13. 細菌・真菌と感染 Flashcards
細菌の特徴
核膜(あるいは核)を持たない原核生物
→核様体
L-form:エルフォーム
通常は細胞壁を持つ細菌でも、特殊な環境下で生育した場合に細胞壁を持たない
リボソームが70Sなのは、、
古細菌、真正細菌
膜脂質がエーテルなのは、、、
古細菌
らせん菌の名前(1回転、2回転、3回転)
1回転:ー
2回転:カンピロバクター
3回転:スピロヘータ
グラム染色で陽性菌と陰性菌の染色が変わるポイント
エタノールによる脱色
→陰性菌のみ脱色される
グラム陽性菌の特徴
細胞質膜を一つもち、その外側に「ペプチドグリカン層」を主体とする細胞壁を有する
細胞壁に含まれる物質
ペプチドグリカン
タイコ酸
タンパク質
グラム陰性菌の特徴
細胞膜の外側に膜構造
二つの膜の間:ペリプラズム
リポ多糖(LPS)とは
グラム陰性菌の外膜に存在
リポ多糖LPSの生物活性
- 内毒素(endotoxin:積極的に分泌されない毒素)として発熱やショック作用がある。(耐熱性)
- 菌体の抗原性(O抗原)を決めている。
- バクテリオファージの受容体となる。
壁タイコ酸とリポタイコ酸の違い
・壁タイコ酸は、結合ユニット末端のNアセチルグルコサミンがペプチドグリカンのNアセチルムラミン酸に共結合することで、細胞壁に結合
・リポタイコ酸は、末端に存在する糖脂質の脂質部分が細胞膜に埋め込まれることで細胞膜と結合
保有すると食細胞に貪食されにくいもの
莢膜
粘液層
粘液層を持つ細菌
緑膿菌
莢膜を持つ細菌
黄色ブドウ球菌、レンサ球菌、大腸菌、クレブシエラ、髄膜炎菌、炭疽菌、ペスト菌(エンベロープ)
線毛の種類と機能
性線毛(接合線毛):伝達性プラスミドを他の菌に移行させる
付着線毛:動物等の宿主組織(細胞)に付着するときに機能する
大腸菌などの鞭毛の回転運動に主に使われるもの
プロトン駆動力
Ⅲ型分泌装置とは、持っている細菌
病原因子(エフェクター)を宿主細胞に注入する
腸管出血性大腸菌、赤痢菌、チフス菌など、様々な病原性グラム陰性菌
芽胞とは、細菌種
・芽胞は代謝活性のない休眠状態の菌で、熱・乾燥に高い抵抗性を示す
・バチルス属やクロストリジウム属など一部のグラム陽性菌が生育条件の悪いときに形成
シータ型複製
大腸菌の複製方法
プラスミドとは
・染色体とは別に複製可能な二本鎖環状DNA
・生存に不可欠ではない
接合とは
菌体と菌体が接触し、供与菌(donor)から受容菌(recipient)へ遺伝子の移行が起こる現象。
接合プラスミドと性線毛が重要
形質導入とは
細菌の染色体の一部がバクテリオファージによって一つの細菌細胞から他の細菌細胞に運び込まれ、運び込まれた遺伝子による新しい形質がその細胞に生じる現象
形質転換とは
外来のDNA分子が直接細菌に入り、運び込まれた遺伝子による新しい形質がその細胞に生じる現象。
外来遺伝子に対する防御戦略2つ
- 制限修飾系
2. クリスパー
エネルギー源による分類
光:光合成細菌
化学物質:化学合成細菌
エネルギー調達で使われる電子供与体による分類
無機物質:無機酸化細菌
有機物質:有機酸化細菌
菌体成分の合成に使われる主炭素源による分類
無機炭素化合物(CO2):独立栄養細菌
有機化合物(糖・脂肪酸・アミノ酸):従属栄養細菌
酸化反応で生じる水素(もしくは電子)の受容体(発酵、好気呼吸、嫌気呼吸)
