7. 行動科学 Flashcards
シャルル・ボネ症候群
- 複雑性、要素性
- 解放性幻視(長時間、変動しやすい内容)
左or右後頭皮質障害で右or左同名半盲が出現
幻視の内容による分類
要素性幻視(simple visual hallucination)
複雑性幻視(complex visual hallucination)
要素性幻視とは
単純な光、色、幾何学的図形などが見えること
複雑性幻視とは
人、動物、家具などのもの、風景が見える
解放性幻視の例
シャルル・ボネ症候群
シャルル・ボネ症候群とは
視力障害のある高齢者
求心性の視覚刺激遮断により視覚野の脱抑制→神経細胞の自発発火
視野欠損部位に幻視
学習とは
人間を含めて生体の行動が訓練、練習、反復、情報の受容や処理等によって、比較的、永続的変化、変容を生ずる過程
オペラント学習
生体の行動で、環境に対しての働きかけあるいは、自発する行動である、operant behaviorを獲得する過程
トークンエコノミー法
一定の課題を遂行できたときに、あらかじめ約束した条件にしたがって、トークン(記念品)を与え、目標とするオペラント行動を強化する方法
シェーピング法(shaping 形成化)
一定の目標行動に至るまでのいくつかの下位行動を段階的にスモールステップで設定し、順次これを遂行させて、最終的に目標駆動の達成を図る
弁別:Discriminationとは
オペラント行動が自発する契機となっている刺激事象
般化:Generalizationとは
CS→CRが形成され、類似の刺激で、程度は弱いが、CRが誘発されること
消去とは
強化を中止すること
消去抵抗とは
強化刺激の中断後も行動は漸減する。
この、行動の消えにくさのこと
観察学習効果とは
新しい行動を習得する
制止効果とは
他人の行動が罰を与えられるのを観察して、自分の行動を制止する
解制止行動とは
自分が恐がっている行動を他人が少しも恐がらずに遂行しているのを観察することで、その後に自分が遂行できるようになる
反応促進効果とは
人がすでに習得している行動を他人が遂行しているのを観察することで、その行動が遂行される
代理強化とは
直接経験する報酬や処罰(直接強化)だけでなく、他人の報酬や処罰(代理強化)を見たり、自己強化によって行動が変容されるという。
自己効力とは
ある具体的な状況において適切な行動を成し遂げられるという予期、および確信
結果予期とは
ある行動がどのような結果を生み出すのかという予期
効力予期とは
ある結果を生み出すために必要な行動をどの程度うまく行うことが出来るのかという予期
自己効力感の4つの源泉
・達成体験(自分自身が何かを達成したり、成功したりした経験)
・代理経験(他人が何かを達成したり成功したりすることを観察すること)
・言語的説得(自分に能力があることを言語的に説明されること、言語的な励まし)
・生理的情緒的高揚(酒などの薬物やその他の要因について気分が高揚すること)
自己効力感の3タイプ
・自己統制的自己効力感:自己の行動を制御する基本的な自己効力感
・社会的自己効力感:対人関係における自己効力感
・学業的自己効力感:学校での学習などにおける自己効力感
学習性無力
生態に逃避や回避が不可能な場面で嫌悪刺激を与え続ける
→後で逃避・回避可能な場面に遭遇しても、生体はじっと嫌悪刺激をうけるだけでありあまり動かず、逃避・回避学習がなかなか成立しなくなる
パブロフの条件反射理論
メトロノームと犬の唾液の関連
古典的条件付け(レスポンデント条件付け)
スキナーのオペラント条件付け理論
条件刺激に対して新たな反応を習得し、反応の遂行によって報酬を得たり、先行するサイン刺激に反応することにより有害刺激を回避したりする。これら報酬訓練や回避訓練により自発的に行動し、満足が得られるという強化機能が働く
キャノン学説
闘争―逃避反応(緊急反応)
Homeostasisがストレスによって乱される時の生物学的反応=「緊急反応」
自律神経系(アドレナリン、ノルアドレナリン)
セリエ学説
さまざまなストレッサーが非特異的症候をひき起こし、この一連の生体反応は生体防御反応と考え、視床下部ー下垂体ー副腎皮質系の反応であると考えた。
これら一連の反応は一般適応症候群(汎適応症候群)、また局所に関しても局所適応症候群と名づけた。
セリエ学説の期間
①警告反応期 ・ショック相(外的刺激に暴露されて生体がショックを受ける時期) ・反ショック相(副腎皮質ホルモンが分泌されて、ショック相と反対の反応を生じる) ②抵抗期:ストレッサーに対する抵抗力も増大し、適応状態にある ③疲はい期:ストレッサーが持続すると、抵抗力にも限界があり、生体は疲はいしていく。身体的にはショック相と同様の変化を示し、最後には死をもたらす。
