1. 病理学総論 Flashcards
Hela細胞
子宮がん細胞を基にした人類初めてのヒトの培養細胞
病気の内因の種類
- 先天的素因(遺伝的素因、生理的素因(年齢・性・民族))
2. 後天的素因(免疫異常、アレルギー、内分泌障害、栄養状態・体力)
病気の外因の種類
- 生物学的環境(食糧、病原微生物)
- 物理学的環境(気圧、酸素分圧、放射線など)
- 化学的・技術的環境(大気汚染、公害病、機械的傷害)
先天異常の分類
- 遺伝傷害(遺伝性疾患、染色体異常)
2. 胎児障害(奇形)
インフレーム変異
挿入変異・欠損変異のうち、塩基数が3
優性・劣性遺伝の変更
顕性・潜性遺伝
常染色体顕性遺伝病の特徴
ホモの方が重症
キャリアの例もある(浸透率<100%)
発症年齢が遅い
常染色体顕性遺伝病の例7
神経線維腫症I型 ハンチントン病 多発性嚢胞腎 家族性大腸腺腫症 マルファン症候群 エーラス・ダンロス症候群 遺伝性乳がん卵巣がん症候群
神経線維腫症I型の責任遺伝子と症状
NF-1 (17q)
カフェオレ斑
側弯症
眼病変
マルファン症候群とは
フィブリリンをコードする遺伝子の変異
高身長、痩せた体格、長い手足
遺伝性乳がん卵巣がん症候群の責任遺伝子と症状
BRCA1 (17q) or BRCA2 (13q)
卵巣がん、乳がんの発症の可能性が高い(男性では乳がん、前立腺がん)
常染色体潜性遺伝病の例5
代謝障害 嚢胞性線維症 鎌状赤血球症 ライソゾーム病 糖原病
X連鎖顕性遺伝病の例
ビタミンD抵抗性クル病
X連鎖潜性遺伝病の例
Duchenne型筋ジストロフィ、血友病
ミトコンドリア遺伝病の特徴と例
ミトコンドリアDNAに由来する遺伝性疾患
卵子によって伝えられる
遺伝しても発症するとはかぎらない
脳筋症・尿酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群(MELAS)
多遺伝子性
個々の遺伝子は表現型に対して小さな効果しか持たないが、多くの遺伝子の影響の集積により表現型が引き起こされる
多因子性とその例
多様な遺伝子と多様な環境因子との相互作用によって生じる疾患
奇形、生活習慣病など
Down症候群の異常
21トリソミー (95%)
遺伝子転座 (3%)
モザイク (1~2%)
Down症候群の症状7つ
精神発達遅滞 先天性心疾患 消化管の奇形 猿線 臍ヘルニア 白血病 内眼角贅皮
Down症候群の出生前診断
侵襲的検査(絨毛検査、羊水検査)
非侵襲的検査(超音波検査、母体血中マーカー、母体血中胎児由来DNA)
性染色体異常の代表的疾患
Klinefelter症候群
Turner症候群
Klinefelter症候群
47, XXY
高身長、長い手足、萎縮精巣と陰茎、女性化乳房、不妊症
Turner症候群
45, XO
低身長、翼状頸、大動脈狭窄症、外反肘、二次性徴の欠如、無月経、リンパ浮腫
ヒト細胞の数
60~100兆個
細胞内液と細胞外液
細胞内液:2/3(K, Mg, PO4 3-)
細胞外液:1/3(Na, Cl, HCO3-, Ca)
上皮性の腫瘍
癌
支持組織(非上皮性)の腫瘍
肉腫
ミトコンドリアによるATP産生低下の影響
細胞膜ポンプ機能障害 →細胞腫脹・空胞変性・水腫状変性 細胞質内嫌気性解糖の亢進=乳酸↑pH↓ acidosis →核濃縮、RNA抑制・タンパク合成減少 加水分解酵素の細胞質内および細胞が胃への脱出 →細胞質自己融解・核融解
細胞傷害の過程
- ミトコンドリアによるATP産生低下
- 膜傷害
- フリーラジカル(活性酸素種ROS)
- 細胞質内Ca2+濃度上昇
核の変化の種類
核濃縮 核膜過染 核膨化 核崩壊 核融解
Chediak-Higashi症候群
白血球のmicrotubulesの機能異常
lysosome膜と細胞膜との癒合が起こらず、lysosome内の酵素が分泌されない易感染状態
線毛運動失調症候群
微小管の結合タンパクであるダイニン(-へ)の欠損や微小管の構造異常により線毛運動障害になり慢性気道炎、中耳炎、男性不妊、子宮外妊娠を合併することがある
退行性病変
変性・萎縮・壊死
進行性病変
再生・肥大
