15. 寄生虫と感染 Flashcards
寄生虫の定義
真核生物以上の動物病原体
寄生虫の分類
蠕虫・原虫
蠕虫は多細胞か単細胞か?
多細胞
原虫は多細胞か単細胞か?
単細胞
蠕虫の分類
線虫・吸虫・条虫
六大熱帯病(〇〇以外寄生虫症)
マラリア・住血吸虫症・フィラリア症・トリパノソーマ症・リーシュマニア症・ハンセン病(ハンセン病以外寄生虫症)
三大感染症
マラリア・HIV/AIDS・結核
顧みられない熱帯病(〇〇・〇〇以外寄生虫症)
アフリカ睡眠病・ギニア虫感染症・リンパ系フィラリア症・シャーガス病・リーシュマニア症・河川盲目症・住血吸虫症・土壌伝播寄生虫症・トラコーマ・ハンセン病(トラコーマ・ハンセン病以外寄生虫症)
ギリシャの河川の土地に住むリーシュは、アフリカでハンセンとトラに追いかけられた
中間宿主とは
幼虫が寄生する宿主(無性生殖)
終宿主とは
成虫が寄生する宿主(有性生殖)
終宿主のバリエーション
固有宿主・保⾍宿主
固有宿主とは
その中で寄⽣⾍が増殖(原虫)または発育(蠕虫)できるもの
寄⽣⾍からすると好適宿主
保⾍宿主とは
ヒト以外にも固有宿主を持つ寄⽣⾍おける、ヒト以外の宿主
保⾍宿主の別名
レゼルボア
⼈獣共通感染症
レゼルボアが脊椎動物の場合、これに起因する寄生虫症(ズーノーシス)
待機宿主
寄⽣⾍の⽣活史において必ずしも必要ではなく、その中で発育は進まないが、終宿主に⾄るまでのつなぎの役割を果たす宿主
幼⾍移⾏症
⾮固有宿主に感染型が侵⼊して、その幼⾍が⻑期⽣存し宿主に害を与える状態
⽣活史の⼀部のみを寄⽣に使う寄生虫
線⾍・原⾍
⽣活史の間、何らかの宿主の体内で棲み続ける寄生虫
吸⾍・条⾍
中間宿主の数によるヒトへの病原性
2つ:高病原性
0:低病原性
感染型とは
感染能⼒を持つ寄⽣⾍の特異的なステージ(発育型)のこと
これ以外のステージでは、宿主に感染することが出来ない
感染源とは
寄⽣⾍の感染型が含まれる⽣物や、感染型で汚染されたもの
蠕⾍感染による免疫系の変化
IgE・好酸球増多(I型アレルギー反応)
4類感染症に含まれる寄生虫症
エキノコックス症・マラリア
5類感染症に含まれる寄生虫症
アメーバ⾚痢・クリプトスポリジウム症・ジアルジア症
ヒト寄⽣性線⾍の特徴
L3規則
孵化後に2回脱⽪して第3期幼⾍(L3)になるが、このL3幼⾍が終宿主に感染する傾向がある
線虫の生殖
雄の尾部の◯◯を、雌の◯◯に挿⼊して交配
雄の尾部の交接刺を、雌の陰⾨に挿⼊して交配
線虫の型とそれぞれの特徴・感染型
ラブジチス型(R型)幼虫:食道に2箇所の膨大部
フィラリア型(F型)幼虫:食道が扁平、感染型
線⾍に対して使われる治療薬
パモ酸ピランテル メベンダゾール 塩酸ジエチルカルバマジン アルベンダゾール イベルメクチンなど
無口(メクチ)5パリピがジカにさされて、キャラメルでビンタされた
イベルメクチンの作用機序
線虫の神経系のGABAを促進し筋肉の動きを止める
蛔⾍の感染型
成熟卵(小腸で孵化しL3幼虫が出てくる)
蛔⾍の生活史
小腸で孵化しL3幼虫が出てくる →肺に移動し脱皮してL4幼虫 →気管支を上り咽頭から嚥下されL5幼虫となり腸管へ →小腸で成虫になり交配し産卵(排便) →虫卵(仔虫期卵)の中でL3幼虫になると成熟卵
蛔⾍の幼⾍寄⽣
レフラー症候群
レフラー症候群の症状
①喘息様の咳
②肺の⼀過性浸潤影
③好酸球増多
蛔⾍の成⾍寄⽣
腹痛・時に疝痛
好酸球増多
胃蛔⾍症・胆蛔⾍症(迷⼊)、多数寄⽣で腸閉塞等
蛔⾍の診断
糞便検査
蛔⾍の治療
パモ酸ピランテル(第⼀選択薬)
メベンダゾール
蛔⾍の感染源
野菜(有機農法)、⼟壌、埃、⼿指
⽝蛔⾍の終宿主
仔犬
⽝蛔⾍の待機宿主
成⽝、ヒト、ウシ、ニワトリ
⽝蛔⾍の症状
トキソカラ症
トキソカラ症の症状
発熱、咳、肺の浸潤影など(眼トキソカラ症など)
⽝蛔⾍の診断
⾎清診断
⽝蛔⾍の治療
アルベンダゾール、サイアベンダゾール(組織内の殺⾍)
鉤⾍の種
ズビニ鉤⾍・アメリカ鉤⾍
鉤⾍の特徴
宿主腸管内部に咬み付いて(咬着)、⾎液を吸う
ズビニ鉤⾍:⻭⽛
アメリカ鉤⾍:⻭板
鉤⾍の⽣活史
成⾍は、ヒトの⼩腸粘膜に咬着した状態で存在 →産卵すると、⾍卵は便と共に外界に排出 →発育した⾍卵が孵化すると、L1幼⾍(ラブジチス型) →L3幼⾍(フィラリア型、感染型) → ①経⼝(⼩腸に到達し、⼀度腸壁に侵⼊し成⾍になる) ②経⽪(体内に侵⼊した幼⾍は、⾎流によって肺に到達し気管を上⾏し、嚥下で⼩腸へ →⼩腸に咬着し、宿主の⾎液を摂取
