Season 3 Episode 2 Flashcards
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。AB間に、甲土地の所有権の移転時期に関する特約がない場合には、Bが代金を完済したときに、甲土地の所有権はBに移転する。
誤り。 物権(所有権)の移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生じます。
ただし、当事者間でこれと異なる特約をすることもできます。本肢では、特約がないので、当事者の意思表示(売買契約)のみによって、甲土地の所有権がBに移転しま す(民法 176 条)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
Aが、甲土地をBに売却する前にCにも売却していた場合、Cは、所有権移転登記を備えていなくても、Bに対して甲土地の所有権を主張することができる。
誤り。 不動産に関する物権(所有権)の取得は、その登記をしなければ、第三者に対抗することができません。
したがって、Cは、所有権移転登記を備えていなければ、甲土地の所有権をBに主張することができません(177 条)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
Aが死亡し、DがAを相続した場合、Bは、所有権移転登記を備えなければ、甲土地の所有権をDに主張することができない。
誤り。 Aの相続人Dは、Aと同一視することができるので、DとBは当事者の関係となります。
したがって、Bは、登記を備えなくても、Dに甲土地の所有権を主張することができます(177 条、判例)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
Eが、Bがまだ所有権移転登記を備えていないことに乗じてBに高値で売りつけて不当な利益を得る目的で、Aをそそのかし、Aから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えた場合、Bは、甲土地の所有権をEに主張することができる。
正しい。 Eは背信的悪意者です。
背信的悪意者に対しては、登記を備えなくても、自己の権利を主張することができます。したがって、Bは、甲土地の所有権をEに主張することができます(177 条、判例)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
Aが甲土地をCにも売却した場合、Cが、強迫によりBの登記の申請を妨げて、先に所有権移転登記を備えた場合、Bは、甲土地の所有権をCに主張することができる。
正しい。 Cは背信的悪意者です。
背信的悪意者に対しては、登記を備えなくても、自己の権利を主張することができます。したがって、Bは、甲土地の所有権をCに主張することができます(民法 177 条、判例)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
Aが甲土地をCにも売却し、さらに、Cが甲土地をDに売却し、Dが所有権移転登記を備えた場合、Cがいわゆる背信的悪意者であるときは、D自身が背信的悪意者でなくても、Bは、甲土地の所有権をDに主張することができる。
誤り。 背信的悪意者Cからの譲受人Dは、D自身が背信的悪意者にあたらなければ、 登記を備えることにより、自己の権利を第三者に主張することができます。
したがって、 登記を備えているDは、甲土地の所有権をBに主張することができます。つまり、Bは、 甲土地の所有権をDに主張することはできません(177 条、判例)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
Eが、正当な権原なく甲土地を不法に占有している場合、Bは、所有権移転登記を備えなくても、Eに対して甲土地の所有権を主張して、その明渡しを請求することができる。
正しい。 甲土地の所有権を取得したBは、不法占拠者Eに対しては、登記を備えなくても、甲土地の所有権を主張して、その明渡しを請求することができます(177 条、判 例)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
Fが甲土地に産業廃棄物を不法に投棄したため、甲土地が汚染された場合、Bは、甲土地について所有権移転登記を備えなくても、Fに対して損害賠償請求をすることができる。
正しい。 甲土地の所有権を取得したBは、不法行為者Fに対しては、登記を備えなくても、甲土地について生じた損害について、賠償請求をすることができます(177 条、 709 条、判例)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
AB間で甲土地の売買契約が締結された後、AとCが通謀して甲土地について虚偽の売買契約を締結し、Cが所有権移転登記を備えた場合、Bは、甲土地の所有権をCに主張することができる。
正しい。 AC間の売買契約は、通謀虚偽表示により無効となるため、Cは無権利者です。
そして、無権利者に対しては、登記を備えなくても、自己の権利を対抗することができます。したがって、Bは、先に登記を備えたCに対しても、甲土地の所有権を主張することができます(民法 94 条1項、177 条、判例)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
AB間で甲土地の売買契約が締結された後、AとCが通謀して甲土地について虚偽の売買契約を締結し、Cが所有権移転登記を備えて、さらにCが善意のDに甲土地を売却 して、Dが所有権移転登記を備えた場合、Bは、甲土地の所有権をDに主張することができない。
正しい。 AC間の売買契約は、通謀虚偽表示により無効となりますが、その無効を善意の第三者Dに対抗することはできません。
その結果、BとDは、甲土地の所有権の取得を争う対抗関係になります。したがって、先に登記を備えたDがBに優先し、Bは、 Dに対して甲土地の所有権を主張することができません(94 条2項、177 条、判例)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
Aが、Bによる詐欺を理由に、AB間の甲土地の売買契約を取り消したが、その後、 Bが、甲土地を善意でかつ過失があるEに売却した場合、Aは、登記を備えなくても、 甲土地の所有権をEに主張することができる。
誤り。 詐欺を理由とする売買契約の取消しによる「BからAへの甲土地の所有権の復帰」と、売買契約による「BからEへの甲土地の所有権の移転」は、BからAおよびE への甲土地の二重譲渡と同視できます。
