12. 免疫と生体防御 Flashcards
感染した微生物やウイルスに由来するパターン
Pathogen-associated molecular patterns(PAMPs)
Pathogen-associated molecular patterns(PAMPs) の例
リポ多糖(LPS)、フラジェリン、非メチル化DNA、二本鎖RNA(dsRNA)、ペプチドグリカン、ホルミル化ペプチド(fMet-Leu-Phe)など
傷害された組織(細胞)に由来するパターン
Damage(or danger)-associated molecular patterns(DAMPs、Alarminsとも呼ばれる)
Damage(or danger)-associated molecular patterns(DAMPs、Alarminsとも呼ばれる)の例
HMGB1, HSPs, S100タンパク質、ミトコンドリアDNA など
パターン認識受容体の例
Toll様受容体(TLR)やC型レクチン受容体(CLR)など
TLRファミリーとは
様々なリガンドを認識し、炎症性サイトカインの産生を促す
C型レクチン受容体(CLR)
病原体表面に存在する糖鎖を認識する
貪食受容体としても機能
炎症の四主徴
発赤・腫脹・発熱・疼痛
炎症の五主徴目
機能障害
ネクローシスとアポトーシスで炎症を誘起するもの
ネクローシス
起炎性物質を認識する細胞
マクロファージ・マスト細胞・樹状細胞
マクロファージ・マスト細胞の起炎性物質を認識したときの応答
炎症を引き起こすための物質(メディエーター)を生産。
樹状細胞の起炎性物質を認識したときの応答
リンパ組織に移動し、獲得(適応)免疫を誘導する。(抗原提示)
炎症性メディエーターの例3つ
サイトカイン
ケモカイン
ケミカルメディエーター
サイトカインとは
細胞から放出され、種々の細胞間相互作用を媒介するタンパク質性因子
ケモカインとは
白血球遊走に関与するサイトカイン
ケミカルメディエーターとは
細胞から細胞への情報伝達に使用される化学物質
ケミカルメディエーターの受容体
GPCR
マクロファージが産生する重要なサイトカイン
IL-1, TNF-α, IL-6, IL-8, IL-12
まっくろ(6)なジュニ(12)ア(α)はい(1)や(8)
IL-1の局所的効果
血管内皮活性化
リンパ球活性化
局所組織破壊
エフェクター細胞の侵入を容易にする
IL-1の全身的効果
発熱、IL-6の産生
TNF-αの局所的効果
血管内皮活性化
血管透過性亢進を誘導してIgG、補体や細胞を局所に集め、リンパ流量を増加
TNF-αの全身的効果
発熱、代謝産物の動員、ショック
IL-6の局所的効果
リンパ球活性化
抗体産生の増強
IL-6の全身的効果
発熱、急性期タンパクの誘導(肝臓)
IL-8の局所的効果
好中球、好塩基球、T細胞を感染部位に誘導する
IL-12の局所的効果
NK細胞の活性化
CD4 T細胞からTH1細胞への分化を促す
IFN-γ分泌を刺激する
内因性発熱物質
IFN-γ
炎症誘導性の転写因子
NF-κB
TLRのシグナル伝達で活性化し、炎症関連遺伝子の転写促進
炎症の際の体温上昇のメカニズム
サイトカインが視床下部近くの血管内皮細胞に作用し、プロスタグランジンE2 ( PGE2 )の合成を促進
→PGE2が視床下部の体温調節中枢に作用して体温上昇
炎症の局所的な封じ込めに失敗した場合の症状
敗血症
・マクロファージからのTNF-αが全身的な血管拡張と血管透過性の増加し血圧低下
・播種性血管内凝固症候群による血液凝固タンパク質の大量消費(凝固不全)
IL-1、IL-6、TNF-αなどの炎症性サイトカインの大量放出
