15. 寄生虫と感染 Flashcards
寄生虫の定義
真核生物以上の動物病原体
寄生虫の分類
蠕虫・原虫
蠕虫は多細胞か単細胞か?
多細胞
原虫は多細胞か単細胞か?
単細胞
蠕虫の分類
線虫・吸虫・条虫
六大熱帯病(〇〇以外寄生虫症)
マラリア・住血吸虫症・フィラリア症・トリパノソーマ症・リーシュマニア症・ハンセン病(ハンセン病以外寄生虫症)
三大感染症
マラリア・HIV/AIDS・結核
顧みられない熱帯病(〇〇・〇〇以外寄生虫症)
アフリカ睡眠病・ギニア虫感染症・リンパ系フィラリア症・シャーガス病・リーシュマニア症・河川盲目症・住血吸虫症・土壌伝播寄生虫症・トラコーマ・ハンセン病(トラコーマ・ハンセン病以外寄生虫症)
ギリシャの河川の土地に住むリーシュは、アフリカでハンセンとトラに追いかけられた
中間宿主とは
幼虫が寄生する宿主(無性生殖)
終宿主とは
成虫が寄生する宿主(有性生殖)
終宿主のバリエーション
固有宿主・保⾍宿主
固有宿主とは
その中で寄⽣⾍が増殖(原虫)または発育(蠕虫)できるもの
寄⽣⾍からすると好適宿主
保⾍宿主とは
ヒト以外にも固有宿主を持つ寄⽣⾍おける、ヒト以外の宿主
保⾍宿主の別名
レゼルボア
⼈獣共通感染症
レゼルボアが脊椎動物の場合、これに起因する寄生虫症(ズーノーシス)
待機宿主
寄⽣⾍の⽣活史において必ずしも必要ではなく、その中で発育は進まないが、終宿主に⾄るまでのつなぎの役割を果たす宿主
幼⾍移⾏症
⾮固有宿主に感染型が侵⼊して、その幼⾍が⻑期⽣存し宿主に害を与える状態
⽣活史の⼀部のみを寄⽣に使う寄生虫
線⾍・原⾍
⽣活史の間、何らかの宿主の体内で棲み続ける寄生虫
吸⾍・条⾍
中間宿主の数によるヒトへの病原性
2つ:高病原性
0:低病原性
感染型とは
感染能⼒を持つ寄⽣⾍の特異的なステージ(発育型)のこと
これ以外のステージでは、宿主に感染することが出来ない
感染源とは
寄⽣⾍の感染型が含まれる⽣物や、感染型で汚染されたもの
蠕⾍感染による免疫系の変化
IgE・好酸球増多(I型アレルギー反応)
4類感染症に含まれる寄生虫症
エキノコックス症・マラリア
5類感染症に含まれる寄生虫症
アメーバ⾚痢・クリプトスポリジウム症・ジアルジア症
ヒト寄⽣性線⾍の特徴
L3規則
孵化後に2回脱⽪して第3期幼⾍(L3)になるが、このL3幼⾍が終宿主に感染する傾向がある
線虫の生殖
雄の尾部の◯◯を、雌の◯◯に挿⼊して交配
雄の尾部の交接刺を、雌の陰⾨に挿⼊して交配
線虫の型とそれぞれの特徴・感染型
ラブジチス型(R型)幼虫:食道に2箇所の膨大部
フィラリア型(F型)幼虫:食道が扁平、感染型
線⾍に対して使われる治療薬
パモ酸ピランテル メベンダゾール 塩酸ジエチルカルバマジン アルベンダゾール イベルメクチンなど
無口(メクチ)5パリピがジカにさされて、キャラメルでビンタされた
イベルメクチンの作用機序
線虫の神経系のGABAを促進し筋肉の動きを止める
蛔⾍の感染型
成熟卵(小腸で孵化しL3幼虫が出てくる)
蛔⾍の生活史
小腸で孵化しL3幼虫が出てくる →肺に移動し脱皮してL4幼虫 →気管支を上り咽頭から嚥下されL5幼虫となり腸管へ →小腸で成虫になり交配し産卵(排便) →虫卵(仔虫期卵)の中でL3幼虫になると成熟卵
蛔⾍の幼⾍寄⽣
レフラー症候群
レフラー症候群の症状
①喘息様の咳
②肺の⼀過性浸潤影
③好酸球増多
蛔⾍の成⾍寄⽣
腹痛・時に疝痛
好酸球増多
胃蛔⾍症・胆蛔⾍症(迷⼊)、多数寄⽣で腸閉塞等
蛔⾍の診断
糞便検査
蛔⾍の治療
パモ酸ピランテル(第⼀選択薬)
メベンダゾール
蛔⾍の感染源
野菜(有機農法)、⼟壌、埃、⼿指
⽝蛔⾍の終宿主
仔犬
⽝蛔⾍の待機宿主
成⽝、ヒト、ウシ、ニワトリ
⽝蛔⾍の症状
トキソカラ症
トキソカラ症の症状
発熱、咳、肺の浸潤影など(眼トキソカラ症など)
⽝蛔⾍の診断
⾎清診断
⽝蛔⾍の治療