水分代謝障害
- 混濁腫脹:本体の透明感がない
2. 空胞腫脹:細胞質内に大小の空胞が生じる(低蛋白性溶液)
タンパク質代謝障害による変性
- 硝子変性:透明な無構造物の組織内沈着(硝子滴、硝子膜)
2. 角質変性:過剰な角化(過角化)、脱核が起きなかった状態など(錯角化)
粘液変性
粘液が細胞内または間質結合組織に貯留した状態
類線維素変性と例
血漿中に存在する線維素を含む蛋白が組織内に侵入し、γグロブリンなどの免疫複合体や補体と結合してできたタンパク質の複合体が血管壁などにつく
リウマチ熱、結節世動脈周囲炎、SLEなど
fibroid necrosisに至る場合も
アミロイドの染色
Congo red染色(アルカリ性)で赤染
アミロイドーシス
アミロイド蛋白が臓器の血管壁や間質に沈着し、臓器障害を及ぼした状態
コロイド変性
タンパク質に富む液体成分の濃縮沈着
腎尿細管内の硝子円柱、甲状腺腫
尿酸代謝障害
プリン塩基の最終産物が尿酸
関節や皮膚などの組織へ沈着→痛風
脂肪変性
- 脂肪肝
2. 大動脈粥状硬化
大動脈粥状硬化とは
血中内の脂質濃度が高い →脂肪線条 →泡沫細胞(脂肪を貪食したマクロファージ) →粥腫(アテローム)形成 →動脈の弾性が低下し動脈硬化
脂質蓄積症
ゴーシェ病
ニーマン・ピック病
ゴーシェ病
複合脂質代謝異常の結果類脂質が異常に蓄積される常染色体劣性遺伝
ニーマン・ピック病
網内系、中枢神経系主体にsphingomyelinの系統的沈着をきたす先天性遺伝性脂質代謝異常症
Fabry病で蓄積する主なSphingoglycolipid
Globotriaosylceraminde (GL-3)
ceramide trihexoside
Fabry病に基づく諸臓器への糖脂質沈着と臓器障害所見
肥大心に併発した拡張性不全心
萎縮腎
血管平滑筋内の糖脂質沈着
神経障害
糖尿病の慢性合併症(3主徴)
網膜症
神経障害
糖尿病性腎症
乾性壊疽
壊死組織が外気にさらされ、水分が蒸発し乾燥した状態
糖原病
glycogenの合成や分解過程に関与する酵素欠損や活性低下に基づく疾患
種々の臓器にglycogenの異常蓄積を見る
カルシウム代謝障害の3分類
異栄養性石灰化
石灰症
転移性石灰化
血中カルシウムを上昇・減少させるもの
上昇:PTH、活性型ビタミンD
減少:カルシトニン
石灰沈着の種類
加齢に伴う:松果体、気管・気管支軟骨、肋軟骨
異栄養性石灰化:陳旧性結核症、線維性瘢痕、死滅した寄生虫・卵、子宮平滑筋腫、アテローム硬化
加齢に伴う石灰沈着の好発部位
松果体、気管・気管支軟骨、肋軟骨
異栄養性石灰化の石灰沈着の好発部位
陳旧性結核症、線維性瘢痕、死滅した寄生虫・卵、子宮平滑筋腫、アテローム硬化
高カルシウム血症に伴うもの好発部位
腎臓、腎結石、胃壁、肺胞壁弾性線維、血管壁、角膜
結石症の石灰沈着の好発部位
尿路、胆道、唾液腺、膵臓、前立腺
腫瘍組織の石灰沈着の好発部位
卵巣腺癌、甲状腺乳頭癌、髄膜腫、乳腺腫瘍、脳腫瘍、松果体腫瘍、頭蓋咽頭腫
異栄養性石灰化とは
組織に変性や壊死の先行があり、これにCaが沈着
異栄養性石灰化の機序
壊死組織→炭酸ガス濃度低い→アルカリ性→Ca沈着
異栄養性石灰化の沈着物
炭酸石灰、リン酸石灰
胆石の部位
胆嚢、肝内胆管、総胆管
胆石の成分
コレステロール系結石(単発、胆嚢)
ビリルビン系結石(多発性、胆管内)
転移性石灰化とは
組織の側に誘因なく石灰化が起こる形式
転移性石灰化の症例
副甲状腺線腫
腎病変
骨破壊
多発性骨髄腫
Wilson病とは
銅は通常95%がセルロプラスミンに結合しているが、セルロプラスミンが低下することで組織に銅が沈着する
ヘモジデローシス
ヘモグロビン→ビリルビン+ヘモジデリン
ヘモジデリンが一時的に肝臓、脾臓、腎臓、リンパ節などに沈着したもの
ヘモクロマトーシス
ヘモジデローシスのうち臓器障害をきたしたもの
アジソン病
副腎皮質機能不全
MSH(メラノサイト刺激ホルモン)やACTHの分泌過剰によると考えられている
メラニンの色素代謝異常
アジソン病、色素性母斑症、悪性黒腫
色素代謝異常
- メラニン
- リポフスチン
- 黄疸