発酵:有機物
好気呼吸:酸素
嫌気呼吸:無機化合物
好気呼吸・嫌気呼吸・発酵のすべてにおいて共通の経路
EM経路(グルコース→ピルビン酸)
Embden-Meyerhof (EM) 経路とは
リン酸基の転移反応によるATPの合成
EM経路のグルコース1分子あたりの合成量
ATP2分子
NADH2分子
ピルビン酸2分子
TCA回路(クエン酸回路)で合成されるもの
3CO2, 4NADH, FADH2, GTP
発酵とは
EM経路などで生じたNAD(P)Hをピルビン酸の還元により再生する経路
両性代謝経路
異化代謝経路であるEM経路やTCA回路は還元力とATPを産生するが、その中間代謝物は同化代謝において生合成の重要な素材となる
異化と同化の両方に使われる代謝経路
同化的硝酸還元
硝酸レダクターゼにより硝酸イオンを亜硝酸イオンに還元し、さらに亜硝酸レダクターゼにより亜硝酸を還元してアンモニアを生成
窒素固定
分子状窒素からアンモニアを生成
同化的硫酸還元
殆どの細菌がS源としてSO42-を利用する
ブドウ球菌とレンサ球菌の共通点
グラム陽性球菌
無芽胞
通性嫌気性
ブドウ球菌とレンサ球菌の違い
レンサ球菌:カタラーゼ陰性
ブドウ球菌:カタラーゼ陽性
ブドウ球菌の特徴(栄養、温度、その他特徴2個)
・有機栄養
・至適生育温度:35~40℃(20℃近くでも生育可能)
・塩耐性(10% NaCl存在下で生育可能)
・ペプチドグリカンが強固でリゾチームで溶菌しない
ブドウ球菌のペプチドグリカンの架橋構造
ペンタグリシン
ブドウ球菌を溶菌させる物質
グリシン間の結合を切る酵素リゾスタフィン
黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、腐性ブドウ球菌のなかで黄色ブドウ球菌のみが持つ性質
マンニット分解性
コアグラーゼ産生
Protein A
マンニット食塩寒天培地(選択培地)の特徴
・耐塩性の菌のみを選択的に培養する
・マンニトールを分解して有機酸を生成する菌が生育した場合、培地の色が赤(中性)から黄色(酸性)
卵黄加マンニット食塩寒天培地(選択培地)での黄色ブドウ球菌
リパーゼやレシチナーゼ(ホスホリパーゼ)を産生するため、コロニーの周囲に真珠様光沢リングを形成し、コロニー底部や周囲が白濁
黄色ブドウ球菌の病原因子(毒素)
・赤血球を破壊する溶血毒素(ヘモリジン) ・白血球を破壊するロイコシジン ・毒素性ショック症候群毒素TSST-1 ・腸管毒エンテロトキシンSE ・表皮剥脱毒素ET
ヘモリジンの種類
α毒素(Hla)、β毒素(Hlb)、γ毒素(HlgAとHlgB)、δ毒素(Hld)
ヘモリジンα毒素とは
細胞膜穿孔毒素
ヘモリジンβ毒素とは、特徴
ホスホリパーゼC
細胞膜を構成するリン脂質を加水分解
37℃で赤血球に吸着し、4℃で溶血させるため、37℃で培養しても溶血環は観察されず、冷蔵庫に入れると溶血
ヘモリジンγ毒素とは
2成分の膜穿孔毒素
ヘモリジンδ毒素
界面活性作用
ロイコシジンとは
2成分の膜穿孔毒素でLukSとLukFというタンパク質が複合体を形成して白血球の細胞膜に穴を空ける
toxic shock syndrome(TSS)の原因
黄色ブドウ球菌の毒素性ショック症候群毒素TSST-1
黄色ブドウ球菌による食中毒の原因
腸管毒エンテロトキシンSE(耐熱性のタンパク質)
