9. 放射線基礎医学 Flashcards
光電効果とは
X線が軌道電子にエネルギーを与え軌道電子から光電子が飛び出す現象
X線はすべてのエネルギーを軌道電子に与えて消滅。光電子が飛び出した後(電離)、外殻電子が内殻に落ちるときにX線が発生
光電効果:二次放射線
特性X線→散乱線に
光電効果:臨床的意義
原子番号の3乗に比例
低エネルギーほど起こりやすい
電離作用→生体反応
コンプトン効果とは
X線がそのエネルギーの一部を自由電子に与え、はじき出し(電離)、そのエネルギーを失って方向を変えて散乱する現象
コンプトン効果:二次放射線
散乱X線
コンプトン効果:臨床的意義
物質の密度に比例
高エネルギーほど起こりやすい
電離作用→生体反応(飛び出した電子は物質に吸収される)
X線を作る装置
X線管球(真空の陰極管)
X線管球の陰極フィラメントとターゲットの基礎材質
タングステン
X線管球の陽極
銅
X線管球の仕組み
タングステンフィラメントから発生する熱電子をターゲットに当てる
X線撮影条件の3要素
管電圧(kV):X線の線質を決定。高圧ほど透過性が高い
管電流(mA):照射線量を決定。
爆射時間(s):照射線量を決定。
X線撮影の濃度4段階
骨、水、脂肪、空気
X線の物理化学的作用
電離作用:物質の軌道電子を放出してイオン化
蛍光作用:ある種の物質から可視光を発生する
写真作用:X線フィルムを感光して黒化
X線吸収係数(µ)
µが大きいほど減弱が強く高濃度(白)
被写体の構成する物質の原子番号の3乗と密度(ρ)に比例
X線検査の分類
単純X線検査:造影剤を使用せず撮影する検査の総称
造影X線検査:造影剤を使用して特定の臓器、病変に的を絞って行う検査
造影X線検査をいつ使うか
単純X線検査で診断に必要な十分な濃度差が得られない臓器に対して使用
造影X線検査:造影剤の投与
経口、経静脈
造影剤が備えるべき条件
毒性が少ない
排泄が早い
造影効果が高い
安価である
造影剤の種類
陽性造影剤(白く見える) ・経口的:バリウム(消化管) ・経静脈:ヨード造影剤(尿路、胆道、心血管) 陰性造影剤(黒く見える) ・空気、炭酸ガス
ヨード造影剤の禁忌
ヨードアレルギー
甲状腺疾患の患者
ヨード造影剤の原則禁忌
一般状態が悪い患者
気管支喘息患者
重篤な心臓、肝臓、腎臓障害の患者
急性膵炎、多発性骨髄腫、褐色細胞腫
造影剤腎症
ヨード造影剤による腎機能障害
断層撮影はいつつかうか
ギブスをした状態で撮影(舟状骨骨折)
消化管造影の種類
上部消化管造影
小腸造影
注腸造影
上部消化管造影
胃粘膜の病変
バリウム
撮影方法:粘膜法、充盈像、二重造影法、圧迫法
充盈像とは
造影剤を充満させる方法
二重造影法とは
陽性造影剤と陰性造影剤を組み合わせて粘膜面を描出
注腸造影
腸管粘膜の病変を描出
陽性造影剤と陰性造影剤を組み合わせて造影
経肛門的にバリウムと空気を注入
DSAとは
Digital subtraction angiography
CTの基本原理
X線発生装置が身体の周りを360°回転しながらX線照射
断層画像を作成する
CT値の式
K((µt-µw)/µw) K:スケール因子(通常1000) µt:物質の減弱係数 µw:水の減弱係数 単位:HU(Hounsfield unit)
水のCT値
0
µt=µw
空気のCT値
-1000
µt=0
CT組織吸収値(骨皮質、甲状腺、肝臓、水、脂肪、空気)
骨皮質:+1000 甲状腺:80~100 肝臓:50~75 水:0 脂肪:-100~0 空気:-1000
CT画像の表示法
ウィンドウ幅(WW):表示範囲
ウィンドウレベル:ウィンドウ幅の中央値(高い→画像が黒くなる)
CT装置の種類
従来のCT:1スライス毎に寝台の移動と停止を繰り返す
ヘリカルCT:連続回転する線源の中を寝台を一定速度で動かし続ける
多列CT:X線を扇状に照射し、対側の検出器を細分割して多列化したCT
CTの特徴
再構成画像
良好なコントラスト分解能
障害陰影のない人体横断増
