8. 中毒学 Flashcards
急性中毒の定義
短時間に十分量の化学物質が生体に作用し、生体の機能が一過性ないし永久的に障害された状態
急性中毒の時間的オーダー
分・時間・日
急性中毒の指標
50%致死量(LD50)、中毒症状
慢性中毒の定義
比較的微量の化学物質に生体が繰り返し曝露されることによって生体機能が変化し、それに対する種々の有害な反応がみられる状態
慢性中毒の指標
耐容一日摂取量(TDI)、実質的安全量(VSD)、中毒症状
中毒による死亡原因No.1と2
- 一酸化炭素中毒
2. 農薬中毒
中毒死者の起因物質とその内訳
一酸化炭素>農薬>医薬品>工業用品>家庭用品>自然毒>その他
急性中毒の主な共通症状
- 胃腸症状→腹痛、嘔吐、下痢、吐血、下血
- 呼吸循環器症状→呼吸困難、不整脈、血圧低下、ショック、チアノーゼ、心不全
- 神経症状→けいれん、意識レベルの低下~昏睡
無機鉛中毒:侵入経路
経気道(粉じんまたはヒューム)が主、他に経口。
経皮は(-)、骨に蓄積
無機鉛中毒:機序
ポルフィリン代謝において、ポルフィリン合成酵素の‐SH基に鉛が結合することにより酵素活性が低下し、ヘム合成障害を来す
無機鉛中毒:診断の指標6つ
尿中ALA増加 赤血球ALA-D活性低下 尿中コプロポルフィリン(CP)増加 赤血球PP増加 血清鉄増加 貧血
無機鉛中毒:典型症状
鉛蒼白(貧血)、鉛縁(歯肉)、鉛疝痛、伸筋麻痺、鉛脳症
小児無機鉛中毒
- 鉛脳症(encepharopathy) →中枢神経障害
- 鉛縁(lead line) →骨端の発育部(メタフィーゼ)にPbSが沈着
- 異食症(Pica)
日本の鉛中毒診断(労災認定)基準
血中鉛濃度60μg/dl以上
無機鉛中毒の治療
- CaNa2EDTA(エダタミール、エディテート)の筋注・静注
2. BALの静注(腎障害の有無を検査した上で)、D-ペニシラミンの経口投与
無機鉛中毒の予防
「鉛中毒予防規則」に基づく換気設備等の労働衛生管理
有機鉛(アルキル鉛):侵入経路
経気道的(常温で気化しやすい)または経皮的侵入
有機鉛(アルキル鉛):機序
脂溶性なので血液脳肝門を通過し、中枢神経症状を来す
有機鉛(アルキル鉛):症状
数日の潜伏期の後、中枢神経症状(特に、精神症状)が主症状
有機鉛(アルキル鉛):予防
『四アルキル鉛中毒予防規則』に基づく衛生管理
カドミウム中毒:侵入経路
経気道(職業性曝露はカドミウムのヒュームを吸入することのみ)
カドミウム中毒:機序
標的臓器は肺、腎臓、骨。腎では、近位尿細管上皮に蓄積し腎障害を来す
カドミウム中毒:急性症状
インフルエンザ様症状→肺水腫→間質性増殖性肺炎(吸入後4~48時間後に発生)
⇒死亡 (潜伏期があるので数日間の監視)
・金属熱
カドミウム中毒:慢性症状
肺気腫
腎障害→Fanconi症候群
腎性骨軟化症
歯牙のカドミウム輪(黄色環)
金属水銀:特徴
常温で液体
金属水銀:侵入経路
経気道(金属水銀は常温では液体で蒸発しやすいため)
金属水銀:機序
体内に入った金属水銀は、一部はHg2+に酸化され近位尿細管上皮を傷害し腎障害を来たす。またHg0のまま赤血球に取り込まれ血液脳関門を通過して中枢神経症状を来す
金属水銀:急性症状
急性肺炎
肺水腫
治癒しても肺線維症が残ることがある
水銀縁(急性>慢性)
金属水銀:慢性症状
企図振戦
消化器系の障害
水銀性神経過敏症
無機水銀:特徴
常温で固体
