障害 Flashcards
DSM / Diagnostic and Statistics of Mental Disorders
アメリカ精神医学会が出版された操作的診断基準として精神障害の診断と統計マニュアルである。当初、統計調査のために作成された。第三版より明確な診断基準を設けることで診断の信頼性の問題に対応してきた。2013年5月、第5版が出版された。第3版や第4版で採用された「多軸診断システム」を廃止し、精神疾患、パーソナリティ障害、発達障害の重症度を判定するための「多元的診断」が導入された。DSMは精神医学の診断で「共通言語」を提供したが、一方、主観的な診断、信頼性と妥当性の不足などの問題も批判されることがある。
学習障害 / Learning Disorders
全般的な知的発達に遅れがないが、学習に必要な能力の習得や使用に著しい困難があり、学業や日常生活に支障をもたらす状態である。具体的に読字、書字表出、算数の障害に特定される。
神経発達症群 / Neurodevelopmental Disorders
発達障害は乳幼児期から思春期の発達経過の中で種々の原因で脳の機能障害により、認知、言語、社会性及ぶ運動機能の発達に遅れや偏りが生じ、そのために生活の困難が長期にわたって続けると予想される状態である。神経発達症群はほぼそれと対応する障害群である。代表的な障害は知的能力障害、自閉症スペクトラム障害、AD/HD、コミュニケーション症群である。
自閉症スペクトラム症 / Autistic Spectrum Disorders
社会的コミュニケーションと相互交流の欠如、および行動、関心、活動における限局的・反復的なパターンという二つ組の症状を特徴としている。具体的には他人へ関心が薄くて、他人に触られるのを嫌って、コミュニケーションを避ける。反復的な話しなど独特な使い方をする。ものまね、ごっこ遊びを欠けている。
アレキシサイミア / Alexithymia
(シフネオス / Sifneos.P.E)
シフネオスによって指摘された心身症患者に特徴的パーソナリティと想定される。 1、想像力や空想力が乏しい 2、自分の感情や葛藤状態に対する言語化が困難であること 3、事実関係について話をすることはできるが、それに感情の表現が伴わないこと 4、対人関係は一般に貧困である
PTSD/心の外傷後ストレス障害
(Post Traumatic Stress Disorder)
トラウマ体験後よく見られる正常な不安症状が、長期にわたって回復しない状態である。トラウマとは、危うく死にそうになったり、重症を負ったり、身体の保全に迫る危険を体験したり、目撃したりといったものである。強烈な身体的に、精神的なショックを受け、無力感を経験し、その経験によって様々な身体的・精神的な症状が現れること。症状の持続時間が1ヶ月以上がPTSDと呼ばれる。
症状
再体験:思い出したくないのに思い出してしまう。夢を見たり、現実に起こっているかのように行動したりしてしまうこと。フラッシュバックなど。
回避:心の外傷体験に関する思考や感情、場所や人物を避ける。周囲への関心が薄くなる。
過覚醒:緊張のため睡眠困難になる。警戒心が強くなる不安を抱く。
援助 • 症状や経過に対する心理教育、改善への期待を育成する。 • エクスポージャー • EMDR(eye movement desensitization of reprocessing) • 子どもなら遊戯療法
強迫性障害/Obsessive–Compulsive Disorder
不合理な行為や思考を自分の意に反して反復してしまう精神疾患の一種である。強迫観念とは、本人の意思と無関係に頭に浮かぶ、不快感や不安感を生じさせる観念を指す(侵入思考)。強迫行為とは、不快な存在である強迫観念を打ち消したり、振り払うための行為で、強迫観念同様に不合理なものだが、それをやめると不安や不快感が伴うためになかなか止めることができない。大半の患者は自らの強迫症状が奇異であったり、不条理であるという自覚を持っているため、人知れず思い悩んだり、恥の意識を持っている場合も多い。洗浄強迫、確認行為、加害恐怖、被害恐怖などがある。 援助 • かつて精神分析療法が主流 • 今はエクスポージャーなどの行動療法が主流 • 森田療法も有効
大うつ病性障害 / Major Depressive Disorders
気分の著しい低下である抑うつエピソード、気分の著しい高揚である躁病エピソードがある。
両方を繰り返すのは両極性障害。
抑うつエピソードのみを経験するのはうつ病
症状 1、抑うつ気分 2、興味・喜びの喪失 3、食事や体重の変化(著しく増加/減少) 4、睡眠(過眠/不眠) 5、活動状態(イライラして落ち着かない不安状態と身体的動作が鈍い状態が目立つ) 6、疲労感 7、罪悪感(無価値感) 8、集中力(考えがまとまらない) 9、自殺念慮 躁病エピソード 精神症状:過活動、観念奔走、誇大妄想、易刺激性 身体症状:睡眠障害、食欲・性欲の増加
原因
• 脆弱性ストレスモデル
• セロトニンなどの分泌異常
• 循環気質・執着気質・メランコリー親和型性格
援助
• 躁病エピソードは、薬物による鎮静が主になる
• 抑うつエピソードは、休養・薬物療法・認知療法が主になる
• 励まし・気晴らしが禁物
統合失調症 / Schizophrenia
陽性症状(妄想や幻覚が特徴、発症初期の急性期に多くみられる) 1、思考障害 •思考過程の障害(話せない、的外れな応答、集中能力の喪失、観念奔逸) •思考内容の障害(被害妄想、心気妄想、誇大妄想など) 2、知覚障害(幻聴、幻視、体感幻覚、知覚過敏など) 3、自我意識の障害(自己と他者を区別することの障害で、自己の脳で生じる発声は外部からの発声だと知覚する) 4、行動の変化(興奮、拒絶症、無言症、常同姿態)