CTの応用
CT血管造影
ミエロCT(髄腔で脊柱管狭窄評価)
DIC-CT(胆道系)
CTガイド下穿刺
CTの3次元表示法
最大値造影
表面表示法
ボリュームレンダリング
最大値造影(Maximum Intensity Projection:MIP)
3次元的に得られたボリュームデータを任意の方向に投影する際、その投影線上で最も高いCT値のボクセル値を投影方向と垂直な面に投影して2次元の画像として表示
血管連続性
深さの情報なし
表面表示法(Shaded Surface Display:SSD)
CT値による被写体の情報から、目的とする構造の表面位置を閾値により認識し、その表面情報から3次元画像を作成
静止画像で立体的な形態の把握可能
処理時間が短い
構造の区別が不可能
ボリュームレンダリング(Volume Rendering:VR)
表面情報だけでなく、内部情報も含めて3次元画像を作成
特定の範囲のCT値に透明度を設定し、表面と内部の情報を透かして表示
多段面再構成法(Multi-planar Reconstruction:MPR)
連続する2次元画像を積み重ねて任意の断面の画像を作成する方法
MRIとは
Magnetic Resonance Imaging
磁気共鳴画像診断装置
MRIの被曝の有無
なし
MR Angiography(非造影)とは
止まっている組織と流れ込んでくる血流の信号差を画像化する
組織→電波当たり続ける→低信号
血流→電波当たっていない→高信号
血管撮影の種類
非造影:頭頸部
造影:Gd造影剤の急速静注(頸部、体幹部、四肢末梢)
MRI画像の種類
T1強調画像
T2強調画像
T1強調画像(水、脂肪、その他)
水:低信号
脂肪:高信号
その他:造影
T2強調画像(水、脂肪、その他)
水:高信号
脂肪:中〜高信号
その他:Hydrography
MRI脂肪抑制
脂肪の信号をなくす撮影法(T1、T2)
MRIの磁場
1.5T~3.0Tの磁場を使用
MRIの電波(Radio Frequency、RF)
RFコイルをMR信号の受信に使用
MRIの傾斜磁場
位置の情報を得るために、瞬間的に磁場を変化させる
MRIの禁忌事項
MR対応心臓ペースメーカー以外のペースメーカー装着者の入室
磁性体の頭蓋内動脈瘤クリップ装着者の入室
T1緩和
縦方向(磁場に平行)の磁化が元に戻る現象
T1値
T2緩和
横方向(磁場に垂直)の磁化が元に戻る(なくなる)現象
T2値
ケミカルシフト
水素原子がどんな分子に結合しているかによって共鳴周波数が変化する
Diffusion Imaging
脳脊髄液:等方性
線維:異方性
圧電効果/逆圧電効果
水晶の結晶を圧縮すると静電電圧が生じ、逆に、電場を加えると結晶がある特定な方向に伸びたり、 縮んだりする現象
人間の可聴域
周波数(振動数) 20~20,000Hz までの音波
超音波とは
周波数(振動数) 20,000Hz以上の音波
核医学とは
放射性医薬品、非密封放射性同位元素を用い病期の診断や治療を行う医学の一分野である
In vivo体外計測(核医学)
診断には放射性医薬品を投与し特定の臓器や組織に取り込まれる様子を、そこから放出する放射線を特別なカメラで測定し、その分布を画像にする
→シンチレーションカメラ、シンチスキャナ
In vivo試料計測(核医学)
便、尿、血液への移行量を測定する
→シンチレーションカウンタ
In vitro(核医学)
血液サンプルよりホルモンなどの極微量の物質量を測定する
→シンチレーションカウンタ
Scintillationとは
放射性物質の放散する粒子が物体に当たる時に発する光
α壊変
ヘリウム核
β壊変
電子
α線はβ線より、
・飛程が短い(腫瘍線量が高く、正常組織線量が低い)
・生物学的効果比が高い(DNAを高頻度で切断)
・酸素効果が低い(低酸素状態の癌細胞に有効)
・細胞周期依存性が低い
γ壊変
電磁波
透過性が高い
半減期の種類
物理的半減期Tp:壊変による
生物学的半減期Tb:生物学的過程による