Season 2 Episode 5 Flashcards
Aは、その所有する建物を期間2年と定めてBに賃貸した。
Aがその建物を第三者Cに譲渡し、所有権の移転登記がされた場合でも、その登記前にBがAから建物の引渡しを受けていれば、Bは、Cに対して賃借権を対抗することができる。
正しい。 引渡しを受ければ、建物賃借権を対抗できる。
建物賃借権は、建物の引渡しがあれば、第三者にも対抗できます(借地借家法 31 条)。
Aは、その所有する建物を期間2年と定めてBに賃貸した。
Bが建物を第三者Dに転貸する場合、Aの承諾を得る必要があるが、Aが承諾を与えないときは、Bは、Aの承諾に代わる許可の裁判を裁判所に対して申し立てることができる。
誤り。 借家の場合、裁判所の許可の制度はない。
借家権の譲渡・転貸には、賃貸人の承諾が必要です(民法 612 条)。借地権の場合には、裁判所による「借地権設定者の承諾に代わる許可の制度」が存在しますが、借家権の場合には、この制度は存在しません。
Aは、その所有する建物を期間2年と定めてBに賃貸した。
Aは、賃貸借契約の更新について、正当の事由がなければ、これを拒むことはできない。
正しい。 更新拒絶の通知には、正当事由が要求される。
賃貸人が更新を拒むには、期間満了の1年前から6ヵ月前までの間に、賃借人に対し、更新しない旨の通知をする必要があります(借地借家法 26 条)。この通知には「正当事由」の存在が要求されますので(28 条)、正当事由が存在しなければ、通知をしても更新を拒めないことになります。したがって、本肢は正しい記述です。
Aは、その所有する建物を期間2年と定めてBに賃貸した。
Aが賃貸借期間満了の1年前から6月前までの間にBに対して更新拒絶の通知をしないときは、前の契約と同一の条件(期間は定めのないものとなる)で契約を更新したものとみなされる。
正しい。 更新拒絶には、1年前から6ヵ月前までの間に通知する必要あり。
賃貸人は、期間の定めのある建物賃貸借を終了させるためには、期間満了の1年前から6ヵ月前までの間に、賃借人に対して更新拒絶の通知をしなければなりません。この通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます。ただし、期間の定めのない建物賃貸借となります(26 条)。
AがBに対してA所有の建物を期間を定めないで賃貸した場合について。
Aは、Bに対して、正当事由ある解約の申入れの日から6月を経過しないと建物の明渡しを請求することができない。
正しい。 賃貸人からの解約申入れの場合、その日から6ヵ月経過後に終了。
期間の定めのない建物賃貸借において、賃貸人が解約の申入れをした場合、その賃貸借は、解約の申入れの日から6ヵ月を経過することによって終了します(借地借家法 27 条、28 条)。したがって、Aは、解約の申入れの日から6月を経過しないと、Bに対して、建物の明渡しを請求することはできません。
AがBに対してA所有の建物を期間を定めないで賃貸した場合について。
AがBに対し正当事由ある解約の申入れをしても、6月経過後のBの建物使用についてAが遅滞なく異議を述べないときは、契約は更新されたものとみなされる。
正しい。 使用継続による更新。
建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に、賃借人の使用の継続に対して賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときは、契約は、従前と同一の条件で更新したものとみなされます (27 条、26 条)。
AがBに対してA所有の建物を期間を定めないで賃貸した場合について。
AがBに対し解約の申入れをするため必要な正当の事由は、Bが当該建物の使用を必要とする事情を考慮せずに判断される。
誤り。 正当事由の有無は、主に当事者双方の建物使用の必要性を考慮して行う。
正当事由の有無は、建物の賃貸人および賃借人が建物の使用を必要とする事情のほか、賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況、明渡しの条件として支払う金銭(立退料)の給付の申出等を考慮して総合的に行います(28 条)。賃借人の事情も考慮されますので、本肢は誤りです。
AがBに対してA所有の建物を期間を定めないで賃貸した場合について。
AがBに対し解約の申入れをするため必要な正当の事由は、Aの自己使用の必要性のほかに、AがBに対し建物の明渡しの条件として金銭を支払う旨のAの申出をも考慮して判断される。
正しい。 立退料の給付の申出も、正当事由の判断要素。
正当事由の有無の判断要素の中には、立退料の給付の申出も含まれています(28 条)。したがって、「AがBに対し建物の明渡しの条件として金銭を支払う旨のAの申出をも考慮して判断される」とする本肢は、正しい記述です。