鉤⾍の幼虫の経皮感染で生じる症状
点状⽪膚炎
鉤⾍の幼虫の肺内移行で生じる症状
レフラー症候群
鉤⾍の成⾍寄⽣
貧⾎、異⾷症
鉤⾍の診断
糞便検査
鉤⾍の治療
パモ酸ピランテル・鉄剤
蟯⾍の⽣活史
盲腸にいる成⾍雌が、産卵のタイミングになると直腸を下降して、夜間に肛⾨の外に出て、肛⾨や会陰部に産卵(1匹あたり約1万個)
→数時間で成熟卵になり(仔⾍期卵)、肛⾨に強い痒みを引き起こす
→掻くことで⼿指に付着した成熟卵が、経⼝で本⼈または他者に感染し⼗⼆指腸で孵化
→幼⾍は2回の脱⽪を経て成⾍になり、盲腸粘膜へ侵⼊
蟯⾍の症状
肛⾨周囲掻痒感→不機嫌・不眠(QOLの低下)
蟯⾍の診断
肛⾨周囲検査法=スコッチテープ法
蟯⾍の治療
パモ酸ピランテル・メベンダゾール
蟯⾍の予防
家族集積性があるため一人診断されたら家族も治療薬を服用する
アニサキスの幼⾍の特徴的な構造
双葉状の側索
アニサキスの終宿主、中間宿主、待機宿主
終宿主:海棲哺乳類(イルカ・クジラ・アザラシ・トド・セイウチ等)
中間宿主:動物性プランクトン(オキアミ等)
待機宿主:イカ アジ タラ サバ サンマ等
アニサキスの感染経路
待機宿主体内のL3幼⾍が感染型で、経⼝でヒト体内に⼊り、胃壁や腸壁に頭部を穿⼊
アニサキス症
アレルギー
初感染時は軽症か無症候(緩和型)
再感染時には、幼⾍が頭部を穿⼊させた部位で即時型過敏反応が起き、激痛(劇症型)
胃アニサキス症の症状
みぞおち付近の耐え難い痛み(⼼窩部痛)が特徴
腸アニサキス症の症状
強い下腹部痛、腹部膨満感
アニサキスの診断
問診(⽣⿂等の喫⾷歴)、内視鏡・X線/CT検査(浮腫)
糞線虫に陽性な人が感染している可能性が高いウイルス
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)
糞線虫の生活史
雌の成虫がヒトの十二指腸から空腸上部にかけて寄生
→単為生殖して産卵し第1期幼虫(R型)が排便で外に出る(このままL3幼虫になり消化管粘膜や肛門周囲の皮膚から感染する場合もある;自家感染)
→①外界で脱皮しL3幼虫(細長い食道を持つ、F型で経皮感染)
②外界でそのまま4回脱皮して成虫になり産卵
糞線虫の発症のメカニズム
免疫によって抑え込んでいた寄生数が、免疫能の低下によってより多く自家感染するようになって増え、発症(過剰感染、日和見感染)
播種性糞線虫症のメカニズム
過剰感染により肺胞だけではなく、本来の体内移行経路を逸脱した幼虫が全身を巡り、血管内皮を超えて組織へ浸潤する(肝臓、脳、腎臓、皮膚、腸管リンパ節)
腸内細菌も背負っている:敗血症・両側性肺炎など
「髄腔嗜好性」:髄膜炎
播種性糞線虫症の症状
寄生数が増すと、反復する下痢、腹鳴、腹痛、腹部膨満感、吸収不良、食欲不振(アルブミン、コレステロール低下)、体重減少など
播種性糞線虫症では敗血症、化膿性髄膜炎、細菌性肺炎
播種性糞線虫症の診断
糞便検査で普通寒天平板培地法(3回ほど必要)
播種性糞線虫症の治療
イベルメクチン
どのようなとき播種性糞線虫症を疑うか
蛋白漏出性胃腸症(低アルブミン血症を伴う反復する下痢)
免疫抑制状態
沖縄・奄美・九州出身
旋毛虫の特徴
人獣共通寄生虫症(食品媒介性寄生虫症)
筋肉細胞内に寄生する旋毛虫の幼虫
旋毛虫の生活史
感染した動物の肉を摂取し小腸で筋肉内から遊離した幼虫が発育
→生まれた幼虫が粘膜に侵入し全身の横紋筋内でのみ発育して被嚢(感染型)(心筋炎も起こせるが被嚢されるのは横紋筋のみ)
旋毛虫の感染経路
感染動物の筋肉内に被嚢する幼虫(感染型)の経口摂取
全ての哺乳動物が感染しうる
旋毛虫の寄生部位
成虫は小腸、幼虫は横紋筋
旋毛虫の症状
摂取後1〜2週(成虫による消化管侵襲期):悪心、腹痛、下痢などの消化器症状
摂取後2〜6週(幼虫の筋肉移行期):発熱、眼瞼周囲の浮腫、筋肉痛、繰り返す皮疹
旋毛虫の治療
アルベンダゾール、メベンダゾール
症状次第ではステロイド剤
糸状虫の生物学的特徴
①成虫は脊椎動物のリンパ系や皮下に寄生する。
②幼虫(ミクロフィラリア)を産出する(血液・皮膚)。
③吸血昆虫により媒介される。
糸状虫の生活史
成虫はリンパ管・皮下に寄生
→第1期幼虫(ミクロフィラリア)は血液・皮下に出る
→吸血昆虫へ移動
→第3期幼虫が感染型幼虫として人体内へ
バンクロフト糸状虫の流行地域
熱帯、亜熱帯地域
