感情 Flashcards
動機づけの基本理論(動因説と誘因説)
動因説:体温調節、渇き、飢え、性ホルモンなどの内的な要因の役割を重視する。行動がそれらの動因低減を目指して駆動される。動因の低減をもたらす行動が強化される。
誘因説:食べ物、性の対象、金銭などの外的な要因の役割を重視する。行動がそれらの誘因の獲得のために駆動される。誘因の獲得をもたらす行動が強化される。
しかし、動因と誘因が全ての動機づけの過程で相互に作用し合っている。
例:条件性満腹仮説
擬餌法という実験方法を使用する。
動物の胃で穴を開けて消化されていない食べ物を出るようにしておき、動物に通常のように食べ物を食べさせる。動物の食べ物摂食量が次第に増大し、摂食したものが十分に養分を与えられないことを学習した。
一方、穴の蓋をしめると動物が次第に摂食量が正常的状態に戻った。
結論:満腹感が内的要因だけで決定されるのではなく、学習した結果である。食べ物の動機づけにおける内的要因と様々な誘因刺激との相互作用が存在している。
カフェテリア実験
実験内容
種々の栄養成分を含む食べ物は別々の容器に入れておいた。特殊飢餓(ある栄養が不足している状態)にいる被験者(離乳直後の幼児とラット)に自由に選択させ、摂取させる。毎日の摂食量を測定する。
結果
被験者は不足している栄養成分を含む食べ物を選択する傾向がある。例えば、くる病がかかっていた子どもが肝油を自発的に摂食し、病気が治ってくるにしたがって肝油の摂食をやめる。
結論
ホメオスタシス(恒常性)の体現。人間の本能として、身体的・生理的状態を一定範囲に維持しょうとする働きである。空気、体温維持、体外損傷回避、睡眠などへの動機づけはホメオスタシスに属する。
欲求と快
オルズら(Olds&Milner,1954)の実験
経過
ラットの脳の視床下部を電気刺激すると、その刺激に連合する食べ物、性の対象とか強く求めることを明らかにする。
結論
1.視床下部の刺激作用自体は、欲求と快感の二つの役割を持つ、快中枢と呼ばれる。
2.快中枢の内部はドーパミン作動性ニューロンとの連合を見出し、ドーパミンは快感と結ぶつけると見られる。
しかし、欲求(欲しいもの)と快(好ましいもの)は必ず同じですか?
ある実験 経過 1.ドーパミン系を電気刺激し、それに連合する嫌い食べ物や満腹状態にもかかわらず、刺激を強く求める。 2.ドーパミン系を神経中毒によって破壊され、いくら腹減っても飲食行動への欲望が消えた。 結論 1.欲求と快は同じものではない。 2.ドーパミン系は欲求に関係がある。快あるいは不快に関係がない。 3.快感については下位神経のアヘン系に関係がある。
薬物の乱用と中毒
中毒状態:それらの薬物は強力的な動機づけの対象になり、すべてを犠牲しても、強迫的に薬物を求める行動を示し、全人格を占めるようになる。
チンパンジーの中毒実験
毎日若いチンパンジーにモルヒネを注射する。
5〜6週間のうち:注射しないと落ち着きがなくなり、あくびをする、身体を騒くなど禁断症状を示す。
1か月〜3か月後:積極的に注射を求める。(中毒状態)
中毒状態になる要因
1、この薬物は直接に脳のニューロンに働く。
2、薬物摂取を中断した時に不快の禁断症状を生じる。
3、それらの薬物は脳のドーパミン系ニューロンに持続的に変化を生じさせ、活性化しやすくなる。
感情の末梢起源説
(ジェームスJames/ランゲLange)
情動刺激を受けて身体の反応を先に生じ、その反応を大脳で受信することで情動が発生するという説である。
反対:心拍数の高まりは緊張、恐怖、愛の信号?