アルベンダゾール、サイアベンダゾール(組織内の殺⾍)
鉤⾍の種
ズビニ鉤⾍・アメリカ鉤⾍
鉤⾍の特徴
宿主腸管内部に咬み付いて(咬着)、⾎液を吸う
ズビニ鉤⾍:⻭⽛
アメリカ鉤⾍:⻭板
鉤⾍の⽣活史
成⾍は、ヒトの⼩腸粘膜に咬着した状態で存在 →産卵すると、⾍卵は便と共に外界に排出 →発育した⾍卵が孵化すると、L1幼⾍(ラブジチス型) →L3幼⾍(フィラリア型、感染型) → ①経⼝(⼩腸に到達し、⼀度腸壁に侵⼊し成⾍になる) ②経⽪(体内に侵⼊した幼⾍は、⾎流によって肺に到達し気管を上⾏し、嚥下で⼩腸へ →⼩腸に咬着し、宿主の⾎液を摂取
鉤⾍の幼虫の経皮感染で生じる症状
点状⽪膚炎
鉤⾍の幼虫の肺内移行で生じる症状
レフラー症候群
鉤⾍の成⾍寄⽣
貧⾎、異⾷症
鉤⾍の診断
糞便検査
鉤⾍の治療
パモ酸ピランテル・鉄剤
蟯⾍の⽣活史
盲腸にいる成⾍雌が、産卵のタイミングになると直腸を下降して、夜間に肛⾨の外に出て、肛⾨や会陰部に産卵(1匹あたり約1万個)
→数時間で成熟卵になり(仔⾍期卵)、肛⾨に強い痒みを引き起こす
→掻くことで⼿指に付着した成熟卵が、経⼝で本⼈または他者に感染し⼗⼆指腸で孵化
→幼⾍は2回の脱⽪を経て成⾍になり、盲腸粘膜へ侵⼊
蟯⾍の症状
肛⾨周囲掻痒感→不機嫌・不眠(QOLの低下)
蟯⾍の診断
肛⾨周囲検査法=スコッチテープ法
蟯⾍の治療
パモ酸ピランテル・メベンダゾール
蟯⾍の予防
家族集積性があるため一人診断されたら家族も治療薬を服用する
アニサキスの幼⾍の特徴的な構造
双葉状の側索
アニサキスの終宿主、中間宿主、待機宿主
終宿主:海棲哺乳類(イルカ・クジラ・アザラシ・トド・セイウチ等)
中間宿主:動物性プランクトン(オキアミ等)
待機宿主:イカ アジ タラ サバ サンマ等
アニサキスの感染経路
待機宿主体内のL3幼⾍が感染型で、経⼝でヒト体内に⼊り、胃壁や腸壁に頭部を穿⼊
アニサキス症
アレルギー
初感染時は軽症か無症候(緩和型)
再感染時には、幼⾍が頭部を穿⼊させた部位で即時型過敏反応が起き、激痛(劇症型)
胃アニサキス症の症状
みぞおち付近の耐え難い痛み(⼼窩部痛)が特徴
腸アニサキス症の症状
強い下腹部痛、腹部膨満感
アニサキスの診断
問診(⽣⿂等の喫⾷歴)、内視鏡・X線/CT検査(浮腫)
糞線虫に陽性な人が感染している可能性が高いウイルス
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)
糞線虫の生活史
雌の成虫がヒトの十二指腸から空腸上部にかけて寄生
→単為生殖して産卵し第1期幼虫(R型)が排便で外に出る(このままL3幼虫になり消化管粘膜や肛門周囲の皮膚から感染する場合もある;自家感染)
→①外界で脱皮しL3幼虫(細長い食道を持つ、F型で経皮感染)
②外界でそのまま4回脱皮して成虫になり産卵
糞線虫の発症のメカニズム
免疫によって抑え込んでいた寄生数が、免疫能の低下によってより多く自家感染するようになって増え、発症(過剰感染、日和見感染)
播種性糞線虫症のメカニズム
過剰感染により肺胞だけではなく、本来の体内移行経路を逸脱した幼虫が全身を巡り、血管内皮を超えて組織へ浸潤する(肝臓、脳、腎臓、皮膚、腸管リンパ節)
腸内細菌も背負っている:敗血症・両側性肺炎など
「髄腔嗜好性」:髄膜炎
播種性糞線虫症の症状
寄生数が増すと、反復する下痢、腹鳴、腹痛、腹部膨満感、吸収不良、食欲不振(アルブミン、コレステロール低下)、体重減少など
播種性糞線虫症では敗血症、化膿性髄膜炎、細菌性肺炎
播種性糞線虫症の診断
糞便検査で普通寒天平板培地法(3回ほど必要)
播種性糞線虫症の治療
イベルメクチン
どのようなとき播種性糞線虫症を疑うか
蛋白漏出性胃腸症(低アルブミン血症を伴う反復する下痢)
免疫抑制状態
沖縄・奄美・九州出身
旋毛虫の特徴
人獣共通寄生虫症(食品媒介性寄生虫症)
筋肉細胞内に寄生する旋毛虫の幼虫
旋毛虫の生活史
