Season 4 Episode 1 Flashcards
未成年者について。父母とまだ意思疎通することができない乳児は、不動産を所有することができない。
誤り。 出生した者は乳児であっても物を所有することができる。
私権の享有は、出生に始まります。つまり、出生した者は所有者となることができます。意思疎通できない乳児であっても同様です。
未成年者について。営業を許可された未成年者が、その営業のための商品を仕入れる売買契約を有効に締結するには、父母双方がいる場合、父母のどちらか一方の同意が必要である。
誤り。 営業を許可された未成年者は、父母の同意不要。
営業を許可された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有します。その結果、父母の同意を得ることなく、その営業のための契約を有効に締結することができます。
未成年者について。男は18歳に、女は16歳になれば婚姻することができるが、父母双方がいる場合には、必ず父母双方の同意が必要である。
誤り。 未成年者が婚姻をする場合の父母の同意は、一方でよい。
未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければなりません。ただし、父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけで足ります。また、父母の一方が知れないとき、死亡したとき、又はその意思を表示することができないときも、同様です。
未成年者について。Aが死亡し、Aの妻Bと嫡出でない未成年の子CとDが相続人となった場合に、CとDの
親権者である母EがCとDを代理してBとの間で遺産分割協議を行っても、有効な追認がない限り無効である。
正しい。 親権者が数人の子を代理して遺産分割協議→利益相反。 親権者が共同相続人である数人の子を代理して遺産分割の協議をすることは、1人の子と他の子の利益とが相反する行為にあたりますから、追認がない限り、無効となります。
民法第95条第1項は、意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一,意思表示に対応する意思を欠く錯誤、
二,表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤と定めている。
意思表示をなすに当たり、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、原則として、自らその取消しを主張することができない。
正しい。 表意者に重大な過失があると、原則として、取消しを主張できない。
錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、
1,相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき、
2,相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたときを除き、意思表示の取消しをすることができません。
したがって、表意者に重大な過失があったときは、原 則として、自らその取消しを主張することができません。
民法第95条第1項は、意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一,意思表示に対応する意思を欠く錯誤、
二,表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤と定めている。
表意者自身において、その意思表示に瑕疵を認めず、民法第95条に基づく意思表示の取消しを主張する意思がない場合は、第三者がその意思表示の取消しを主張することはできない。
正しい。 錯誤による取消しは、表意者その他一定の者に限られる。
錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができます。
民法第95条第1項は、意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一,意思表示に対応する意思を欠く錯誤、
二,表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤と定めている。
意思表示をなすについての動機は、表意者が当該意思表示の内容とし、かつ、その旨を相手方に明示的に表示した場合は、法律行為の基礎となる。
正しい。 動機の錯誤に基づく取消しは、表示されていたときに限り可。
表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤(=いわゆる動機の錯誤)に基づく意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができます。
民法第95条第1項は、意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一,意思表示に対応する意思を欠く錯誤、