したがって、Aは、先に登記を備えなければ、 甲土地の所有権をEに主張することができません(96 条1項、177 条、判例)。
Aが、A所有の甲土地をBに売却した場合について。
Aが、Bの代金の不払いを理由に、AB間の甲土地の売買契約を解除したが、その後、 Bが甲土地をFに売却した場合、Aは、登記を備えなければ、甲土地の所有権をFに主張することができない。
正しい。 売買契約の解除による「BからAへの甲土地の所有権の復帰」と、売買契約による「BからFへの甲土地の所有権の移転」は、BからAおよびFへの甲土地の二重譲渡と同視できます。
したがって、Aは、先に登記を備えなければ、甲土地の所有権を Fに主張することができません(545 条1項、177 条、判例)。
民法の規定及び判例について。
A所有の甲土地を占有しているBが、時効により甲土地の所有権を取得した後に、A C間で甲土地の売買契約が締結された場合、Bは、登記を備えなければ、甲土地の所有権をCに主張することができない。
正しい。 甲土地の所有権を時効取得したBは、「時効完成後」に甲土地を旧所有者Aから取得した「第三者」Cに対しては、先に「登記」を備えなければ、時効による甲土地の所有権の取得を対抗することができません。つまり、Aが、甲土地をBとCに二重譲渡したのと同様に考えるのです(民法 177 条、判例)。
民法の規定及び判例について。
A所有の甲土地を占有しているBが、時効により甲土地の所有権を取得した場合、Bは、時効完成前にAから甲土地を購入して所有権移転登記を備えたCに対して、甲土地の所有権を主張することができる。
正しい。 甲土地の所有権を時効取得したBは、「時効完成前」に甲土地を旧所有者Aから取得して登記を備えたCに対しては、登記を備えなくても、時効による所有権の取得 を主張することができます。
つまり、時効取得者Bから見れば、「時効完成前」に旧所有者Aと取引をしたCは、旧所有者Aと同視できるのです(177 条、判例)。
民法の規定及び判例について。
Aが死亡し、BとCが各自2分の1の割合で甲土地を共同相続した場合、Bが、Cに断ることなく甲土地についてBの単独名義の登記をして、甲土地をDに売却し、Dが所有権移転登記を備えた場合、Cは、甲土地に関する自己の2分の1の持分権をDに対抗することができない。
誤り。 Bは、Cが相続した2分の1の割合については無権利者にすぎず、無権利者Bと取引したDも、Cが相続した2分の1の割合については無権利者となります。
したがって、Cは、共同相続の登記を備えなくても、自己の2分の1の持分権を、無権利者であるDに対抗することができます(177 条、判例)。
民法の規定及び判例について。A所有の甲土地につき、Bが書類を偽造してB名義の登記を備えた場合、この登記を信頼してBから甲土地を購入したCは、原則として、甲土地の所有権を取得することができない。
正しい。 不実の登記(B名義の登記)を信頼して、無権利者Bと取引をしたCは、原則として、甲土地の所有権を取得できません(登記に公信力はありません)。
なお、A が、B名義の不実の登記がなされたことを知りながら、長期間そのまま放置していたような事情があれば(Aの責めに帰すべき事由があれば)、善意のCは、甲土地の所有権を取得することができます(94 条2項、判例)。
抵当権について。
AのBに対する金銭債権を担保するため、BがB所有の甲土地にAのために抵当権を設定し、その旨の登記をした場合、Aは、CのAに対する金銭債権を担保するため、Aの当該抵当権に、Cのために抵当権を設定することができる。
正しい。 抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とすることができます。
つまり、 抵当権自体に抵当権を設定するのです。これを転抵当といいます(民法 376 条1項)。
抵当権について。
AのBに対する金銭債権を担保するため、BがB所有の甲土地にAのために抵当権を設定し、その旨の登記をした場合、その後、Bが甲土地をCに売却したときは、Aは、当該抵当権をCに対抗することができる。
正しい。 抵当権者は、抵当権設定登記を備えれば、その後、抵当権を第三者(抵当不動産の買主など)に対抗することができます(177 条)。
抵当権について。A所有の甲土地について、AとBが抵当権設定契約を締結し、さらに、AとCが抵当権設定契約を締結した場合、B及びCの抵当権の順位は、抵当権設定契約の前後によって定まる。
誤り。 同一の不動産の上に数個の抵当権が存在する場合、それらの抵当権の順位は、 抵当権設定契約の前後ではなく、抵当権設定「登記」の前後で決定されます(373 条)。
抵当権について。A所有の甲土地について、Bが第1順位の抵当権を、Cが第2順位の抵当権を、Dが第3順位の抵当権を有する場合、B、C及びDは、全員の合意で、抵当権の順位を変更することができるが、この場合、Aの承諾を得る必要はない。
正しい。 抵当権の順位を変更するには、各抵当権者の合意が必要です。
ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければなりません。しかし、債務者および抵当権設定者の承諾は不要です。したがって、Aの承諾は不要です(374 条1項)。
債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額2,000万円)、 債権者Cが二番抵当権(債権額 3,000 万円)、債権者Dが三番抵当権(債権額 4,000 万円) をそれぞれ有している場合について。
BがDの利益のために抵当権の順位を譲渡した場合、甲土地の競売に基づく売却代金が 6,000 万円であるときは、Cの受ける配当額は 2,000 万円である。
誤り。 BがDの利益のために抵当権の順位を譲渡しても、Cには、一切、影響を与えません。
したがって、甲土地の競売に基づく売却代金が 6,000 万円である場合は、抵当権の順位の譲渡がなかったときと同様に、Cの配当額は 3,000 万円となります(民法 376 条1項)。
債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額2,000万円)、 債権者Cが二番抵当権(債権額 3,000 万円)、債権者Dが三番抵当権(債権額 4,000 万円) をそれぞれ有している場合について。
BがDの利益のために抵当権の順位を譲渡した場合、甲土地の競売に基づく売却代金が 6,000 万円であるときは、Dの受ける配当額は 4,000 万円である。
