臨床 Flashcards
心の外向性・内向性
(ユング/Jung.C)
スイスのユングが提唱した性格の類型論の一つである。ユングは臨床的経験から、外的事物を重視して判断を下し行動する人と主観的認識を基準として判断と下し行動する人がいることを見出した。外向性の人の特徴は変化への適応がよく、自信たっぷりで未知の状況へ飛び込むことである。内向性の人は反省することが多くて、受け身の姿勢で周囲を観察することである。さらに、心のエネルギーの機能形式を合理的機能、非合理的機能に分ける。前者が思考、感情があるとし、後者は直感、感覚である。そうして、思考、感情、直感、感覚のそれぞれの機能ごとに外向性、内向性があるとして、八種類がある。
アセスメント
主に3つの方法に分ける。まずは行動観察、いろいろな場面で個人の観察をすることである。特徴は個人の全体像をつかめる。しかしあまりにも多面的となる。しかも観察者の主観も入りがちである。より深く専門的に理解する方法は面接法である。個人と面接者との間の親和的なラポールという信頼関係をつくるのが必要である。しかも面接者のほうにパーソナリティ理解に必要な知識を備わらなければならない。一回ではなく何回も行われるのは普通である。その以外、さまざまな検査法がある。主に質問紙法、投映法、作業検査法に分ける。質問紙法とは簡単に個人の意識、表層的なパーソナリティ特徴をおおまかに捉えることである。投映法は検査者と被検査者の一対一に実施される方法で、被検査者の深層、無意識的な心の状態が投影されるあいまいな素材を示して、被検査者の諸反応を臨床心理学的に分析する方法の検査法である。作業検査法は被験者に一定の作業を行わせ、その経過や結果に基づいて性格を判定する方法である。
質問紙法
1、キャッテルは16の特性を尺度化した16PFというテストを参考に
5、ビッグ・ファイブ論に基づいく辻の5因子性格検査テスト。
投影法
ロールシャッハテスト(Rorschach Test):
スイスの精神医学者ロールシャッハが考案したもの。
紙面にインクを落としてそれを紙の中央線で折り畳んで広げて時にできる左右相称的なブロットの図版10枚を見せて、それから何を見えるかを問う。
作業検査法
一定の作業を行わせて、その作業の経過や結果を資料として性格やパーソナリティを判定し理解しようとする方法である。最もよく使用されるのは内田クレベリン精神作業検査である。具体的には曲線の型や作業量が多い作業、例えば数字の合算を繰り返すことがあるという作業を完成させる。ドイツの精神医学者のクレベリンの研究を基礎として内田が考案した。
親子関係の影響
問題点:
1、父親がどの程度子どもと接しているかも調査しにくい。
2、子どもの気質の違いによると両親の受け止め方も変わりうるので、明瞭な傾向性を見出すことが難しい。
Vinacke(1968)親の養育態度と子どものパーソナリティの関係
二つの軸、統制ー自制(支配ー自由)と愛情ー敵意(受容ー拒否)
パーソンナリティ障害の原因
パーソナリティ障碍:思考、判断、行動は様々な文化における平均の個人と極端的に偏り、疾患ではなく人格面の障碍である。
心の障碍:
1、外因性精神障害:脳や身体における特定の原因によるもの。アルコール精神病、脳血管性精神障害。
2、内因性精神障害:脳の生物的な機能障害によるもの。統合失調症、双極性障害。
3、心因性精神障害:心理的、環境的な要因によるもの。心身症、神経症。
しかし、近年の研究によると、精神障害は、身体的、生物的な要因と心理的、環境的な要因と絡み合いながら関わっていることが明らかになってきた。
精神分析理論 / Psychoanalytic Theory
(Freud.S)
精神分析理論の基礎は超自我、自我、エス。
エスが自我に上ろう時には、超自我はそれを許すかどうかを選別する(超自我による検閲と呼ばれる)。
許されたら自我によって受け入れられ、許されなかったら意識下に閉じ込められる。
自我は現実と超自我とエスの調整役として、うまく折り合わせられない時には不安が生じる。「不安症状」
