみ行使することができる。

A

正しい。抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができます。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができます。

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31
Q

抵当不動産の被担保債権の主債務者は、抵当権消滅請求をすることはできないが、その債務について連帯保証をした者は、抵当権消滅請求をすることができる。

A

誤り。抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求ができます。しかし、主たる債務者、保証人、 これらの者の承継人は、抵当権消滅請求ができません。

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32
Q

根抵当権者は、総額が極度額の範囲内であっても、被担保債権の範囲に属する利息の請求権については、その満期となった最後の2年分についてのみ、その根抵当権を行使することができる。

A

誤り。普通抵当権の場合、利息・遅延損害金等は、原則として最後の2年分についてのみ担保されます。しかし、根抵当権の場合、最後の2年分という制限はなく、極度額の範囲内であれば、確定した元本・利息・遅延損害金等の合計額がすべて担保されます。

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33
Q

根抵当権の元本の確定前に根抵当権者から被担保債権の範囲に属する債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することはできない。

A

正しい。普通抵当権の場合、被担保債権が移転すればそれに伴って普通抵当権も移転します (随伴性)。しかし、元本確定前の根抵当権の場合、随伴性がありません。したがって、被担保債権となっている個々の債権が譲渡されても根抵当権は移転しないので、根抵当権の被担保債権 の範囲に属する債権を取得した者が根抵当権を行使することはできません。

34
Q

主たる債務の目的が保証契約の締結後に加重されたときは、保証人の負担も加重される。

A

誤り。主たる債務の目的または態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されません。

35
Q

Aは、Aの所有する土地をBに売却し、Bの売買代金の支払債務についてCがAとの間で保証契約を締結した。Cの保証債務がBとの連帯保証債務である場合、AがCに対して保証債務の履行を請求してきても、CはAに対して、まずBに請求するよう主張で きる。

A

誤り。普通保証(連帯保証でない保証)であれば、債権者がいきなり保証人に請求してきた場合、 保証人は、まず主たる債務者に請求するように主張できます(催告の抗弁権)。しかし、連帯保証人には催告の抗弁権がないので、「まずBに請求するよう」主張することはできません。

36
Q

AからBとCとが連帯して1,000万円を借り入れた場合、Aが、Bに対して履行を請求した効果はCに及び、Cに対して履行を請求した効果はBに及ぶ。また、DからEが1,000 万円を借り入れ、Fがその借入金返済債務についてEと連帯して保証した場合、Dが、 Eに対して履行を請求した効果はFに及び、Fに対して履行を請求した効果はEに及ぶ。 なお、民法第441条但書(同法第458条で準用する場合を含む。)に基づく別段の意思表示はないものとする。

A

誤り。連帯債務者の1人に対する請求の効力は、他の債務者に及びません。また、主たる債務者に対する請求の効力は連帯保証人に及びますが(付従性)、連帯保証人に対する請求の効力は主たる債務者に及びません。したがって、「D(債権者)が、E(主たる債務者)に対して履行を請求 した効果はF(連帯保証人)に及び」という部分は正しいですが、それ以外の部分は、すべて誤りです。

37
Q

A、B、Cの3人がDに対して900万円の連帯債務を負っている(A、B、Cの負担部分は等しいものとする。)。Aが、Dに対する債務と、Dに対して有する200万円の債権を対当額で相殺する旨の意思表示をDにした場合、B及びCのDに対する連帯債務も200 万円が消滅する。

A

正しい。連帯債務者の1人が債権者に対して債権を有する場合、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅します。したがって、AがDに対する200万円の債権で相殺した場合、B・CのDに対する連帯債務も200万円分消滅します。

38
Q

代金債権の譲受人が譲渡制限の意思表示の存在を知らないことについて重大な過失が あるときは、債務者は、譲受人に対して、債務の履行を拒むことができる。

A

正しい。譲渡制限の意思表示がされたことを知り(悪意)、または重大な過失によって知らなかった(善意重過失)譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができます。

39
Q

Aが、Bに対する代金債権をCに譲渡したが、当該債権がCに譲渡された時点ではまだ発生していない将来の取引に関する債権であった場合でも、その取引の種類、金額、 期間などにより当該債権が特定されていたときは、特段の事情がない限り、AからCへの債権譲渡は有効である。