無機水銀:侵入経路
経気道(加熱時に蒸気化した水銀を吸入)、経口(通常、自殺や誤飲)
無機水銀:機序
経気道と経口摂取により吸収され、強い粘膜腐食作用と腎障害を来す
無機水銀:症状
腐蝕作用
急性腎不全
無機水銀:早期発見の検査
アトキンソン徴候
水晶体前嚢に暗褐色の色素沈着
無機水銀となり腎障害を生じる有機水銀
アリル水銀・アルコキシアルキル水銀
低級アルキル水銀
メチル水銀、エチル水銀
アルキル水銀化合物による中毒:侵入経路
経口・経気道・経皮
アルキル水銀化合物による中毒:機序
アルキル水銀は、血液脳関門を通過し、酵素などのSH基と結合し、中枢神経症状を発現させる
アルキル水銀化合物による中毒:症状
中枢神経障害
Hunter-Russel症候群
Hunter-Russel症候群の症状5つ
① 四肢末梢および口囲の知覚異常 ② 求心性視野狭窄 ③ 小脳性失調症 (協同運動失調、平衡障害) ④ 構音障害 ⑤ 聴力障害 (難聴)
アルキル水銀化合物による中毒:早期発見の検査
血中尿中水銀量
☆毛髪中水銀量
ヒ素中毒:毒性
3価>5価
無機ヒ素>有機ヒ素
慢性ヒ素中毒が有名な鉱山
土呂久鉱山(宮崎県)
笹ヶ谷鉱山(島根県)
ヒ素中毒:侵入経路
経口・経気道、まれに経皮的
ヒ素中毒:機序
SH系酵素阻害作用
ヒ素中毒:症状6つ
皮膚癌 鼻中隔穿孔 肺癌 末梢神経炎 肝血管肉腫 膀胱癌
ヒ素中毒:早期発見の検査
ヒ素の定量
ヒ化水素中毒:症状
溶血性貧血
急性腎不全
肺水腫
クロム中毒:毒性
6価>3価(必須微量元素)
クロム中毒:侵入経路
経口・経気道・経皮
クロム中毒:機序
6価クロム化合物による障害は多岐にわたる(アレルギー作用、粘膜腐食作用など)
3価が最も安定で、6価化合物は容易に還元されて3価になる
クロム中毒:症状
皮膚潰瘍
鼻中隔穿孔
肺癌
クロム中毒:早期発見の検査
尿中クロム量
マンガン中毒:侵入経路
経気道(粉じんやヒューム)
マンガン中毒:機序
大脳基底核に蓄積して変性をきたす
マンガン中毒:症状
・精神症状が神経症状に先行
・Parkinson症候群(四肢振戦、小書症、突進症、歩行障害、仮面様顔貌(マンガン顔貌))
・マンガン肺炎(難治性肺炎)→近年、発症なし
マンガン中毒:早期発見の検査
血中マンガン定量
ベリリウム中毒:病変
肉芽性病変(ベリリオーシス)
ベリリウム中毒:侵入経路
経気道・経皮・経口
ベリリウム中毒:急性症状
皮膚潰瘍、角膜潰瘍、肺水腫
ベリリウム中毒:慢性症状
ベリリウム肺(肺に肉芽腫性病変→肺線維症)
バナジウム:主要症状
舌の緑変
ニッケル、ニッケルカルボニル:主要症状
肺癌・上気道癌(慢性)
タリウム:主要症状
中枢神経障害、末梢神経障害、肝・腎障害、脱毛
金属熱:機序
ヒューム (0.01-1μm) を大量に吸入すると、傷害を受けた肺組織の変性蛋白が血中に入り、抗原抗体反応、あるいはアレルギー性の機序を介して発熱
(酸化鉄はまれ)
有機溶剤とは
他の物質を溶かす性質を持つ有機化合物の液体全般を指す
有機溶剤の毒性に係る一般的性質
- 揮発性(経気道的に吸収されやすい)
- 脂溶性(経費的吸収あり)
- 引火性
有機溶剤:ベンゼンの機序
骨髄を無形成の脂肪髄化し造血障害(白血病、再生不良性貧血)
有機溶剤:ベンゼンの検査
尿中フェノール
有機溶剤:トルエン・キシレンによる障害
低濃度の長時間暴露で造血障害
有機溶剤:トルエン・キシレンの検査