バンクロフト糸状虫の成虫の寄生場所
リンパ管(鼠径・腋窩)
バンクロフト糸状虫のミクロフィラリアの特徴
血液に夜間定期出現性
バンクロフト糸状虫の媒介生物
イエカ
バンクロフト糸状虫の成虫による急性期症状
感染約1年後におこる
発熱、リンパ管炎、リンパ節炎
バンクロフト糸状虫の幼虫による急性期症状
急性期の1%、Mfが血中に移動しないため肺で炎症(肺炎)
末梢血での好酸球増加
バンクロフト糸状虫の成虫による慢性症状
発症して数年後
炎症による内膜肥厚でリンパ管閉塞
体幹に近いリンパ:陰嚢水腫・乳び尿(臓器にリンパ液流入)
四肢のリンパ:象皮症
バンクロフト糸状虫の急性期の検査
Mf検出
(末梢血のギムザ染色)
バンクロフト糸状虫の急性期の治療
ジエチルカルバマジン
バンクロフト糸状虫の熱帯性肺好酸球増多症の検査
血液中の抗体検出
バンクロフト糸状虫の熱帯性肺好酸球増多症の治療
ジエチルカルバマジン
バンクロフト糸状虫の慢性期の検査
血液中の抗体検出
病歴から推定
バンクロフト糸状虫の慢性期の治療
対症療法(手術など)
マレー糸状虫の流行地域
東南アジア、南太平洋
マレー糸状虫の生活史
バンクロフトとほぼ同じ
媒介昆虫はヌマカ
マレー糸状虫の症状
バンクロフトとほぼ同じ
足のリンパ管寄生が多い(~象皮症が強くおこる)
マレー糸状虫の検査・治療
バンクロフトと同じ
回旋糸状虫の特徴
アフリカ中西部、中南米に約2500万人の感染者
失明をおこす病気として重要
回旋糸状虫の成虫の寄生場所
皮下
回旋糸状虫のMfの寄生部位
皮膚(定期出現性なし)
回旋糸状虫の媒介生物
ブユ
回旋糸状虫の成虫による症状
皮下腫瘤
回旋糸状虫のMfによる症状
皮膚炎
眼症状~失明も
回旋糸状虫の検査
Skin Snip法
回旋糸状虫の治療
イベルメクチン
ロア糸状虫の特徴
アフリカ中西部に約1300万人の感染者
ロア糸状虫の成虫の寄生場所
皮下(動く)
ロア糸状虫のMfの特徴
血液に昼間定期出現性
ロア糸状虫の媒介生物
アブ
ロア糸状虫の成虫による症状
皮膚の移動性腫瘤
眼症状(結膜炎など)
ロア糸状虫の検査
腫瘤や目から成虫検出
血液からのMf検出(血液塗沫検査)
ロア糸状虫の治療
ジエチルカルバマジン
イベルメクチン
メジナ虫の流行地域
アフリカ
メジナ虫の成虫の寄生場所
皮下
メジナ虫の感染経路
成虫(♀)が幼虫を水中に産下し、ケミジンコ内で発育するため、その水を飲むことで経口感染
吸虫の特徴
外形扁平・葉状 2個の吸盤 体表からも栄養吸収 肛⾨が⽋失 雌雄同体(※住⾎吸⾍を除く) 種類によって組織特異性がはっきり
吸虫のうち血管内に寄生するもの
各種住⾎吸⾍
吸虫のうち肝臓に寄生するもの
肝吸⾍
吸虫のうち肺に寄生するもの
ウェステルマン肺吸⾍・宮崎肺吸⾍
吸虫のうち消化管に寄生するもの
横川吸⾍・異形吸⾍
吸虫のうち膵臓に寄生するもの
膵蛭
吸虫の治療
プラジカンテル
吸虫の感染型
メタセルカリア(Ⅱ型)
セルカリア(Ⅰ型)
吸虫の感染型の中間宿主の数
Ⅰ型:1つ
Ⅱ型:2つ
吸虫の感染型の感染経路
Ⅰ型:経皮
Ⅱ型:宿主ごと経口
吸虫のメタセルカリア(Ⅱ型)の例
肺吸⾍・肝吸⾍・横川吸⾍・肝蛭
吸虫のセルカリア(I型)の例
各種住⾎吸⾍
ウェステルマン肺吸⾍の第1中間宿主、第2中間宿主、終宿主
第1中間宿主:カワニナ
第2中間宿主:モクズガニ・サワガニ
終宿主:ヒト・ネコ・イヌ・ブタ・イノシシ等
ウェステルマン肺吸⾍の生活史
肺で成⾍になり、産卵 →⾍卵は、嚥下 →消化管経由での糞便+喀痰→外界で孵化すると、2つの中間宿主の体内でメタセルカリアまで発育 →このメタセルカリアを含んだカニを終宿主(ヒト)が経⼝で摂取 →メタセルカリアが⼩腸まで進み、そこで脱嚢 →幼⾍は、腸壁を穿通し、腹腔に移⾏ →横隔膜を通過し、胸腔から肺に到達
ウェステルマン肺吸⾍の症状
①胸部肺吸⾍症 ⾍嚢腫の形成 好酸球増多 咳と痰(チョコレート⾊の⾎痰) ②脳脊髄肺吸⾍症 ⾍卵の脳⾎管塞栓、成⾍や幼⾍の脳内迷⼊ てんかん、⿇痺、脳腫瘍様症状
ウェステルマン肺吸⾍の診断
糞便・喀痰検査(⾍卵の有無)
画像診断(結節影 輪状影 移動性)
ウェステルマン肺吸⾍の治療
プラジカンテル
肝吸⾍の第1中間宿主、第2中間宿主、終宿主
第1中間宿主:マメタニシ
第2中間宿主:淡⽔⿂(モツゴ・タナゴ・コイ科)
終宿主:ヒト・ネコ・イヌ
肝吸⾍の生活史
