Season 2 Episode 3 Flashcards
宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者である買主B と建物の売買契約を締結する場合について。
AはBと売買契約を締結し、代金の額の10分の3の金額を手付として受領した。
違反しない。 手付の額の制限等は、業者間取引では不適用。
宅建業者は、自ら売主として売買契約を締結する際に、代金の10分の2を超える額の手付を受領できません。しかし、この規定は、宅建業者間の取引には適用されないので、Aは宅建業法に違反しません(業法78条、39条)。
宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者である買主B と建物の売買契約を締結する場合について。
Aは、新築分譲マンションについて、建築基準法第6条第1項の建築確認を受ける前にBと売買契約を締結した。
違反する。 未完成物件は、許可等後でなければ業者間も契約禁止。
宅建業者は、工事に必要とされる建築確認を受けた後でなければ、未完成の建物について売買契約を締結することはできません(36条)。この規定は、宅建業者間の取引においても適用されます(78条参照)。したがって、Aは、宅建業法に違反します。
宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者である買主B と建物の売買契約を締結する場合について。
Aは自己の所有に属しない建物について、Bと売買契約を締結した。
違反しない。 他人物売買の制限は、業者間取引では不適用。
宅建業者は、自己の所有でない宅地または建物を、自ら売主として売買契約を締結することができません(33条の2)。しかし、この規定は、宅建業者間の取引には適用されないので、Aは、宅建業法の規定に違反しません(78条)。
宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者である買主B と建物の売買契約を締結する場合について。
AはBと売買契約を締結する際、担保責任を負わない旨の特約をした。
違反しない。 担保責任の特約制限は、業者間取引では不適用。
宅建業者は、自ら売主として売買契約を締結する際に、一定の担保責任(種類・品質に関する契約不適合責任)に関して、民法の規定よりも買主に不利となる特約をすることはできません (40条)。しかし、この規定は、宅建業者間取引においては適用されないので、Aは、宅建業法に違反しません(78条)。
宅地建物取引業者AがBから土地を取得して、宅地に造成し、自ら売主となって、Cに分譲する場合について。
AB間の契約が売買の予約である場合、Aは、予約完結権を行使するまでの間は、宅地建物取引業者でないCと、当該土地について売買契約を締結してはならない。
誤り。 所有者と売買予約をすれば、転売可。
宅建業者は、他人物の所有者との間で物件を取得する契約を締結していれば、その物件について宅建業者でない買主との間で、売買契約を締結することができます(業法 33 条の2)。物件を取得する契約は予約でもよいため、本肢の場合には、AはCとの間で売買契約を締結できます(33 条の2)。
宅地建物取引業者AがBから土地を取得して、宅地に造成し、自ら売主となって、Cに分譲する場合について。
AB間の売買契約において、銀行融資があることを停止条件とする特約がある場合、Aは、その条件が成就するまでの間は、宅地建物取引業者であるCと、当該土地について売買契約を締結してはならない。
誤り。 「8種制限」は、業者間取引に適用なし。
買主が宅建業者の場合は、「8種制限」の一つである「自己の所有に属しない宅地または建物の売買契約締結の制限」の規定は適用されないので、所有者Bとの契約が停止条件付きであっても、Aは宅建業者Cと売買契約を締結することができます(78 条)。
宅地建物取引業者AがBから土地を取得して、宅地に造成し、自ら売主となって、Cに分譲する場合について。
AB間の売買契約が締結されても、土地の引渡しが済むまでの間は、Aは、宅地建物取引業者でないCと、当該土地について売買契約を締結してはならない。
誤り。 所有者と売買契約をすれば、転売可。
肢1でみたように、宅建業者は、他人物の所有者との間で物件を取得する契約を締結していれば、その物件について宅建業者でない買主との間で、売買契約を締結することができます(33 条の2)。土地の引渡しが済んでいるか否かは、関係ありません。
宅地建物取引業者AがBから土地を取得して、宅地に造成し、自ら売主となって、Cに分譲する場合について。
AB間の売買契約において、その効力の発生がBの代替地取得を条件とする場合、A は、その条件が成就するまでの間は、宅地建物取引業者でないCと、当該土地について売買契約を締結してはならない。
正しい。 条件の成否未定の間は、転売不可。
宅建業者は、他人物の所有者との間で売買契約を締結しても、その売買契約に停止条件が付されている場合には、条件の成否未定の間は、宅建業者でない買主との間で売買契約を締結することはできません(33 条の2)。
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、B所有の宅地(造成工事完了後) をCに売却しようとしている。