建物の賃貸借について。賃借人が家賃を支払おうとしても、賃貸人がこれを受領せず、以後の家賃の受領を明確に拒んだ場合においても、賃借人は、家賃を供託しないと、履行遅滞になる。
誤り。 弁済の提供により、履行遅滞を免れる。
債務者が弁済の提供(家賃を支払おうとしたことはこれに当たります)をした場合、その提供の時から、不履行に基づいて発生する一切の責任を免れます(民法 492 条)。本肢では、賃借人は家賃を支払おうとしていますので、弁済の提供をしています。したがって、本肢の賃借人はすでに履行遅滞を免れており、家賃を供託する必要はありません(判例)。
建物の賃貸借について。賃貸借契約の更新の際、家賃の増額について賃貸人の請求があったときは、賃借人は、これを拒むことはできない。
誤り。 更新の際に、増額請求できるわけではない。 賃貸借契約の更新の際、賃貸人に当然に家賃の増額請求権が認められるわけではないため、賃借人は家賃の増額請求を拒めないとする本肢は誤りです(借地借家法 32 条参照)。
ポイント:借賃の増減請求権が認められるのは、建物の借賃額が不相当になった場合などです。
建物の賃貸借について。賃貸借契約の期間が満了した場合において、正当の事由があるときは、賃貸人は、あらかじめ更新拒絶の通知をしなくても、賃貸借契約の更新を拒むことができる。
誤り。 更新拒絶には、1年前から6ヵ月前までの間に通知する必要あり。
賃貸人が更新を拒絶しようとする場合、期間満了の1年前から6ヵ月前までに賃借人に対して更新拒絶の通知をする必要があります(26 条)。
建物の賃貸借について。賃貸人の承諾を得て、賃借人から建物を転借している場合、賃貸借契約が合意解除されても、転借人の権利は、特段の事由がある場合を除き、消滅しない。
正しい。 転借人の保護。
賃貸借契約が合意解除により終了したときは、特別の事情がない限り、賃貸人は転借人に対し合意解除の効果を対抗することができず、転借人の権利は消滅しないことになっています(判例)。
Aを賃貸人、Bを賃借人とするA所有の居住用建物の賃貸借について。
AB間で「Bが自己の費用で造作することは自由であるが、賃貸借が終了する場合、Bはその造作の買取請求をすることはできない」と定める特約は、有効である。
正しい。 造作買取請求権は、特約により排除できる。 造作買取請求権を排除する特約は有効です(借地借家法 33 条、37 条)。
Aを賃貸人、Bを賃借人とするA所有の居住用建物の賃貸借について。
AB間で、Aが3年間に限って建物をBに賃貸する定期建物賃貸借契約を締結し、「賃貸借期間の3年が満了しても更新しない」旨の特約をするには、公正証書でしなければ効力がない。
誤り。 定期建物賃貸借は公正証書による必要はない。
期間の定めがある建物賃貸借をする場合、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、契約の更新がないこととする旨を定めることができます(38 条)。
ポイント:借地借家法で「公正証書」によることが要求されるのは、「事業用定期借地権」を設定する場合だけです(受験対策テキストIp165「(2)事業用定期借地権」参照)。
Aを賃貸人、Bを賃借人とするA所有の居住用建物の賃貸借について。
AとBとC(Bと同居する内縁の妻)の三者で「Bが相続人なくして死亡したときでも、Cは借家権を承継することができない」と定めた場合、その特約は、無効である。
誤り。 同居者の保護の規定は、特約により排除できる。
居住用建物の賃借人が、相続人なくして死亡した場合、同居していた事実上の配偶者は、賃借人の権利義務を承継します(36 条)。ただし、この規定は任意規定ですので、これを排除する特約も有効です。
Aを賃貸人、Bを賃借人とするA所有の居住用建物の賃貸借について。
AB間で「建物についている抵当権は、Aが責任を持って解決する」と特約して入居した場合、期間2年の賃貸借であれば、Bはその後の競落人に対して、賃借権を対抗することができる。
誤り。 抵当権に後れる賃借権は、抵当権者および競落人に対抗できない。
抵当権設定後、建物について期間3年以内の賃貸借をし、賃借権の対抗要件(登記、引渡し)を備えても、賃借人は、抵当権の実行による競落人に賃借権を対抗できないのが原則です(民法 387 条参照)。
Aは、BからB所有の建物を賃借する契約を締結したが、Bがその建物をCに売却し、登記も移転した。
Aは、当該建物の引渡しを受けていないときは、常にCに対抗することができない。
誤り。 賃借権の対抗要件は、登記または引渡し。