肝臓内の成⾍が産卵 →糞便として排出 →外界で孵化し、2つの中間宿主を経て、メタセルカリア(=感染型)まで発育 →メタセルカリアを含んだ⿂を終宿主(ヒト)が経⼝で摂取 →⼩腸まで進み、脱嚢 →肝吸⾍の幼⾍は、胆管の開⼝部に進み、胆管内や肝臓内で成⾍になる
肝吸⾍の症状
100隻以上の感染で有症、1000隻以上で⽣命危機
成⾍寄⽣→胆管閉塞→胆汁の鬱滞・胆管の拡張や肥厚
→肝実質壊死・肝細胞変性等=寄⽣⾍性肝硬変
肝吸⾍の診断
糞便検査(⾍卵の有無)
肝吸⾍の治療
プラジカンテル
住血吸虫の特徴
①成虫(雌雄異体)は終宿主の血管内に寄生。
②虫卵は糞便や尿から外界へ排出。
③淡水産巻貝が中間宿主。
④セルカリアが経皮的に終宿主に侵入。
住血吸虫の生活史
門脈内の成⾍が腸管付近の細血管に産卵 →腸管壁の血管が虫卵で詰まり腸管壁が壊死し虫卵ごと腸管内に脱落 →糞便・尿として虫卵を排泄 →水中でミラシジウムになり、中間宿主(巻貝)のなかでスポロシスト、セルカリアになる →セルカリアが水中で経皮感染 →1~2か月後に門脈で成虫になる
日本住血吸虫の流行地域
中国・東南アジア
日本住血吸虫の寄生部位
門脈
日本住血吸虫の虫卵排泄
糞便
日本住血吸虫の中間宿主
ミヤイリガイ
日本住血吸虫の急性期症状
虫卵の塞栓による症状
発熱、腸炎(血便)、急性の肝障害
日本住血吸虫の慢性期症状
排泄できなかった虫卵による症状
腸管深層部や肝臓内では虫卵蓄積(約50%)~虫卵周囲に肉芽種が形成
大腸ポリープ、肝硬変、門脈圧亢進(腹水、脾腫、食道静脈瘤)
日本住血吸虫症の急性期の検査
糞便の虫卵検査(棘あり)
日本住血吸虫症の慢性期の検査
血液中の抗体検出
大腸カメラでポリープ検出
画像診断
日本住血吸虫症の急性期の治療
プラジカンテル
日本住血吸虫症の慢性期の治療
対症療法
マンソン吸虫の流行地域
アフリカ、南米
マンソン吸虫の成虫寄生部位
門脈
マンソン吸虫の虫卵の排泄
糞便
マンソン吸虫の中間宿主
ヒラマキ貝
マンソン吸虫の症状
日本住血吸虫症と同じ
産卵数が少なく軽症
マンソン吸虫の検査(急性期)
便検査
マンソン吸虫の治療(急性期)
プラジカンテル
ビルハルツ吸虫の流行地域
中東、アフリカ
ビルハルツ吸虫の成虫寄生部位
膀胱静脈叢
ビルハルツ吸虫の虫卵の排泄
尿
ビルハルツ吸虫の中間宿主
Bulinus属(巻貝)
ビルハルツ吸虫の症状
急性:膀胱炎(血尿)
慢性:腎不全、膀胱癌
ビルハルツ吸虫の検査(急性期)
尿検査
ビルハルツ吸虫の治療(急性期)
プラジカンテル
条虫の分類
擬葉類・円葉類
擬葉類の特徴
頭部に2個の吸溝
生殖門は腹面に開く
近くに子宮孔が開口→産卵あり
円葉類の特徴
頭部に4個の吸盤
生殖門は側縁に開く
子宮孔無し→産卵無し(体節ごと外界へ排泄)
擬葉類の例
広節裂頭条虫・マンソン孤虫など
円葉類の例
有鉤条虫・無鉤条虫・単包条虫・多包条虫など
条虫の特徴
栄養は体表から吸収(微細構造がヒトの小腸上皮に似ている) 雌雄同体 分裂能あり 中間宿主必要 幼虫は増殖しない
擬葉類の中間宿主の数
2つ
円葉類の中間宿主の数
1つ
条虫の部位で分裂能があるもの
頭節、頚節
条虫の体節の分け方
未熟節:頚節の次
成熟節:内部で受精し虫卵が形成
受胎節:虫卵の部分
広節裂頭条⾍の生息域
バルト海沿岸諸国・北米・日本
広節裂頭条⾍の第1中間宿主、第2中間宿主、終宿主
第1中間宿主:ケンミジンコ類
第2中間宿主:河川回帰型の魚類(サケ・サクラマスなど)
終宿主:ヒト・クマ・イヌ・アザラシ・トド・セイウチ
広節裂頭条⾍の⽣活史
腸管で成⾍になり、産卵→⾍卵は便と共に外界に出て、⽔中で孵化 →コラシジウムが⽔中を泳いで、第1中間宿主のケンミジンコ類に取り込まれる →プロセルコイドになり、ミジンコと共に第2中間宿主のサケなどに移⾏ →⿂の筋⾁内でプレロ セルコイド(擬充尾⾍)になり、終宿主が⿂を摂⾷することで経⼝感染 →幼⾍は⼩腸に移動し、そこで成⾍になる
広節裂頭条⾍症の症状
裂頭条⾍症(ほぼ無症状で、ときに下痢や腹痛、体重減少、⼤⾎球性⾼⾊素性貧⾎など)
広節裂頭条⾍症の診断
糞便検査
広節裂頭条⾍症の治療(2つの方法+大切なこと)
①プラジカンテル+下剤 ・プラジカンテルを投与(条⾍が腸管を下降) ・下剤を投与し、⾍体ごと排便 ②ガストログラフィン法 ・内視鏡ないしは⼗⼆指腸ゾンデで注腸造影剤のガストログラフィンを投与(条⾍が腸管を下降) ・X線撮影等を併⽤、下降を確認、⾍体ごと排便
排泄虫体で頭部を確認!