二,表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤と定めている。
意思表示をなすについての動機は、表意者が当該意思表示の内容としたが、その旨を相手方に黙示的に表示したにとどまる場合は、法律行為の基礎とならない。
誤り。 動機の表示は、黙示でもよい。
3で述べたように、表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤(=いわゆる動機の錯誤)に基づく意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができます。この表示は、黙示的なものでもかまいません。
AがA所有の土地の売却に関する代理権をBに与えた場合について。
Bが自らを「売主Aの代理人B」ではなく、「売主B」と表示して、買主Cとの間で売買契約を締結した場合には、Bは売主Aの代理人として契約しているとCが知っていても、売買契約はBC間に成立する。
誤り。 相手方が悪意であれば、顕名しなくても有効。
代理人Bが自らを売主と表示して契約を締結した場合であっても、相手方Cが、Bは本人Aの代理人として契約をしていることを知っていたときは、売買契約の効力はAC間に帰属します。
AがA所有の土地の売却に関する代理権をBに与えた場合について。
Bが自らを「売主Aの代理人B」と表示して買主Dとの間で締結した売買契約について、Bが未成年であったとしても、制限行為能力者ではないAは、Bが未成年であることを理由に取り消すことはできない。
正しい。 代理人が制限行為能力者であることを理由に取消し不可。
制限行為能力者が代理人としてした行為は、原則として、行為能力の制限によっては取り消すことができません。なぜなら、代理人の契約から生じた権利義務はすべて本人に帰属するため、代理人が不利益を受けることはないからです。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りではありません。したがって、制限行為能力者でない本人Aは、代理人B が未成年者であることを理由に、売買契約を取り消すことはできません。
AがA所有の土地の売却に関する代理権をBに与えた場合について。
Bは、自らが選任及び監督するのであれば、Aの意向にかかわらず、いつでもEを復代理人として選任して売買契約を締結させることができる。
誤り。 復代理人の選任は、本人の許諾又はやむを得ない場合。
本問のBは、Aから代理権を授与されている任意代理人です。任意代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事情があるときでなければ、復代理人を選任することはできません。
AがA所有の土地の売却に関する代理権をBに与えた場合について。
Bは、Aに損失が発生しないのであれば、Aの意向にかかわらず、買主Fの代理人にもなって、売買契約を締結することができる。
誤り。 双方代理は原則無権代理。例外は、債務の履行と本人双方の許諾。
同一の法律行為について、当事者双方の代理人としてした行為は、原則として、代理権を有しない者 がした行為(無権代理行為)とみなされます。ただし、
1,債務の履行のように、新たに本人に不利益を与えない場合か、
2,本人(両当事者)があらかじめ許諾した場合は、双方の代理人となることができます。
本肢の場合は、Aに損失が発生しなくても、Fには損失が生じる可能性があるため、AとF双方のあらかじめの許諾が必要とされます。
A所有の甲土地を占有しているBによる権利の時効取得について。
Bが父から甲土地についての賃借権を相続により承継して賃料を払い続けている場合であっても、相続から20年間甲土地を占有したときは、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができる。
誤り。 賃料を支払い続けている場合は、所有の意思はない。
20 年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得します。このように、所有権を時効によって取得するためには、「所有の意思」が必要です。この「所有の意思」の有無は、外観的・客観的に判断されます。すると、本肢では「賃料を払い続けている」のですから、外観的・客観的にみて、占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったと解されますので、所有の意思はありません。
A所有の甲土地を占有しているBによる権利の時効取得について。
Bの父が11年間所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を占有した後、Bが相続によりその占有を承継し、引き続き9年間所有の意思をもって平穏かつ公然に占有していても、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することはできない。