サイトカイン放出症候群(サイトカインストーム)
炎症で発赤する理由
血管径が広がることにより、血管壁面に沿った血流速が低下
→ 白血球が炎症部位近傍の血管内皮へ付着しやすくなる
炎症で腫脹する理由
血管透過性の亢進によって浮腫が生じる
→ 間隙の拡大により、白血球や液性因子(抗体や補体)が炎症部位へ移行しやすくなる
血管内皮細胞の接着因子(発現する順番)
Pセレクチン、Eセレクチン、インテグリン受容体(ICAM-1)
走化性因子の例
ケモカイン(IL-8など)、C5a(補体)、fMLP(ホルミル化ペプチド)、LTB4(ロイコトリエンB4)、PAF(血小板活性化因子)
貪食受容体の2種類
自然免疫系受容体(パターン認識受容体)
オプソニン受容体
脂質メディエーターの特徴
局所で産生
GPCRを介して情報を伝える
すぐに不活性化される
アラキドン酸カスケード
・ホスホリパーゼA2の作用により、細胞膜のリン脂質からアラキドン酸が切り出される
・アラキドン酸から、シクロオキシゲナーゼ(COX)や5-リポキシゲナーゼ(5-LOX)の作用を介してプロスタグランジン類やロイコトリエン類が作られる
炎症によって発現誘導されるシクロオキシゲナーゼ
COX-2
炎症で重要なエイコサノイド
PGE2、LTB4、PGI2、TXA2
アラキドン酸が切り出された後のリン脂質
リゾリン脂質
リゾリン脂質から生じるもの
血小板活性化因子(PAF)
血小板活性化因子(PAF)の役割
・PAFも血管透過性の亢進や好中球の遊走などに関与
・血小板の凝集を引き起こすとともに、血小板からのメディエーター(TXA2、セロトニン、ヒスタミンなど)の放出を引き起こす
血漿滲出液の4つのタンパク質分解系(カスケード)
凝固系、線溶系、キニン系、補体系
凝固系、線溶系、キニン系の共通因子
XIIa因子
凝固系
局所的に血栓を形成することで感染をの拡大を防ぐ
線溶系
組織の再構成と再生
キニン系
強力な炎症性メディエーターかつ疼痛物質であるブラジキニンの産生
補体系
殺菌、貪食細胞の動員・活性化、炎症反応の誘起・拡大
血漿中のXII因子
ハーゲマン因子
ハーゲマン因子の働き
→コラーゲンなどの負電荷を持った表面と接触することで活性化され、タンパク質分解活性をもつようになる(XIIa)
→XIIaはプレカリクレインを切断してカリクレインへと変換
→カリクレインは高分子キニノーゲンを切断することで9アミノ酸からなるブラジキニンを生成
→ブラジキニンはGPCRを介して情報を伝達する
→侵害受容器に作用することで疼痛を引き起こす→この疼痛はPGE2やPGI2によって増強
炎症の収束
・TNF受容体が蛋白質分解酵素によって切断されることでTNFシグナルが減弱される
・遊離した受容体はTNFと結合し、シグナル伝達を阻害す
・IL-1のアンタゴニストであるIL-1raの発現によってIL-1シグナルも減弱
マクロファージが分泌する抗炎症性サイトカイン(なぜ抗炎症性に切り替わるのか)
TGF-β、IL-10
異物を貪食した好中球を貪食することで分泌
全身レベルの炎症性サイトカインの抗炎症性作用
視床下部からの抑制的なフィードバックを引き起こし、副腎皮質でのグルココルチコイド(ステロイドホルモン)の産生を誘導
→ステロイドホルモンは核内受容体と結合することで、NF-κBによる炎症関連遺伝子の発現を抑制
RIG様受容体(RLRs)
ウイルスRNAの細胞質内センサー
細胞質内DNAセンサー(CDSs)
ウイルスや細菌由来の2本鎖DNAを認識
細胞質内核酸センサーとTLRsとの違い