有鉤条⾍の中間宿主と終宿主
中間宿主:ブタ(ときにヒト)
終宿主:ヒト
有鉤条⾍の⽣活史(ヒトが終宿主の場合)
成⾍はヒトの腸管に棲み、⾍卵を含む体節を便と共に体外に排出 →その体節や⾍卵をブタが⾷べると、消化管内で⾍卵が孵化 →⾍卵から出てきた六鉤幼⾍は、⾎流やリンパ液の循環に乗り、全⾝を 巡って⽪下や筋⾁に移⾏し、有鉤嚢⾍(=感染型)になり、待機 →ヒトが有鉤嚢⾍を含んだブタ⾁を⽣で⾷べると、経⼝感染 →⼩腸に到達し、成⾍になる
有鉤条⾍の⽣活史(ヒトが中間宿主の場合)
ヒト体内で⾍卵が孵化すると、六鉤幼⾍がヒトの⾎流やリンパ液に⼊り込み、全⾝に移⾏(⼈体有鉤嚢⾍)
有鉤条⾍のヒトが中間宿主になる理由
①体節または⾍卵を経⼝で摂取
②体節が逆流して胃へ→消化されて⾍卵出現
③腸管内で体節が破壊されて⾍卵出現
有鉤条⾍症の症状(幼虫寄生)
有鉤嚢⾍症 各種組織への嚢⾍の移⾏に応じた様々な症状 (筋・⽪下)腫瘤 (脳)けいれん、⿇痺、意識障害 (眼)失明
有鉤条⾍症の症状(成虫寄生)
有鉤条⾍症
下痢 腹痛 嘔吐等(多くが不顕性感染で終わる)
有鉤条⾍症の診断(成虫・幼虫)
成⾍:排泄体節
幼⾍:⾎清診断
有鉤条⾍症の治療(成虫・幼虫)
成⾍:ガストログラフィン法
幼⾍:外科的摘出 プラジカンテル+ステロイド剤
有鉤条⾍症の治療(成虫)の禁忌薬
プラジカンテル(成虫の体節を破壊して虫卵を腸管に播種してしまう)
包虫の特徴
幼虫形:包虫、成虫形:包条虫
虫卵の経口感染で、幼虫が肝臓で無性増殖、ときに転移
人獣共通寄生虫症、4類感染症
単包条虫の分布
世界的、とくに牧畜の盛んな地域に分布
多包条虫の分布
北半球(日本では北海道)
包条虫の増殖
中間宿主体内の幼虫形が増殖することで、より個体数を増やす
多包条虫の中間宿主と終宿主
中間宿主:ヒト・ネズミなど
終宿主:キツネ・イヌなど
多包条虫の生活史
成虫が小腸粘膜に吸着して寄生し、末端の受胎片節を切り離して外界に出す
→物理的に壊れた片節から出た虫卵が土壌、水や
野野菜などを汚染
→中間宿主となる野ネズミが虫卵を摂取すると虫卵内の六鉤幼虫が孵化して腸管粘膜から侵入し、肝臓へ到達
→脱分化して胚(芽)細胞となって盛んに分裂増殖して嚢胞を形
成
→暫くして、胚層内に繁殖胞が形成され、その内腔に、将来の頭節になる“原頭節”が形成される
多包条虫の外生出芽とは
多包虫のクチクラ層は薄く、胚層は厚いために、増殖した胚層の胚細胞がクチクラ層を突き破って外側にヘルニア状に突出したもの
多包条虫の嚢胞壁
2層から成り、外層は非細胞性のクチクラまたは角皮、内層は胚細胞で構成される胚層
多包条虫の繁殖胞壁
胚層の1層構造
多包条虫の症状
肝寄生の場合は、肝腫大にともなう上腹部の膨満と不快感、肝障害、閉塞性黄疸、腹水、門脈圧亢進、肝不全など
多包条虫の診断
血清診断と画像診断
多包条虫の治療
病巣の外科的完全切除
単包条虫の中間宿主・終宿主
中間宿主:ヒト・ヒツジ・ヤギ・
終宿主:イヌ・オオカミ
単包条虫の生活史
感染した牛や羊の内臓を牧羊犬に与えると、牧羊犬の小腸に単包条虫が寄生
→牧羊犬が虫卵をばらまく
→家畜が感染して、肝臓や肺に病巣が形成される
単包条虫の嚢胞
嚢胞が風船のように大きくなり、包虫液で満たされる(包虫液が嚢胞外に漏れ出るとアナフィラキシーショックを起こすことがる)
単包条虫の診断
血清診断、画像診断
単包条虫の治療
PAIR法:包虫液を吸引puncture and aspirationし、高張食塩水あるいはエタノールを注入injectionして包虫を死滅させ、再び吸引re-aspirationする方法(嚢胞内感染がある場合や胆管・腹膜・胸膜に穿破している場合は禁忌)
外科的切除
アルベンダゾール
マンソン孤虫症の感染方法
カエル、ヘビ、ブタ、イノシシなどの中で幼虫として存在し、これらと接触・生食することで感染
マンソン孤虫症の症状
発熱、全身倦怠感、痛みを伴う皮下腫瘤(皮膚症状の好発部位は胸やお腹、大腿部などの脂肪の多い場所)
