2. 腫瘍学I Flashcards
がんの罹患率
一定期間に新たに診断されたがん/人口
がんの死亡率
一定期間にがんで死亡したひと/人口
5年生存率が最も低いがん
- 膵臓癌
2. 胆嚢・胆管癌
がん対策の一次予防、二次予防、三次予防
一次予防:健康を増進し、発病を予防
二次予防:早期発見、早期治療
三次予防:社会復帰
5年生存率が90%を超えている癌
皮膚癌
前立腺癌
甲状腺癌
健康促進法に基づいて行われているもの
がん検診
健康日本21
受動喫煙防止対策
喫煙者の個別健康教育
TNM分類とは
悪性固形腫瘍に対する病期分類のための国際的基準
TNM分類の因子
T(tumor)因子
N(lymph node)因子
M(metastasis)因子
G(grade)因子
TNM分類のT(tumor)因子
原発巣の拡がり
数値が大きくなると腫瘍が広がっている
TNM分類のN(lymph node)因子
リンパ節における拡がり
リンパ節を手術で切除した場合に用いる
TNM分類のM(metastasis)因子
M0:転移なし
M1:転移あり
TNM分類のG(grade)因子
病理組織学的分化度 G1:高分化 G2:中分化 G3:低分化 G4:未分化
抗原刺激によるリンパ節の腫大と腫瘍によるリンパ節の腫大の違い
抗原刺激:反応性・可逆性増殖=増殖過程は両方向性
腫瘍:腫瘍性増殖=非可逆性増殖
がんの定義
悪性腫瘍
癌の定義
上皮性悪性腫瘍(Carcinoma)
肉腫の定義
非上皮性悪性腫瘍
混合性腫瘍とは
腫瘍の実質が2種類以上の異なる由来の組織から構成されるもの
奇形腫とは
3胚葉由来の組織構造よりなる腫瘍
良性腫瘍 意味
腫瘍のうち、発育速度が緩徐で、膨張性に増殖し、転移をきたさないもの
悪性腫瘍 意味
腫瘍のうち、浸潤や転移をきたし個体を死に至らしめうるもの
異形成 意味
正常では見られない細胞の形態学的変化で、悪性腫瘍ほどではないが異型を伴った細胞からなる前がん病変あるいは良悪性の境界病変の状態
異型性 意味
細胞や組織構築の正常からの隔たりのことで、細胞異型と構造異型に分けられる
細胞異型 意味
細胞や核の大きさ、形、染色性、クロマチン構造など細胞レベルでの形態学的異常
構造異型 意味
細胞の配列や極性の消失などの組織構築の異常
分化 意味
発生母地となった組織構造との類似の程度
退形成 意味
発生母地由来細胞の機能的・形態的特徴を失い胎生期の状態に戻ったような変化を来した状態
異型性の指標
・核・細胞質比(N/C比)が高くなる ・核クロマチンが増量し、粗大顆粒状になる ・核小体が肥大、増数する ・核や細胞質の大小不同、形態の多彩化を生じる(=多形性) ・核分裂増の増加、異型核分裂像の出現
腫瘍が個体に与える影響8つ
- 隣接臓器の物理的圧排
- 腫瘍自体の機能の獲得(ホルモン産生能など)
- 出血と二次的な感染
- 破裂や梗塞の伴う二次的炎症
- 悪液質(カヘキシー)
- 腫瘍随伴症候群
- 疼痛
- 精神的不安
悪液質(カヘキシー)とは
坦癌患者が継続的な体脂肪減少、体重減少をきたす状態
腫瘍随伴症候群とは
腫瘍の局所での増殖や転移そのもの、腫瘍発生臓器固有のホルモン分泌では説明できない(異所性ホルモン分泌による)、腫瘍に随伴する症候群のこと
腫瘍随伴症候群の重要性
・個体において腫瘍随伴症候群による症状が初発症状である場合がある
・腫瘍そのものの症状より致死的になる場合がある
・治療選択を難しくすることがある
腫瘍随伴症候群の代表的症候
クッシング症候群 高カルシウム血症 非細菌性血栓性心内膜炎 不適切抗利尿ホルモン症候群 低血糖
腫瘍とは
生体の細胞増殖の制御機構から逸脱し、自律性増殖能、不死化状態を獲得した細胞群