不安を他の対象に置き換えられたものが「恐怖症状」
ある考えや行動が自分の意志に反しても繰り返し起こるのは「強迫症状」
不安が身体症状に置き換え、常に病気に逃げ込むのは「ヒステリー転換症状」
局所論
人の精神は意識(記憶や感情、認知や思考など感受できる部分 。自分がコントロールできる)前意識(思いだそうすれば思い出せること、普通は思い出さない)無意識(心の現象として体験できない部分、自分もコントロールできない)三つからなる論である。
構造論
人の心は超自我(親や社会によって形成する倫理、道徳原則に基づく)自我(エスと超自我をうまく調整し、現実原則に基づく)エス(人間の生命エネルギー、リビドーに構成し、快楽原則に基づく)
自己理論
ロジャーズ/Rogers
自己理論:によると、人間には、自らを維持し強化する方向へ全機能を発達させようとする自己実現の傾向が備えている。この傾向に基づく生命体としての全経験は「自己経験」と呼ぶ。認知機能の発達に伴って「自己」として象徴化、概念化された側面が「自己概念」と呼ぶ。
「自己概念」と「自己経験」が一致する領域が大きいかどうか、適応的人あるいは不適応的人に分ける。
学習理論と行動療法
学習理論
アイゼンク(1960)は神経症の症状を誤った学習された行動であると考えた。三段階に分けて説明する。
情動反応:強い精神的ショックを受けて、情動的に混乱し、自律神経系が強く反応する。
条件性情動反応:自律神経系の混乱がそれまで無関係だった刺激と結びつく。パヴロフのいう古典的条件づけの原理が働く。(不安、恐怖症状が説明できる)
回避反応:条件性情動反応がたまたま低減したとき、他の行動をしていると、スキナーのいうオベラント条件づけの原理が働く。(強迫症状が説明できる)
行動療法
同じ条件づけによって適応的行動を再学習させて神経症の症状を消去症とすることである。
系統的脱感作法、オベラント学習法、バイオフォードバック法、認知行動療法。
グッドイナフ人物画知能検査 / DAM(Draw a man)
(グッドイナフ / Goodenough.F.L)
グッドイナフが開発した子どもの描いた人物画をマニュアルに基づいて採点する投影法の知能検査である。絵を描く作業には、知覚、運動機能、言語能力、認知能力、抽象能力といった発達段階をとても反映できるという考え方に基づく開発された。適応年齢は3歳~10歳である。まず子どもに出来るだけ正しくある人物を描かせる。次は部分の比率、明瞭さなど50の採点項目で採点する。
利点:
1、言語反応を必要としないので、聴覚、言語、情緒に障害がある子どもでも実施できる。
2、人物画を描く作業なので、低年齢の子供でも抵抗なく実施できる。
3、ほとんどの子供が5分内終えるので負担がかかない。
MMPI/ミネソタ多面人格目録/Minnesota Multiphasic Personality Inventory
ハサウェイ.Hathaway.S.R/マッキンレー.Mckinley.J.C
ミネソタのハサウェイとマッキンレーが作成した質問紙法の性格検査である。精神医学的診断の客観的尺度の作成のために開発された。彼らは500項目くらいの質問を正常群と、抑うつと統合失調症の臨床群に回答させる。有意な差がある項目を各臨床尺度を設定した。また、臨床尺度のほか、妥当性の尺度も含まれている。心気症、抑うつ性、ヒステリー性、精神病質的偏倚性、性度、偏執性、精神衰弱性、統合失調症、軽躁症、社会の向性の10の臨床診断尺度。
「どちらとも言えない」が多い場合に使用する?尺度、
被験者が自分が好ましく見せようとすることによって起こる反応の歪みの程度を調べるL尺度、
正常な成人においては出現率が低い回答した数が多い場合に信頼性を調べるF尺度
被験者が自分、質問に対して警戒の程度を調べるK尺度
テストバッテリ
異なる心理検査をいくつか組み合わせて使用すること。検査の結果の関係、矛盾や違いがあるのか、それの意味が何のかはセラピストが考えべき問題である。
矢田部・ギルフォード(YG)性格検査
ギルフォード/矢田部達郎