Cが宅地建物取引業者である場合で、B所有の当該宅地はBがDから売買により取得したものであるが、BがDにまだその売買代金を完済していないとき、Aは、Cと売買契約を締結できる。
正しい。 「8種制限」は、業者間取引に適用なし。
AC間の売買は、業者間取引です。したがって、「8種制限」の一つである「自己の所有に属しない宅地または建物の売買契約締結の制限」の規定は適用されず、Aは自ら売主となってB所有の宅地をCに売却する契約をすることができます(業法 33 条の2、78 条)。
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、B所有の宅地(造成工事完了後) をCに売却しようとしている。
Cが宅地建物取引業者でない場合で、AがBから当該宅地を取得する契約の予約を締結しているときは、Aが予約完結権を行使するまでの間であっても、Aは、Cと売買契約を締結できる。
正しい。 所有者と売買予約をすれば、転売可。
宅建業者は、他人物の所有者との間で当該物件を取得する契約を締結していれば、その物件について宅建業者でない買主との間で、売買契約を締結することができます(33 条の2)。物件を取得する契約は予約でもよいため、本肢の場合には、AはCとの間で売買契約を締結できます(33 条の2)。
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、B所有の宅地(造成工事完了後) をCに売却しようとしている。
Cが宅地建物取引業者である場合で、AがBと「代替地の提供があれば、Bは、Aに当該宅地を譲渡する」旨の契約を締結しているとき、Aは、Cと売買契約を締結できる。
正しい。 「8種制限」は、業者間取引に適用なし。
肢1同様、AC間の売買は業者間取引ですので、AはCとの間で売買契約を締結できます(33条の2、78 条)。なお、「AがBと『代替地の提供があれば、Bは、Aに当該宅地を譲渡する』旨 の契約を締結している」という記述は、AB間の売買契約が停止条件付であることを意味します。 仮に本肢でCが宅建業者でない場合には、AB間の売買契約が停止条件付であり成否未定である以上、AはCとの間で売買契約を締結できないことになります。
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、B所有の宅地(造成工事完了後) をCに売却しようとしている。
Cが宅地建物取引業者でない場合で、AがCから受け取る手付金について宅地建物取 引業法第 41 条の2の規定による手付金等の保全措置を講じたときは、AB間の宅地の譲渡に関する契約の有無にかかわらず、Aは、Cと売買契約を締結できる。
誤り。 手付金等の保全措置を講じても、他人物売買であることに変わりなし。
手付金等の保全措置を講じたとしても、他人物売買の禁止規定が適用されなくなるわけではありません。したがって、AB間で宅地の譲渡に関する契約が締結されていなければ、Aは、Cと売買契約を締結することはできません(33 条の2)。
宅地建物取引業者Aが自ら売主となって宅地の売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法第 37 条の2の規定に基づく売買契約の解除について。
売買契約の締結が現地近くの喫茶店で行われても、宅地建物取引業者である買主Bは、当該契約を解除することができない。
正しい。 「8種制限」は、業者間取引に適用なし。
「8種制限」の一つである「クーリング・オフ」の規定は、業者間取引においては適用されません(業法 78 条)。
宅地建物取引業者Aが自ら売主となって宅地の売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法第 37 条の2の規定に基づく売買契約の解除について。
売買契約の締結が宅地建物取引業者でない買主Cの自宅で行われても、その場所の指定がCの申出によるものであるときは、Cは、当該契約を解除することができない。
正しい。 買主の申出により自宅または勤務先で契約した→クーリング・オフできない。
買主の申出により自宅または勤務先で売買契約を締結した場合、クーリング・オフはできません(37 条の2、規則 16 条の5)。
宅地建物取引業者Aが自ら売主となって宅地の売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法第 37 条の2の規定に基づく売買契約の解除について。
売買契約の締結がAの事務所で行われ、Aが、宅地建物取引業法第37条の2の規定の適用について書面で説明しないときは、宅地建物取引業者でない買主Dは、当該宅地の引渡しを受け、かつ、代金の全額を支払うまでの間、当該契約を解除することができる。
誤り。 クーリング・オフができない「事務所等」。
宅建業者の事務所で契約をした場合、クーリング・オフはできません(37 条の2)。
ポイント:宅建業者にはクーリング・オフについての告知義務はないため、「Aが、宅地建物取引業法第 37 条の2の規定の適用について書面で説明しないとき」という事情は関係ありません。
宅地建物取引業者Aが自ら売主となって宅地の売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法第 37 条の2の規定に基づく売買契約の解除について。