正常血清ビリルビン値
0.5~1.0 mg/dL
単純萎縮 vs. 数的萎縮
単純萎縮:臓器組織を構成する実質細胞の容積が減少して全体が小さくなる
数的萎縮:実質細胞の数が減少して小さくなる
肥大
細胞の数の増加を伴わず、一つ一つの細胞が大きさを増すことで起こる臓器・組織の体積増加
過形成
細胞の数の増加によって起こる臓器・組織の体積増加
老人性萎縮
加齢とともに身体の予備能力の減退や動脈硬化による血液供給の減少により、臓器の形態的変化として萎縮が現れる生理的萎縮
飢餓萎縮
食事の不十分な摂取、栄養の吸収が妨げられることにより生じる全身性萎縮
悪液質
悪性腫瘍や慢性疾患の存在により、消耗性変化や低栄養状態が遷延し、将来される萎縮状態
圧迫萎縮
持続的に局所への圧迫が加わることで、血液やリンパの流れが妨げられ、低栄養状態になり萎縮に陥った状態
(水腎症、水痘症、褥瘡(床ずれ))
廃用性萎縮
臓器組織の機能が低下・停止するとその活動によって生じていた負荷や刺激がなくなり、萎縮に陥った状態
(長期臥床による筋萎縮、宇宙飛行士、透析腎)
壊死(定義、原因4つ)
生体における組織・細胞の局所的・不可逆的な死
- 血液障害・循環障害
- 肺ガス交換障害
- Hb減少
- 酸素利用低下
凝固壊死とは、例
壊死組織が凝固し硬くなる
・腎臓・脾臓・心筋での貧血性梗塞巣
凝固壊死の機序
周囲から浸透してきたアルカリ性の組織液によりcathepsin(酸性下で作用する細胞質内のタンパク分解酵素)の働きが阻止され、同時に浸透してきた酵素・Caによるタンパク凝固作用の促進、細胞質タンパクの自己凝固により成立
融解壊死
壊死組織が速やかに軟化融解するもの(自己融解)
蛋白が少なく、脂質が多い場所
中枢神経でよく起こる
乾酪壊死
結核や梅毒ゴム腫でみられる凝固壊死の1種
粟粒結核
肺の結核の病巣が破れ,多くの結核菌が血行を介して全身の臓器に運ばれ,多数のアワ粒大の結核結節を作る疾患
結核菌(菌体、染色、菌体数の指標)
菌体:桿状菌体
染色:抗酸菌染色(Ziehl-Neelsen染色)
菌体数の指標:ガフキー号数
乾性壊疽と湿性壊疽
乾性壊疽:絵師組織が外気に晒され、水分が蒸発し乾燥した状態
湿性壊疽:壊死組織に二次的に細菌(嫌気性腐敗菌)が繁殖し、組織が腐敗したもの
アポトーシス
カスパーゼが活性化して、核酸・タンパク質・脂質を分解することにより起こる、制御された自殺的な細胞死
ATP依存
p53とは
DNA修復失敗・困難の時にアポトーシス・老化誘発
p53をコードするがん抑制遺伝子
TP53遺伝子
TP53遺伝子欠損・変異細胞
DNA損傷で細胞周期停止しない→遺伝子損傷細胞増加→悪性腫瘍の発生
死の三徴候
心臓停止
呼吸停止
瞳孔散大、対光反射消失
脳死
大脳の機能の多くが停止しても心機能は維持される(呼吸はできない、脳幹含む全脳の機能停止)
植物人間
大脳皮質機能を消失しても生活現象を営ませることができる
脳幹の機能は残っている
死後変化
・死斑(血液が身体の下の方に集まり、皮膚に紫色の斑が出現) ・自家融解(細胞・組織の分解) ・腐敗(腸管から細菌が侵入) ・死後硬直(ATP減少により筋肉硬直) ・浸軟(子宮内胎児死亡で浮腫状態となり表皮がむけて真皮が露出する)
炎症の三徴、四徴候
発赤
腫脹
疼痛
+熱感
炎症の過程
- ヒスタミンなどのchemical mediatorが炎症の三徴候を引き起こす
- 白血球が活性化されさらにchemical mediatorが放出される
- 免疫反応に伴い血管新生や肉芽形成(肉芽や線維化により、機能障害が起こる場合も)
ヒスタミンを顆粒に持つもの(高濃度のものはどれか)
肥満細胞(高濃度)、好塩基球、血小板
セロトニンを分泌・貯蔵する血液成分
血小板
lysosomal enzymesを貯蔵・分泌する血液成分
好中球、マクロファージ
刺激により、血管内皮で新しく合成され、細胞外に分泌される炎症物質
プロスタグランジン、トロンボキサン、血小板活性化因子(PAF)
刺激により、白血球で新しく合成され、細胞外に分泌される炎症物質
ロイコトリエン、活性酸素
刺激により、血管内皮・マクロファージで新しく合成され、細胞外に分泌される炎症物質