マンソン孤虫症の他の疾患との鑑別方法
皮下腫瘤を摘出した際の検体
幼虫移行症の病型
⽪膚幼⾍移⾏症 ・幼⾍が主に⽪内や⽪下を移⾏する。 ・⽪膚爬⾏症(線状の⽪膚炎)を呈する。 内臓幼⾍移⾏症 ・幼⾍が肝、肺、脳、脊髄、眼、筋⾁、消化管、腎など深部の臓器や組織に移⾏する。 眼幼⾍移⾏症 ・幼⾍が眼に侵⼊する。網膜芽細胞腫に似た症状を⽰し、誤診で不必要な摘出に⾄ることがある。
幼虫移行症の診断
IgE上昇・好酸球増多・炎症・⾍体検出・⾎清診断
有棘顎⼝⾍の特徴
頭球と呼ばれる構造を持ち、多数の鉤が頭球の表⾯を覆っている
有棘顎⼝⾍の第1中間宿主、第2中間宿主、終宿主、待機宿主
第1中間宿主:ケンミジンコ類
第2中間宿主:ドジョウ、カエル等
終宿主:ネコ、イヌ等
待機宿主:雷⿂等
有棘顎⼝⾍の⽣活史
成⾍はイヌやネコの胃壁に腫瘤を作り寄生
→成⾍が産卵すると、便と共に外界に排泄され、⽔中で孵化
→第1中間宿主、第2中間宿主と順繰りに取り込まれ、L3幼⾍(=感染型)へと成⻑
→イヌ・ネコに経⼝で感染し、最終的に胃で成⾍になる
有棘顎⼝⾍のヒトへの感染
ヒトへの感染は、L3幼⾍を有する第2中間宿主または待機宿主を経⼝で取り込むことにより、幼⾍のままヒト体内の各種組織に移⾏(皮膚にいることが多い)
有棘顎⼝⾍の症状
⽪膚爬⾏疹、遊⾛性限局性⽪膚腫脹、好酸球増多
有棘顎⼝⾍の診断
⾎清診断、外科的摘出
有棘顎⼝⾍の治療
アルベンダゾール、イベルメクチン
広東住⾎線⾍の分布
太平洋諸島・タイ・台湾・⽇本(沖縄・⼩笠原)
広東住⾎線⾍の中間宿主、終宿主、待機宿主
中間宿主:アフリカマイマイ、ナメクジ等
終宿主:ドブネズミ・クマネズミ等
待機宿主:エビ・陸⽣のカニ・カエル・⿂類等
広東住⾎線⾍の⽣活史
成⾍はネズミの肺動脈に棲息し、産卵をして孵化 →出てきたL1幼⾍は、ネズミの消化管を通じて外海に出る →中間宿主に取り込まれ、その体内でL3幼⾍(=感染型)にまで発育 →ネズミが中間宿主または待機宿主を経⼝で取り込むと、感染 →幼⾍は、消化管から⼩循環・⼤循環を経て、⼀度クモ膜下腔に移動 →⼼臓に戻り、最終寄⽣部位の肺に到達して成⾍になる
広東住⾎線⾍のヒトへの感染
・3幼⾍を含む中間宿主や待機宿主を経⼝摂取
・幼⾍がクモ膜下腔に留まり脳実質や脊髄等にも移⾏することで、中枢神経症状が出現
広東住⾎線⾍の診断
⾎清診断、外科的摘出、脳脊髄液中の抗酸球増多
広東住⾎線⾍の治療
対症療法のみ
宮崎肺吸⾍の形態は〇〇に準ずる
ウェステルマン肺吸⾍
宮崎肺吸⾍の⽣活史(ウェステルマン肺吸⾍と違う点)
⽣活史はヒト体内でも順調に進み、幼⾍は肺に到達するがヒトは固有宿主ではないため、成⾍にならない
宮崎肺吸⾍の症状
胸⽔貯留、気胸、好酸球増多
宮崎肺吸⾍の診断
血清診断、喀痰検査、問診
宮崎肺吸⾍の治療
プラジカンテル
主な⼈体寄⽣原⾍類
①根⾜類
②鞭⽑⾍類
③胞⼦⾍類
④繊⽑⾍類
根⾜類の例
消化管・組織:⾚痢アメーバ等
鞭⽑⾍類の例
消化管:ジアルジア(ランブル鞭⽑⾍)
泌尿器・⽣殖器:膣トリコモナス
⾎液・組織:トリパノソーマ・リーシュマニア
胞⼦⾍類の例
⾎液:マラリア原⾍
組織:トキソプラズマ
消化管:クリプトスポリジウム
マラリア原⾍のヒトに感染する種類
熱帯熱・三⽇熱・四⽇熱・卵形・サル由来
マラリア原虫の特徴
赤血球内で増殖
肝臓の中で休眠するもの(休眠原虫)もいて、これには抗マラリア薬は効かない
マラリア原虫の中間宿主、終宿主
中間宿主:ヒト(無性生殖)
終宿主:ハマダラカ(有性生殖)
マラリア原虫の感染型
スポロゾイト
マラリア原虫の生活史
吸⾎によりスポロゾイトがヒト体内に⼊ると、⾎流に乗って肝臓に到達
→肝細胞内でメロゾイトになった後、⾎液に戻り、⾚⾎球へ侵⼊
→⾚⾎球内部で輪状体、アメーバ体、分裂体と経て、増えたメロゾイトが⾚⾎球を破壊して外に出る
→この破壊が⼀⻫に同期して起きるため、宿主(ヒト)が発熱
→メロゾイトの⼀部が⽣殖⺟体にになり、吸⾎により蚊の体内に移⾏すると、蚊での発⽣ステージが始まる