誤り。 BがDの利益のために抵当権の順位を譲渡した場合、甲土地の競売に基づく売却代金が 6,000 万円であるときは、本来の(抵当権の順位の譲渡がなかった場合の)Bの配当額(2,000 万円)と、本来のDの配当額(1,000 万円)の合計額(3,000 万円)の 範囲内で、DがBに優先して配当を受けることになります。したがって、Dの配当額は 3,000 万円です(376 条1項)。
債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額2,000万円)、 債権者Cが二番抵当権(債権額 3,000 万円)、債権者Dが三番抵当権(債権額 4,000 万円) をそれぞれ有している場合について。
BがDの利益のために抵当権の順位を譲渡した場合、甲土地の競売に基づく売却代金が 6,000 万円であるときは、Bの受ける配当額は 2,000 万円である。
誤り。 BがDの利益のために抵当権の順位を譲渡した場合、甲土地の競売に基づく売却代金が 6,000 万円であるときは、Dが 3,000 万円の配当を受けるので、Bは配当を受けることができません(376 条1項)。
債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額2,000万円)、 債権者Cが二番抵当権(債権額 3,000 万円)、債権者Dが三番抵当権(債権額 4,000 万円) をそれぞれ有している場合について。
BがDの利益のために抵当権の順位を放棄した場合、甲土地の競売に基づく売却代金が 6,000 万円であるときは、Dの受ける配当額は 2,000 万円である。
正しい。 BがDの利益のために抵当権の順位を放棄した場合、甲土地の競売に基づく売却代金が 6,000 万円であるときは、本来のBの配当額(2,000 万円)と、本来のDの配当額(1,000 万円)の合計額(3,000 万円)を、Bの債権額とDの債権額の割合に応じて分配することになります。つまり、3,000 万円を1対2の割合で分配します。したがって、Bの配当額は、3,000 万円×1/3=1,000 万円となり、Dの配当額は、3,000 万 円×2/3=2,000 万円となります(376 条1項)。
AのBに対する金銭債権(以下、本問において「甲債権」という。)を担保するため、BがB所有の乙建物にAのために抵当権を設定し、その旨の登記をした場合について。
甲債権が時効により消滅した場合、当該抵当権も消滅する。
正しい。 被担保債権が時効により消滅すれば、抵当権も自動的に消滅します(抵当権の付従性)。
AのBに対する金銭債権(以下、本問において「甲債権」という。)を担保するため、BがB所有の乙建物にAのために抵当権を設定し、その旨の登記をした場合について。
Aが甲債権をCに譲渡し、CがBに対して甲債権を取得した旨を主張することができるときは、CはBに対して当該抵当権を取得した旨も主張することができる。
正しい。 被担保債権を譲り受けた者は、同時に抵当権も取得します(抵当権の随伴性)。
したがって、CがBに対して甲債権を取得した旨を主張することができるときは、Cは Bに対して当該抵当権を取得した旨も主張することができます。
AのBに対する金銭債権(以下、本問において「甲債権」という。)を担保するため、BがB所有の乙建物にAのために抵当権を設定し、その旨の登記をした場合について。
乙建物に火災保険が付されていて、乙建物が火災によって焼失したときは、当該抵当権は、その火災保険契約に基づく損害保険金請求権に対しても行使することができる。
正しい。 抵当権が設定されている建物が火災で焼失した場合、抵当権者は、当該建物に掛けられた火災保険契約に基づく損害保険金請求権に対して抵当権を行使すること ができます。
この場合、抵当権者は、損害保険金が抵当権設定者に支払われる前に、損害保険金請求権を差し押さえなければなりません。いわゆる物上代位です(民法 372 条、 304 条、判例)。
AのBに対する金銭債権(以下、本問において「甲債権」という。)を担保するため、BがB所有の乙建物にAのために抵当権を設定し、その旨の登記をした場合について。
Bが乙建物をCに賃貸し、Cが乙建物を適法にDに転貸した場合、Aは、CのDに対 する転貸賃料債権に当然に物上代位することができる。
誤り。 抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、その賃借人が取得する転貸賃料債権に物上代位することはできません。
したがって、Aは、CのDに対する転貸賃料債権に当然に物上代位することはできません(372 条、304 条、判例)。
抵当権について。抵当権の対象不動産が借地上の建物である場合、特段の事情がない限り、抵当権の効
力は当該建物のみならず当該借地権にも及ぶ。
正しい。 借地上の建物に抵当権を設定した場合、特段の事情がない限り、抵当権の効力は、その借地権(敷地の賃借権)にも及びます(民法 370 条、87 条2項、判例)。
抵当権について。抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、原則として、その
満期となった最後の2年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。
正しい。 抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、原則として、その満期となった最後の2年分についてのみ、その抵当権を行使することができます。後順位抵当権者や一般債権者などを保護するためです(375 条1項)。
抵当権について。AのBに対する金銭債権を担保するため、BがB所有の甲土地にAのために抵当権を設定し、その旨の登記をした後、Bが甲土地上に乙建物を建築した場合、Aが抵当権設定後に建物が建築されることを了承していたときは、甲土地の抵当権が実行されると、乙建物のために法定地上権が成立する。
誤り。 更地に抵当権が設定され、その後、建物が建築されたときは、抵当権者が、抵当権の設定後に建物が建築されることを了承していたとしても、抵当権の実行により、法定地上権は成立しません(388 条、判例)。
抵当権について。AのBに対する金銭債権を担保するため、BがB所有の甲土地及び甲土地上にある乙
建物にAのために共同抵当権を設定し、その旨の登記をした後、Bが乙建物を取り壊して丙建物を再築し、丙建物にAのために抵当権を設定しないまま甲土地の抵当権が実行された場合、丙建物のために法定地上権は成立しない。
