14. ウイルスと感染 Flashcards
一番大きいウイルス
ポックス(200nm)
エンベロープタンパクの役割
細胞表面のマーカーを認識する
増殖できる細胞を選んで侵入する
エンベロープがあるウイルスの特徴
エタノール、胆汁に弱い(下痢を起こすウイルスはエンベロープなし)
中和抗体とは
細胞受容体に結合する。ウイルスと表面タンパクに結合し、ウイルスとの細胞の吸着、侵入などの感染過程を阻害する
排除することが可能なウイルスの条件
- 自然界でヒトにしか感染しない
- ワクチンによって確実に予防できる
- 持続感染や潜伏感染を成立させることができないため、短期的な掃討作戦で排除される
αヘルペスウイルスの種類
単純ヘルペスウイルス1型
単純ヘルペスウイルス2型
水痘・帯状疱疹ウイルス
βヘルペスウイルスの種類
ヒトサイトメガロウイルス
ヒトヘルペスウイルス6
ヒトヘルペスウイルス7
γヘルペスウイルスの種類
エプシュタイン・バー・ウイルス
カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス
単純ヘルペスウイルス1型の初感染時疾患
口唇ヘルペス
単純ヘルペスウイルス1型の潜伏感染部位
三叉神経節(神経細胞)
単純ヘルペスウイルス1型の再活性化時疾患
口唇ヘルペス
角膜ヘルペス
単純ヘルペスウイルス2型の初感染時疾患
性器ヘルペス
単純ヘルペスウイルス2型の潜伏感染部位
仙骨神経節(神経細胞)
単純ヘルペスウイルス2型の再活性化時疾患
性器ヘルペス
水痘・帯状疱疹ウイルスの初感染時疾患
水痘
水痘・帯状疱疹ウイルスの潜伏感染部位
三叉神経節・脊髄後根神経節(神経細胞)
水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化時疾患
帯状疱疹
ARN、帯状疱疹後神経痛
ラムゼイ・ハント症候群
ヒトサイトメガロウイルスの初感染時疾患
無症候性
先天性サイトメガロウイルス感染症
ヒトサイトメガロウイルスの潜伏感染部位
骨髄myeloid細胞
ヒトサイトメガロウイルスの再活性化時疾患
間質性肺炎、網膜炎
ヒトヘルペスウイルス6の初感染時疾患
突発性発疹、熱性痙攣
ヒトヘルペスウイルス6の潜伏感染部位
マクロファージ・脳内
ヒトヘルペスウイルス6の再活性化時疾患
熱性痙攣、脳炎、DIHS
エプシュタイン・バーウイルスの初感染時疾患
伝染性単核症
エプシュタイン・バーウイルスの潜伏感染部位
メモリーB細胞
エプシュタイン・バーウイルスの再活性化時疾患
バーキットリンパ腫、上咽頭癌など
慢性活動性EBV感染症
カポジ肉腫関連ヘルペスウイルスの初感染時疾患
血管炎?
カポジ肉腫関連ヘルペスウイルスの潜伏感染部位
B細胞?
カポジ肉腫関連ヘルペスウイルスの再活性化時疾患
カポジ肉腫
潜伏感染・再活性化の意義
潜伏感染しているウイルス遺伝子は、自分の宿主の生存に危機が迫ると再びウイルスを産生し、他の宿主に感染しようとする→再活性化
目のヘルペスウイルス感染
角膜は血流がなく、神経は届く
免疫から逃れる
潜伏感染と潜伏期の違い
潜伏感染:ウイルスは増殖していない
潜伏期:感染による症状は出ていないが、ウイルスは体内で猛烈な勢いで増殖している
帯状疱疹後神経痛(PHN)とは
帯状疱疹によって障害を受けた神経が、長期間の強い痛みを生じる疾患
この時ウイルスは消失している
帯状疱疹後神経痛(PHN)を防ぐ方法
帯状疱疹を早期にアシクロビルで治療する
ラムゼイ・ハント(Ramsay Hunt)症候群の三主徵
- 外耳道、耳介に疱疹
- 顔面神経麻痺: 開眼不能、鼻唇溝消失、口角下垂(予後最も問題になる)
- 内耳神経症状: 耳鳴、難聴、めまい
抗ヘルペスウイルス薬
アシクロビル、ガンシクロビル、フォルカルネット、シドファバー
アシクロビルが作用するウイルス
アシクロビルをリン酸化できるチミジンキナーゼ(TK)をもつウイルス(HSV-1, HSV-2, VZV)
アシクロビルの2重チェックとその意義
- ウイルス性のチミジンキナーゼでリン酸化されないとDNAに取り込まれる形にならない
- リン酸化後もウイルス性のDNA polymeraseがなければ取り込まれない
→ヒトのDNAには取り込まれないため安全
アシクロビルの長所
2重チェック
耐性ウイルスが発生しにくい
サイトメガロウイルスの免疫抑制時の再活性化による感染症(臓器移植、AIDS)
臓器移植:間質性肺炎(全ての免疫抑制)
AIDS:網膜炎(T細胞以外の免疫は働く)
サイトメガロウイルスが問題になるケース
免疫抑制時、妊婦の初感染(小児感染は無症状)
サイトメガロウイルスの治療薬
ガンシクロビル(2重チェック無し、副作用→骨髄抑制)