ストレスと免疫反応
副腎皮質ホルモン→胸腺、リンパ腺の萎縮→リンパ球の成熟、分化の幼若化能を低下させる
急性ストレス反応でみられる末梢臓器の変化と血漿副腎皮質ホルモン含量の変化
・胃や十二指腸に潰瘍
・胸線やリンパ節の萎縮
・副腎皮質の肥大
・血漿中の副腎皮質ホルモンが増加
ストレッサーの分類
物理的:寒冷、騒音、放射線
化学的:薬物、毒物
生物学的:細菌、花粉
心理学的ストレッサー:不安、怒り、抑うつ
タイプAとは
虚血性心疾患の危険因子:野心的、競争的、攻撃的、性急さ、仕事熱心
心身相関の病態
- 心理学的側面:精神力動論、学習理論・・
2. 情動の身体反応:視床下部―下垂体、免疫反応、ストレスと心身相関
アレキシサイミア
自分の内的な感情への気づきとその感情表現が抑制された状態
アレキソミア
Homeostasis維持に必要な身体的感覚(空腹感疲労感等)が鈍い状態
過剰適応
真面目人間、自己犠牲的、人によく気を遣う、嫌と言えない
代表的な心身症(呼吸器系)
気管支喘息、過換気症候群、神経性咳そう、喉頭痙攣、慢性閉塞性肺疾患
代表的な心身症(循環器系)
本態性高血圧症、狭心症、心筋梗塞、起立性低血圧症、レイノー病
代表的な心身症(消化器系)
胃十二指腸潰瘍、慢性胃炎、慢性膵炎、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、慢性肝炎、呑気症
代表的な心身症(内分泌、代謝系)
神経性食思不振症、神経性過食症、糖尿病、甲状腺機能亢進症、単純性肥満症
代表的な心身症(神経、筋肉系)
片頭痛、筋収縮性頭痛、疼痛性障害、書痙
代表的な心身症(泌尿、生殖器系)
夜尿症、神経性頻尿、心因性尿閉
代表的な心身症(その他)
慢性関節リウマチ、更年期障害、慢性蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、円形性脱毛症、メニエール症候群
心身症治療法:薬物療法
・セロトニン系の関与:SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を中心とした抗うつ薬
・GABA系の関与:ベンゾジアゼピン系(抗不安薬)
心身症治療法:自律訓練法
重感、温感練習など
自己暗示→自己コントロール
心身症治療法:精神療法
支持的精神療法、精神分析的精神療法、認知行動療法
心身症治療法:森田療法
不安や恐怖を排除するのではなく、「あるがままに」することで「とらわれ」から抜けだす。
本来持つ健康な力や自然治癒力を最大限に生かしていく
心身症治療法:バイオフィードバック法
心拍数、血圧、体温、筋電図、脳波などの生理現象をモニターを通して光や音に変換する。
⇒好ましい変化が生じたら、光や音として被験者に知らせ、生体の生理現象をセルフコントロールしようとする方法
MCI(mild cognitive impairment 軽度認知障害)とは
毎日の活動は自立しているが、請求書支払や内服薬管理など複雑な手段的ADLは以前より大きな努力,代償的方略,または工夫を要する
加齢による脳の病的変化(神経細胞内外)
神経細胞内:神経原線維変化
神経細胞外:老人斑
アルツハイマー病脳(上側頭回)における神経細胞死の数は
(1) 老人斑密度と相関しない
(2) 神経原線維変化の数と相関する
(3) 神経原線維変化の数をはるかに超過している
対象認知(脳での投射方向)
モノの意味を判別する
脳の後方から下方
空間定位(脳での投射方向)
視覚対象の位置の判別
脳の後方から上方(心理的回転課題)
生後早期からの視覚障害や聴覚障害がもたらすもの
発達的に認知障害や言語障害
共感覚とは
文字や音に色を感じるなど、刺激相応の感覚に加えて、異種の感覚を自動的に生じること。成人に少ない
なぜ共感覚が成人では少ないのか
共感覚は神経発達における軸索の異所性投射や過剰シナプスによる
→成長に伴うプルーニングで見られなくなる可能性がある
幻覚とは
刺激対象がないにも関わらず生じる知覚
幻覚の分類
真性幻覚(意識清明時にも対象がありありと実態的に感じられる)
仮性幻覚(意識朦朧時など、本人に幻覚かもと感じさせる)
注意とは
より詳細に吟味するためにある情報を選択し、他の情報を無視する能力
「選択的注意」ともいう
受動的注意
感覚入力によってその感覚の情報処理が選択的に促進あるいは抑制されること
定位反射
→ボトムアップのプロセス
能動的注意
脳のどこかで発生した注意信号が局所的に促進(加速)するトップダウンのプロセス
選択的注意
定位反射の慣れ