正しい。 所有者が土地および地上建物に共同抵当権を設定した後、その建物が取り壊され、その土地上に新たに建物が建築された場合には、新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたなどの特段の事情がない限り、新建物のために法定地上権は成立しません。本肢では、新建物に抵当権が設定されていないの で、法定地上権は成立しません(388 条、判例)。
抵当権について。AのBに対する金銭債権を担保するため、BがB所有の甲土地にAのために抵当権を
設定して、その旨の登記をした際に、甲土地の上にB所有の乙建物が存在していたが、 その後、Bが乙建物をCに譲渡した場合、その後、抵当権が実行され、Dが競売により甲土地を取得したときは、乙建物のために法定地上権が成立する。
正しい。 土地に抵当権が設定された当時、その土地の上に建物が存在し、土地と建物の所有者が同一であれば、その後、その建物が売買された場合でも、その後、抵当権が実行され、土地と建物の所有者が異なるに至れば、法定地上権が成立します(民法 388 条、判例)。
抵当権について。土地に1番抵当権が設定された当時、土地と地上建物の所有者が異なっている場合に は、2番抵当権設定時に土地と地上建物の所有者が同一となっており、抵当権の実行により、1番抵当権が消滅し、土地と地上建物の所有者が異なるに至ったとしても、法定地上権は成立しない。
正しい。 土地に1番抵当権が設定された当時、土地と地上建物の所有者が異なっている場合には、2番抵当権設定時に土地と地上建物の所有者が同一となっていても、抵当権の実行により、1番抵当権が消滅するときは、土地と地上建物の所有者が異なるに至っても、法定地上権は成立しません。つまり、法定地上権の成否は、1番抵当権を基準に判断します(388 条、判例)。
抵当権について。土地の所有者が、当該土地の借地人から、当該借地上の建物を購入した後、建物の所有権移転登記をする前に当該土地に抵当権を設定した場合、当該抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至れば、地上建物について法定地上権が成立する。
正しい。 土地に抵当権を設定した際に、土地とその地上建物の所有者が同一であれば、 その建物の登記名義が前所有者の名義のままでも、抵当権の実行により土地と地上建物の所有者が異なるに至れば、法定地上権が成立します(388 条、判例)。
抵当権について。土地に抵当権が設定された後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地 とともに建物を競売し、土地及び建物の代価について、優先して弁済を受けることができる。
誤り。 土地に抵当権が設定された後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、 土地とともに建物を競売することができます。ただし、抵当権者は、土地の代価についてのみ、優先して弁済を受けることができます(389 条1項)。
抵当権について。抵当不動産について所有権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を抵当権者に弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。
正しい。 抵当不動産について所有権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅します (代価弁済、民法 378 条)。
抵当権について。抵当不動産の被担保債権の主たる債務者は、抵当権消滅請求をすることができないが、
その債務について連帯保証をした者は、当該不動産を買い受けて第三取得者となったときは、抵当権消滅請求をすることができる。
誤り。 抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をすることができます。
しかし、 主たる債務者、保証人およびこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができません(379 条、380 条)。
抵当権について。抵当不動産の第三取得者は、当該抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生した後は、売却の許可の決定が確定する前であっても、抵当権消滅請求をすることができない。
正しい。 抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に、抵当権消滅請求をしなければなりません。
したがって、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生した後は、売却の許可の決定が確定する前であっても、抵当権消滅請求をすることはできません(382 条)。
抵当権について。抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって、競売手続の開始前から使用又は収益をする者は、その建物の競売における買受人から請求があったときは、直ちに当該建物を明け渡す必要はない。
正しい。 抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用または収益をする者であって、競売手続の開始前から使用または収益をする者は、その建物の競売における買受人の買受けの時から6ヵ月を経過するまでは、その建物を 買受人に引き渡す必要がありません。したがって、買受人から請求があっても、直ちに建物を明け渡す必要はありません(395 条1項1号)。
Aが、A所有の甲土地に、Bのために根抵当権を設定する場合について。
AB間の根抵当権設定契約においては、AB間のあらゆる範囲の不特定の債権を極度額の限度で被担保債権とすることができる。
誤り。 根抵当権は、「一定の範囲」に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するために設定するものです。
したがって、当事者間に将来発生する全ての債権を担保するような根抵当権(包括根抵当権)の設定はできません(民法 398 条の2第1項)。
Aが、A所有の甲土地に、Bのために根抵当権を設定する場合について。
元本の確定前に、CがBから、根抵当権の担保すべき債権の範囲に属する個別債権の譲渡を受けた場合、Cは、その債権譲渡について対抗要件を備えても、その債権について根抵当権を行使することはできない。