売買契約(当該宅地の引渡し及び代金の全額の支払いは1ヵ月後とする。)の締結が 現地のテント張りの案内所で行われ、Aが宅地建物取引業法第 37 条の2の規定の適用について書面で説明したときは、宅地建物取引業者でない買主Eは、その説明の日から起算して8日以内であれば、当該契約を解除することができる。
正しい。 テント張りの案内所は、土地に定着していない。
一団の宅地建物の分譲を行う案内所で、「土地に定着するもの」において契約の締結をした場合は、クーリング・オフできません。しかし、「テント張り」の案内所では、土地に定着していると はいえないため、その案内所で契約の締結をした場合であれば、クーリング・オフをする余地があります(規則 16 条の5)。
宅地建物取引業者でない買主Aが宅地建物取引業者である売主Bと宅地の売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法第 37 条の2の規定に基づく売買契約の解除について。
Aは、Aの申出により、Aの取引銀行の店舗内で売買契約を締結したときは、その契約を解除することができない。
誤り。 買主が指定しても、自宅または勤務先でなければクーリング・オフできる。
買主が自ら申し出て、買主の自宅または勤務先で売買契約を締結した場合は、クーリング・オフできません(業法 37 条の2、規則 16 条の5)。あくまで買主の申出により「自宅または勤務先」 で売買契約を締結した場合にクーリング・オフが封じられるのであり、買主の申出によるもので あっても、買主の「取引銀行の店舗内」で売買契約が締結された場合は、クーリング・オフをする余地があります。
宅地建物取引業者でない買主Aが宅地建物取引業者である売主Bと宅地の売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法第 37 条の2の規定に基づく売買契約の解除について。
Aは、Bの申出により、Aの勤務先で売買契約を締結したときは、その契約を解除することができない。
誤り。 自宅または勤務先で契約してクーリング・オフできなくなるのは、買主の申出による場合。
買主が自ら申し出て、「買主の自宅または勤務先」で売買契約を締結した場合は、クーリング・ オフできません(業法 37 条の2、規則 16 条の5)。あくまで買主の申出による場合にクーリング・オフが封じられるのであり、本肢のように宅建業者「Bの申出により」買主の勤務先で売買契約が締結された場合は、クーリング・オフをする余地があります。
宅地建物取引業者でない買主Aが宅地建物取引業者である売主Bと宅地の売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法第 37 条の2の規定に基づく売買契約の解除について。
Aは、Bから媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者Cの申出により、Cの事務所で売買契約を締結したときは、その契約を解除することができない。
正しい。 媒介業者の事務所も、クーリング・オフができない「事務所等」。
売主である宅建業者から売却の代理・媒介の依頼を受けた他の宅建業者の事務所で契約をした場合、クーリング・オフはできません(業法 37 条の2、規則 16 条の5)。
宅地建物取引業者でない買主Aが宅地建物取引業者である売主Bと宅地の売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法第 37 条の2の規定に基づく売買契約の解除について。
Aは、Bの現地案内所(テント張り)で買受けの申込みをし、その翌日Bの事務所で売買契約を締結したときは、その契約を解除することができない。
誤り。 テント張りの案内所は、土地に定着していない。
一団の宅地建物の分譲を行う案内所で、「土地に定着するもの」において買受けの申込みをした場合は、クーリング・オフできません。しかし、「テント張り」の案内所は、土地に定着しているとはいえないため、その案内所で申込みをした場合であれば、クーリング・オフをする余地があります(16 条の5)。
ポイント:本肢では、申込みの場所と契約の場所が異なっているため、「申込みの場所」を基準に判断します。
宅地建物取引業者Aが自ら売主としてマンション(価格1億7,000万円)の 売買契約を宅地建物取引業者でない買主Bと締結した場合の特約について。
手付は、1,500万円としたが、Bが一括しては払えないというので、500万円ずつ3回に分割して支払うこととした。
違反する。 手付分割を認めて契約誘引すると業法違反。
宅建業者は、手付について、貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引してはなりません(業法 47 条)。手付の分割受領は「信用の供与」に該当するため、本肢は宅建業法違反となります。
宅地建物取引業者Aが自ら売主としてマンション(価格1億7,000万円)の 売買契約を宅地建物取引業者でない買主Bと締結した場合の特約について。
売買契約締結後8日以内であれば、Bは、手付放棄による契約の解除ができる旨の特約をした。
違反する。 買主に不利な内容となり、買主は、手付放棄による契約の解除ができる。