建物の賃借権は、建物賃貸借の登記(民法 605 条)または建物の引渡し(借地借家法 31 条)のいずれかを備えていれば、第三者に対抗できます。したがって、Aは、建物の引渡しを受けていないときでも、建物賃貸借の登記があれば、賃借権をCに対抗できます。
Aは、BからB所有の建物を賃借する契約を締結したが、Bがその建物をCに売却し、登記も移転した。
AがBに敷金を差し入れていた場合、Cは、Bからその敷金を受領しない限り、Aに対する敷金返還債務を引き継がない。
誤り。 賃貸人の交替→敷金関係は新賃貸人に承継される。
賃貸借の目的物が譲渡された場合、敷金関係は新賃貸人に承継されます(判例)。したがって、 本肢ではBからCに敷金が引き渡されていたか否かに関係なく、CはAに対する敷金返還債務を承継することになります。
Aは、BからB所有の建物を賃借する契約を締結したが、Bがその建物をCに売却し、登記も移転した。
CがAに賃料の増額を請求した場合、Aは、その増額を相当でないと考えたときは、相当と認める賃料を、直ちに供託すればよい。
誤り。 本肢は、供託できる要件をみたさない。
難)賃料の増額請求が行われた場合、賃借人がその増額を相当でないと考えたときは、相当と認める賃料を賃貸人に提供する必要があります(32 条)。民法上、供託という制度がありますが、供託は債権者が弁済の受領を拒みまたはこれを受領することができないとき等に認められるものです(民法 494 条)。本肢では、Aは供託できる要件をみたさないため、「直ちに」供託とする本肢は誤りです。
Aは、BからB所有の建物を賃借する契約を締結したが、Bがその建物をCに売却し、登記も移転した。
Aが相続人なくして死亡した場合、Aと事実上夫婦と同様の関係にあった同居者Dは、その事実を知った後1月内にCに対し特段の意思表示をしないときは、AのCに対する権利義務を承継する。
正しい。 同居者の保護。
居住用建物の賃借人が、相続人なくして死亡した場合、同居していた事実上の配偶者は、賃借人の権利義務を承継します。同居者が承継を望まないときは、賃借人の死亡を知ったときから1 ヵ月以内に、承継しない旨を通知すれば、この承継はありません(借地借家法 36 条)。
賃貸人Aと賃借人Bとの間の居住用建物の賃貸借契約について。
「Aは、Bが建物に造作を付加することに同意するが、Bは、賃貸借の終了時に、Aに対してその造作の買取りを請求しない」旨の特約は有効である。
正しい。 造作買取請求権は特約で排除できる。
賃貸人の同意を得て建物に付加した造作は、賃貸借終了時に、賃借人は賃貸人に対して買取請求をすることができます(造作買取請求権)。もっとも、この権利は、特約により排除することができます。したがって、AB間の特約は有効です(借地借家法 33 条、37 条参照)。
賃貸人Aと賃借人Bとの間の居住用建物の賃貸借契約について。
Bが死亡した場合で、その当時Bの相続人でない事実上の配偶者Cがこの建物で同居していたとき、Cは、当該建物の賃借権に限っては、相続人に優先してBの賃借人としての地位を承継する。
誤り。 賃借人が死亡した場合、賃借権はその相続人が相続する。
難)居住用建物の賃借人が死亡した場合、その当時賃借人と事実上夫婦または養親子と同様の関係にあった同居者は、その賃借権を承継しますが、これは賃借人が相続人なしに死亡した場合の規定です。相続人がいる場合は、賃借権は相続人が相続します。したがって、相続人でない事実上の配偶者Cが同居していたとしても、相続人に優先してBの賃借人としての地位を承継することはありません(36 条、民法 896 条)。
賃貸人Aと賃借人Bとの間の居住用建物の賃貸借契約について。
この建物が、その敷地の売却に伴い2年後に取り壊されることが明らかな場合に、「建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する」旨の特約をAB間の賃貸借契約に定めるときは、公正証書によってしなければならない。
誤り。 「取壊し予定建物の賃貸借」は公正証書による必要なし。
法令または契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合には、 その建物を取り壊すべき時に賃貸借が終了する旨の特約を定めることができます。この特約は書面によらなければなりませんが、公正証書による必要はありません(借地借家法 39 条)。
賃貸人Aと賃借人Bとの間の居住用建物の賃貸借契約について。
BがAに敷金を交付していた場合に、Aがこの建物をDに売却し、賃貸人としての地位をDに承継したときでも、Dの承諾がない限りAの敷金返還債務は承継されず、Bは、 Aに対してのみ敷金の返還請求をすることができる。
誤り。 賃貸人の交替→敷金関係は新賃貸人に承継される。
賃貸している建物を譲渡した場合には、賃貸人たる地位は譲受人(新賃貸人)に移転し、敷金に関する権利義務関係も原則として譲受人に移転します。これについて譲受人の承諾は不要です。したがって、BはDに対して敷金の返還請求をすることになります(判例)。