先天性サイトメガロウイルス感染症とは
CMV感染を受けた胎児が必ず障害を受けるとは限らない
一部:小頭症、肝脾腫、黄疸、脳の石灰化、知能障害、難聴など
先天性サイトメガロウイルス感染症の組織学的所見
フクロウの目(封入体)
先天性サイトメガロウイルス感染症の感染経路
・妊娠中の感染経路:母親の初感染による経胎盤感染、再活性化による経胎盤感染(母親がサイトメガロウイルスに対して免疫を持たない場合、上の子供からの感染に注意が必要)
・出産直後の感染経路:母乳からの感染
ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)
ヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)
両者とも突発性発疹の原因ウイルス
発熱、解熱後の発疹、熱性ケイレンを伴うことが多い
脳にaffinityがある→急性脳炎・脳症の原因
HHV-6の分類
HHV-6A:疾患との関係は確定していない
HHV-6B:突発性発疹の原因
エプシュタイン・バー・ウイルスによる伝染性単核症
初感染時疾患
発熱、肝腫大、冠動脈瘤
EBVの能力
B細胞、NK細胞、T細胞などに潜伏感染し 感染細胞を不死化する能力
→癌化する
EBV関連疾患
伝染性単核症、バーキットリンパ腫、上咽頭癌、慢性活動性EBV感染症
バーキットリンパ腫の発症要因
染色体転座
慢性活動性EBV感染症
EBVは本来B細胞に潜伏感染するが、この疾患ではT細胞やNK細胞に潜伏感染する
蚊アレルギーとの関連
EBVに効果的な抗ウイルス薬
なし
骨髄移植
カポジ肉腫関連ヘルペスウイルスに感染する人
AIDS患者
ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因となる癌と主なメカニズム
子宮癌
アポトーシス抑制
EBウイルス(HPV)が原因となる癌と主なメカニズム
バーキットリンパ腫、上咽頭癌、胃癌、日和見リンパ腫
遺伝子活性化、転座
カポジ肉腫ウイルスが原因となる癌と主なメカニズム
カポジ肉腫
遺伝子活性化
肝炎ウイルスが肝癌を引き起こすメカニズム
炎症・遺伝子活性化
HTLV-1が原因となる癌と主なメカニズム
成人T細胞白血病
遺伝子活性化
急性肝炎・慢性肝炎
急性肝炎:ウイルス性の肝炎で、多くは4〜6週間の経過で完治する(self-limiting)
慢性肝炎:6ヶ月以上肝臓に炎症が持続する病態
肝炎ウイルスで核酸がDNAのもの
B型肝炎ウイルスのみ
肝炎ウイルスで外殻蛋白がカプシドのみのものと、カプシド+エンベロープのもの
カプシドのみ:A型肝炎、E型肝炎
カプシド+エンベロープ:B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎
肝炎ウイルスで臨床経過が急性のみのもの
A型肝炎
A型肝炎ウイルス(HAV)の科と核酸形態
ピコルナウイルス科
線状1本鎖(プラス鎖)RNA
プラス鎖・マイナス鎖とは
プラス鎖:そのままタンパク質に翻訳できる
マイナス鎖:一回逆転写
ピコルナウイルス科の性質
線状1本鎖(+)RNA
エンベロープなし
IRES:Cap非依存的翻訳開始
HAVの感染経路
経口感染
HAVの疫学
水系感染→集団発生
不衛生な環境・地域
生カキ・貝などの生もの
HAVの失活
酸耐性あり、脂質耐性あり
高圧滅菌、UV照射、ホルマリン処理、塩素剤処理で失活
E型肝炎ウイルスの科と核酸形態
ヘペウイルス科
線状1本鎖(プラス鎖)RNA、遺伝子型1型〜4型
HEVの遺伝子型による違い
感染経路:1.2型人対人、3.4型人畜共通感染
1型は妊婦や慢性肝疾患患者で高死亡率
3.4型は慢性化する
D型肝炎ウイルスの特徴(エンベロープ、核酸、感染)
表面はHBVエンベロープ
環状1本鎖(マイナス鎖)RNA
単独では感染しない衛生ウイルス(HBVがヘルパー)
HDVのウイルス学的特徴
- リボザイム活性
- RNA編集
- Symmetric rolling circle RNA複製
- RNA鋳型のredirection
- 70% base pairing
- Plant viroid類似
HDV生活環
核内増殖
B型肝炎ウイルス(核酸、遺伝子の特徴)
不完全2本鎖環状DNA
Overlapする4本のmRNAとORF
HBVによる急性肝炎の遺伝子型別割合で最も多いもの
C、84.5%
HBVによる急性肝炎からの慢性率の遺伝子型別割合で最も高いもの
A, 10%
HBVの中で肝硬変進行率と発癌率、抗原陰性化率が高いもの
C
de novo B型肝炎
潜在的なHBV感染が、免疫抑制状態などが誘因となり再活性し発症するB型肝炎