誤り。 前の占有者の占有を併せて主張することもできる。
占有者の承継人は、その選択に従って、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができます。したがって、本肢のBは、自己の9年間の占有にBの父の 11 年間の占有を併せて、合計 20 年間の占有を主張して、時効によって甲土地の所有権を取得することができます。
A所有の甲土地を占有しているBによる権利の時効取得について。
Aから甲土地を買い受けたCが所有権の移転登記を備えた後に、Bについて甲土地所有権の取得時効が完成した場合、Bは、Cに対し、登記がなくても甲土地の所有者であることを主張することができる。
正しい。 時効完成前の第三者に対しては、登記がなくても対抗可能。
第三者が登記をした後に時効が完成した場合は、占有者(時効取得者)は、その第三者(=時効完成前の第三者)に対して、登記をしなくても時効取得を対抗することができます。
A所有の甲土地を占有しているBによる権利の時効取得について。
甲土地が農地である場合、BがAと甲土地につき賃貸借契約を締結して20年以上にわたって賃料を支払って継続的に耕作していても、農地法の許可がなければ、Bは、時効によって甲土地の賃借権を取得することはできない。
誤り。 土地の賃借権の時効取得に、農地法の許可は不要。
所有権以外の財産権も、取得時効によって取得することができます。そして、土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくものであることが客観的に表現されているときは、土地の賃借権も、時効により取得することができます。土地の賃借権の時効取得を認めるための要件が満たされた場合、その者の継続的な占有を保護すべきものとして賃借権の時効取得を認めることは、農地法による規制の趣旨に反するものではありませんから、時効により賃借権を取得する場合には、農地法の許可は不要です。
不動産の共有について。共有物の各共有者の持分が不明な場合、持分は平等と推定される。
正しい。 各共有者の持分は、相等しいものと推定される。
各共有者の持分は、相等しいものと推定されます。したがって、各共有者の持分が不明な場合、持分は平等と推定されます。
不動産の共有について。各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
正しい。 他の共有者の全ての同意がなければ、共有物の変更は不可。
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができません。
不動産の共有について。共有物の保存行為については、各共有者が単独ですることができる。
正しい。 保存行為は、各共有者が単独で行うことができる。
共有物の管理に関する事項は、共有物の変更の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決します。ただし、保存行為は、各共有者がすることができます。
不動産の共有について。共有者の一人が死亡して相続人がないときは、その持分は国庫に帰属する。
誤り。 共有者の一人が持分放棄・相続人なしで死亡→持分は他の共有者に帰属する。
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属します。したがって、国庫に帰属するわけではありません。
A所有の甲土地についての所有権移転登記と権利の主張について。
甲土地につき、時効により所有権を取得したBは、時効完成前にAから甲土地を購入して所有権移転登記を備えたCに対して、時効による所有権の取得を主張することができない。
誤り。 時効完成前の第三者と時効取得者は当事者の関係。
Bの取得時効が完成する前にA→Cに譲渡がされていた場合、時効取得者Bと、時効完成時点の所有者Cは、契約当事者と同視できます。したがって、Bは登記がなくても、時効取得による所有権をCに主張することができます。
A所有の甲土地についての所有権移転登記と権利の主張について。
甲土地の賃借人であるDが、甲土地上に登記ある建物を有する場合に、Aから甲土地を購入したEは、所有権移転登記を備えていないときであっても、Dに対して、自らが賃貸人であることを主張することができる。
誤り。 賃貸人たる地位を主張するには、登記が必要。
賃借人Dは、借地上に登記ある建物を有しているため、対抗要件を備えた賃借人です。他方、Dに賃貸している不動産を所有者Aから譲り受けたEは、賃貸人たる地位をも譲り受けます。しかし、Eが賃貸人たる地位を賃借人Dに主張するには、その所有権の移転登記を受けなければなりません。したがって、Eは、所有権の移転登記を備えていなければ、Dに対して自らが賃貸人であることを主張できません。
A所有の甲土地についての所有権移転登記と権利の主張について。