尿中馬尿酸(トルエン)、メチル馬尿酸(キシレン)
有機溶剤:トルエン・キシレンの症状
中枢神経障害
有機溶剤:メタノール、酢酸メチルの機序
体内でホルムアルデヒド→蟻酸を生じ、視神経障害を起こす
有機溶剤:二硫化炭素、酢酸メチルによる症状
動脈硬化亢進→冠動脈・脳血管疾患
眼底検査で微細動脈瘤を認めることがある
有機溶剤:ノルマルヘキサンによる症状
多発性神経炎
有機溶剤:ノルマルヘキサンの検査
2,5-ヘキサンジオン
有機溶剤:トリクロロエチレンの検査
トリクロロ酢酸、総三塩化物
有機溶剤:スチレンの検査
マンデル酸
シアン化水素:機序(硫化水素も同じ機序)
電子伝達系で呼吸酵素のチトクロームオキシダーゼとシアンイオンが結合し、化学的窒息として機能障害が起こる
シアン化水素:症状
皮膚の紅潮(チアノーゼの出現は見られない)
シアン化水素:治療
・酸素吸入
・亜硝酸アミルの吸入と亜硝酸ナトリウムとチオ硫酸ナトリウムの静注
・ヒドロキソコバラミンの投与
シアン化水素:亜硝酸アミルの作用
HbのFe2+を酸化
シアン化水素:亜硝酸ナトリウムの作用
メトヘモグロビンFe3+を形成させて競合させる
シアン化水素:チオ硫酸ナトリウムの作用
シアノメトヘモグロビンから解離したCNと結合してチオシアン酸塩生成
二酸化窒素の症状
遅発性肺水腫
メトヘモグロビン血症
フッ化水素:慢性症状
歯牙異常(斑状歯)
骨硬化症
ニトログリコール:機序
血管拡張作用
ニトログリコール:症状
急性:血管拡張作用による頭痛や起立性低血圧
慢性:狭心症様発作
塩化ビニルモノマー:症状
肝血管肉腫
パラコート:機序
活性酸素の作用で各種臓器に細胞障害
有機リン剤中毒:機序
アセチルコリンエステラーゼの阻害
有機リン剤中毒:症状
中枢神経系症状
ムスカリン様作用
ニコチン様作用
カルバメート中毒:機序
アセチルコリンエステラーゼの阻害
カルバメート中毒:検査
血清コリンエステラーゼ低下
カルバメート中毒:PAMの使用
無効
PAMにはカルバメートとChEの結合解離作用がない
職業がんの特徴4つ
- 発症年齢が若年
- 潜伏期間が長い
- 離職後にも発症の可能性あり
- 一般的ながんと臨床・病理は同じ
薬物依存の2種類
精神依存(渇望)
身体依存(離脱症状、禁断症状)
急性中毒と慢性中毒の違い
急性中毒:一回投与による作用
慢性中毒:6ヶ月以上の長期間の反復投与
覚醒剤の例
アンフェタミン
メタンフェタミン
覚醒剤原料の例
エフェドリン
クロロエフェドリン
ジメチルアンフェタミン
覚醒剤によるフラッシュバック現象
幻聴、幻覚
飲むと尿の簡易検査キットで覚醒剤の偽陽性を示す漢方薬
麻黄を含む漢方薬
メタンフェタミンの代謝
一部アンフェタミンになる
覚醒剤中毒の剖検所見
高い直腸温
るいそう(著しく痩せた状態)
肺水腫
注射針痕
アヘンアルカロイド系麻薬の例
モルヒネ
コデイン
ヘロイン
アヘンアルカロイド系麻薬の作用
中枢神経抑制作用
コカアルカロイド系麻薬の例
コカイン
コカインの特徴
鼻や喉の局所麻酔剤として使われる
精神的依存性が強いが、身体的依存はない
中枢神経興奮作用
合成麻薬の例
LSD、MDMA
合成麻薬の特徴
耐性ができやすい
LSDの特徴
LSDとその塩類は麻薬に指定されている
精神的依存性があるが、身体的依存はない
Date-rape-drugの例
フルニトラゼパム
原因物質判定のヒント:多汗
有機リン