陰性症状(エネルギーの低下から起こる。おおよそ消耗期に生じるもの、数年以上継続しうえる)
1、感情の障害(感情鈍麻、緘黙)
2、思考の障害(常同的障害、抽象的思考の困難)
3、意志・欲望の障害(自発性の低下、無関心)
妄想型:連合障害や自閉などの基礎症状が目立たず妄想・幻覚が症状の中心である。30代以降の比較的遅い発症が特徴である。
破瓜型/解体型:思春期・青年期に好発とされる。連合弛緩などの連合障害が主要な症状で、解体した思考や行動が目立つ。
緊張型:筋肉の硬直症状が特異的で興奮、昏迷などの症状を呈する。
原因
• 遺伝要因
• 心理社会要因:ダブルバインド
• 生物学要因:ドーパミン(dopamine)の過剰分泌
援助
• 陽性症状に対する、薬物、入院などの鎮静
• 陰性症状に対する、社会復帰に向けるSST(social skill training)
統合失調症と躁うつ病との違い
大きな違いは統合失調症が「思考」の障害であるのに対して躁うつ病は「気分」の障害であることから、症状が気分に関連して変動する場合には躁うつ病として鑑別が可能です。
また、躁うつ病は躁の病期とうつの病期がはっきりと分かれ、病期と病期の間は正常な機能レベルに回復しますが、統合失調症の場合にはそのような病期があることはまれで、正常な機能レベルに回復することはありません。
20世紀初頭に、クレペリン(Kraepelin)によって「早発性痴呆」と名付けられたが、1911年スイスのブロイラー(Bleuler)は「精神分裂症」を提唱した。日本では2002年統合失調症に変更した。
身体表現性障害 / Somatoform Disorder
定義:身体の苦痛を訴えるものの、医学的に説明できない疾患の総称。
症状
• 転換性障害(知覚や神経の麻痺:視力の喪失、失声、立ったり歩いたりできなくなる)
• 身体化障害(頭痛、腰痛、腹痛、発汗、アレルギーなどの症状が長年にわたり続けている)
• 疼痛性障害(身体の激しい痛みを訴える。痛みの訴えによって周囲の心配や責任を避ける可能性が隠されている。でも意識的に病気を偽っていない)
• 心気性(心身の些細な違和感に敏感に反応し、重大な病気への不安にとらわれ、満足する診断を得られるまで医療機関を訪れる。)
• 身体醜形性障害(自分の外見に欠損があるを思い込む。抑うつになったり対人接触を避けたりすることもある。整形手術を繰り返し受けても苦痛が解消されない。)
援助
• 身体性障害と心気性が認知行動療法
• 疼痛性障害が精神分析療法
解離性障害 / Dissociative Disorder
定義:意識、思考、感情などの体験が統合されていない。まだ部分の体験が失うこともある。
症状
• 解離性健忘(心の外傷性体験によってある一定時期あるいはこれまですべての記憶を失う。でも生活を維持する能力がある。大半やがて回復できる。最も多い症状)
• 解離性遁走(仕事や家庭から逃げ出して放浪し、過去の記憶をすべて失う。新しい自分を身につけてしまう。)
• 解離性同一性障害(ひとりの人間の中に少なくとも二つ以上の人格が存在し、多重人格障害とも呼ばれる。)
• 離人症性障害(自分が自分の身体から遊離し、離れる場所から自分を眺める感覚を持つ。自分の手足や声に違和感を感じ、自分のものではなくなる感覚が生じる。)
援助
• かつてよく用いられた精神分析療法は有効性がはっきり実証されていない。今様々なアプローチが用いられている。
• 本人や家族が障害に理解していないこともある。心理教育が必要である。
自我と自己
(ユング / Jung)
心(プシケ)が多層がある 1、社会の適応のための意識的な「ペルソナ」 2、個人的な無意識の並びに「影」の層 3、女性:男性の心性(アニムス) 男性:女性の心性(アニマ) 4、人類全体に共通する「普遍的な無意識の層」 ペルソナを統合するのは自我 プシケ全体を統合する中心の機能は自己
対象関係論 / Object Relations Theory
(クライン / Klein.M)
最早期の乳児が内的世界に浮かぶ母親の表象との関係を注目する理論である。そ
の表象は、部分対象と全部対象に分ける。
部分対象とは、自分に満足、例えば母乳を与える良い乳房と母乳を与えない悪い乳房のように、母親の表象が分裂されている妄想分裂ポジションである。全部対象とは、良い乳房とも悪い乳房同じ母親として統合される抑うつポジションである。
対象関係論の貢献は最早期の乳児が言語で心理状態を理解できるようになる。今は境界例と統合失調症の治療理論として大きく注目されている。また、フロイトの理論に基づき男根期の前に対象と関係を形成できるかどうかについてアンナ・フロイトと対立していた。
劣等・優越コンプレックス
(アドラー / Adler.A)
精神科医であるアドラーが自分の診療所に来訪する患者の経験および自身が声帯の病気を克服することから、人間は劣等性、すなわち弱点を努力し克服するという補償あるいは過補償の現象があると考えた。
行動療法 / Behavior Therapy
(スキナー&ウェルビ&アイゼンク)
1950年代からスキナーなどが学習理論によって体系化された心理療法の一つである。現在は、行動科学から引き出された知識を系統的に利用して、人間の問題の把握と変容に応用する技術の総称と定義されている。クライエントの問題を学習された行動として捉える。新しい行動の学習によって問題行動を解消できるようになる。主な技法はオベランド条件づけ法、系統的脱感作、問題解決療法などがある。行動療法は認知療法との統合を強調し、行動認知療法として心理療法の中心になっている。