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)の原因
表皮剥脱毒素ET(デスモグレイン1(Dsg-1)特異的なセリンプロテアーゼ)
黄色ブドウ球菌が放出するスーパー抗原
・毒素性ショック症候群毒素TSST-1
・腸管毒エンテロトキシンSE
スーパー抗原とは
TCRβ鎖とMHCクラスⅡ分子を架橋することで、T細胞の約10%を活性化
→異常な免疫反応が惹起されることにより全身症状(ショック症状)
黄色ブドウ球菌の病原因子(細胞外酵素)
コアグラーゼ:プロトロンビン結合タンパク質
ヌクレアーゼ:耐熱性の核酸分解酵素
コアグラーゼの作用
プロトロンビンに結合し、スタフィロトロンビンと呼ばれる複合体を形成
→フィブリノーゲンを部分的に切断する活性をもち、それによりフィブリンを生じる
→フィブリンは水溶性が低く凝固
黄色ブドウ球菌のProtein Aとは
IgGのFc部分に結合することでIgGを捕捉し、抗体としての機能を阻害
バイオフィルム Biofilmとは、なぜ感染症で問題なのか
固体表面に形成される微生物の集合体であり、菌が自身の産生する多糖・タンパク質・細胞外DNAなどから構成されるマトリクスに覆われながら作られる
バイオフィルムの内部の菌は、抗菌薬や免疫の働きに対して高い耐性を示す
黄色ブドウ球菌感染症
皮膚化膿症(90%が黄色ブドウ球菌、 深在性化膿症 水泡性膿痂疹 毒素性ショック症候群TSS 食中毒
皮膚化膿症の分類
毛包炎:表層
→癤(せつ):真皮から皮下組織の一部に及ぶ
→廱(よう):複数の癤が集簇し膿瘍になったもの
→蜂窩織炎(ほうかしきえん):皮下組織にまで及ぶ
深在性化膿症が原因となるもの
肺炎・骨髄炎・中耳炎・副鼻腔炎・心内膜炎・髄膜炎などの原因となる
水泡性膿痂疹
表皮剥奪毒素(ET: exfoliative toxin)による小児の皮膚感染症
表皮ブドウ球菌S. epidermidisの特徴4つ
・代表的なCNS(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌)
・表皮・鼻腔の常在菌: 保有率100%
・黄色ブドウ球菌に比べ、保有する病原因子は少ない。
・院内感染の起炎菌
表皮ブドウ球菌の感染症
人工弁の心内膜炎、腹膜透析関連の腹膜炎、人工関節関連感染症、尿路感染症、血流感染など
表皮ブドウ球菌の感染経路
・術後創傷部位
・体内留置型医療デバイスに形成されたバイオフィルム(カテーテル、人工弁、人工関節、ペースメーカーなど)
尿路感染症の原因となるブドウ球菌
腐性ブドウ球菌S. saprophyticus
泌尿器や女性生殖器の細菌叢に一過性に少数存在
レンサ球菌の特徴(栄養、温度、その他特徴1個)
・有機栄養(ATP合成のエネルギー源が有機化合物)
・乳酸発酵(いわゆる乳酸菌の一種)
・至適生育温度:おおよそ37℃
レンサ球菌の分類
・6群(6 groups)
・ランスフィールド抗原
α溶血、β溶血、γ溶血それぞれの意味
部分溶血、完全溶血、溶血なし
化膿レンサ球菌Streptococcus pyogenesの特徴(ランスフィールド抗原、溶血性、バシトラシン感受性)
ランスフィールド抗原:A
溶血性:β
バシトラシン感受性:S
化膿レンサ球菌の同定