A

正しい。債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを必要としません。将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約については、譲渡の目的とされる債権が特定されている限り、原則として有効です。したがって、譲渡された時点ではまだ発生していない将来の取引に関する債権であっても、取引の種類・金額・期間などにより当該債権が特定されていたときは、 特段の事情がない限り、債権譲渡は有効です。

40
Q

AがBに対して1,000万円の代金債権を有しており、Aがこの代金債権をCに譲渡した。

BがAに対して期限が到来した1,000万円の貸金債権を有していても、AがBに対して確定日付のある譲渡通知をした場合には、BはCに譲渡された代金債権の請求に対して貸金債権による相殺を主張することができない。

A

誤り。債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗できます。したがって、Bは、AのBに対する代金債権の確定日付ある譲渡通知の前に、Aに対する貸金債権を取得していますので、譲受人Cに対して、貸金債権による相殺を主張できます。

41
Q

Aを売主、Bを買主として、甲土地の売買契約が締結された。

AがBに甲土地の引渡しをすることができなかった場合、その不履行がAの責めに帰することができない事由 によるものであっても、BはAに対して、損害賠償の請求をすることができる。

A

誤り。債権者は、債務不履行について債務者に帰責事由がある場合に限り、債務者に対して損害賠償の請求ができます。

したがって、本問のように、甲土地の引渡し債務の債務者である売主 Aに帰責事由がないときは、債権者である買主Bは、Aに対して損害賠償の請求ができません。

42
Q

両当事者が損害の賠償につき特段の合意をしていない場合において、債務の不履行に関して債権者に過失があったときでも、債務者から過失相殺する旨の主張がなければ、 裁判所は、債務の不履行によって生ずる損害賠償の責任及びその額を定めるに当たり、 債権者の過失を考慮することはできない。

A

誤り。債務不履行またはこれによる損害の発生・拡大に関して債権者にも過失があった場合、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任およびその額を定めます(過失相殺)。したがって、債務者からの主張がなくても、裁判所は過失相殺をすることになります。

43
Q

債務不履行に対して債権者が相当の期間を定めて履行を催告してその期間内に履行がなされない場合であっても、催告期間が経過した時における債務不履行がその契約及び 取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、債権者は契約の解除をすることができない。

A

正しい。当事者の一方がその債務を履行しない場合、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除ができます。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約および取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、契約の解除ができません。

44
Q

債務者が債務を履行しない場合であって、債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、債権者は、相当の期間を定めてその履行を催告することなく、直ちに契約の解除をすることができる。

A

正しい。
1,債務の全部の履行が不能であるとき、
2,債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき、などの場合には、債権者は、催告をすることなく、直ちに契約の解除ができます。

45
Q

売主Aは、買主Bとの間で甲土地の売買契約を締結し、代金の3分の2の支払と引換えに所有権移転登記手続と引渡しを行った。その後、Bが残代金を支払わないので、A は適法に甲土地の売買契約を解除した。この場合において、Bは、甲土地を現状有姿の状態でAに返還し、かつ、移転登記を抹消すれば、引渡しを受けていた間に甲土地を貸駐車場として収益を上げていたときでも、Aに対してその利益を償還すべき義務はない。

A

誤り。契約が解除された場合、各当事者は原状回復義務を負いますが、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければなりません。したがって、目的物の引渡しを受けていた買主は、当該目的物の返還とともに、引渡しを受けていた間に目的物を使用収益して得た利益も、売主に返還しなければなりません。したがって、Bは、甲土地を貸駐車場として収益を上げていたときは、Aに対してその利益を償還しなければなりません。

46
Q

売主Aは、買主Bとの間で甲土地の売買契約を締結し、代金の3分の2の支払と引換えに所有権移転登記手続と引渡しを行った。その後、Bが残代金を支払わないので、A は適法に甲土地の売買契約を解除した。この場合において、Aの解除前に、BがCに甲土地を売却し、BからCに対する所有権移転登記がなされているときは、BのAに対する代金債務につき不履行があることをCが知っていたとしても、Aは解除に基づく甲土地の所有権をCに対して主張できない。