買主は、相手方が契約の履行に着手するまでは、手付を放棄して契約の解除をすることができます(解約手付)。宅建業者が自ら売主となる宅地建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、これに反する特約で買主に不利なものは無効となります(39 条)。本肢の特約では、手付 放棄による契約の解除は「売買契約締結後8日以内」としていますので、買主に不利な内容であり、本肢は宅建業法違反となります。
宅地建物取引業者Aが自ら売主としてマンション(価格1億7,000万円)の 売買契約を宅地建物取引業者でない買主Bと締結した場合の特約について。
手付は、解約手付として3,000万円とし、Aが契約の履行を完了するまでは、Bは、手付を放棄して契約の解除をすることができる旨の特約をした。
違反しない。 手付解除は相手方が履行の着手をするまで→買主に有利な特約は有効。
相手方が履行に着手するまでは、買主は手付を放棄し、売主は倍額を現実に提供することにより、契約を解除することができます(民法 557 条)。本肢では、自ら売主である宅建業者「Aが契 約の履行を完了するまでは、」Bは、手付解除をすることができる旨の特約をしていますが、 これは買主Bに有利な特約ですので、そのまま有効です。また、宅建業者が自ら売主として宅建業者でない者と宅地建物の売買契約を締結する場合、受領する手付金の額は代金の2割を超えることはできませんが(業法 39 条)、本肢では、AがBから手付金として受領している 3,000 万 円は、代金1億7,000 万円の2割=3,400 万円を超えていません。したがって、本肢は宅建業法に違反しません。
宅地建物取引業者Aが自ら売主としてマンション(価格1億7,000万円)の 売買契約を宅地建物取引業者でない買主Bと締結した場合の特約について。
AB双方の債務不履行による契約の解除に関し、違約金については2,500万円とし、別に損害賠償額の予定として 1,000 万円とする旨の特約をした。
違反する。 損害賠償額の予定額と違約金の額は、合算して代金の2割まで。
宅建業者が自ら売主となる取引において、損害賠償の額を予定し、または違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の 10 分の2を超えることは禁止されています(38 条)。本肢では、違約金 2,500 万円+損害賠償額の予定 1,000 万円=3,500 万円となり、代金1億 7,000 万円の2割=3,400 万円を超えますので、本肢は宅建業法違反となります。
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBと建物の売買契約を締結した場合おいて、売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任(以下この問において「契約不適合責任」という)について。
「Aが契約不適合責任を負う期間内においては、損害賠償の請求をすることはできるが、契約を解除することはできない」旨の特約は無効である。
正しい。 解除できない旨の特約は、民法より買主に不利で無効。
宅建業者が自ら売主となって、宅建業者でない買主と宅地建物の売買契約を締結する場合、その目的物の契約不適合責任に関し、原則として、民法に規定するものより買主に不利な特約をすることは禁止されています(業法 40 条)。民法上、買主には契約解除権が認められていますので (民法 566 条)、これを排除する点で、本肢の特約は買主に不利な特約として無効となります。
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBと建物の売買契約を締結した場合おいて、売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任(以下この問において「契約不適合責任」という)について。
「Aは当該建物を現状有姿で引き渡し、契約不適合責任を負わないこととする」旨の特約は有効である。
誤り。 宅建業者自ら売主の場合、契約不適合責任を負わない特約は、無効。
不動産の売主は、原則として、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければなりません。したがって、「当該建物を現状有姿で引き渡す」旨の特約は有効です。しかし、宅建業者が自ら売主の場合、担保責任に関して民法の規定より買主に不利となる特約は、原則として無効ですから、契約不適合責任(担保責任)を負わない特約は無効となります(民法 483 条、566 条、業法 40 条)。
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBと建物の売買契約を締結した場合おいて、売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任(以下この問において「契約不適合責任」という)について。
「Aは契約不適合責任を負う期間内に発見された雨漏り、シロアリの害、建物の構造耐力上主要な部分の瑕疵についてのみ責任を負う」旨の特約は有効である。
誤り。 契約不適合責任を一定の部分に限定する特約は、無効。