ランスフィールド抗原がA群であれば化膿レンサ球菌(S. pyogenes)であることが多いが、β溶血性でバシトラシン感受性があれば化膿レンサ球菌であると断定
アガラクチア菌(S.agalactiae)の同定
ランスフィールド抗原がB群で馬尿酸分解性がある
肺炎球菌(S.pneumoniae)の同定
α溶血性でオプトヒン感受性がある
化膿レンサ球菌の主要な病原因子6つ
・ストレプトリジンO(SLO) ・ストレプトリジンS(SLS) ・ストレプトキナーゼ ・リポタイコ酸 ・Mタンパク質 ・Streptococcus pyogenic exotoxin (Spe)
GAS感染の血清診断上重要なもの(ピーク)
抗ストレプトリジンO抗体の抗体価(ASO価)
GASが感染した場合、1週後くらいから抗体価が上昇し始め、3~5週間でピーク
ストレプトキナーゼの作用(同様の活性をもつ物質)
フィブリンを分解することで血液凝固を阻害する機能
(黄色ブドウ球菌が産生するスタフィロキナーゼも同様の活性)
Mタンパク質とは
宿主の細胞外マトリクスへの結合に寄与する定着因子
抗原性を示す
抗貪食作用や多核白血球中での抗殺菌作用
化膿レンサ球菌発熱毒素(Spe)
スーパー抗原活性
発熱毒素
化膿レンサ球菌感染症(急性感染症)
・咽頭炎 ・膿痂疹 ・蜂巣炎(蜂窩織炎) ・丹毒 ・猩紅熱 ・劇症型溶血性レンサ球菌感染症
劇症型溶血性レンサ球菌感染症とは
急速に多臓器不全に進行するβ溶血性を示すレンサ球菌による敗血症ショック病態
化膿レンサ球菌感染症:急性感染症の特徴
致死率高い
化膿レンサ球菌感染症(続発性感染症)
・糸球体腎炎
・リウマチ熱
リウマチ熱の再発傾向が高い理由
Mタンパク質やA群抗原多糖体などのGASの成分がヒトのタンパク質(ミオシン、トロポミオシンなど)と共通の抗原性を持つため、GASに対する抗体がヒトのタンパク質にも反応することが原因
肺炎球菌の特徴6つ(どんな細菌か、形、溶血性、ランスフィールド抗原、薬剤感受性、膜穿孔毒素)
・咽頭上皮・上気道常在菌 ・形態: 遠位端がやや尖った(ランセット型)双球菌状が多い。 ・α溶血性 ・ランスフィールド抗原: なし ・薬剤感受性: オプトヒン感受性 ・膜穿孔毒素: pneumolysin(streptolysinに類似)
肺炎球菌感染症の主な感染症
・肺炎
・中耳炎(幼児、小児)
・髄膜炎(成人)
・劇症型(全身性)感染症
肺炎球菌の型
莢膜を持ち病原性の高いS型
莢膜を持たず病原性の低いR型
アガラクチア菌の特徴8つ(形、溶血性、ランスフィールド抗原、分解性、培養、テスト方法、莢膜、生息場所)
・双球菌または短鎖状集合体 ・β溶血性 ・ランスフィールド抗原: B群 Group B Streptococcus (GBS) ・馬尿酸分解性 ・胆汁酸入り培地で増殖する ・CAMPテスト陽性 ・病原性株には莢膜あり(9タイプの血清型) ・咽頭・腸管・膣に常在している
CAMPテストとは
アガラクチア菌が産生するCAMP因子が黄色ブドウ球菌のβ毒素によるヒツジ赤血球の変化を完全溶血にまで進めることを利用した反応
口腔レンサ球菌の特徴(常在場所、感染症、ランスフィールド抗原、培地)
・上気道、口腔内に常在するレンサ球菌群
・う蝕の起炎菌が多く、時に亜急性心内膜炎を引き起こす
・ランスフィールド抗原がないものが多い
・菌の分離にはMS培地(Mitis-Salivarius培地)が用いられる