隣接臓器の物理的圧排の例
下垂体腺腫の隣接下垂体組織の圧排
尿管癌の尿管閉塞による水腎症
管内胆管癌の胆管圧排による管内胆汁うっ滞
腫瘍自体の機能の獲得の例
膵島細胞腫による低血糖
副腎褐色細胞腫による高血圧
悪性腫瘍の拡大様式
浸潤性 血行性 リンパ行性 播種性 経管性(気管支などを通して) 接触性(上口唇から下口唇)
いわゆる癌肉腫とは
癌細胞と癌細胞由来の紡錘形細胞からなる
真の癌肉腫とは
癌細胞と横紋筋肉腫あるいは骨肉腫からなる
良性の杯細胞性腫瘍の名前
成熟奇形腫
悪性の杯細胞性腫瘍の名前
未熟奇形腫
腫瘍の細胞接着
固定結合(接着帯・接着結合、接着班、ヘミデスモゾーム)
異所性ホルモン産生腫瘍(ACTH・MSH)
肺小細胞癌、胸腺癌、膵島癌
異所性ホルモン産生腫瘍(ADH)
肺小細胞癌
異所性ホルモン産生腫瘍(カルシトニン)
肺癌、胸腺癌、乳癌
異所性ホルモン産生腫瘍(GH)
肺癌、胃癌
異所性ホルモン産生腫瘍(VIP)
肺癌、膵島癌、褐色細胞腫
異所性ホルモン産生腫瘍(インスリン)
肺癌、中皮腫、線維肉腫、肝癌
異所性ホルモン産生腫瘍(グルカゴン)
肺癌、胃癌
異所性ホルモン産生腫瘍(ガストリン)
膵島癌
異所性ホルモン産生腫瘍(PTH)
腎癌、肝癌、扁平上皮癌
異所性ホルモン産生腫瘍(HCG)
肺癌、肝癌、胃癌、腎癌、松果体腫
異所性ホルモン産生腫瘍(エリスロポエチン)
肝癌、腎癌、小脳血管腫
異所性ホルモン産生腫瘍(エストロゲン)
胃癌、肺癌
腫瘍随伴症候群の症状別腫瘍(クッシング症候群)
肺小細胞癌、膵癌、神経性腫瘍
腫瘍随伴症候群の症状別腫瘍(抗利尿ホルモン不適切分泌)
肺小細胞癌、頭蓋内腫瘍
腫瘍随伴症候群の症状別腫瘍(高カルシウム血症)
肺扁平上皮癌、乳癌、腎癌、ATL/L、卵巣癌など
腫瘍随伴症候群の症状別腫瘍(低血糖)
線維肉腫、肝細胞癌、腎癌
腫瘍随伴症候群の症状別腫瘍(カルチノイド症候群)
気管支カルチノイド、膵癌、胃癌
腫瘍随伴症候群の症状別腫瘍(多血症)
腎癌、小脳血管芽腫、肝癌
腫瘍随伴症候群の症状別腫瘍(筋無力症)
肺癌、乳癌
腫瘍随伴症候群の症状別腫瘍(Acanthosis nigricans)
胃癌、肺癌、子宮癌
腫瘍随伴症候群の症状別腫瘍(皮膚筋炎)
肺癌、乳癌
腫瘍随伴症候群の症状別腫瘍(肥厚性骨関節症)
肺癌、中皮腫
腫瘍随伴症候群の症状別腫瘍(静脈血栓症)
膵癌、肺癌
腫瘍随伴症候群の症状別腫瘍(非細菌性血栓性心内膜炎)
いかなる末期癌
腫瘍随伴症候群の症状別腫瘍(ネフローゼ症候群)
種々の癌腫
ペプタイドホルモン依存性腫瘍
副腎皮質腫瘍
甲状腺腫瘍
乳癌
ステロイドホルモン依存性腫瘍
乳癌
子宮内膜癌
前立腺癌
白血病
過形成 定義
組織・臓器の構成細胞の数的増加により、組織や臓器の大きさが増す現象
肥大 定義
組織・臓器の構成細胞の数的増加を伴わず、細胞の容積が増大して組織や臓器の大きさが増す現象
過形成の分類と原因
1. 生理的過形成 ・ホルモン性(分娩など) ・代謝性(肝臓の部分切除) 2. 病的過形成 ・過剰なホルモン刺激 ・過剰な増殖因子の刺激
過剰なホルモン刺激による病的過形成の例
前立腺過形成
子宮内膜増殖症
ウイルスによる病的過形成の例
パピローマウイルスによる疣贅
肥大の分類と原因
1. 生理的肥大 ・ホルモン性(妊娠) ・労働負荷性(body building) 2. 病的肥大 ・労働性 ・代謝性 ・ホルモン性 ・慢性刺激 ・仮性肥大 ・特発性
化生 定義
分化した細胞・組織が、他の系統の分化した細胞・組織に置き換わること
扁平上皮化生とその例
円柱上皮→重層扁平上皮→扁平上皮癌の発生母地
・喫煙者の気道
・慢性子宮頸管炎
胃の腸上皮化生とは