主体にとって意味のない環境変化は無視されるようになる
森田による「神経質(森田神経質)」
几帳面、完全主義、強迫性といった強力面と、内向的、神経質、受け身といった弱力面の両面を持つ性格
Kretschmerによる気質と体型
統合失調症や統合失調症質→やせ型
躁うつ病者や循環病質→太り型
てんかんやてんかん病質→闘士型
下田による執着気質
「几帳面さ」と「熱中性」→双極性感情障害の病前性格
Tellenbachによるメランコリー親和型人格
几帳面、良心的で責任感が強い。対人関係では摩擦を避け、他人に心から尽くそうとする「他者のための存在」という傾向
DSM-5によるパーソナリティ障害類型
A群パーソナリティ障害:他人から見て奇異、風変りな印象を与える。
B群パーソナリティ障害:演技的で、情緒的で、移り気に見えることが多い。
C群パーソナリティ障害:不安や恐怖を感じているように見える。
A群パーソナリティ障害の種類
①猜疑性/妄想性パーソナリティ障害
②シゾイド/スキゾイドパーソナリティ障害
③統合失調型パーソナリティ障害
B群パーソナリティ障害の種類
①反社会性パーソナリティ障害
②境界性パーソナリティ障害
③演技性パーソナリティ障害
④自己愛性パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害の性差
女性に多く、男性の2倍
境界性パーソナリティ障害の対処方法
①基本的な構え:患者の苦悩を受容する。しかし一定の限界設定を設ける必要性がある。
②専門的なアプローチ
(a)精神分析的アプローチ
(b)弁証法的行動療法
弁証法的行動療法とは
境界性パーソナリティ障害(BPD)の自己制御、対人関係能力、苦悩忍耐能力が欠けていることに焦点を当て、不得手な社会生活技能の習得を目指し、感情の調節スキル、対人関係スキル、苦悩に耐えるスキル、マインドフルネススキルなどの心理、社会的スキルトレーニングを行なう
C群パーソナリティ障害の種類
①回避性パーソナリティ障害
②依存性パーソナリティ障害
③強迫性パーソナリティ障害
記憶の要素
記銘 encoding
保持 retention
再生 retrieval
○○記憶 保持時間による分類(神経学用語)
- 即時記憶 immediate memory
- 近時記憶 recent memory
- 遠隔記憶 remote memory
即時記憶 immediate memory
刺激入力後すぐの再生・干渉をはさまない
近時記憶 recent memory
刺激入力後、数分から数日間
遠隔記憶 remote memory
それ以上、年単位の記憶
即時記憶の想定されているメカニズム
reverberating circuit
反響回路
近時記憶の想定されているメカニズム
LTP in hippocampus
海馬の長期増強
遠隔記憶の想定されているメカニズム
protein synthesis
タンパクの合成
○○記憶 保持時間による分類(心理学用語)
短期記憶short-term memory
→刺激入力後、およそ1分以内の記憶
長期記憶long-term memory
→それ以上把持時間の長い記憶
記憶内容による分類
陳述記憶 declarative memory
非陳述記憶 non-declarative memory
陳述記憶 declarative memoryの種類
エピソード記憶 episodic memory
意味記憶 semantic memory
非陳述記憶 non-declarative memoryの種類
手続き記憶 procedural memory
プライミング priming
ほか
作業記憶 working memoryとは
理解、学習、推論など認知的課題の遂行中に情報を一時的に保持し操作するためのシステム
健忘症候群 amnesic syndrome
エピソード記憶のみが障害され、他の記憶や高次脳機能に障害が見られない状態
健忘症候群(狭義) amnesic syndrome
前向性健忘 anterograde amnesia 逆向性健忘 retrograde amnesia 見当識障害 disorientation 作話 confabulation 記憶錯誤 paramnesia
健忘症候群の特徴
・通常はonsetが明確(血管障害や外傷など)
・他の記憶は保たれる(特に干渉刺激を入れない即時記憶)
・正常な知的機能
・通常は「前向性」+「逆向性」
逆向性健忘 retrograde amnesiaだけの場合疑うもの
解離性障害
作話 confabulation
・事実ではないことをあたかも現実の出来ごとのように思い出すこと