細胞質内核酸センサー: ・I型インターフェロン産生誘導 TLRs: ・I型インターフェロン産生誘導 ・炎症を誘導する分子、(炎症性サイトカインやケモカイン、血管内皮上の接着分子)の発現も誘導
抗ウイルス作用があるインターフェロン
I型IFNのIFN-aとIFN-b
IFN受容体を持つ細胞とその作用
全ての細胞
ウイルス遺伝子の複製の阻害や、ウイルス粒子形成の抑制(抗ウイルス応答)
I型インターフェロンの作⽤
・リンパ球をリンパ節に留まらせる
・NK細胞とCD8陽性細胞傷害性T細胞の細胞傷害活性を高める
・ナイーブT細胞のTh1細胞への分化を促進する
・MHC class I分子の発現を亢進し、 CD8陽性細胞傷害性T細胞によるウイルス感染細胞の認識能を高める
ナチュラルキラー(NK)細胞の傷害機序
顆粒内タンパクのパーフォリンとグランザイムによるアポトーシス
ナチュラルキラー(NK)細胞の役割
アポトーシス誘導
IFN-γを産生
NK細胞の活性化受容体と抑制性受容体の働き
・活性化受容体は、感染細胞や損傷細胞、腫瘍性細胞上のリガンドを認識してNK細胞を活性化 ・自己のMHC class I 分子を認識する抑制性受容体からのシグナルによって抑制される
NK細胞の活性化受容体
CD16
CD16と結合する免疫グロブリン
IgG1とIgG3のFc領域
NK細胞を活性化する自然免疫系サイトカイン
IL-12
IL-15
IL-18
I型インターフェロン
抗体依存性細胞傷害
抗体(の抗原を特異的に認識して結合するFab部分で)の結合を受けた感染細胞の傷害が誘導されること
補体活性化の初期段階の3つの経路
古典経路
レクチン経路
第二経路
補体の生物学的機能のすべてが依存する過程
C3の限定タンパク分解
古典経路の開始点
抗原に結合した抗体への補体成分C1の結合
レクチン経路の開始点
コレクチンのマンノース結合レクチン(Mannose-binding lectin; MBL)やフィコリンが微生物表面の多糖類に結合する
第二経路の開始点
C3が液相で常に自己分解によって活性化している
補体を活性化できる免疫グロブリンと何分子必要か
IgG(2分子)
IgM(1分子)
古典経路での補体成分の活性化順序
C1 -> C4 -> C2 -> C3 -> C5 -»>
C4b2aとは
C3転換酵素
C1qの抗原抗体以外の古典経路を活性化する2つの方法
1) グラム陽性菌のリポテイコ酸、グラム陰性菌のリポポリサッカライド(LPS)に直接結合
2) 微生物の膜、ある種のウイルスあるいはアポトーシスを起こした細胞(アポトーシス小体)に結合したペントラキシンに会合
補体活性の後期段階
限定タンパク分解を伴わない
C5b, 6, 7, 8, 9の結合とC9の重合
MBL、フィコリン
抗体とC1の役割を1分子で演じ切ってる
第二経路で必要なイオンと不要なイオン
Mgイオンは要るが、Caイオンは不要である
第二経路のC3転換酵素
C3(H2O)Bb=C3bBb
第二経路で補体の活性化を促進するもの
P因子
補体受容体1 (complement receptor 1; CR1, CD35)が認識する物
C3b、C4b
CR1を発現する細胞
貪食細胞
赤血球
CR1による赤血球の働き
免疫複合体の除去
抗原抗体複合体と結合して、肝臓や脾臓へ行き、貪食細胞が赤血球表面から複合体を取り除いて、赤血球はまた普通に循環に戻る
補体の活性化の終着点
膜侵襲複合体(MAC)の形成
MACの対象細菌
グラム陰性菌
CR1による貪食を亢進するもの
IFN-γによるマクロファージの活性化
CR2とは
B細胞に発現
B細胞による抗原の捕捉を促進することで体液性免疫応答(抗体産生)を刺激するように作用
CR3, CR4とは
インテグリン