Aが甲土地をFとGとに対して二重に譲渡してFが所有権移転登記を備えた場合に、AG間の売買契約の方がAF間の売買契約よりも先になされたことをGが立証できれば、Gは、登記がなくても、Fに対して自らが所有者であることを主張することができる。
誤り。 二重譲渡は、登記の有無で優劣が決まる。
甲土地がAからF・Gに二重に譲渡された場合、FとGは、先に登記を備えた方が他方に所有権の取得を対抗することができます。契約締結の時期は関係ありません。したがって、AG間の売買契約の方がAF間の売買契約よりも先になされたことをGが立証したとしても、Gは、登記を備えたFに対して自らが所有者であることを主張することができません。
A所有の甲土地についての所有権移転登記と権利の主張について。
Aが甲土地をHとIとに対して二重に譲渡した場合において、Hが所有権移転登記を備えない間にIが甲土地を善意のJに譲渡してJが所有権移転登記を備えたときは、Iがいわゆる背信的悪意者であっても、Hは、Jに対して自らが所有者であることを主張することがで
きない。
正しい。 背信的悪意者からの譲受人は、所有権を取得できる。
いわゆる背信的悪意者であるIは、所有権移転登記を備えたとしても、信義則上、Hに登記がないことを主張することができません。もっとも、背信的悪意者は、信義則上、相手に登記がないことの主張をすることが許されないにすぎず、所有権自体を取得できないわけではありません。したがって、背信的悪意者からの譲受人であるJは有効に所有権を取得できます。よって、Hは、登記を備えたJに対して自らが所有者であることを主張することができません。
Aは、A所有の甲土地にBから借り入れた3,000万円の担保として抵当権を設定した。
Aが甲土地に抵当権を設定した当時、甲土地上にA所有の建物があり、当該建物をAがCに売却した後、Bの抵当権が実行されてDが甲土地を競落した場合、DはCに対して、甲土地の明渡しを求めることはできない。
正しい。 法定地上権が成立すると、競落人は、土地の明渡しを請求できない。
1,抵当権の設定時に、土地の上に建物が存在し、
2,抵当権の設定時に、土地及びその上に存する建物 が同一の所有者に属する場合、
3,その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物に地上権が設定されたものとみなされます(法定地上権)。
したがって、本肢の場合は法定地上権が成立していますので、競落人のDは、建物所有者であるCに対して、 甲土地の明渡しを求めることはできません。
Aは、A所有の甲土地にBから借り入れた3,000万円の担保として抵当権を設定した。
甲土地上の建物が火災によって焼失してしまったが、当該建物に火災保険が付されていた場合、Bは、甲土地の抵当権に基づき、この火災保険契約に基づく損害保険金を請求することができる。
誤り。 土地に設定した抵当権は、土地上の建物には効力が及ばない。
抵当権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって抵当権設定者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができます(物上代位)。しかし、土地と建物は別個の不動産ですから、 土地に設定された抵当権は、その土地上の建物には効力が及びません。したがって、Bは、甲土地に設定された抵当権に基づいて、甲土地上の「建物」に付されていた火災保険契約に基づく損害保険金を請求することはできません。
Aは、A所有の甲土地にBから借り入れた3,000万円の担保として抵当権を設定した。
AがEから500万円を借り入れ、これを担保するために甲土地にEを抵当権者とする第2順位の抵当権を設定した場合、BとEが抵当権の順位を変更することに合意すれば、Aの同意がなくても、甲土地の抵当権の順位を変更することができる。
正しい。 抵当権の順位の変更には、抵当権設定者の同意は不要。
抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができます(利害関係を有する者がいるときは、その承諾も必要)。したがって、本肢の場合、抵当権者であるBとEが合意すれば、抵当権設定 者Aの同意がなくても、抵当権の順位を変更することができます。なお、抵当権の順位の変更は、登記をしなければ、効力を生じません。
Aは、A所有の甲土地にBから借り入れた3,000万円の担保として抵当権を設定した。
Bの抵当権設定後、Aが第三者であるFに甲土地を売却した場合、FはBに対して、民法第383条所定の書面を送付して抵当権の消滅を請求することができる。
正しい。 抵当権消滅請求は、第三取得者が書面を抵当権者に送付して行う。
抵当不動産の第三取得者は、登記をした各債権者に対し、所定の書面を送付するという手続きによって、抵当権消滅請求をすることができます。
保証について。なお、保証契約は令和3年4月1日に締結されたものとする。
特定物売買における売主の保証人は、特に反対の意思表示がない限り、売主の債務不履行により契約が解除された場合には、原状回復義務である既払代金の返還義務についても保証する責任がある。