胃の腺上皮→腸型腺上皮→腺癌の発生母地
間葉系の化生
骨化生:結合組織→骨
軟骨化生:結合組織→軟骨
脂肪化生:結合組織→脂肪
不安定細胞とは
生物の一生の間、常に細胞周期にあり(M期からすぐにG1期へ移行)、細胞分裂を繰り返す細胞(再生系細胞)
恒常的な再生を示す組織に見られる
安定細胞とは
増殖能は有するが、器官形成後の生理的状態では細胞周期を停止している細胞
何らかの刺激により直ちにG1期に移行し増殖を始める
永久細胞とは
器官形成後は細胞周期から離脱し、分裂増殖しない細胞
G1/Sチェックポイントでチェックすること
DNAの損傷をチェック
G2/Mチェックポイントでチェックすること
DNAが正しく複製されたかをチェック
酵素抗体法の種類と何か
・直接法:目的とする抗原に対する特異抗体に、HRPのような酵素を直接標識する方法
・間接法:目的とする抗原に対する特異抗体(一次抗体)に対して酵素の標識は行わず、一次抗体に対する二次抗体に酵素標識を行う方法
・増感法:間接法での二次抗体に、さまざまな増感試薬を使用することにより感度を上げる方法(ABC法、PAP法、高分子ポリマー法)
ABC法とは
アビジンとビオチンが極めて高い親和性を持っていること、結合が不可逆的な反応であることなどの性質を利用した方法
抗原性の賦活化とは
ホルマリン固定パラフィン包理された組織では、アルデヒド固定による架橋反応によって、しばしば抗原性が隠された状態になる為、抗体が抗原に接触できない。この架橋反応による立体障害を除く目的で行う処理のことを抗原の賦活化という。
抗原性の賦活化の代表例
蛋白分解酵素処理
加熱処理
蛋白分解酵素処理(抗原性の賦活化)とは
ホルマリンで架橋された立体障害の分子の網目をほぐし、抗体分子が入り込むスペースを提供する
(トリプシン、プロナーゼ、ペプシン、プロテイナーゼなど)
加熱処理(抗原性の賦活化)とは
タンパクの立体障害を加熱処理によって変性・分解させることによって抗体分子を抗原に到達させる方法
サイトケラチンとは
中間系フィラメントの一つ
上皮細胞内の細胞骨格
上皮性腫瘍か非上皮性腫瘍かの鑑別に用いられる
原発巣の推定に役に立つ分子
CK7とCK20
軟部腫瘍の診断マーカー
S-100:カルシウム結合性産生タンパク
Desmin:筋細胞の細胞骨格タンパク
a-smooth muscle actin:平滑筋の細胞骨格
CD34:細胞膜貫通型シアル化糖タンパク
S-100の発現場所
シュワン細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、色素性細胞
Desminの発現場所
骨格筋細胞、平滑筋細胞
a-smooth muscle actinの発現場所
平滑筋細胞、筋線維芽細胞
CD34の発現場所
間葉系腫瘍
Ki-67とは
細胞増殖マーカー
G0期を除く細胞周期において発現(正常細胞にも発現)
p53とは
・最も主要な癌抑制遺伝子で、ヒトの癌の約半数に変異が認められる
・DNA障害、酸化ストレスなどの応答としてアポトーシスやDNA修復を行う
・過剰発現・完全消失
In situ hybridizationとは
細胞標本上あるいは組織切片において、細胞単位で特異的塩基配列を持つ核酸を視覚的に検出する組織細胞化学的方法論
FISH(Fluorescence in situ hybridization)の病理診断の応用
・腫瘍のさまざまな染色体や遺伝子の数的異常の検出(セントロメアとの比で評価することが多い)
・転座の検出
・ウイルスや細菌の同定
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:ALK
検索対象?