補体の3つの経路以外の生物活性
アポトーシス細胞(アポトーシス小体)の除去
C1qがアポトーシス細胞由来のDNAおよびRNAに反応
アナフィラトキシン(最強のもの)
C5a、C3a、C4aはどれもマスト細胞に結合し、ヒスタミンなどの血管作動性メディエーターを放出させ、血管透過性を亢進し、平滑筋を収縮させる
C5aが最強
最も強力な走化性因子
C5a
白血球の割合
顆粒球:60%
リンパ球:35%
単球:5%
B細胞の名前の由来
Bursa of Fabricius(ファブリチウス嚢)
B細胞の特徴
細胞表面にB細胞レセプター(BCR)をもつ
BCRは1つの細胞は1種類のみを持つ
B細胞の反応
- 細胞増殖
- インターナリゼーション(リセプターと共にリガンドを細胞内へ取り込む)
- 抗体産生
抗体の構造
L鎖x2、H鎖x2
抗体のPapain処理
Fab x2とFc x1に分ける
抗体のドメインとは
100個程度のアミノ酸が鎖内のジスルフィド結合で丸くなった同じような構造が繰り返し見られる
Immunoglobulin Super Familyとは
ドメインを複数持つ構造(免疫グロブリン、T細胞レセプターなど免疫や細胞の接着に関する多くのタンパク質)
ドメインの構造の先祖
Progenitor Proteinの遺伝子が増幅しながら進化してきた
ヒトの抗体のL鎖とH鎖の型
L鎖:κ型(60%)と λ型
H鎖:μ鎖、γ鎖、α鎖、δ鎖、ε鎖
Heavy Chain μ鎖を持つ免疫グロブリン
IgM
Heavy Chain γ鎖を持つ免疫グロブリン
IgG
Heavy Chain α鎖を持つ免疫グロブリン
IgA
Heavy Chain δ鎖を持つ免疫グロブリン
IgD
Heavy Chain ε鎖を持つ免疫グロブリン
IgE
抗体の特徴
特異性(特定の抗原とのみ結合)
抗体分子に共通する生物学的な性質
IgGの他の呼ばれ方
ガンマグロブリン(血清分画)
抗体のPepsin処理
Fabが2分子結合したような断片( F(ab’)2 )
CDR(相補性決定領域)
Hypervariable region(超可変域)
可変域のなかでも特に変異の激しい部分
抗原と直接接触するアミノ酸に対応している
エピトープとは
抗体が抗原と結合するときに認識する抗原の一部分
パラトープ
エピトープと結合する抗体側の部分
アフィニティaffinity
エピトープとパラトープの間には、水素結合、静電気力、ファンデルワールス力、疎水結合などの引力がかかり、これらの力により抗体は抗原に安定して結合
IgMは何量体
5
IgAは何量体
2
アビディティ
多価の抗体として反応する抗体が抗原と結合するときの結合力の総和
ポリクローナル抗体
1つのB細胞は1つの免疫グロブリンしか産生できないため、抗体は通常、複数のクローンのB細胞から産生された免疫グロブリンの集まりになる
IgGの割合
IgGは血清タンパクの15%を占める(血清中のヒト免疫グロブリンの中では70-75%)
IgGのサブクラスとそれぞれの割合
IgG1(60%)
IgG2(32%)
IgG3(4%)
IgG4(4%)
IgGの分子量
IgG1, IgG2, IgG4:15万
IgG3:17万(はヒンジ部が長い)
IgGの半減期
23日
免疫グロブリンで最も長い
IgGによる凝集と沈降の違い
どちらも抗原と反応して除去すること
凝集:赤血球や細菌など水溶性でないものに対して
沈降:血清中の蛋白など可溶化物に対して
IgGの胎盤通過性(機序)
IgG2を除くサブセットが通過
絨毛上皮細胞上のFcγレセプターを介して胎盤を通過
IgGの胎盤通過性による問題
新生児溶血性黄疸などを引き起こすことがある