A

正しい。不動産の売買契約を解除した場合であっても、登記を備えている解除前の第三者に対しては、解除を主張できません。第三者の善意悪意は関係ありません。したがって、Aは売買契約を解除しても、所有権移転登記を備えているCに対して、甲土地の所有権を主張できません。

47
Q

マンションの売買契約がマンション引渡し後に債務不履行を理由に解除された場合、 契約は遡及的に消滅するため、売主の代金返還債務と、買主の目的物返還債務は、同時履行の関係に立たない。

A

誤り。債務不履行を理由に売買契約が解除された場合の売主の代金返還債務と、買主の目的物返還債務は、同時履行の関係に立ちます。

48
Q

貸金債務の弁済と当該債務の担保のために経由された抵当権設定登記の抹消登記手続とは、同時履行の関係に立つ。

A

誤り。貸金債務の弁済と当該債務のために経由された抵当権設定登記の抹消手続とは同時履行の関係に立ちません(貸金債務の弁済が先)。なお、貸金債務の弁済と受取証書の交付は、同時履行の関係に立ちます。

49
Q

Aが、Bに対して不動産を売却し、所有権移転登記及び引渡しをした。Bの親友Cが、 Aに直接Bの代金の支払いを済ませても、それがBの意思に反する弁済である場合には、 Bの意思に反することをAが知らなかったときでも、Bの代金債務は消滅しない。

A

誤り。弁済をするについて正当な利益を有しない第三者(本問のBの親友Cはこれにあたる)は、 原則として、債務者の意思に反して弁済できません。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、弁済できます。本問では、Bの意思に反する弁済であることをAが知らなかったので、Cは弁済することができ、Bの代金債務は消滅します。

50
Q

Aを売主、Bを買主として甲建物の売買契約が締結された場合において、Bが、Aの代理人と称するCに対してBのAに対する代金債務を弁済したときは、Cに受領権限がないことにつきBが善意かつ無過失であれば、Bの弁済は有効となる。

A

正しい。受領権者(債権者および法令の規定または当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者)以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者(債権者の代理人と称して債権を行使する者も、これに含まれる)に対してした弁済は、 その弁済をした者が善意無過失であれば、有効です。

51
Q

Aは、令和3年10月1日、A所有の甲土地につき、Bとの間で、代金1,000万円、支払期日を同年12月1日とする売買契約を締結した。同年10月10日、BがAの自動車事故によって身体の被害を受け、Aに対して不法行為に基づく損害賠償債権を取得した場合には、Bは売買代金債務と当該損害賠償債権を対当額で相殺することができる。

A

正しい。
1,悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務、
2,人の生命または身体の侵害による 損害賠償の債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗できません。つまり、人の生命または身体の侵害による不法行為等の「加害者」からは、相殺できません。しかし、被害者から相殺することは可能です。したがって、Bは、売買代金債務と当該損害賠償債権を対当額で相殺できます。

52
Q

Aは自己所有の甲建物をBに賃貸し賃料債権を有している。Aの債権者Cが、AのBに対する賃料債権を差し押さえた場合、Bは、その差し押さえ前に取得していたAに対する債権と、差し押さえにかかる賃料債務とを、その弁済期の先後にかかわらず、相殺適状になった段階で相殺し、Cに対抗することができる。

A

正しい。差押えを受けた債権の債務者は、「差押え後」に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗できませんが、「差押え前」に取得した債権による相殺をもって対抗できます。この場合、自働債権と受働債権の弁済期の先後は問いません。したがって、Bは、AのBに対する賃料債権をCが差し押さえる前に、Aに対する別の債権を取得しているので、その債権による相殺をC に対抗できます。

53
Q

Aが、その所有する甲建物について、Bとの間で、Aを売主、Bを買主とする売買契約を締結し、Bから手付を受領した。Bが、履行期の到来後に代金支払の準備をしてAに履行の催告をした場合であっても、Aは、手付の倍額を現実に提供して契約の解除をすることができる。