原因物質判定のヒント:振戦
ニコチン、有機リン
原因物質判定のヒント:縮瞳
有機リン、麻薬
原因物質判定のヒント:散瞳
ニコチン、ドリン剤、シアン
原因物質判定のヒント:流涎
有機リン、水銀、ニコチン、有機フッ素、タリウム、ヒ素
リンちゃんが水のようなよだれをヒフッとニコニコ笑いながらたらしている
原因物質判定のヒント:ニンニク臭
黄リン、ヒ素、タリウム
原因物質判定のヒント:フェノール臭
クレゾール
原因物質判定のヒント:ピリジン臭
ニコチン
原因物質判定のヒント:アーモンド臭
シアン
原因物質判定のヒント:不整脈
フルオロ酢酸、シアン、亜ひ酸、ニコチン、黄リン、パラコート、有機フッ素、トリカブト
トリであひるのリンちゃんはパリシアンでドキドキしてもフッっとニコニコする
原因物質判定のヒント:低血糖
フルオロ酢酸、黄リン、有機フッ素、トリカブト
トリが砂糖とフルーツをキリンにあげてフッと笑った
原因物質判定のヒント:末梢神経炎・障害
タリウム、亜ひ酸
原因物質判定のヒント:昏睡+けいれん
有機リン、シアン、フルオロ酢酸、ニコチン、クレゾール、黄リン
ねてふるえるキリンのリンちゃんはフルーツをクレとニコニコしていってシェアした
原因物質判定のヒント:昏睡+脱力
タリウム、トリカブト
ねたりぼーっとしたりするのはカブトムシ
原因物質判定のヒント:肝腎障害
亜ひ酸、水銀、タリウム、黄リン、パラコート
肝心なのはあひるとキリンが水をセパレートして飲んだりすること
金属熱:症状
2~8時間の潜伏期
多核白血球増多、インフルエンザ様症状
インジウム慢性中毒
間質性肺炎
キレート適応金属
鉛、水銀、ヒ素、銅
覚醒剤の尿による検出期間
アルカリ性尿:1週間
酸性尿:1~2日
1,2-ジクロロプロパンによる職業癌
胆管癌
ベンジジン、オルト-トルイジンによる職業癌
膀胱癌
石綿による職業癌
肺癌
ベンゼンによる職業癌
骨髄障害、白血病
膀胱癌の原因になる物質
β-ナフチルアミン
ベンジジン
オーラミン
皮膚癌の原因になる物質
ヒ素
白血病の原因になる物質
ベンゼン
肺癌の原因になる物質
ヒ素 クロム ビス(クロロメチル)エーテル 石綿(アスベスト) コークス
中皮腫の原因になる物質
石綿(アスベスト)
肝血管肉腫の原因になる物質
塩化ビニルモノマー
中毒を疑うべき時4つ
急激な重篤症状
説明不能な所見
集団発生
多臓器障害
中毒のプライマリケアの最後
リハビリテーション
再発防止
精神的管理
管理濃度の意味
有害物質を取り扱う作業場の空気環境の状態が良好かどうかを判断する指標として、物質ごとに定められている濃度
法的拘束力あり→管理区分を決定する
許容濃度の意味
通常業務がこれ以下であれば労働者に健康障害を起こさないと考えられる濃度
法的拘束力はない
大麻取締法
大麻草およびその製品(大麻草の成熟した茎およびその製品、大麻草の種子及びその製品は対象外)
大麻
精神的依存、耐性あり、身体依存なし
脳に対して抑制性
指定薬物が規制されている法律
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
薬物四法
麻薬及び向精神薬取締法
あへん法
大麻取締法
覚せい剤取締法
金属熱の対処法
曝露からの離脱
コリンエステラーゼ阻害剤に対する治療
アトロピン
鉛が阻害するもの
ALA脱水酵素(ALA-D産生阻害)
へム合成酵素阻害(血清鉄増加)
有機リン剤中毒の治療法
PAM