エンテロコッカス属 enterococciの特徴5つ
・ホモ乳酸発酵を行う ・D群抗原性を示す ・腸球菌とも呼ばれる ・胆汁耐性 ・バンコマイシン耐性腸球菌(VRE, vancomycin-resistant enterococci)による院内感染が問題
抗酸菌とは、代表
細菌染色時に、酸、アルコールといった脱色剤により脱色されない細菌
抗酸菌の染色
Ziehl Neelsen染色
結核菌の形態
・桿菌
・鞭毛、芽胞、莢膜なし
結核菌の小川培地での集落形成にかかる時間
3~8週間でR型の集落を形成
結核菌の感染様式
飛沫核感染(空気感染)
結核菌の感染症法
2類感染症
結核とTNF-αの関係
TNF-α阻害剤が再燃と関連
結核の初期変化群(試験など)
結核免疫の成立
ツベルクリン反応陽性
IGRA(interferon γ release assay)陽性
潜在性結核(LTBI)
結核に感染しているが発病していない状態(休止菌の状態)
一次結核
初感染に引き続き病変が進展し発病する結核
肺初感染原発巣が局所で拡大
(リンパへ進展、胸膜炎、粟粒結核)
二次結核
初感染後、結核菌を封じ込めることができても一部の菌がpersisterとして生き続け、高齢、免疫低下などをきっかけに内因性再燃が起こる
結核画像所見
上肺野優位
コントラストのはっきりした粒状影
空洞形成
結核胸部CT所見
気道散布性粒状影
リンパ管に沿った粒状影
結核の細菌検査
喀痰検査(同定、感受性)
結核の病理所見
乾酪壊死を伴う類上皮細胞性肉芽種
結核診断
抗酸菌検査
画像所見
IGRA検査
炎症反応(CRP、血沈)
肺結核初回治療例の標準的治療法
RFP+ INH+ PZAに EB(またはSM)の4剤併用で初期強化で2カ月間治療後
維持期:RFP+ INHを4カ月継続
全治療期間6カ月(180日)とする
結核の初期悪化
適切な抗結核薬によって臨床所見が順調に改善していたにも関わらず、再び発熱などの臨床症状がみられ、既存の病変の悪化や新しい病変の出現する.治療開始後2週間から3ヶ月にみられることが多い.
肺非結核性抗酸菌症とは
結核菌群以外の抗酸菌による肺感染症
肺非結核抗酸菌症(M.Kansasii)の特徴
男性に多い
上葉に好発
薄壁空洞形成
治療反応性良好(INH RFP EB)
レジオネラ菌の特徴(寄生部位、染色、培養)
通性細胞内寄生性細菌(アメーバなど)
染色:グラム染色は染まりにくい → ヒメネス染色
培養:B-CYEα培地
レジオネラ菌の潜伏期、市中感染の割合
2〜10日
約5%
レジオネラ菌の肺炎(発熱、呼吸困難)以外の症状
中枢神経症状
下痢
筋肉痛
レジオネラ菌の診断
分離培養、同定
PCR法、LAMP法による病原体検出
尿中抗原(イムノクロマトグラフィー)
血清抗体(ペア血清)
レジオネラ菌の治療
ペニシリン、セフェムなどは無効
マクロライド
キノロン
腸内細菌科細菌の特徴5つ(培地、酸素要求、代謝2つ、DNA)
・普通寒天培地 ・通性嫌気性 ・ブドウ糖を24時間以内に発酵的に分解して酸とガス、又は酸だけを産生 ・硝酸塩を還元し亜硝酸にする ・DNAのG+C含量は39~59mol%
O抗原とは
外膜の構成成分であるリポ多糖(LPS)の多糖部分
K抗原
莢膜の抗原
H抗原
鞭毛の抗原
腸内細菌科細菌の分離培養に用いる選択培地での重要なポイント
①胆汁酸の量による発育の違い