支持:Levenson(1990)によると、ある特定の表情を維持すると、それを対応する情動を感じられる。表情フィードバック仮説(Facial feedback hypothesis)といわれる。
感情の中枢起源説
(キャノンCannon/ バードBard.P)
定義:感情刺激を受けると、まず視床下部を活性化し、この興奮の情報を身体の自律神経系に送られる生理的反応を起こる。同時に大脳皮質に送られる情動が発生する。
反対:第二次世界大戦の傷者、脊髄上部と下部の創傷によって情動の強度が異なる。
シャクター・シンガー説
二要因説
定義:情動の生起には、生理的反応と認知の評価の両方が必要である。
実験設計 一、被験者を三つsのグループに分ける。 二、1番はビタミンに偽ったエピネフリンを飲ませて、副作用を言わない。 2番はビタミンに偽ったエピネフリンを飲ませて、副作用を告知する。 3番はビタミンに偽った普通の生理食塩水を飲ませて、何にも言わない。 三、三つのグループともイライラをしているサクラを同室に待機させる。情動の生起を報告する。
結果
1番は2番より強い情動を感じる。3番は何も感じていない。
反対:理由も言えないのに、感情を生じる。
ソマティック・マーカー仮説
(ダマシオ/Damasio.W.B)
外部からある情報を得ることで呼び起こされる身体的感情(心臓がドキドキしたり、口が渇いたりする)が、前頭葉の腹内側部に影響を与えて「よい/わるい」というふるいをかけて、意思決定を効率的にするのではないかという仮説。この仮説にしたがうと、理性的判断には感情を排して取り組むべきだという従来の「常識」に反して、理性的判断に感情的要素はむしろ効率的に働くことになる。
顔面血流説
(ザンアンスZajonc.R.B/ルドウー)
定義:大脳の中で二つの感情経路がある。一つは情動刺激が視床下部を介して、大脳皮質に達し、扁桃体に伝達させる。もう一つは情動刺激が視床下部を介して、直接的に扁桃体に伝達する。
日常生活で多くに感じるのは下部経路。
反対:気がついていなかったら、評価も出ていない。何について反応するのもわからない。
ラザウスの理論
定義:情動刺激を受ける時に、まず無害かどうかを判断する。情動を定義する。
異なる動物種における性的動機づけの特徴
高等ではない動物
・相互な性行動がメスの周期性に依存する。
・相互に視覚、聴覚などの異性刺激に敏感に反応し合う。
・個人維持的行動ではないので、ホメオスタシス性とみなされない。
発達した動物
・過去の社会的経験や配偶行動など経験の要因によって、性的ホルモンの分泌が妨害されてもかなりの性行動が生じる。
・性行動に関する関与度が、メスよりオスのほうが大きい。
ヒト ・性衝動が生物的要因から脱して、心理的きっかけだけが十分に高まるようになった。 ・性的対象や性行動に関して偏りが大きい場合に、性倒錯という。 ・サディスティックあるいはマゾヒスティック ・異性の部分の身体、象徴するものへの強い偏好(フェティシズム)
恐怖・恐れ
突然に強度の刺激を受ける時、身体の支えが失われた時など、びっくり飛び上がるなどの驚愕反応、立ちすくむとか腰が抜けるといった全身硬直状態、後退的反応などが生じる。
恐れが生じる時最も一般的な行動が逃走である。でも対象が不明あるいは逃走できない場合に不安が生じる。
恐怖、恐れ、不安は同質性ないし連続性がある。
ヘッブ(Hebb,1972)によると、見慣れるものについての見え方やあり方が期待があり、現実ではその期待とズレが生じる時恐怖や気味の悪さを引き起こす。知覚的な矛盾という。
プルチックによる情動のモデル(絵を描く)
情動の円環的配置と混合型
情動に関する多次元モデル
情動の認知評価説/Cognitive Appraisal Theory
(ラザルスLazarus/ローゼンバーグRosenberg)
ラザルスとローゼンバーグは情動が六つの成分からなる。
1、認知の評価。個人が環境に関する個人的評価から一連の反応が起こる。
2、主観的体験。情動がもたらす感情状態である。
3、思考・活動傾向。感情が喚起した後、何かの衝動によって行動をしようとする傾向。
4、内的な身体変化。特に自律神経系の反応が生じる。心拍数が増加したり汗が流れたりする。
5、表情。
6、情動に対する対応成分。2から5の内容について調整する。その結果によって’認知の評価が変化し、新しい情動がもたらす。
感覚遮断実験
実験設計
生活のための活動は飲食、排泄以外はまったく行わせず、視覚、聴覚、触覚など感覚刺激や意味のある刺激の入力や極度的に制限する。
結果
1、最初はよく眠る。目覚めた後なんとなく落ち着けない。
2、手足を動かしたい、まとまったものを見たり聞いたりしたい。
3、思考に乱れや空白が生じる。白昼夢のような空想や幻想的なイメージが浮かぶ。
結論
1、正常な心理状態に維持するには、適度な刺激に曝されながら自発的な行動をすることが必要である。
2、こうした制限は身体的心理的活動への動機づけを生じさせる。
3、長時間この状態に維持すると、一般的な荒唐無稽な話、自分の信条に反する説得などを受け容れてしまいやすい。