A

誤り。買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除ができます。
ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、手付解除はできません。履行期の到来後に、買主(債務者)が代金支払の用意をした上、売主(債権者) に対し反対債務の履行を催告したことは、一般的には、買主の金銭支払債務につき「履行の着手」 ありということができます。したがって、売主Aは、手付解除ができません。

54
Q

Aを売主、Bを買主として甲土地の売買契約を締結したが、甲土地がAの所有地ではなく、他人の所有地であった場合、AB間の売買契約は無効である。

A

誤り。民法上、他人物売買は有効です。したがって、AB間の売買契約は有効です。なお、他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負います。

55
Q

事業者ではないAが所有し居住している建物につきAB間で売買契約を締結したが、 売買契約締結時点において当該建物の構造耐力上主要な部分の品質が契約の内容に適合しないものであった。AB間の売買をBと媒介契約を締結した宅地建物取引業者Cが媒介していた場合には、BはCに対して、当該建物の修補による履行の追完を請求することができる。

A

誤り。売主の担保責任は、売主に対してのみ追及できます。したがって、その売買契約を宅建業者が媒介していた場合であっても、その媒介を行った宅建業者に対して、担保責任を追及することはできません。

56
Q

Aを売主、Bを買主とする甲建物の売買契約が締結された。Aが品質に関して契約の内容に適合しない甲建物をBに引き渡した場合、Bは、その不適合がBの責めに帰すべき事由によるものであっても、Aに対し、代金の減額の請求をすることができる。

A

誤り。引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものである場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないなどのときは、買主は、原則として、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求できます。しかし、その不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、代金の 減額の請求をすることができません。したがって、Bは、契約不適合がBの責めに帰すべき事由に よるものであるときは、Aに対し、代金の減額の請求ができません。

57
Q

Aを売主、Bを買主として、抵当権の目的となっているA所有の甲土地の売買契約が締結された。この場合において、当該抵当権の実行によってBが甲土地の所有権を失ったときでも、Bは、当該契約を解除することができない。

A

誤り。売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しないものである場合(権利の一部が他人に属する場合においてその権利の一部を移転しないときを含む)、買主は、売主に対する契約不適合責任(担保責任)の追及として、1,追完請求、2,代金減額請求、3,損害賠償請求、4,契約の解除ができます。損害賠償請求を除き、売主の帰責事由の有無を問いません。したがって、抵当権の行使により買主Bが甲土地の所有権を失った場合、Bは、契約の解除ができます。

58
Q

Aを売主、Bを買主として、甲土地の売買契約が締結されたが、甲土地の実際の面積が当該契約の売買代金の基礎とした面積より少なかった場合、Bはそのことを知った時から2年以内にその旨をAに通知しなければ、代金の減額を請求することができない。

A

誤り。数量に関する契約不適合責任には、種類・品質に関する契約不適合責任と異なり、担保責任の通知期間の制限はありません(債権の消滅時効の規定の適用はあります)。したがって、Bは、 契約不適合があった旨をAに通知しなくても、代金の減額を請求できます。

59
Q

事業者ではないAが所有し居住している建物につきAB間で売買契約を締結するに当たり、Aは建物引渡しから3か月に限り担保責任を負う旨の特約を付けたが、売買契約締結時点において当該建物の構造耐力上主要な部分の種類又は品質が契約の内容に適合しないものであり、Aはそのことを知っていたがBに告げず、Bはそのことを知らなかった。この場合において、Bが当該不適合の存在を建物引渡しから1年が経過した時に 知ったとき、当該不適合の存在を知った時から1年以内にその旨をAに通知しなくても、 BはAに対して担保責任を追及することができる。

A

正しい。売主が種類または品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求および 契約の解除ができません。ただし、売主がその引渡しの時にその不適合を知り、または重大な過失によって知らなかったときは、この限りではありません。本問では、売主Aは不適合であることを知っていたため、Bは、Aに通知をしなくても、担保責任を追及できます。

60
Q

甲土地につき、期間を60年と定めて賃貸借契約を締結しようとする場合(以下「ケー ス1」という。)と、期間を15年と定めて賃貸借契約を締結しようとする場合(以下「ケ ース2」という。)において、当該契約が建物を所有する目的ではなく、資材置場とする目的であるときは、ケース1では期間の定めのない契約となり、ケース2では期間は15 年となる。