②乳糖の分解性
③硫化水素の産生性
DHL培地とは
胆汁酸塩が少し入っている
グラム陽性菌などの発育はおさえられるが、腸内細菌科細菌は生える
SS寒天培地
DHL寒天培地よりも多く胆汁酸塩が含まれる
サルモネラ属菌や赤痢菌属(シゲラ属)など胆汁酸に対して抵抗性が強い菌種が選択
TSI培地
ブドウ糖、乳糖および白糖の発酵およびガス産生ならびに硫化水素産生による腸内細菌の鑑別
大腸菌(エシェリキア属)の特徴(鞭毛、莢膜、分解するもの)
・周毛性鞭毛
・莢膜を持つものもある
・乳糖を分解する
大腸菌による感染症
肺炎 胆道感染症 腸管感染症 腹部感染症 尿路感染症 敗血症 新生児髄膜炎
主な病原大腸菌3種
①下痢原生大腸菌
②尿路病原性大腸菌
③新生児髄膜炎起因大腸菌
下痢原生大腸菌の分類
腸管病原性大腸菌(EPEC) 毒素原性大腸菌(ETEC) 腸管組織侵入性大腸菌(EIEC) 腸管出血性大腸菌(EHEC) 凝集付着性大腸菌(EAEC)
腸管病原性大腸菌(EPEC)の特徴
小児腸炎起因菌
III型分泌装置(T3SS)によりエフェクター分子Tirを宿主細胞内に送り込む
アクチン重合を含む細胞骨格の再構築(A/E病変)
毒素原性大腸菌(ETEC)の特徴
旅行者下痢症の主要な病原体
エンテロトキシンであるLTまたはSTを分泌
腸管組織侵入性大腸菌(EIEC)の特徴
赤痢と区別ができない症状
赤痢菌より酸に対する抵抗性が低い、志賀毒素なし
腸管出血性大腸菌(EHEC)の特徴
ベロ毒素VTを分泌(タンパク合成阻害活性)
血便
HUS(溶血性尿毒症症候群)
A/E病変
腸管出血性大腸菌(EHEC)何類感染症か
3類感染症
ベロ毒素のメカニズム
28SリボソームRNAに作用し、タンパク質合成を阻害
腸管出血性大腸菌(EHEC)の潜伏期間と発症の順序
3~7日後下痢発症
その1~2日後出血性大腸炎
その5~6日後HUS、脳症など
HUS(溶血性尿毒症症候群)の3主徴
血小板減少症
溶血性貧血
急性腎不全
HUS(溶血性尿毒症症候群)の検査所見で重要なこと
血小板数の減少
末梢血液像で破砕赤血球
凝集付着性大腸菌(EAEC)の病原発現機序3種類
- 腸管粘膜への付着(AAF線毛)
- バイオフィルムを形成
- 腸管毒素(耐熱性腸管毒素EAST)の産生
尿路病原性大腸菌
尿路感染には定着因子が必要(線毛)
新生児髄膜炎起因大腸菌の感染経路と検出株
産道感染(B群溶連菌に次いで多い)
莢膜抗原K1をもつ株
細菌性髄膜炎の原因菌の年齢による傾向
新生児〜生後3ヶ月乳児:B群レンサ球菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌
〜幼児:インフルエンザ菌(Hib)、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌
〜青年期:肺炎球菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌
成人:肺炎球菌、髄膜炎菌
赤痢菌属は何類感染症か
3類感染症
赤痢菌属の症状
下腹部痛、発熱、下痢、しぶり腹
典型例:血液と粘液の混ざった下痢便(白血球が混入した膿性粘血便)
赤痢菌属の感染の際の特徴
胃酸に対して強い抵抗性を持っているため10個前後の少量の菌数でも発症する
赤痢菌の病原性
・マクロファージに細胞死を誘導