相互転座
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:ALK
対象病態?
肺癌
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:ALK
薬剤?
crizotinib
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:EGFR(検索対象:遺伝子変異)
対象病態?
肺癌
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:EGFR(検索対象:遺伝子変異)
薬剤?
チロシンキナーゼ阻害薬
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:KIT
検索対象?
蛋白発現
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:KIT
対象病態?
GIST(消化管)
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:KIT
薬剤?
imatinib
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:ER/PgR
検索対象?
蛋白発現
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:ER/PgR
対象病態?
乳癌
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:ER/PgR
薬剤?
ホルモン療法
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:HER2
検索対象?
蛋白発現
遺伝子変異
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:HER2
対象病態?
乳癌
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:HER2
薬剤?
ハーセプチン
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:KRAS
検索対象?
遺伝子変異
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:KRAS
対象病態?
大腸癌
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:KRAS
薬剤?
cetuximab
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:EGFR
(対象病態:蛋白発現)
対象病態?
大腸癌
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:EGFR
(対象病態:蛋白発現)
薬剤?
cetuximab
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:CD20
検索対象?
蛋白発現
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:CD20
対象病態?
悪性B細胞リンパ腫
コンパニオン診断マーカー
バイオマーカー:CD20
薬剤?
rituximab
肺癌のコンパニオン診断マーカー
EGFR変異 ALK融合遺伝子 ROS1融合遺伝子 BRAF遺伝子変異(V600E) PD-L1(坑PD-1抗体療法、免疫チェックポイント療法)
乳癌のコンパニオン診断マーカー
ER, PgRの免疫染色
HER2の免疫染色と遺伝子増幅
悪性黒色腫(メラノーマ)のコンパニオン診断マーカー
BRAF遺伝子変異(V600E)
大腸癌のコンパニオン診断マーカー
KRAS変異
EGFR受容体免疫染色
BRAF遺伝子変異(V600E)
胃癌のコンパニオン診断マーカー
HER2の免疫染色と遺伝子増幅
悪性リンパ腫のコンパニオン診断マーカー
CD20(B細胞リンパ腫の一部)
CCR4(T細胞リンパ腫の一部)
乳癌の分子病理診断
ER(エストロゲンと結合すると細胞質から移動して核内転写因子になる)
HER2(ヒト上皮細胞増殖因子レセプター2)
乳癌 luminal A