HBV既感染者をドナーとした肝移植者や造血器疾患などで HBV既感染者に、免疫抑制治療・ 化学療法治療を行った場合に再活性し、 時として劇症化し、死に至ることもある
HBVキャリアとは
HBVが持続的に感染している状態
HBs抗原が持続的に陽性 and/or HBc抗体が陽性 or HBs抗体が陽性
C型肝炎の核酸、特徴
線状1本鎖(プラス鎖)RNA
薬物乱用・鍼・刺青・性行為が社会問題
Viral breakthroughとは
薬でウイルスが一時減少したにもかかわらず、耐性ウイルスが出てきたためにまたウイルスが増加すること
オルソミクソウイルス科の種類
A型インフルエンザウイルス属 (Influenzavirus A) :A型インフルエンザウイルス
B型インフルエンザウイルス属 (Influenzavirus B) :B型インフルエンザウイルス
C型インフルエンザウイルス属 (Influenzavirus C) :C型インフルエンザウイルス
インフルエンザの症状
38°Cを超える発熱、頭痛、鼻汁、咽頭痛、咳、関節痛、筋肉痛等
3日くらいの潜伏期間後に発症、約1週間で軽快。
乳幼児、高齢者、基礎疾患を持つ人では、肺炎などを、小児では脳症を併発し、最悪の場合、死に至る。
インフルエンザウイルスの特徴(核酸、エンベロープの有無)
分節化したマイナス鎖一本鎖RNA
エンベロープあり
A型とB型インフルエンザウイルスが表面に持つものと、その重要性
赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という糖蛋白
→感染防御免疫の標的抗原
インフルエンザウイルス感染経路と感染部位
飛沫感染
上気道の上皮細胞
インフルエンザウイルスの検査
患者の咽頭ぬぐい液やうがい液を検体 • イムノクロマト法(モノクローナル抗体を用いる酵素抗体法) →A型、B型の抗原を検出するが、抗原亜型は区別できない • ウイルス分離 • 血清診断 • 遺伝子診断法(RT-PCR)
インフルエンザウイルスの構造(各型の分節数)
A型: 8分節
B型: 8分節
C型: 7分節
インフルエンザはなぜ毎年流行する?と、その理由の現象名
RNAウイルスは遺伝子が変化しやすく、表面(HAとNA)の形が変わりやすい
連続抗原変異
新型インフルエンザはなぜできる?と、その現象名
2つの異なるウイルスが1つの宿主細胞に重複感染すると、 8本のRNA遺伝子の組み合わせ (2^8=256通り)ができる。 その中から、増殖できるいくつかのウイルスが残る。
遺伝子再集合/リアソータント
インフルエンザウイルスのレセプターの種類
人型、鳥型、馬型
インフルエンザウイルスの治療(吸引薬)
ザナミビル:5日間投与
ラニナミビル:1回のみ投与
インフルエンザウイルスの治療(内服薬)
オセルタミビル(商品名タミフル): 5日間投与
バロキサビル、マルボキシル(商品名ゾフルーザ)
アマンタジン(商品名シンメトレル)⇒ A型インフルエンザに有効(B型には無効。B型はM2タンパク質を持たない)
インフルエンザにおける解熱剤の使用
原則禁忌(脳症を誘発)
ライ症候群との関係
解毒剤が必要な場合、アセトアミノフェン
ライ症候群
主に小児が発症
原因は不明だが、インフルエンザまたは水痘の感染に続発
サリチル酸系薬剤(一般的にアスピリン)を使用した場合、発生リスクが35倍に上昇
インフルエンザワクチンの問題点
・予防できるが感染防御するものではない ・株が一致しない場合には効果が低い ・ワクチン株と流行株の抗原性が乖離しており、流行株に対するHI抗体価が上がりにくい ・流行株を予測することは不可能 ・発熱問題で小児に対し使用できない
良く効くインフルエンザワクチンとは?
感染阻止
流行株がワクチン株一致しない変異株の場合にも交叉防御能 (cross-protection) がある→IgA抗体
コロナウイルスとは
- 風邪のコロナウイルス
- 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)
- 中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)
- 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)
コロナウイルスの特徴
一本鎖プラス鎖RNAウイルス
エンベロープあり
コロナウイルスの表面の特徴
・脂質二重膜のエンベロープの中にNucleocapsid(N)蛋白に巻きついたプラス鎖の一本鎖RNAのゲノムがある
・Spike(S)蛋白、Envelope(E)蛋白、Membrane(M)蛋白
SARS-CoVの侵入経路
アンジオテンシン変換酵素2とTMPRSS2(膜融合タンパク活性化)