・脳の損傷をうけ、記憶が断片化し、それを補完するためと考えられる
当惑作話
質問された内容に関する記憶がない場合、過去の経験の一部を取り入れた記憶が出現して答えを補う(頭部損傷)
空想作話
過去に経験のない空想的な内容(精神的)
記憶錯誤 paramnesia
・誤記憶:過去の経験や事実を誤って追想すること
・偽記憶:過去に経験していないことを実際にあったこととして追想する
・重複記憶錯誤:一つしかないはずの場所や人物、出来ごとがもう一つ存在するという主張
記憶障害をおこす脳部位
視床(視床梗塞など) 側頭葉内側 海馬周囲 前脳基底部 脳梁膨大部 扁桃体
Wernicke-Korsakoff syndrome
ビタミンB1欠乏により、乳頭体や脳弓、視床に変性が生じ、Papez、Yakovlevの両回路が遮断されることで健忘を生じる
Wernicke-Korsakoff syndromeの症状の順序
- ウェルニッケ脳症(意識障害、眼球運動障害、失調を示す)から回復
2. コルサコフ症候群(記憶障害)
Wernicke-Korsakoff syndromeの特徴
見当識障害、前向性健忘、逆行性健忘、作話
Wernicke-Korsakoff syndromeの代表的原因
アルコール多飲者の栄養不良
一過性全健忘
・発作中、明らかな前向性健忘が存在する。患者は繰り返し同じ質問をする。
・発作は24時間以内に消失する。
・除外症状:意識障害、失語・失行など、その他の神経学的局所徴候はない。
・除外疾患:頭部外傷やてんかんではない
全生活史健忘
・発症以前の出生以来すべての自分に関する記憶が思い出せない(逆向性・全健忘)状態
・多くは心因性。
・発症後、記憶は次第に戻ってくることが多い
心理アセスメントの種類
・面接法:会話を通して情報を得る
・観察法:対象者の行動をみることで情報を得る
・検査法:課題の遂行結果を情報とするもの(いわゆる心理検査が含まれる)
心理アセスメントの目的
対象者の認知特性や行動・思考の様式を推測予測し、対象者の持つ困難に対する援助の指針を得るため
重症度把握や治療・介入効果の測定のため
心理アセスメントの方法① 面接法
対象者と会話を通して情報を得る方法
診療・治療の場面に加え、日常会話場面なども含まれる。
心理アセスメントの方法① 面接法の手法(自由度が高い順)
非構造化面接
半構造化面接
構造化面接
非構造化面接のメリット
内容が決められていないため柔軟・個別性が高い
非構造化面接のデメリット
面接をする人の力量に左右される
半構造化面接のメリット
最低限聞き取るべき項目はカバー
臨機応変に対応できる
半構造化面接のデメリット
面接パッケージの習熟が必要
構造化面接のメリット
面接者の主観が入らないため再現性が高い
構造化面接のデメリット
対象者の本音に迫ることが難しく、機械的
半構造化面接の面接パッケージ
HAM-D、HAM-A
CAARDID(成人のADHD関連症状を評価するための面接ツール)
構造化面接の面接パッケージ
CIDI(WHO統合国際診断面接)
M.I.N.I.(Mini-International Neuropsychiatric Interview)
SADS(感情病および統合失調症用面接基準)
心理アセスメントの方法② 観察法
対象となる人の行動を一定の方法で観察、記述し、個人の行動に関する質的・量的情報を得る方法
診療場面、入院中の記録に記された行動なども情報源となる
心理アセスメントの方法③ 検査法
課題解決の過程を通して個人の特性や行動について情報を得る方法
信頼性や妥当性が示されており、客観性がある事が多い
最も中心的な方法
心理検査の種類
人格検査
発達及び知能検査
神経心理学的検査
精神症状の評価尺度
心理検査の活用に必要な2つの視点
定量的視点:事象を数値化して捉える→ 客観的・科学的な視点
定性的視点:数値では表現できない対象者の反応や態度、誤答の仕方などに注目して、個人の特徴を解釈する
発達検査とは
主に、乳幼児期〜学齢期の発達段階や心身の発達の偏りの有無などを把握するための検査
知能検査とは
知能(知的場面において問題を効果的に解決していくために必要な能力)を把握するための検査
発達及び知能検査はどんな時に用いられるのか?
・乳幼児の定期検診、就学前検査
・知的障害の鑑別
・発達障害、高次脳機能障害、認知症などの疑いのある対象者に対する知的水準、認知機能の偏りの精査
・発達障害を鑑別するための検査ではない。
よく用いられる発達検査
新版K式発達検査
K-ABCⅡ
よく用いられる知能検査
田中・ビネー知能検査Ⅴ
ウェクスラー知能検査
知的機能の簡易評価日本語版(JART)