A

誤り。建物の所有を目的としない土地の賃借権には、借地借家法の借地の規定は適用されず、 民法上の賃貸借の規定のみが適用されます。
したがって、賃貸借の存続期間は50年を超えることができず、契約でこれより長い期間を定めたときでも、その期間は50年となります。これに対し、最短期間に特に制限はありません。したがって、ケース1の期間は「50年」となり、ケース2の期間 は15年となります。ですから、ケース1は、期間の定めのない契約となるわけではありません。

61
Q

AはBにA所有の甲建物を賃貸し、BはAの承諾を得てCに適法に甲建物を転貸し、 Cが甲建物に居住している。Aは、Bとの間の賃貸借契約を合意解除した場合、解除の当時Bの債務不履行による解除権を有していたとしても、合意解除したことをもってC に対抗することはできない。

A

誤り。賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、原則として、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗できません。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、例外です。したがって、賃貸人Aは、合意解除の当時Bの債務不履行による解除権を有していれば、合意解除を転借人Cに対抗できます。

62
Q

AがBに甲建物を賃貸し、BがAの承諾を得て甲建物をCに適法に転貸している場合、 Aは、Bの賃料の不払いを理由に甲建物の賃貸借契約を解除するには、Cに対して、賃料支払の催告をして甲建物の賃料を支払う機会を与えなければならない。

A

誤り。当事者の一方がその債務を履行しない場合、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は契約の解除ができます。
この履行の催告について、賃料の滞納を理由として賃貸借を解除する場合には、賃貸人は賃借人に対してすれば足り、転借人に賃料の支払いの機会を与える必要はないとされています。

63
Q

AがBに甲建物を賃貸し、BがAの承諾を得て甲建物をCに適法に転貸している場合、 AがBの債務不履行を理由に甲建物の賃貸借契約を解除したときは、CのBに対する賃料の不払いがなくても、AはCに対して、甲建物の明渡しを求めることができる。

A

正しい。賃借人の債務不履行により賃貸借が解除されたときは、転借人は、その転借権を賃貸人に対抗できません。したがって、賃貸人Aは、転借人Cに対して、甲建物の明渡しを求めることができます。

64
Q

賃貸人Aから賃借人Bが借りたA所有の甲土地の上に、Bが乙建物を所有する場合において、Cが甲土地を不法占拠してBの土地利用を妨害しているときは、Bは、Aの有する甲土地の所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使してCの妨害の排除を求めることができるほか、自己の有する甲土地の賃借権に基づいてCの妨害の排除を求めることができる。なお、Bは、自己名義で乙建物の保存登記をしているものとする。

A

正しい。賃借人は、賃貸人である所有者の有する所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使して、不法占拠者に対して妨害排除の請求ができます。
また、不動産の賃借人は、対抗要件を備えた場合、
1,その不動産の占有を第三者が妨害しているときはその第三者に対する妨害の停止の請求、
2,その不動産を第三者が占有しているときはその第三者に対する返還の請求ができます。

65
Q

建物の賃貸人が賃貸物の保存に必要な修繕をする場合、賃借人は修繕工事のため使用収益に支障が生じても、これを拒むことはできない。

A

正しい。賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができません。

なお、賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合、そのために賃借人が賃借をした目的を達することができなくなるときは、賃借人は、契約の解除ができます。

66
Q

Aは、自己所有の甲建物(居住用)をBに賃貸し、引渡しも終わり、敷金を受領した。 Aが甲建物をCに譲渡し、所有権移転登記を経た場合、Bの承諾がなくとも、敷金が存在する限度において、敷金返還債務はAからCに承継される。

A

正しい。不動産賃貸借の対抗要件(建物賃貸借の場合、賃借権の登記または建物の引渡し)を備えた場合に、その不動産が譲渡されたときは、不動産の譲渡人および譲受人の間で特段の合意をしない限り、その不動産の賃貸人たる地位は、譲受人に移転します(賃借人の承諾は不要)。 この賃貸人たる地位の移転に伴い、敷金返還債務は、敷金が存在する限度において、譲受人(新賃貸人)が承継します。したがって、敷金返還債務は、AからCに承継されます。