NO
発赤に関与する化学物質
histamine, NO, prostaglandins
腫脹に関与する化学物質
histamine, C3a & C5a, bradykinin, ROS, leukotrienes, PAF
疼痛に関与する化学物質
Kinins (Bradykinin), Substance P, Prostaglandins
発熱に関与する化学物質
IL-1, TNF-α, IL-6, Prostaglandins
白血球走化性に関与する化学物質
C5a, LTB4 & LTC4 chemokines (TNF-α,IL-1, IL-8), bacterial products (LPS)
ヒスタミンの産生過程、構造
アミノ酸のヒスチジンの脱炭酸反応により産生されるアミン
イミダゾール核とエタノラミン構造を持つ
ヒスタミン受容体の種類と場所
GPCR
H1:平滑筋や内皮細胞、中枢神経系に存在する受容体、アレルギーや炎症
H2:胃酸分泌・炎症と関与
ヒスタミンの作用
血管拡張
毛細血管透過性亢進
気管支平滑筋収縮
痛み・痒み
ヒスタミンの炎症の際の作用過程
血管内皮細胞のH1に作用しNOを産生させ血管平滑筋拡張
→H2に作用し持続的拡張
H2遮断薬
胃潰瘍治療薬
セロトニンの産生
必須アミノ酸のトリプトファンから5-hydroxy tryptophanを経由して生合成される脳内の神経伝達物質
セロトニンの受容体
ほとんどがGPCRだが、5-HT3のみligand gated ion channel
5-HT2A:弱い血小板凝固作用、損傷の際は強い血管収縮、内皮と相互作用するとNO産生
NOの産生、酵素
アミノ酸のArgの脱アミノ化
NOS(nitric oxide synthase)
NOS(nitric oxide synthase)の種類と場所
eNOS:内皮細胞
nNOS:神経や筋(calmodulinを介する)
iNOS:マクロファージ
NOの作用
guanylyl cyclaseという酵素の活性部位にある鉄と結合し、細胞内シグナル分子であるcGMPを産生させる
→cGMPはPKGを活性化し細胞内Ca2+の上昇を抑制し平滑筋を弛緩させる
エイコサノイドとは
脂質由来炎症性メディエーターで、アラキドン酸由来のもの
生体膜リン脂質の種類
グリセロリン脂質(ヒトは半分以上)、スフィンゴリン脂質
PLA2とは
グリセロリン脂質のsn2位の脂肪酸を一個取り出す
ホスファチジルコリンのPLA2による分解
sn-2位の脂肪酸(アラキドン酸:20炭素鎖に4個の二重結合がある
eicosatetraenoic acid)とリソPAF(platelet activating factorの原料)
炎症性脂質メディエーター産生に関与する酵素
Phospholipase A2 (PLA2):Cytosolic PLA2 (cPLA2) (group IV)
Cyclooxygenase (COX):COX-1, COX-2
Lipoxygenase (LOX): 5(S)-LOX
COX-1の場所と産生に関与するもの
全身に分布するが特に胃の上皮でPGEやPGIの合成酵素とともPGE2やPGI2の産生に関与
TXA2産生にも関与
COX-2の場所と産生に関与するもの
サイトカインやストレス、成長因子などによって誘導される
PGI合成酵素が発現する血管内皮におけるPGI2の産生
Lipoxigenase (LOX)が産生に関与するもの
ロイコトリエン生合成
PLA1の具体的な作用
グリセリンのsn-1位にある脂肪酸を外す
PLA2の具体的な作用
グリセリンのsn-2位の位置にある脂肪酸を外す
ホスホリパーゼCが関与する反応
PIP2→DAGとIP3
アラキドン酸から産生される生物活性物質
シクロオキシゲナーゼ(COX)から産生されるプロスタノイド
リポオキシゲナーゼ(LOX)から産生されるロイコトリエン
チトクロームP450で代謝されるEET (epoxyeicosatrienoic acids)
プロスタノイド
プロスタグランジンとトロンボキサンの総称
プロスタノイドの受容体
GPCR