正しい。 元本の確定前に根抵当権者から被担保債権の範囲に属する個別の債権を譲り受けた者は、その債権について根抵当権を行使することができません。
つまり、確定前の根抵当権は、債権とともに移転しない(随伴性を有しない)ということです(民法398 条の7第1項)。
Aが、A所有の甲土地に、Bのために根抵当権を設定する場合について。
Bは、根抵当権の担保すべき債権の総額が極度額の範囲内であっても、根抵当権の担保すべき債権の範囲に属する利息の請求権については、その満期となった最後の2年分についてのみ、根抵当権を行使することができる。
誤り。 根抵当権者は、確定した元本、利息その他の定期金、債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができます。したがって、利息についても、2年分という制約はありません(398 条の3 第1項)。
Aが、A所有の甲土地に、Bのために根抵当権を設定する場合について。
元本の確定前に、AとBが、根抵当権の担保すべき債権の範囲を変更しようとする場合、後順位抵当権者がいるときは、その承諾を得る必要がある。
誤り。 元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲を変更することができます。
この場合には、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得る必要はありま せん(398 条の4第1項・2項)。
A、B及びCは、D所有の甲土地を購入する契約を締結する際に、連帯して代金 3,000 万円を支払う債務を負担する旨の合意をした(負担部分は平等とする)。
AがDに対して900万円を弁済した場合、Aの負担部分の範囲内であるが、Aは、B及びCに対して求償することができる。
正しい。 連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、その免責を得た額が「自己の負担部分を超えるかどうかに かかわらず」、他の連帯債務者に対し、その免責を得るために支出した財産の額(その財 産の額が共同の免責を得た額を超える場合にあっては、その免責を得た額)のうち「各自の負担部分に応じた額」の求償権を有します。
したがって、Aは、BおよびCに対し て 300 万円ずつ、求償することができます(民法 442 条1項)。
A、B及びCは、D所有の甲土地を購入する契約を締結する際に、連帯して代金 3,000 万円を支払う債務を負担する旨の合意をした(負担部分は平等とする)。
Aが、錯誤を理由に、Dとの甲土地の売買契約を取り消した場合、Aの代金債務は消滅するが、B及びCの代金債務は消滅しない。
正しい。 連帯債務者の一人について法律行為の無効または取消しの原因があっても、 他の連帯債務者の債務は、その効力を妨げられません。したがって、錯誤による取消しにより、Aの代金債務が消滅した場合でも、BおよびCは、Dに対して 3,000 万円の代金債務について連帯債務を負います(437 条)。
A、B及びCは、D所有の甲土地を購入する契約を締結する際に、連帯して代金 3,000 万円を支払う債務を負担する旨の合意をした(負担部分は平等とする)。
DがAに対して履行の請求をした場合、B及びCに対しては、その効力を生じない。ただし、D及びBが別段の意思表示をしたときは、Bに対する効力は、その意思に従い、D及びCが別段の意思表示をしたときも、Cに対する効力は、その意思に従う。
正しい。 債権者が、連帯債務者の一人に対して履行の請求をしても、他の連帯債務者に対しては、その効力を生じません。ただし、債権者および他の連帯債務者の一人が別段の意思表示をしたときは、当該他の連帯債務者に対する効力は、その意思に従います (441 条)。
A、B及びCは、D所有の甲土地を購入する契約を締結する際に、連帯して代金 3,000 万円を支払う債務を負担する旨の合意をした(負担部分は平等とする)。
Dが、Aの債務についてAに対して期限の猶予をした場合には、原則として、B及びCに対しても、その効力が生じる。
誤り。 債権者が帯債務者の一人に対して期限の猶予をしても、他の連帯債務者に対しては、その効力を生じません。
ただし、債権者および他の連帯債務者の一人が別段の意思表示をしたときは、当該他の連帯債務者に対する効力は、その意思に従います。したがって、DがAに対して期限の猶予をしても、原則として、BおよびCに対しては、その効力を生じません(441 条)。
A、B及びCが、Dに対して300万円の連帯債務を負っている(負担部分は平等とする。)場合について。
Aに対して債務の免除がされ、又はAのために時効が完成した場合には、原則として、B及びCに対しても、その効力が生じる。
誤り。 連帯債務者の一人に対して債務の免除がされ、または連帯債務者の一人のために時効が完成しても、他の連帯債務者に対しては、その効力を生じません。
ただし、債権者および他の連帯債務者の一人が別段の意思表示をしたときは、当該他の連帯債務者 に対する効力は、その意思に従います。したがって、Aに対して債務の免除がされ、ま たはAのために時効が完成しても、原則として、BおよびCに対しては、その効力を生じません。なお、Aに対して債務の免除がされ、またはAのために時効が完成し、その 効力がBおよびCに対して及ばない場合において、BまたはCが、Dに弁済をしたときは、BまたはCは、Aに対し、求償権を行使することができます(民法 441 条、445 条)。
A、B及びCが、Dに対して300万円の連帯債務を負っている(負担部分は平等とする。)場合について。
AがDに対して300万円の債権を有する場合、Aが相殺を援用したときは、B及びCの債務も消滅する。
正しい。 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅します。 したがって、Aが相殺を援用したときは、BおよびCの債務も消滅します(439 条1項)。
A、B及びCが、Dに対して300万円の連帯債務を負っている(負担部分は平等とする。)場合について。
AがDに対して300万円の債権を有する場合、Aが相殺を援用しない間は、100万円の限度において、B及びCは、Dに対して債務の履行を拒むことができる。
正しい。 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限度において、他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができます。