→この蚊はその後、唾液腺内に⼤量のスポロゾイトを抱え、新しい宿主を探して吸⾎
三⽇熱と卵形マラリア原⾍が感染する赤血球
幼若⾚⾎球
四⽇熱マラリア原⾍が感染する赤血球
⽼熟⾚⾎球
熱帯熱マラリア原⾍が感染する赤血球
全ての赤血球
休眠原⾍
肝細胞内でヒプノゾイト(休眠原⾍)を形成、再発の原因に。ヒプノゾイトには効かない薬剤あり
休眠原⾍になるマラリア
三⽇熱マラリア原⾍・卵形マラリア原⾍
熱帯熱マラリア原⾍の赤血球への影響
接着性が増⼤
⾎管内⽪や、感染⾚⾎球同⼠で凝集し、⽑細⾎管を詰まらせる
マラリア3主徴
発熱・貧⾎・脾種(+血小板減少)
悪性マラリアの症状
マラリア3主徴+意識障害+急性腎不全
マラリアは◯類感染症
4
⾚痢アメーバの特徴
栄養型:活発に運動し、偽⾜という構造を伸ばして移動し、⾚⾎球などを貪⾷ 嚢⼦:慢性期に出現し、主に固形便中に出て来る 核が4つある 類染⾊質体を持つ 中間宿主なし ⼈獣共通感染症、STD(性感染症)
⾚痢アメーバの生活史
糞便中の成熟嚢⼦が感染型 で、経⼝で感染すると、⼩腸で脱嚢し、後嚢⼦になる →1個の後嚢⼦が分裂し、8個の栄養型を作る →栄養型は⼤腸壁で分裂増殖し、潰瘍の原因となる →栄養型の⼀部は前嚢⼦を作り、それが1核→2核→4核となり、成熟嚢⼦へと変わる
⾚痢アメーバの病型2種類
腸アメーバ症
腸外アメーバ症
腸アメーバ症とその2種類
栄養型が⼤腸壁で分裂し、壺型潰瘍を形成する
①アメーバ⾚痢(イチゴゼリー状の粘⾎便が特徴)
②アメーバ性⼤腸炎(粘血便なし)
腸外アメーバ症
栄養型が⾨脈系から⾎⾏性に様々な器官や組織に移⾏することが原因
⾨脈から肝臓への移⾏→肺や脳に転移(⾏く先々で膿瘍を形成)
アメーバ性肝膿瘍の特徴
チョコレート⾊のドレナージ液
(栄養型を含むことから、診断に有⽤です。)
腸アメーバ症の診断
糞便検査
腸外アメーバ症の診断
血清診断+糞便検査
⾚痢アメーバ症の治療
・メトロニダゾール チニダゾール
・嚢⼦保有者にはパロモマイシン
⾚痢アメーバは◯類感染症
5
クリプトスポリジウムの感染型とその特徴
オーシスト(極小、抵抗生が高い、水系感染症)
クリプトスポリジウムの感染症としての分類
水系感染症、⼈獣共通感染症、STD(性感染症)
クリプトスポリジウム症の症状
免疫正常者:下痢 腹痛
免疫不全者:激しい⽔溶性下痢 体重減少 栄養不良
クリプトスポリジウム症の診断
糞便検査
クリプトスポリジウム症の治療
対症療法
トキソプラズマの感染型とその特徴
成熟オーシスト ・スポロゾイトを8個も含む ・内⽣出芽で増殖 ・嚢⼦(シスト)がある (中間宿主の体内で形成)
トキソプラズマの中間宿主、終宿主
中間宿主:ヒト・ブタ・ヒツジ
終宿主:ネコ
トキソプラズマの生活史(終宿主)
終宿主であるネコが成熟オーシスト(=感染型)を経⼝摂取
→オーシストは⼩腸で脱嚢し、スポロゾイトが出てきて⼩腸粘膜上⽪に侵⼊し、無性⽣殖と有性⽣殖を繰り返す。その間に未熟
オーシストが形成され、外界で成熟オーシストになる
トキソプラズマの生活史(中間宿主)
腸管壁を通過し、各種組織へ移⾏し組織細胞内で、タキゾイト(急増⾍体)となり、増殖
→このタキゾイトの一部は組織内で嚢⼦(多数のブラディゾイト(緩増⾍体)で詰まっていて、これがタキゾイトに戻ることがある(再燃))を形成
トキソプラズマの中間宿主への感染経路
①ネコ糞便からのオーシストの経⼝摂取
②ブタ等の⽣⾁内の嚢⼦(多数のブラディゾイト)の経⼝摂取
③タキゾイトの胎盤移⾏
トキソプラズマ症の2種の病型
先天性トキソプラズマ症
後天性トキソプラズマ症
先天性トキソプラズマ症
妊娠中にトキソプラズマに初感染
→経胎盤でタキゾイトが胎児に移⾏
網脈絡膜炎、精神・運動障害、脳内⽯灰化、⽔頭症
後天性トキソプラズマ症
初感染 or 免疫不全で再燃
リンパ節炎・網脈絡膜炎・トキソプラズマ脳炎
トキソプラズマ症の診断
血清診断、原虫検出
トキソプラズマ症の治療
