Season 3 Episode 1 Flashcards
父母とまだ意思疎通することができない乳児は、不動産の所有者となることができない。
誤り。 私権の享有は、出生に始まります。つまり、自然人は誰でも出生により権利能力(権利や義務の担い手となる資格)を取得します。したがって、父母とまだ意思疎通することができない乳児も、権利能力を有し、不動産の所有者となることができます(民法3条1項)。
契約の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その者は、その契約を取り消すことができる。
誤り。 法律行為(契約)の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為(契約)は、無効です。したがって、取り消すことができるのではありません(3条の2)。
精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者につき、四親等内の親族から補助開始の審判の請求があった場合、家庭裁判所はその事実が認められるときは、本人の同意がないときであっても同審判をすることができる。
誤り。 本人以外の者の請求により、補助開始の審判をするためには、本人の同意が必要です(15 条2項)。
成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物に抵当権を設定する場合には、家庭裁判所の許可が必要である。
正しい(成年後見人が権利を悪用しがちだから)。 成年後見人が成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住している建物またはその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除または抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければなりません。したがって、抵当権の設定についても、家庭裁判所の許可が必要です(859 条の3)。
未成年者は、負担のない贈与を受ける契約を締結する場合には、法定代理人の同意を得る必要がない。
正しい。 未成年者は、単に権利を得、または義務を免れる法律行為をする場合には、 法定代理人の同意を得る必要がありません。そして、負担のない贈与を受ける契約は、 単に権利を得る法律行為なので、法定代理人の同意は不要です(民法5条1項ただし書)。
営業を許可された未成年者が、その営業のための商品を仕入れる売買契約を締結する場合には、法定代理人の同意を得なければならない。
誤り。 法定代理人から営業を許可された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有します。したがって、営業を許可された未成年者が、その営業のための商品を仕入れる売買契約を締結する場合には、法定代理人の同意は不要です(6条 1項)。
成年被後見人が、第三者との間で建物の贈与を受ける契約を締結した場合には、成年後見人は、当該贈与契約を取り消すことができない。
誤り。 成年被後見人が行った法律行為(契約)は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き、取り消すことができます。したがって、建物の贈与を受ける契約も、 取り消すことができます。この場合、成年後見人は、その贈与契約を取り消すことができます(9条、120 条1項、859 条1項)。
成年被後見人が、日用品の購入その他日常生活に関する契約を締結した場合には、成年後見人は、当該契約を取り消すことができる。
誤り。 成年被後見人が行った法律行為(契約)は、取り消すことができます。ただし、 日用品の購入その他日常生活に関する行為は、取り消すことができません(9条)。
被保佐人は、不動産を売却する場合だけでなく、日用品を購入する場合にも、保佐人の同意を得なければならない。
誤り。 被保佐人は、不動産の売買など一定の重要な財産上の取引をする場合には、保佐人の同意を得なければなりません。しかし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、保佐人の同意を得る必要がありません(民法 13 条1項、9条ただし書)。
被保佐人は、相続の承認をする場合、又は相続の放棄をする場合には、保佐人の同意を得る必要がない。
誤り。 被保佐人は、相続の承認、相続の放棄、遺産の分割をする場合には、保佐人の同意を得なければなりません(13 条1項6号)。
被保佐人は、贈与をする場合だけでなく、贈与の申込みを拒絶する場合にも、保佐人の同意を得なければならない。
正しい。被保佐人は、贈与、和解、仲裁合意をする場合には、保佐人の同意を得なけ ればなりません。また、贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄する場合や、負担付贈与の申込みを承諾し、または負担付遺贈を承認する場合にも、保佐人の同意を得なければなりません(13 条1項5号・7号)。
被補助人が、補助人の同意を得なければならない契約について、同意を得ていないにもかかわらず、詐術を用いて相手方に補助人の同意を得たと信じさせていた場合でも、 被補助人は、当該契約を取り消すことができる。
誤り。 制限行為能力者が、行為能力者であると相手方に信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができません。そして、自分が行為能力者であると相手方に信じさせようとした場合だけでなく、保護者の同意を得たと信じさせようとした場合にも、この規定が適用されます(21 条、判例)。
AがBに対して甲土地を売却するという意思表示を行ったが、当該意思表示はAの真意ではなく、Aはその旨を認識していたが、Bはその旨を知らず、知らなかったことについて過失がなかった場合、BがAに対して甲土地を購入するという意思表示をしたと きは、AB間の甲土地の売買契約は有効に成立する。
正しい。 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知って、行ったときでも、有効です。ただし、相手方が、その意思表示が表意者の真意ではないことを知り(悪意の場合)、または知ることができたとき(有過失の場合)は、その意思表示は無効となりま す(心裡留保)。本肢では、相手方Bが善意無過失なので、AB間の甲土地の売買契約は有効です(民法 93 条1項)。
Aが、A所有の甲土地につき、Bと通謀して虚偽の売買契約を締結した場合には、甲土地についてAからBへの所有権移転登記がなされたときでも、AB間の甲土地の売買契約は無効である。
正しい。 相手方と通じてした虚偽の意思表示は無効です。Bが登記を備えたとしても、 AB間の甲土地の売買契約が無効であることに変わりありません(94 条1項)。
(図を書くこと)Aが、A所有の甲土地につき、Bと通謀して虚偽の売買契約を締結した後、Bが、A B間の事情を知らないCに甲土地を売却した場合、Aは、Cが登記を備えていないときは、AB間の甲土地の売買契約が無効である旨をCに対抗することができる。
誤り。 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効です。しかし、この無効は、善意の第三者に対抗することができません。そして、この善意の第三者は、登記を備えていなくても、保護されます。したがって、Aは、善意のCが登記を備えていなくても、A B間の甲土地の売買契約が無効であることをCに対抗することはできません(94 条2 項、判例)。