したがって、Aが相殺を援用しない間は、100 万円の限度において、BおよびCは、Dに対して債務の履行を拒むことができます(439 条2項)。
A、B及びCが、Dに対して300万円の連帯債務を負っている(負担部分は平等とする。)場合について。
Dが死亡し、AがDを単独で相続した場合、Aの債務は混同により消滅し、B及びCの債務も消滅する。
正しい。 連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、 弁済をしたものとみなします。
したがって、Dが死亡し、AがDを単独で相続したときは、Aの債務は混同により消滅し、BおよびCの債務も消滅します(440 条)。
保証債務について。保証人となるべき者が、口頭で明確に特定の債務につき保証する旨の意思表示を債権
者に対してすれば、その保証契約は有効に成立する。
誤り。 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じません。
なお、保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなされ、有効となります(民法 446 条2項・3項)。
保証債務について。保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があっ
たときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。
正しい。 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の履行状況に関する一定の情報(本肢に記述されている情報)を提供しなければなりません(458 条の2)。
保証債務について。主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権 者は、保証人が法人であっても、その保証人に対し、その利益の喪失を知った時から2 ヵ月以内に、その旨を通知しなければならない。
誤り。 主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、 債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から2ヵ月以内に、その旨を通知しなければなりません。しかし、この規定は、保証人が法人である場合には、適用され ません(458 条の3第1項・3項)。
保証債務について。期間の定めのある建物の賃貸借において、賃借人のために保証人が賃貸人との間で保 証契約を締結した場合には、特段の事情がない限り、保証人は、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務については、保証人としての責任を負わない趣旨で合意したものと解される。
誤り。 期間の定めのある建物の賃貸借において、賃借人のために保証人が賃貸人との間で保証契約を締結した場合には、特段の事情がない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解するのが相当です(447 条、判例)。
AがBに金銭を貸し付ける際に、AとCが保証契約を締結し、Cが保証人となった場合について。
Aは、Bに対して債務の免除をした場合には、Cに対して保証債務の履行を請求することができない。
正しい。 主たる債務が消滅すれば、保証債務も消滅します(保証債務の付従性)。
したがって、Aは、Bに対して債務の免除をした場合には、Cに対して保証債務の履行を請求することはできません。
AがBに金銭を貸し付ける際に、AとCが保証契約を締結し、Cが保証人となった場合について。
Bの債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときは、Cの負担も加重される。
誤り。 主たる債務の目的または態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されません。
したがって、Bの債務の目的または態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、Cの負担は加重されません(民法 448 条2項)。
AがBに金銭を貸し付ける際に、AとCが保証契約を締結し、Cが保証人となった場合について。
BがAに対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によってBがその債務を免れるべき限度において、Cは、Aに対して債務の履行を拒むことができる。
正しい。 主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権または解除権を有するときは、 これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができます(457 条3項)。
AがBに金銭を貸し付ける際に、AとCが保証契約を締結し、Cが保証人となった場合について。
AがBに対して履行の請求をしたため、Bの債務について時効の完成が猶予された場合には、Cの債務についても時効の完成が猶予される。
4 正しい。 主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予および更新は、保証人に対しても、その効力を生じます。
したがって、AがBに対して履行の請求をしたため、Bの債務について時効の完成が猶予された場合には、Cの債務についても時効の完成が猶予されます(457 条1項)。
AがBに100万円を貸し付けた際に、Cが保証人(連帯保証人でないものとする)になった場合について。
Bの債務について消滅時効が完成した後にBが時効の利益を放棄した場合には、Cは、Bの債務について時効の援用をすることはできない。
誤り。 主たる債務が消滅すれば保証債務も消滅するので、保証人は、主たる債務の消滅について正当な利益を有する者として、主たる債務の消滅時効を援用することができます。
そして、主たる債務につき消滅時効が完成した後に、主たる債務者が時効の利益を放棄しても、その効力は保証人には及ばず、保証人は主たる債務について時効の援用をすることができます。したがって、Bの債務について消滅時効が完成した後にBが時 効の利益を放棄した場合でも、Cは、Bの債務について時効の援用をすることができます(民法 145 条、146 条、457 条1項、判例)。
AがBに100万円を貸し付けた際に、Cが保証人(連帯保証人でないものとする)になった場合について。