臨床病理学的定義
ER and/or PgR陽性
HER2陰性
Ki-67低値
乳癌 luminal A
治療タイプ
内分泌療法単独
乳癌 luminal B (HER2陰性)
臨床病理学的定義
ER and/or PgR陽性
HER2陰性
Ki-67高値
乳癌 luminal B (HER2陰性)
治療タイプ
内分泌療法±化学療法
乳癌 luminal B (HER2陽性)
臨床病理学的定義
ER and/or PgR陽性
HER2過剰発現・増幅あり
Ki-67高値
乳癌 luminal B (HER2陽性)
治療タイプ
化学療法+抗HER2療法+内分泌療法
乳癌 HER2過剰発現
臨床病理学的定義
HER2過剰発現・増幅あり
ER and PgR陰性
乳癌 HER2過剰発現
治療タイプ
化学療法+抗HER2療法
乳癌 Basal like
臨床病理学的定義
Triple negative
HER2陰性
ER and PgR陰性
乳癌 Basal like
治療タイプ
化学療法
大腸癌の治療関連分子
K-ras mutation (40%):ホットスポットはcodon 12,13。抗EFGR抗体薬に抵抗性 BRAF mutation (10%):K-ras変異とは排他的な関係 MSI-H大腸癌:
GIST (gastrointestinal stromal tumor)とは
消化管に発生する間葉系腫瘍
c-kit遺伝子の機能獲得性変異(受容体型チロシンキナーゼ、カハール細胞にも発現)
胃の間葉系腫瘍(非上皮性)
c-kit蛋白が細胞膜に発現
CD34陽性、desminとS-100陰性
抗がん効果の主な免疫細胞
CD8陽性細胞障害性T細胞
免疫チェックポイント阻害薬の効果を予測するマーカー
・腫瘍細胞の抗原性(ネオアンチゲン)が高い
・CD8+T cellの癌への浸潤
・PD-1/PD-L1による免疫逃避が働いている
がん細胞の4つの特徴
・自律的な増殖
・社会性の喪失(浸潤・転移)
・がんは自分自身の細胞である
・がん細胞は変化する
DNA損傷の内的要因5つ
- DNAポリメラーゼの誤り
- 脱塩基反応(脱プリン反応)
- DNA塩基の脱アミノ化
- DNA塩基のアルキル化
- 酸化的塩基損傷
DNA塩基の脱アミノ化の結果(シトシン、アデニン、グアニン、5-メチルシトシン)
シトシン→ウラシル
アデニン→ヒポキサンチン
グアニン→キサンチン
5-メチルシトシン→チミン(正常塩基であるため修復されにくい)
点突然変異の種類
トランジション(プリン→プリン、ピリミジン→ピリミジン)
トランスバージョン(プリン→ピリミジン、ピリミジン→プリン)
酸化的塩基損傷とは
細胞の代謝活動によって生じる反応性の高い中間代謝物(例えば酸素ラジカル)が、DNAやヌクレオチドに直接あるいは間接的に損傷を起こす
酸化的塩基損傷で酸素ラジカルによるグアニン残基の酸化で生じるものと特徴
8-オキソグアニン(8-oxoG)
シトシンとほぼ同等にアデニンとも水素結合
DNA損傷における紫外線の影響
隣り合ったピリミジン同士の間で共有結合を形成
DNA損傷における電離放射線の影響
二本鎖切断は染色体転座など重篤な変化をもたらす
DNA損傷におけるアルキル化剤の影響
特にアデニンの3位とグアニンの7位のNのアルキル化の頻度高い
DNA損傷における架橋剤の影響
二本鎖間架橋はDNAの複製・転写を阻害するので、毒性が高い
DNA損傷における代謝拮抗剤の影響
S期にDNAへのプリンやピリミジンの取り込みを阻害する
DNA修復機構の分類
- 損傷の直接的・可逆的な修復
- 除去修復
- 組換え修復
損傷の直接的・可逆的な修復の種類
ピリミジンダイマーの光回復
アルキル化塩基の脱アルキル化
一本鎖切断の再結合
除去修復の種類
塩基除去修復
ヌクレオチド除去修復
ミスマッチ修復
組換え修復の種類
複製後修復
相同的組換えによる二本鎖切断の結合
非相同的組換えによる末端結合
がん細胞の染色体異常
数的異常 →胃がん細胞で染色体数が75本 構造異常 →転座 →逆位
G1期チェックポイント機構
DNAの完全性をチェック
ATM/ATR, p53, MDM2
S期チェックポイント機構
DNA損傷があれば合成を止めて修復
ATM/ATR, Mre11, Rad50, NBS1, MDC1, BRCA1, SMC1
G2期チェックポイント機構