67
Q

Aは、自己所有の甲建物(居住用)をBに賃貸し、引渡しも終わり、敷金を受領した。 BがAの承諾を得て賃借権をCに移転する場合、賃借権の移転合意だけでは、敷金返還請求権(敷金が存在する限度に限る。)はBからCに承継されない。

A

正しい。賃貸人は、敷金を受け取っている場合に、賃借人が適法に賃借権を譲り渡したときは、 賃借人に対し、敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する債務の額を控除した残額を返還しなければなりません。したがって、BがAの承諾を得て賃借権をCに譲渡する場 合、その賃借権譲渡の合意だけで敷金返還請求権がBからCに承継されることはありません。

68
Q

A所有の甲建物につき、Bが適当な家屋に移るまでの一時的な居住を目的として無償で使用貸借契約を締結した。Aが甲建物をCに売却した場合、Bは甲建物の引渡しを受けて甲建物に居住していてもCに対して使用借権を主張することができない。

A

正しい。建物の賃貸借の場合には、建物の引渡しがあれば、賃借権を第三者に対抗できます。しかし、建物の使用貸借の場合、借主が建物の引渡しを受けていても、使用借権を第三者に対抗できません。したがって、BはCに対して使用借権を主張できません。

69
Q

A所有の甲建物につき、Bが適当な家屋に移るまでの一時的な居住を目的として無償で使用貸借契約を締結した。Bが死亡すると使用貸借契約は終了するので、使用借権は Bの相続人に相続されない。

A

正しい。賃借権は、相続の対象になります。しかし、使用貸借契約は借主の死亡により終了するので、使用借権は、借主の相続人に相続されません。

70
Q

AがBとの間で、Aを請負人、Bを注文者とする建物の建築請負契約を締結した場合、 Aが品質に関して契約の内容に適合しない建物をBに引き渡したときであっても、Bは、 その不適合を理由として契約を解除することはできない。

A

誤り。注文者は、引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものである場合には、債務不履行の規定により、請負契約を解除できます。請負の目的物が建物その他の土地の工作物であっても、同様です。

71
Q

Aを注文者、Bを請負人とする請負契約が締結された場合、Bが仕事を完成しない間は、AはいつでもBに対して損害を賠償して当該契約を解除することができる。

A

正しい。請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除ができます。

72
Q

AとBとの間で締結された委任契約において、委任者Aが受任者Bに対して報酬を支払うこととされていた場合、Bは、契約の本旨に従い、自己の財産に対するのと同一の注意をもって委任事務を処理しなければならない。

A

誤り。受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務 (善管注意義務)を負います。自己の財産に対するのと同一の注意では足りません。

73
Q

Aが所有する甲建物に、運送会社Bに雇用されているCが居眠り運転するトラックが突っ込んで甲建物の一部が損壊した場合(以下「本件事故」という。)、Bは、使用者責任に基づき、Aに対して本件事故から生じた損害を賠償したときは、Cに対して求償することができるが、その範囲が信義則上相当と認められる限度に制限される場合がある。 なお、CはBの業務として運転をしていたものとする。

A

正しい。ある事業のために他人を使用する者(使用者)は、原則として被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負います。この場合、被害者に対して損害を賠償した使用者は、被用者に対する求償権を行使できますが、その範囲は、損害の公平な分担という 見地から信義則上相当と認められる限度に制限されます。

74
Q

Aは、所有する家屋を囲う塀の設置工事を業者Bに請け負わせたが、Bの工事によりこの塀は瑕疵がある状態となった。
Aがその後この塀を含む家屋全部をCに賃貸し、C が占有使用しているときに、この瑕疵により塀が崩れ、脇に駐車中のD所有の車を破損させた。A、B及びCは、この瑕疵があることを過失なく知らない。この場合、Cは、 損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば、Dに対する損害賠償責任を免れることができる。

A

正しい。土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、 その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負います。
ただし、占有者は、 損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、その責任を免れることができます。したがって、占有者である賃借人Cは、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていれば、被害者Dに 対する損害賠償責任を免れることができます。なお、この場合、所有者(A)は、無過失でも、その損害を賠償しなければなりません。