Bが破産手続開始の決定を受けたとき、又はBの行方が知れないときは、Aから債務の履行を請求されたCは、まずBに催告をすべき旨を請求することができない。
正しい。 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務 者に催告をすべき旨を請求することができます(催告の抗弁権)。
ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、またはその行方が知れないときは、催告の抗弁権を主張することができません(452 条)。
AがBに100万円を貸し付けた際に、Cが保証人(連帯保証人でないものとする)になった場合について。
AがCに対して債務の履行を請求した場合に、Cが、Bに弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、Aは、まずBの財産について執行をしなければならない。
正しい。 債権者が保証人に対して履行の請求をした場合に、保証人が、主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、 まず主たる債務者の財産について執行をしなければなりません(検索の抗弁権、453 条)。
AがBに100万円を貸し付けた際に、Cが保証人(連帯保証人でないものとする)になった場合について。
Aが、Bに対する当該債権をDに譲渡した場合、Dは、当該債権の譲渡についてBに対する対抗要件を備えれば、Cに対して保証債務の履行を請求することができる。
正しい。 主たる債務者に対する債権が譲渡された場合には、保証人に対する債権も、共に移転します(保証債務の随伴性)。
したがって、債権の譲受人は、主たる債務者に対 する対抗要件を備えれば、保証人に対しても債務の履行を請求することができます。したがって、Dは、当該債権の譲渡についてBに対する対抗要件を備えれば、Cに対して保証債務の履行を請求することができます。
保証について。保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者にあらかじめ通知しないで債務の消滅行為をしたときでも、主たる債務者は、債権者に対抗することができた事由をもってその保証人に対抗することはできない。
誤り。 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者 にあらかじめ通知しないで債務の消滅行為(弁済等)をしたときは、主たる債務者は、 債権者に対抗することができた事由(相殺等)をもってその保証人に対抗することができます。
なお、この場合において、相殺をもってその保証人に対抗したときは、その保証人は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することが できます(民法 463 条1項)。
保証について。連帯保証人は、民法第452条に規定する催告の抗弁権を有しないが、民法第453条に
規定する検索の抗弁権を有する。
誤り。 連帯保証人は、催告の抗弁権を有しません。また、検索の抗弁権も有しません (452 条、453 条、454 条)。
保証について。AがBに対して1,000万円を貸し付ける際に、C及びDが連帯保証人になった場合、C及びDは、CD間に連帯の特約がないときは、各自 500 万円につき、保証債務を負う。
誤り。 連帯保証人は、分別の利益を有しません。
そして、連帯保証人が複数いる場合、 連帯保証人間に連帯の特約がなくても、各連帯保証人は、分別の利益を有しないので、 債権者に対し、債務全額について保証債務を負います。したがって、CおよびDは、C D間に連帯の特約がないときでも、各自 1,000 万円につき、保証債務を負います(456 条、判例)。
保証について。AがA所有の甲建物をBに賃貸する際に、当該賃貸借契約から生ずるBの一切の債務 について、Aと個人Cが保証契約を締結する場合には、極度額を定めなければ、当該保証契約は、その効力を生じない。
正しい。 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(根保証契約) であって、保証人が法人でないものを、個人根保証契約といいます。したがって、本肢の保証契約は、個人根保証契約です。そして、個人根保証契約は、極度額を定めなければ、その効力を生じません(465 条の2第1項・2項)。
債権譲渡について。
債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、発生した債権を当然に取得することはできない。
誤り。 債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しません。 そして、債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、発生した債権を当然に取得します(民法 466 条の6第1項・2項)。
債権譲渡について。当事者が債権(預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金に係る債権を除く。)の譲
渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下、本問において「譲渡制限の意思表示」 という。)をした場合には、その旨を知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができる。
正しい。 当事者が債権(預貯金債権を除きます)の譲渡を禁止し、または制限する旨の意思表示(譲渡制限の意思表示)をした場合には、その旨を知り、または重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができます(466 条3項)。
債権譲渡について。当事者が債権(預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金に係る債権を除く。)について譲渡制限の意思表示をした場合には、その旨を知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
正しい。 当事者が債権(預貯金債権を除きます)について譲渡制限の意思表示をした 場合には、その旨を知り、または重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができます。なお、預貯金債権について当事者がした譲渡制限の意思表示は、その譲渡制限の意思表示がされたことを知り、または重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対抗することができます(466 条3項、466 条 の5第1項)。