感染した動物の肉を摂取し小腸で筋肉内から遊離した幼虫が発育
→生まれた幼虫が粘膜に侵入し全身の横紋筋内でのみ発育して被嚢(感染型)(心筋炎も起こせるが被嚢されるのは横紋筋のみ)
旋毛虫の感染経路
感染動物の筋肉内に被嚢する幼虫(感染型)の経口摂取
全ての哺乳動物が感染しうる
旋毛虫の寄生部位
成虫は小腸、幼虫は横紋筋
旋毛虫の症状
摂取後1〜2週(成虫による消化管侵襲期):悪心、腹痛、下痢などの消化器症状
摂取後2〜6週(幼虫の筋肉移行期):発熱、眼瞼周囲の浮腫、筋肉痛、繰り返す皮疹
旋毛虫の治療
アルベンダゾール、メベンダゾール
症状次第ではステロイド剤
糸状虫の生物学的特徴
①成虫は脊椎動物のリンパ系や皮下に寄生する。
②幼虫(ミクロフィラリア)を産出する(血液・皮膚)。
③吸血昆虫により媒介される。
糸状虫の生活史
成虫はリンパ管・皮下に寄生
→第1期幼虫(ミクロフィラリア)は血液・皮下に出る
→吸血昆虫へ移動
→第3期幼虫が感染型幼虫として人体内へ
バンクロフト糸状虫の流行地域
熱帯、亜熱帯地域
バンクロフト糸状虫の成虫の寄生場所
リンパ管(鼠径・腋窩)
バンクロフト糸状虫のミクロフィラリアの特徴
血液に夜間定期出現性
バンクロフト糸状虫の媒介生物
イエカ
バンクロフト糸状虫の成虫による急性期症状
感染約1年後におこる
発熱、リンパ管炎、リンパ節炎
バンクロフト糸状虫の幼虫による急性期症状
急性期の1%、Mfが血中に移動しないため肺で炎症(肺炎)
末梢血での好酸球増加
バンクロフト糸状虫の成虫による慢性症状
発症して数年後
炎症による内膜肥厚でリンパ管閉塞
体幹に近いリンパ:陰嚢水腫・乳び尿(臓器にリンパ液流入)
四肢のリンパ:象皮症
バンクロフト糸状虫の急性期の検査
Mf検出
(末梢血のギムザ染色)
バンクロフト糸状虫の急性期の治療
ジエチルカルバマジン
バンクロフト糸状虫の熱帯性肺好酸球増多症の検査
血液中の抗体検出
バンクロフト糸状虫の熱帯性肺好酸球増多症の治療
ジエチルカルバマジン
バンクロフト糸状虫の慢性期の検査
血液中の抗体検出
病歴から推定
バンクロフト糸状虫の慢性期の治療
対症療法(手術など)
マレー糸状虫の流行地域
東南アジア、南太平洋
マレー糸状虫の生活史
バンクロフトとほぼ同じ
媒介昆虫はヌマカ
マレー糸状虫の症状
バンクロフトとほぼ同じ
足のリンパ管寄生が多い(~象皮症が強くおこる)
マレー糸状虫の検査・治療
バンクロフトと同じ
回旋糸状虫の特徴
アフリカ中西部、中南米に約2500万人の感染者
失明をおこす病気として重要
回旋糸状虫の成虫の寄生場所
皮下
回旋糸状虫のMfの寄生部位
皮膚(定期出現性なし)
回旋糸状虫の媒介生物
ブユ
回旋糸状虫の成虫による症状
皮下腫瘤
回旋糸状虫のMfによる症状
皮膚炎
眼症状~失明も
回旋糸状虫の検査
Skin Snip法
回旋糸状虫の治療
イベルメクチン
ロア糸状虫の特徴
アフリカ中西部に約1300万人の感染者
ロア糸状虫の成虫の寄生場所
皮下(動く)
ロア糸状虫のMfの特徴
血液に昼間定期出現性
ロア糸状虫の媒介生物
アブ
ロア糸状虫の成虫による症状
皮膚の移動性腫瘤
眼症状(結膜炎など)
ロア糸状虫の検査
腫瘤や目から成虫検出
血液からのMf検出(血液塗沫検査)
ロア糸状虫の治療
ジエチルカルバマジン
イベルメクチン
メジナ虫の流行地域
アフリカ
メジナ虫の成虫の寄生場所
皮下
メジナ虫の感染経路
成虫(♀)が幼虫を水中に産下し、ケミジンコ内で発育するため、その水を飲むことで経口感染
吸虫の特徴
外形扁平・葉状 2個の吸盤 体表からも栄養吸収 肛⾨が⽋失 雌雄同体(※住⾎吸⾍を除く) 種類によって組織特異性がはっきり
吸虫のうち血管内に寄生するもの
各種住⾎吸⾍
吸虫のうち肝臓に寄生するもの
肝吸⾍
吸虫のうち肺に寄生するもの
ウェステルマン肺吸⾍・宮崎肺吸⾍
吸虫のうち消化管に寄生するもの
横川吸⾍・異形吸⾍