75
Q

人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年間行使しない場合、時効によって消滅する。

A

正しい。不法行為による損害賠償請求権は、原則として、被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間行使しない場合、時効消滅します。ただし、人の生命または身体を害する不法行為による損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が損害および加害 者を知った時から5年間行使しない場合に、時効消滅します。なお、不法行為による損害賠償の 請求権は、不法行為の時から20年間行使しない場合にも、時効消滅します。

76
Q

被相続人の子が相続開始以前に死亡したときは、その者の子がこれを代襲して相続人となるが、さらに代襲者も死亡していたときは、代襲者の子が相続人となることはない。

A

誤り。被相続人の子は、相続人となります。ただし、被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したときは、その者の子がこれを代襲して相続人となります。さらに、代襲者が、相続の開始以前に 死亡して代襲相続権を失った場合には、代襲者の子が代襲して相続人となります(再代襲)。つまり、被相続人の「子」が先に死亡していたときは、その子(被相続人の孫)が代襲して相続人となり、 さらに「孫」も先に死亡していたときは、その子(被相続人のひ孫)が再代襲して相続人となります。

77
Q

1億2,000万円の財産を有するAが死亡した。Aには、配偶者はなく、子B、C、Dがおり、Bには子Eが、Cには子Fがいる。Bは相続を放棄した。また、Cは生前のAを強迫して遺言作成を妨害したため、相続人となることができない。この場合における法定相続分は、Dが6,000万円、Fが6,000万円となる。

A

正しい。まず、「法定相続人」を検討すると、配偶者がなく、第1順位の子のみがいることから、その候補者はB・C・Dの3人です。ただし、Bは相続を放棄しているので、初めから相続人とならなかったものとみなされ、その子Eも代襲相続できません。また、Cも、生前のAを強迫して遺言作成を妨害しているので相続欠格事由に該当し、相続人となりません。しかし、その子Fは、代襲相続 できます。したがって、法定相続人は、DとFです。次に、「法定相続分」を検討すると、子が数人あるときは、各自の相続分は相等しいものとなります。Fは、Cを代襲相続するので、本来Cが相続するはずであった相続分を引き継ぎます。したがって、DとFの法定相続分は、2分の1ずつ、すなわち6,000万円ずつ(1億2,000万円×1/2=6,000万円)となります。

78
Q

共同相続に基づく共有物の持分価格が過半数を超える相続人は、協議なくして単独で共有物を占有する他の相続人に対して、当然にその共有物の明渡しを請求することができる。

A

誤り。共同相続に基づく共有物の持分の価格が過半数を超える者であっても、共有物を単独で占有する他の共有者に対し、当然には、その占有する共有物の明渡しを請求することはできません。

79
Q

甲建物を所有するAが死亡し、相続人がそれぞれAの子であるB及びCの2名である場合、Bが自己のために相続の開始があったことを知らないときでも、相続の開始から 3か月が経過すれば、Bは単純承認をしたものとみなされる。

A

誤り。相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に、相続について、単純・限定の承認または放棄をしなければならず、この期間内に限定承認または相続の放棄をしなかったときは、単純承認をしたものとみなされます。この期間は、相続人がそれぞれ自己のために相続の開始があったことを「知った時」から個別に進行します。したがって、Bが自己のた めに相続の開始があったことを知らないときは、たとえ相続開始から3カ月経過しても、Bは単純承認したものとみなされません。

80
Q

Aは未婚で子供がなく、父親Bが所有する甲建物にBと同居している。Aの母親Cは令和2年3月末日に死亡している。AにはBとCの実子である兄Dがいて、DはEと婚姻して実子Fがいたが、Dは令和3年3月末日に死亡している。Bが死亡した後、Aがすべての財産を第三者Gに遺贈する旨の遺言を残して死亡した場合、FはGに対して遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができない。

A

正しい。遺留分権利者およびその承継人は、受遺者または受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求できます。しかし、遺留分が認められるのは、兄弟姉妹以外の相続人だけです。Aが死亡した場合、Aの兄弟姉妹であるDの子FはDを代襲して相続人になりますが、Fは兄弟姉妹の地位を代襲しているので、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求できません。