宅建業者が自ら売主となって、宅建業者でない買主と宅地建物の売買契約を締結する場合、その目的物の契約不適合責任に関し、原則として、民法に規定するものより買主に不利な特約をすることは禁止されています(業法 40 条)。契約不適合責任を負うべき範囲を、建物の構造耐力上主要な部分の瑕疵等に限定することは、民法の規定よりも買主に不利な特約ですから、無効です ( 4 0 条 )。
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBと建物の売買契約を締結した場合おいて、売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任(以下この問において「契約不適合責任」という)について。
「契約不適合責任に関し、Bが不適合である旨をAへ通知する期間は建物の引渡しの日から1年間とする」旨の特約は無効であり、Bが不適合である旨をAに通知する期間は当該建物の引渡しの日から2年間となる。
誤り。 特約が無効となれば、民法が適用され、買主が知った時から1年以内に通知。
宅建業者が自ら売主となって、宅建業者でない買主と宅地建物の売買契約を締結する場合、その目的物の契約不適合責任に関し、買主が不適合である旨を売主に通知する期間について、その目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法の規定するものより買主に不利となる特約をすることはできません。本肢の「Bが不適合である旨をAへ通知する期間は建物の引渡しの日から1年間とする」旨の特約は無効となり、民法の規定が適用されることになります。すると、Bが不適合である旨をAに通知すべき期間は、「Bが不適合を知った時から1年」 となります(業法 40 条、民法 566 条)。
宅地建物取引業者Aは、自ら売主となって、買主Bと1億2,000万円のマンション(以下この問において「物件」という。)の売買契約(手付金 1,500 万円、中間金 4,500 万円、残代金 6,000 万円)を締結した。
Bが宅地建物取引業者でない場合、物件の建築工事完了前に契約を締結し、その引渡し及び登記の移転を残代金の支払いと同時に行うときは、Aは、当該手付金については、中間金を受け取る前に、手付金等の保全措置を講じなければならない。
誤り。 未完成物件で代金の5%超または 1,000 万円超の手付金→受領前に保全措置を講じる。
未完成物件の場合、代金の5%を超える、または 1,000 万円を超える額の手付金等を受け取る場合には、保全措置を講ずる必要があります(業法 41 条)。本問では手付金の額は 1,500 万円で あり、1,000 万円を超えているため、手付金を受け取る前に保全措置を講ずる必要があります。したがって、「中間金を受け取る前に、手付金等の保全措置を講じなければならない。」とする本肢は誤りです。
宅地建物取引業者Aは、自ら売主となって、買主Bと1億2,000万円のマンション(以下この問において「物件」という。)の売買契約(手付金 1,500 万円、中間金 4,500 万円、残代金 6,000 万円)を締結した。
Bが宅地建物取引業者でない場合、物件の建築工事完了後に契約を締結し、その引渡し及び登記の移転を中間金の支払いと同時に行うときは、Aは、当該手付金については、手付金を受け取る前に、手付金等の保全措置を講じなければならない。
正しい。 完成物件で代金の 10%超または 1,000 万円超の手付金→受領前に保全措置を講じる。
完成物件の場合、代金の 10%を超える、または 1,000 万円を超える額の手付金等を受領する場合には、保全措置を講ずる必要があります(41 条の2)。本問では手付金の額は 1,500 万円であり、1,000 万円を超えているため、手付金を受け取る前に保全措置を講ずる必要があります。した がって、本肢は正しい記述です。
宅地建物取引業者Aは、自ら売主となって、買主Bと1億2,000万円のマンション(以下この問において「物件」という。)の売買契約(手付金 1,500 万円、中間金 4,500 万円、残代金 6,000 万円)を締結した。
Bが宅地建物取引業者でない場合、宅地建物取引業者Cの媒介により、物件の建築工事完了後に契約を締結し、その引渡し及び登記の移転を残代金の支払いと同時に行うと きは、Cは、Aが中間金を受け取る前に、手付金等の保全措置を講じなければならない。
誤り。 保全措置を講ずる義務を負うのは、自ら売主となる宅建業者。 「手付金等の保全措置」は、「8種制限」の規定の一つです。8種制限の規定は、自ら売主となる宅建業者に適用されるものであり、媒介業者には適用されません(41 条の2)。したがって、本肢のCは保全義務を負いませんので、本肢は誤りです。
宅地建物取引業者Aは、自ら売主となって、買主Bと1億2,000万円のマンション(以下この問において「物件」という。)の売買契約(手付金 1,500 万円、中間金 4,500 万円、残代金 6,000 万円)を締結した。
Bが宅地建物取引業者である場合、物件の建築工事完了前に契約を締結し、その引渡し及び登記の移転を中間金の支払いと同時に行うときは、Aは、当該手付金については、 手付金を受け取る前に、手付金等の保全措置を講じなければならない。
誤り。 「8種制限」は、業者間取引では適用なし。
肢3でみたように、「手付金等の保全措置」は、「8種制限」の規定の一つです。8種制限の規定は、宅建業者間の取引においては適用されません(78 条)。したがって、本肢のAは保全義務を負いませんので、本肢は誤りです。