ピリメタミン、サルファ剤、スピラマイシン等
トリパノソーマ科の原虫の発育型の種類
錐鞭毛期、上鞭毛期、無鞭毛期、前鞭毛期
アフリカトリパノソーマ症の病原体2つ
ガンビアトリパノソーマ
ローデシアトリパノソーマ
アフリカトリパノソーマ症のベクター
ツェツェバエ
アフリカトリパノソーマの生活史
ヒトの体内では、血流型錐鞭毛期虫体が血液やリンパ液中に寄生し、2分裂で増殖
→吸血によってツェツェバエにとり込まれ、体内で発育・増殖し、吸血時に、唾液とともに新たな宿主へと伝播
アフリカトリパノソーマ症の病期
ステージ1:血液・リンパ液感染期
ステージ2:中枢神経感染期
アフリカトリパノソーマ症の皮膚の症状
trypanosomal chancre:ツェツェバエの刺咬(吸血)した部位にできる丘疹
Winterbottom徴候:頚部リンパ節の腫脹
アフリカトリパノソーマ症の診断
原虫の検出、免疫学的診断法、分子生物学的診断法
ローデシアトリパノソーマのそれぞれの期での治療薬
ステージ1(血液・リンパ液感染期):スラミン
ステージ2(中枢神経感染期):メラルソプロール
ガンビアトリパノソーマのそれぞれの期での治療薬
ステージ1(血液・リンパ液感染期):ペンタミジン
ステージ2(中枢神経感染期):メラルソプロール、エフロールニチン
アメリカトリパノソーマ症の別名
シャーガス病
シャーガス病の病原体
クルーズトリパノソーマ
シャーガス病の流行地域
中南米
シャーガス病のベクター
サシガメ
クルーズトリパノソーマの生活史
サシガメが吸血した際に、クルーズトリパノソーマの感染型(メタサイクリック型錐鞭毛期)がサシガメの糞とともに排出される
→ヒトが、サシガメに刺された部位が痒くなり、糞と一緒に引っ掻くなどすると、粘膜や皮膚傷面から虫体が侵入
→様々な臓器・組織の細胞に感染し、その細胞内で無鞭毛期として増殖
→増殖した虫体は、感染細胞を破壊し、細胞外では再び錐鞭毛期となり、次の細胞へと感染
シャーガス病の感染経路
・サシガメによる媒介 ・輸血感染 ・母子感染 ・経口感染 ・臓器移植による感染
急性シャーガス病
原虫の侵入部位にできる病変
・chagoma(皮膚)
・Romaña徴候(眼瞼)
倦怠感、発熱、発疹、浮腫、肝腫、脾腫、リンパ節腫脹など
慢性シャーガス病
感染後、数年から十数年を経て、心臓と消化管の組織に障害
・心臓障害(心肥大や心不全など)
・消化管障害(巨大食道や巨大結腸による嚥下障害や便秘など)
シャーガス病の診断法
急性期:原虫の検出
慢性期:免疫学的診断法
シャーガス病の治療法
ニフルチモックス、ベンズニダゾール
リーシュマニア症の病型による分類
内臓リーシュマニア症、皮膚リーシュマニア症、粘膜皮膚リーシュマニア症
内臓リーシュマニア症の原因
ドノバンリーシュマニア、
幼児リーシュマニアなど
皮膚リーシュマニア症の原因
メキシコリーシュマニア、大形リーシュマニア、 熱帯リーシュマニアなど
粘膜皮膚リーシュマニア症の原因
ブラジルリーシュマニアとその近縁種
リーシュマニア症のベクター
サシチョウバエ
リーシュマニアの生活史
サシチョウバエの吸血の際に注入された虫体が、細網内皮系細胞(特にマクロファージ)に感染し、その細胞内で無鞭毛期として増殖
→無鞭毛期虫体は、感染細胞を破壊して細胞外に脱出し、再度、別の細網内皮系細胞に感染し、増殖を繰り返す
内臓リーシュマニア症での寄生部位と症状
脾臓、肝臓、リンパ節、骨髄などに寄生
発熱、体重減少、脾・肝の腫大、貧血など
post-kala-azar dermal leishmaniasis (PKDL)
・内臓リーシュマニア症の治癒後に発症
・顔面、上腕、胴体部などの皮膚に結節性の病変
皮膚リーシュマニア症での寄生部位と症状
サシチョウバエの吸血部位に小病変→結節や潰瘍を形成
リーシュマニア症の診断
原虫の検出
免疫学的診断法
分子生物学的診断法
リーシュマニア症の治療
スチボグルコン酸ナトリウム
河川盲目症の治療薬で、大村智先生のノーベル賞
イベルメクチン