債権譲渡について。譲渡制限の意思表示がされた債権(預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金に係る債権を除く。)に対し、その旨を知りながら、強制執行をした差押債権者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができない。
正しい。 当事者が債権(預貯金債権を除きます)について譲渡制限の意思表示をした場合でも、その債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては、その差押債権者が 悪意であっても、債務者は、その債務の履行を拒むことができません。
また、債権者に 対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその差押債権者に対抗することが できません。なお、譲渡制限の意思表示がされた預貯金債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては、その差押債権者が悪意であっても、譲渡制限の意思表示を対抗することができません(466 条の4第1項、466 条の5第2項)。
Aが、Bに対して有する金銭債権をCに譲渡した場合について。
AがBに対して債権譲渡の通知を発送し、その通知がBに到達していなかった場合には、Bが債権譲渡の承諾をしても、BはCに対して当該債権に係る債務の履行を拒むことができる。
誤り。 債権譲渡の債務者への対抗要件は、
1,譲渡人から債務者への通知、または
2,債務者の承諾です。
つまり、1と2のどちらか一つを満たせば、対抗要件を備えたことになります。したがって、債権譲渡の通知がBに到達していなかった場合でも、Bが債権譲渡の承諾をすれば、Cは、債権の取得をBに対抗することができます。つまり、BはCに対して当該債権に係る債務の履行を拒むことができません(民法 467 条1項)。
Aが、Bに対して有する金銭債権をCに譲渡した場合について。
CがBに対して確定日付のある証書により債権譲渡の通知をした場合、Cは、Bに対して、当該債権に係る債務の弁済をCにするように主張することができる。
誤り。 債権譲渡の通知は、譲渡人が行わなければなりません。
したがって、通知はA が行わなければならず、CがBに対して確定日付のある証書により債権譲渡の通知をし ても、Cは、Bに対して、Cに弁済するように主張することはできません(467 条1項)。
Aが、Bに対して有する金銭債権をCに譲渡した場合について。
Bが、Aに対して、口頭により債権譲渡の承諾をした場合、Cは、Bに対して、当該債権に係る債務の弁済をCにするように主張することはできない。
誤り。 債権譲渡についての債務者の承諾は、譲渡人に対して行うことも、譲受人に対して行うこともできます。
また、債権譲渡の債務者への対抗要件では、第三者への対抗 要件と異なり、確定日付は要求されていませんから、口頭による承諾でも構いません。 したがって、Bが、Aに対して、口頭により債権譲渡の承諾をした場合には、Cは、B に対して、Cに弁済をするように主張することができます(467 条1項)。
Aが、Bに対して有する金銭債権をCに譲渡した場合について。
Aが、Cに対する債権譲渡について、確定日付のない書面でBに通知をした後、当該金銭債権をDにも譲渡し、その譲渡について確定日付のある証書でBに通知をした場合、 Dは、当該金銭債権の取得をCに対抗することができる。
正しい。 債権が二重に譲渡された場合には、確定日付のある証書によって通知または承諾が行わなければ、債権の取得を債務者以外の第三者に対抗することができません。
したがって、本肢の場合は、DがCに優先し、Dは、当該金銭債権の取得をCに対抗することができます(467 条2項)。
債権譲渡について。Aが、Bに対する金銭債権を、CとDに対して二重に譲渡し、Cに対する譲渡についても、Dに対する譲渡についても、確定日付のある証書によりBに通知をした場合には、CとDの優劣は、確定日付の先後で決まる。
誤り。 債権が二重に譲渡され、その双方の通知が確定日付のある証書によってなされた場合には、譲受人間の優劣は、確定日付の先後ではなく、当該通知が債務者に到達した日時の先後により決まります。したがって、CとDの優劣は、確定日付のある証書による通知がBに到達した日時の先後で決まります(民法 467 条2項、判例)。
債権譲渡について。Aが、Bに対する金銭債権を、CとDに対して二重に譲渡し、Cに対する譲渡についても、Dに対する譲渡についても、確定日付のある証書によりBに通知をし、かつ、その双方の通知が同時にBに到達した場合、Cは、Bに対し、債権の全額の弁済を請求することはできない。
誤り。 債権が二重に譲渡され、その双方の通知が確定日付のある証書によってなされ、 かつ、その双方の通知が同時に債務者に到達した場合には、双方の譲受人は、債務者に対し、それぞれ債権の全額の弁済を請求することができます。したがって、Cは、Bに 対し、債権全額の弁済を請求することができます。
なお、債務者は、単に同順位の譲受人が存在することを理由として、弁済を拒否することはできませんが、1人に弁済すれば、他の譲受人からの請求を拒むことができます(467 条2項、判例)。
債権譲渡について。Aが、Bに対する金銭債権をCに譲渡した場合、Bは、当該債権譲渡に係る対抗要件の具備時までにAに対して生じた事由をもってCに対抗することができる。
正しい。 債務者は、債権譲渡の対抗要件の具備時までに譲渡人に対して生じた事由 (弁済、同時履行の抗弁権など)をもって譲受人に対抗することができます(468 条1 項)。
債権譲渡について。AがBに対して代金債権を有し、BがAに対して期限が到来した貸金債権を有してい る場合、その後、Aが、当該代金債権をCに譲渡し、Bに対して債権譲渡の通知をしたときは、Bは、Cから支払請求を受けた際に、Aに対する貸金債権による相殺を、Cに対抗することはできない。
誤り。 債務者は、債権譲渡の対抗要件の具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができます。
そして、本肢では、Bは、Aから債権譲渡の通知を受ける前に、すでにAに対する貸金債権を取得しているので、Bは、 Cから支払請求を受けた際に、Aに対する貸金債権による相殺を、Cに対抗することができます(469 条1項)。