正しい。 保証人は、債務不履行解除の原状回復義務についても責任を負う。
保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含します。そして、特定物の売買契約における売主のための保証人は、特に反対の意思表示のない限り、 売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても、保証の責任を負います。
保証について。なお、保証契約は令和3年4月1日に締結されたものとする。
主たる債務の目的が保証契約の締結後に加重されたときは、保証人の負担も加重され、主たる債務者が時効の利益を放棄すれば、その効力は連帯保証人に及ぶ。
誤り。 保証債務は当然には加重されず、時効の利益の放棄も及ばない。
主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されません。また、主たる債務者が時効の利益の放棄をしても、その効力は連帯保証人には及びません。
保証について。なお、保証契約は令和3年4月1日に締結されたものとする。
委託を受けた保証人が主たる債務の弁済期前に債務の弁済をしたが、主たる債務者が当該保証人からの求償に対して、当該弁済日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
正しい。 主債務者が相殺主張→弁済した受託保証人は債権者に履行請求可。
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、主たる債務者がその当時利益を受けた限度 において求償権を有します。また、この場合において、主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができます。
保証について。なお、保証契約は令和3年4月1日に締結されたものとする。
委託を受けた保証人は、履行の請求を受けた場合だけでなく、履行の請求を受けずに自発的に債務の消滅行為をする場合であっても、あらかじめ主たる債務者に通知をしなければ、 同人に対する求償が制限されることがある。
正しい。 主債務者への事前通知なし→受託保証人の求償権が制限。 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者にあらかじめ通知しないで債務の消滅行為をしたときは、主たる債務者は、債権者に対抗することができた事由をもってその保証人に対抗することができます。これは、履行の請求を受けた場合だけでなく、履行の請求を受け ずに自発的に債務の消滅行為をする場合であっても、同様です。
Aが、Bに対する債権をCに譲渡した場合について(なお、民法第466条の5に規定する預金口座又は貯金口 座に係る預金又は貯金に係る債権(預貯金債権)については、考慮しないものとする)。
AのBに対する債権に譲渡制限の意思表示があり、Cがその意思表示の存在を知りながら債権の譲渡を受けていれば、Cからさらに債権の譲渡を受けた転得者Dがその意思表示の存在を知らなかったことにつき重大な過失がない場合でも、BはDに対して債務の履行を拒むことができる。
誤り。 譲渡制限の意思表示→悪意・重過失の第三者に債務の履行拒否できる。
当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(譲渡制限の意思表示)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられません。しかし、譲渡制限の意思表示がされたことを知り(悪意)、又は重大な過失によって知らなかった(善意・重過失)譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができます。この「第三者」には、転得者も含まれます。したがって、 たとえ第三者Cが悪意であっても、転得者D自身が善意かつ無重過失であれば、債務者Bは、転得者Dに対して、債務の履行を拒むことができません。
Aが、Bに対する債権をCに譲渡した場合について(なお、民法第466条の5に規定する預金口座又は貯金口 座に係る預金又は貯金に係る債権(預貯金債権)については、考慮しないものとする)。
AがBに債権譲渡の通知を発送し、その通知がBに到達していなかった場合には、Bが債権譲渡の承諾をしても、BはCに対して当該債権に係る債務の履行を拒否することができる。
誤り。 債権譲渡の債務者への対抗要件→譲渡人の通知又は債務者の承諾。
債権譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができません。
この場合は、
1,譲渡人の通知か、
2,債務者の承諾のいずれかがあれば足ります。
したがって、譲渡人Aの通知が債務者Bに到達していなくても、債務者Bが承諾をしていれば、 譲受人Cは債権を譲り受けたことを債務者Bに対抗することができますので、Bは、Cに対して履行を拒否することはできません。