Aが、Bに対し期間2年と定めて賃貸した建物を、BはCに対し期間を定めずに転貸し、Aはこれを承諾した。
AがBに対する更新拒絶の通知をしたときでも、期間満了後Cが建物の使用を継続し、Aがこれに対して遅滞なく異議を述べないと、AB間の契約は更新される。
正しい。 転借人の使用継続は賃借人の使用継続とみなされる。
借家の使用継続による更新(法定更新)においては、転借人の使用継続は賃借人の使用継続とみなされます。したがって、Cの使用継続に対してAが異議を述べないと、AB間の賃貸借は更新したものとみなされます(借地借家法 26 条3項)。
Aが、Bに対し期間2年と定めて賃貸した建物を、BはCに対し期間を定めずに転貸し、Aはこれを承諾した。
AがBに対し更新拒絶の通知をするための正当の事由の有無は、A及びBについての事情によって決せられ、Cについての事情は考慮されない。
誤り。 正当事由の有無は、転借人の事情についても考慮。
更新拒絶の通知をするための正当事由の有無については、賃借人だけではなく、転借人の事情についても考慮されます。したがって、Aの更新拒絶の正当事由の有無は、転借人Cの事情についても考慮されます(28 条)。
Aが、Bに対し期間2年と定めて賃貸した建物を、BはCに対し期間を定めずに転貸し、Aはこれを承諾した。
CがAの同意を得て建物に付加した造作は、期間の満了によって建物の賃貸借が終了するとき、CからAに対し買取りを請求することができる。
正しい。 転借人にも造作買取請求権が認められる。
期間の満了によって建物の賃貸借が終了するときに、建物賃貸人の同意を得て建物に付加した造作につき買取請求権が認められます(造作買取請求権)。この権利は、転借人も行使することができます。したがって、転借人Cも、賃貸人Aに対して、直接に造作買取請求権を行使することができます(33 条)。
Aが、Bに対し期間2年と定めて賃貸した建物を、BはCに対し期間を定めずに転貸し、Aはこれを承諾した。
AB間の賃貸借が期間の満了によって終了するときも、AがCに対してその旨の通知をした日から6月を経過しないと、建物の転貸借は終了しない。
正しい。 転借人に対しても通知が必要。
建物の転貸借がされている場合に、建物の賃貸借が期間満了または解約申入れによって終了する場合は、賃貸人はその旨を転借人に通知しなければ、転借人に対して賃貸借の終了を対抗できません。この通知があったときは、その後6ヵ月経過後に転貸借が終了します(34 条)。
AがBから賃借している建物をCに転貸した場合について。
AC間の転貸借がBの承諾を得ていない場合でも、その転貸借がBに対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、Bの解除権は発生しない。
正しい。 解除権の制限。
無断転貸された場合、賃貸人は賃貸借契約を解除できるのが原則です。しかし、その転貸が賃貸人に対する信頼関係を破壊すると認めるに足りない特段の事情があるときは、賃貸人は契約を解除できないとされています(民法 612 条、判例)。
AがBから賃借している建物をCに転貸した場合について。
AB間の賃貸借が合意解除によって終了すれば、CがBの承諾を得て転借していても、特段の事由のない限り、AC間の転貸借は終了し、Cの権利は、消滅する。
誤り。 合意解除は、転借人に対抗できない。
建物が転貸されている場合、賃貸借を合意解除しても、賃貸人は解除をもって転借人に対抗できないのが原則です(判例)。
AがBから賃借している建物をCに転貸した場合について。
AB間の賃貸借がBの解約の申入れによって終了した場合において、Bの承諾を得て転借しているCが建物の使用を継続するときは、Bが遅滞なく異議を述べないと、AB間の賃貸借が更新される。
正しい。 使用継続による更新。
建物が転貸されている場合において、賃貸借が賃貸人の解約申入れにより終了しても、転借人が建物の使用を継続している場合、賃貸人が遅滞なく異議を述べないときは、従前と同一の条件で契約を更新したものとみなされます(借地借家法 26、27 条)。
ポイント:転借人の使用継続イコール賃借人の使用継続として扱われる、と考えましょう。
AがBから賃借している建物をCに転貸した場合について。
AB間の賃貸借の期間が満了する場合においても、Bは、Bの承諾を得て転借しているCに対しその旨の通知をしなければ、その終了をCに対抗することができない。
正しい。 期間満了・解約申入れ→通知+6月しないと、転借人に対抗できない。
建物が転貸されている場合、賃貸借が期間満了または解約申入れによって終了するときは、賃貸人はその旨の通知をしなければ、転借人に対抗できません(34 条)。