・腸管上皮細胞に入り込み、アクチン線維を形成することで運動能が付与される
・血中には入らない
サルモネラ菌の感染症の特徴
人獣共通感染症
サルモネラ菌の形態・生物学的特徴4つ(分解するもの2つ、産生するもの、その他1つ)
・胆汁酸塩に対する抵抗力が強い
・乳糖非分解
・硫化水素産生
・ブドウ糖分解
チフス症の原因菌
S.Typhi(チフス菌)、S.Paratyphi A(パラチフス菌)が敗血症を引き起こす
チフス症は何類感染症か
3類感染症
チフス症の経過
小腸粘膜に侵入し、1週間の潜伏期の後、腸管粘膜下リンパや腸管膜リンパ節で増殖
→血液中に入り、敗血症となり悪寒高熱
無症状病原体保有者とは
腸チフスが回復してからも胆嚢内に菌が存在し腸管内に継続的に1年以上続けて排菌し続けること
胆石保有者で多い
サルモネラ症の症状と潜伏期
急性胃腸炎
経口摂取後6~24時間で発症
サルモネラ菌の病原性
細胞内侵入性
細胞内寄生性
クレブシエラ属の細菌
肺炎桿菌
肺炎桿菌の特徴
日和見病原体として院内感染を起こしやすい
薬剤耐性を獲得しやすい
エンテロバクターの特徴
腸内常在菌
日和見感染症として尿路感染症を起こす
エルシニア科エルシニア属の重要な3細種
ペスト菌、エンテロコリチカ菌、偽結核菌
ペスト菌は何類感染症か
1類感染症
ペスト菌の感染経路
ノミ
ペスト菌の潜伏期
1~7日
ペスト菌の治療
ストレプトマイシン、テトラサイクリン
ペニシリンは無効
腸炎エルシニアの特徴
食中毒原因菌の1つ
4℃で増殖するので冷蔵庫の過信は禁物
腸炎エルシニアの潜伏期間
4~6日
腸炎エルシニアが起こす病気
回腸末端炎
腸管膜リンパ節炎
敗血症
偽結核菌とは
鞭毛あり
肝や脾に小結節
プレジオモナス属とは
海外旅行者の下痢症
輸入感染症
セラチア属とは
日和見感染
桿菌
カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症は何類感染症
5類
薬剤耐性腸内細菌科細菌
- 第3世代セファロスポリン系抗菌薬に対する耐性の獲得
- カルバペネム耐性腸内細菌科細菌
- プラスミド媒介性フルオロキノロン耐性機構獲得
- プラスミド媒介性コリスチン耐性機構獲得
第3世代セファロスポリン系抗菌薬に対する耐性の獲得
ESBL産生菌
AmpC産生菌
ESBLとは
基質拡張型βーラクタマーゼ
抗菌スペクトルの広いセファロスポリン系薬までをも分解するようになったβラクタマーゼ
カルバペネム分解酵素
メタロβラクタマーゼ(MBL)産生
セリン型カルバペネマーゼ産生
好気性菌(偏性好気性菌)
緑膿菌、百日咳菌、結核菌、レジオネラ、ナイセリア、バシラス、ジフテリア、リステリア
通性菌(通性嫌気性菌)
グラム陽性球菌、エシェリヒア属、赤痢菌、サルモネラ属、クレブシエラ属、インフルエンザ菌
嫌気性菌(偏性嫌気性菌)
バクテロイデス、クロストリジウム、ブレボテラ属、ポルフィノモナス属、フソバクテリウム、ストレプトバシラス、ベイヨネラ
嫌気性菌の酸素感受性の分類
①酸素0.5%以上で発育不可能であり、20分間程度の酸素暴露で死滅してしまうもの
②酸素2~8%程度で増殖可能であり、60~90分間酸素暴露されても生存するもの
③数時間酸素暴露でも生存可能なもの
嫌気性菌の酸素感受性の理由
カタラーゼやスーパーオキシドジスムターゼを持たないため