Aが、Bに対する債権をCに譲渡した場合について(なお、民法第466条の5に規定する預金口座又は貯金口 座に係る預金又は貯金に係る債権(預貯金債権)については、考慮しないものとする)。
AのBに対する債権に譲渡制限の意思表示がなく、Cに譲渡された時点ではまだ発生していない将来の取引に関する債権であった場合、その取引の種類、金額、期間などにより当該債権が特定されていたときは、特段の事情がない限り、AからCへの債権譲渡は有効である。
正しい。 将来発生する債権の譲渡→債権を特定すれば、原則として有効。
債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを必要としません。将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約については、譲渡の目的とされる債権が特定されている限り、原則として有効です。したがって、譲渡された時点ではまだ発生していない将来の取引に関する債権であっても、取引の種類・金額・期間などにより当該債権が特定されていたときは、特段の事情がない限り、債権譲渡は有効です。
Aが、Bに対する債権をCに譲渡した場合について(なお、民法第466条の5に規定する預金口座又は貯金口 座に係る預金又は貯金に係る債権(預貯金債権)については、考慮しないものとする)。
Aに対し弁済期が到来した貸金債権を有していたBは、Aから債権譲渡の通知を受けるまでに、債権譲渡の承諾をせず、相殺の意思表示もしていなかった。その後、Bは、Cから支払請求を受けた際に、Aに対する貸金債権との相殺の意思表示をしたとしても、Cに対抗することはできない。
誤り。 債務者は、対抗要件具備時より前に取得した債権による相殺を対抗可。
債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができます。したがって、債務者Bは、AのBに対する債権をCに譲渡した旨の通知を受ける前に、Aに対する貸金債権を有していますので、Aに対する貸金債権との相殺をCに対抗することができます。
債務不履行に基づく損害賠償請求権について。
AがBと契約を締結する前に、信義則上の説明義務に違反して契約締結の判断に重要な影響を与える情報をBに提供しなかった場合、Bが契約を締結したことにより被った損害につき、Aは、不法行為による賠償責任を負うことはあっても、債務不履行による賠償責任を負うことはない。
正しい。 契約締結前は、債務不履行による賠償責任は生じない。
契約を締結していなければ、契約上の債務は発生しません。したがって、不法行為による賠償責任を負うことはありますが、債務不履行による賠償責任を負うことはありません。
債務不履行に基づく損害賠償請求権について。
AB間の利息付金銭消費貸借契約において、利率に関する定めがない場合、借主Bが債務不履行に陥ったことによりAがBに対して請求することができる遅延損害金は、年3%の利率により算出する。
正しい。 法定利率は、年3%(変動制)。
利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率によります。そして、法定利率は、年3%です。この「利息」には遅延損害金も含みます。したがって、本肢において、AはBに対して年3%の利率により算出した遅延損害金を請求することができます。なお、法定利率は、3年を1期とし、1期ごとに、所定の規定により変動する可能性があります。
債務不履行に基づく損害賠償請求権について。
AB間でB所有の甲不動産の売買契約を締結した後、Bが甲不動産をCに二重譲渡してCが登記を具備した場合、AはBに対して債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができる。
正しい。 不動産の二重譲渡は債務不履行となる。
不動産の売主は、買主に対して、目的不動産を引き渡し、登記を移転する債務を負っています。不動産を二重に譲渡した売主Bは、対抗要件を具備できなかった買主Aに対して、債務の本旨に従った履行をしなかったといえます。したがって、AはBに対して、債務不履行(履行不能)に基づく損害賠償請求をすることができます。
債務不履行に基づく損害賠償請求権について。
AB間の金銭消費貸借契約において、借主Bは当該契約に基づく金銭の返済をCからBに支払われる売掛代金で予定していたが、その入金がなかった(Bの責めに帰すべき事由はない。)ため、返済期限が経過してしまった場合、Bは債務不履行には陥らず、Aに対して遅延損害金の支払義務を負わない。
誤り。 金銭債務については、不可抗力を抗弁とできない。
金銭債務の不履行について損害賠償請求がされた場合、債務者は、不可抗力を抗弁とすることができません。BはCの未入金のせいで返済できなかったとしても、返済期限に弁済できなかった以上、債務不履行に陥ります。したがって、BはAに対して遅延損害金の支払義務を負います。