複製完了の監視 ATM/ATR, p53, Chk1, cdc2/cyclinB, cdc25C, 14-3-3 14-3-3によるcdc2の核内移行阻害 Chk1によるCdc25のリン酸化と14-3-3による核外輸送
がん細胞で起きている現象
・形質転換(トランスフォーメーション)
・細胞骨格の異常
・糖鎖不全現象
・接触阻止の消失
接触阻止の無効化とは
細胞が増殖していくとき、正常な細胞ではお互いに接触すると増殖を抑制しあう性質
がん細胞の細胞接着の特徴
カドヘリンを介する結合が弱くなっている
ワールブルグ効果
がん細胞では、酸素が十分に供給されている状態でも、細胞質における嫌気性解糖が顕著に増加している
がんによる死亡率の年齢による変化
年齢のn乗で増加
イニシエーションとは
がん発生の最初の段階
細胞の遺伝物質に変化(DNAの変化や、ときには染色体の構造異常)が生じ、細胞のがん化が始まる
プロモーションとは(例)
イニシエーションが起きた異常細胞の増殖が、何らかの理由で促進されること
食塩は胃がん、脂肪は大腸がん、アルコールは食道がんの進行を促進する
イニシエーターの例
放射線や紫外線・ウイルス・魚の焼け焦げなど
プロモーションの例
女性ホルモンや胆汁酸・高塩分・タバコ・人工甘味料・農薬(DDT・BHC)・PCB
プロトオンコジーンとは
がん原遺伝子
Ras遺伝子
ヒトの様々ながんで高頻度に変異が認められる
代表的ながん抑制遺伝子
Rb
p53
ツーヒット仮説
染色体はそれぞれ二本ずつ存在するので、失活するには二回のがん抑制遺伝子の変異が必要である
網膜芽細胞腫の原因遺伝子
Rb遺伝子
Li-Fraumeni症候群の原因遺伝子
p53遺伝子
p53の働き
DNAが傷害されるとp53のスイッチがオンになり、細胞の増殖を止めてDNAの傷の修復を促す
p53の変異が多くみられるエクソン
エクソン5-9
上皮間葉移行とは
遺伝子発現のエピジェネティック機構
・これによりがん細胞は浸潤性を獲得する
上皮間葉移行による変化
- 形態変化、極性消失
- 運動能、浸潤能の獲得
- E-カドヘリン発現抑制、N-カドヘリンの発現
- サイトケラチン発現消失、ビメンチンの発現
- Rhoファミリーの低分子量Gタンパク質によるアクチンネットワークの再編成
- マトリックス・メタロプロテアーゼを分泌し細胞外基質を分解して浸潤
転移しやすい例4つ
前立腺がんの骨転移
大腸がんの肝転移
乳がんの肺転移、骨転移
膵がんの肝転移
がん細胞が栄養や酸素を獲得する方法
血管内皮増殖因子(VEGF)を放出して、血管内皮細胞の増殖、血管新生を引き起こして血管を誘導
1細胞解析とは、調べる性質
多様な細胞からなる腫瘍組織を解析する手法として、1細胞ごとの遺伝子発現パターンを解析する手法
造腫瘍性、転移能、制癌剤耐性度
免疫チェックポイント阻害剤とは、例
がん細胞がかけた免疫のブレーキを解除する
・抗PD-1抗体
・抗PD-L1抗体
・抗CTLA-4抗体
がん抑制遺伝子Rbの機能
転写因子E2Fをはじめとした種々の細胞タンパク質と結合してそれらの活性を制御することにより細胞周期のG1期からS期への進行を調節する
細胞周期を調節するもの
cyclinとCDKと呼ばれるタンパク質リン酸化酵素の複合体
Rbタンパク質によるG1-S移行の制御機構
G1期:活性型低リン酸化型
S期:不活性型高リン酸化型
p53の制御機構
・放射線や薬剤によってDNAに傷害を受けた時に傷害が修復されるまで細胞周期をG1期に止める
・アポトーシスを引き起こす
Li-Fraumeni症候群に含まれるもの
神経膠芽腫、白血病、乳がん、膵臓がん、Wilms腫瘍、軟部組織肉腫など
神経線維腫1型
・全身の神経線維腫、カフェオレ斑、虹彩のLisch結節を主な症状とする
・さまざまな腫瘍が高頻度で発生
・NF1遺伝子
神経線維腫2型
・主徴:聴神経腫
・NF2遺伝子
家族性大腸ポリポーシスの原因遺伝子と機能
APC遺伝子
Wntシグナルの伝達因子β-cateninが蓄積してがん遺伝子Mycなどの転写を活性化
☆シクロフォスファミドは〇〇されて、抗がん作用を示す。
代謝
☆シクロフォスファミドの出血性膀胱炎予防に尿量を〇〇とよい。
増やす
☆シスプラチンの有害作用は特に〇〇に注意が必要です。
腎障害
☆葉酸の吸収は輸送体が〇〇。
必要だ
☆葉酸は〇〇されてテトラヒドロ葉酸になり活性化される。
還元
☆ロイコボリンは〇〇である。
活性葉酸
☆ロイコボリンにより〇〇の作用は増強する。
5-FU
☆Tegafurは5-fluorouracilの〇〇である。
プロドラッグ
☆Capecitabineは最終的に〇〇で代謝されて5-FUに変換される。
腫瘍内
☆cytosine arabinosideはcytidine deaminaseにより〇〇される。
不活化
☆アントラサイクリン系薬剤の重要な有害作用に〇〇がある。
心筋障害
☆アントラサイクリン系薬剤は〇〇活性を阻害する。
topoisomerase II
☆Bleomycinで注意すべき有害作用は〇〇である。
肺線維症
☆ビンカアルカロイドは〇〇と結合して微小管形成を阻害する。
β-tubulin
☆Vincristine使用時は定期的に〇〇等を行う。
末梢神経伝達速度検査
☆パクリタキセルの有害作用で〇〇に注意が必要である。
末梢神経障害
☆イリノテカンはtopoisomeraseによるDNA〇〇切断を阻害する。
religation
☆イリノテカンは〇〇の阻害薬である。
topoisomerase I
☆白金製剤は〇〇に作用する。
細胞周期のS期
☆BRCA遺伝子に変異があると、若年性〇〇になりやすい。
卵巣がん
☆タモキシフェンはエストロゲン用作用を〇〇。
持つ
☆前立腺がんの治療にGn-RHの〇〇が使用される。
agonistとantagonist
☆閉経後、estrogen受容体陽性乳がん治療に〇〇が用いられる。
aromatase阻害薬
☆分子標的薬は〇〇で薬効評価ができるものもある。
コンパニオン診断薬
☆ゲフィチニブはEGFRに〇〇に有効である。
特定の変異があるもの
☆融合遺伝子bcr-ablは〇〇患者の多くで陽性である。
慢性骨髄性白血病
☆Bevacizumabは〇〇である。
抗VEGF (vascular endothelial growth factor) 抗体
☆がん細胞に〇〇が発現すると、免疫からがん細胞は回避される。
PD-1
☆Rituximabはマウス/ヒトキメラ〇〇である。
抗CD19抗体
☆Proteosome 阻害薬の抗がん作用の一つは〇〇の分解抑制にある。
NFkB
☆Thalidomideは血管新生を〇〇する。
抑制
☆HDAC (histone deacetylase)阻害薬により転写活性は〇〇される。
促進
☆DNAの過剰なメチル化は遺伝子の転写活性を〇〇する。
抑制
☆骨髄抑制による好中球減少症に対しては〇〇が有効である。
G-CSF
☆抗がん剤の悪心・嘔吐を抑制するには、〇〇が有効である。
5-HT3 antagonist
☆がん化学療法による高尿酸血症には尿酸分解酵素〇〇が使用できる。
ラスプリカーゼ
胃癌のリンパ行性転移
ウィルヒョウ転移(左鎖骨上窩リンパ節)
口腔癌のリンパ行性転移
顎下リンパ節
乳癌のリンパ行性転移
腋窩リンパ節
リンパ行性転移(肉腫or癌腫)
癌腫
胃の印環細胞癌の卵巣転移
Krukenberg腫瘍
胃印環細胞癌の子宮直腸窩転移
Schnitzler転移
良性の芽腫
血管芽腫
上皮性腫瘍は何胚葉由来か
すべての胚葉
非上皮性腫瘍は何胚葉由来か
中胚葉
杯細胞性腫瘍
良性:成熟奇形腫(杯細胞由来で3胚葉全成分からなる)
悪性:未熟奇形腫(未熟神経管)
腺癌の判断
腺管形成、粘液産生
扁平上皮癌の判断
角化、細胞間橋(癌真珠)
肝癌の判断
胆汁産生
悪性黒色腫の判断
メラニン産生
横紋筋肉腫の判断
横紋の存在
骨肉腫の判断
オステオイド産生、骨形成
カルチノイドの判断
ペプタイドホルモン産生
膵島癌の判断
ペプタイドホルモン産生(インスリン、ガストリン)
下垂体腺腫の判断
ペプタイドホルモン産生(ACTH, GH)
副腎皮質腺腫の判断
ステロイドホルモン産生
形質細胞腫の判断
免疫グロブリン産生
肺腺癌の判断
サーファクタント産生
機能性腫瘍とは
ホルモン産生腫瘍
腺性内分泌系機能性腫瘍とは
膵島以外は肉眼的に識別可能
びまん性内分泌系機能性腫瘍とは
内分泌細胞が臓器内に単独・数個単位に分散し、内分泌臓器としての定まった構造を取らない
びまん性内分泌系機能性腫瘍の例
甲状腺傍濾胞細胞、消化管内分泌細胞、気管支内分泌細胞、傍糸球体細胞、皮膚内分泌細胞
異所性ホルモン産生腫瘍とは
ホルモンを産生しない臓器に発生した機能性腫瘍
異所性ホルモン産生腫瘍の例
消化管内分泌細胞:カルチノイド腫瘍、内分泌細胞癌
気管支内分泌細胞:カルチノイド腫瘍、小細胞癌
DNA修復機構の特徴
・修復酵素
・発生段階では問題ない
・酵母からヒトまでアミノ酸配列が保存されている
がんの死亡原因の90%は
転移