日本では、知能構造モデルの提案者ギルフォードのパーソナリティ目録を参考にして、矢田部達郎らが作成した120項目12尺度からなる矢田部・ギルフォード(YーG)性格検査が今最もよく用いられている。 D尺度(抑うつ性)depression C尺度(回帰的傾向)cyclic tendency I尺度(劣等感)inferiority N尺度(神経質)nervousness O尺度(客観性)objective Co尺度(協調性)cooperative Ag尺度(攻撃性)agressive G尺度(一般的活動性)general activity R尺度(呑気さ)rhathymia T尺度(思考的外向)thinking extraversion A尺度(支配性)ascendance S尺度(社会的外向)social extraversion STAR ON ICD(Co,Ag)
コーネル・メディカル・インデックス / Cornell Medical Index
心身両面にわたる自覚症状を、比較的短時間のうちに調査することを目的に考案される。身体的、精神的な自覚項目を表す項目に対して、2件法(はい、いいえ)の回答が求められる。心身両面にわたる健康調査と同時に実施できるため、職場や学校での健康管理のテストとして利用することが多い。
MPI/モーズレイ性格検査/Maudsley Personality Inventory
(アイゼンク/Eysenck.H.J)
アイゼンクが自身の性格理論に基づいて開発した質問紙法の性格検査である。外向性ー内向性、神経症傾向ー安定性の2軸を測定し、また虚偽的な回答を判断するために虚偽尺度も設定した。
顕在性不安尺度/MAS:Manifest Anxiety Scale
(Taylor.J.A)
身体的不安・精神的不安を含めた各種不安の総合的な程度を測定でき、不安のスクリーニングテストして用いられる。
MMPIから選出された不安尺度50項目に、妥当性尺度15項目を加えた65項目で構成されている。妥当性尺度があるので結果の信頼性を検討できる。
日本標準化が行われていて、大学生と成人の基準値(男女別、それぞれ5段階)が得られている。
構造化面接
構造化:あらかじめ質問項目を明確に決められて、言葉づかいや順序が変更しない。確認的目的の場合に適用される。信頼性が高い。
半構造化:事前に質問は準備するが、言葉づかいや順序は面接の流れに応じて変化する。
非構造化:自由に探索したり、発見が目的の場合に適用される。客観性が低い。
質問紙法・面接法・投影法の比較
質問紙法 利点 1、信頼性と妥当性が高い(街頭のアンケートと比べる) 2、簡便なため、多数の対象者に同時に実施することが可能である 3、事前に決められた質問項目を回答するため、客観性が高い
投影法 欠点 刺激(あいまいー明確) 反応の自由度(大きいー小さい) 時間の長さ(長いー短い) 被検査者と検査者の関係の影響(大きいー小さい) 採点と解釈(主観ー客観) 検査意図の伝えやすさ(わかりにくいーわかりやすい)
精神分析療法 / Psychoanalytic Therapy
(フロイト / Freud.S)
精神分析療法は、問題行動の原因は無意識に圧抑される心的外傷体験と考え、心的外傷体験の意識化と徹底操作による自我の強化を目指す心理療法である。
まずは自由連想法を使用する。分析家がクライエントが見えない位置にいる。「頭で浮かんでいることを批判も選択もしなくてそのまま述べてください」と指示する。
次に分析家が自由連想法で話された内容について解釈を与える。また、その過程ではクライエントが沈黙という形で抵抗を示した場合は、無意識に隠れている恐怖や欲望を触れてきたと考えられる。その時沈黙を無理に破らず、沈黙の意味を考えることが重要である。解釈には、直面化と明確化という技法がある。直面化とは分析家はクライエントが隠れている感情を言語化とする。明確化とはクライエントが自分が語った内容を簡潔に言い返すことによって自己理解を促進する。
後はクライエントが無意識に圧抑された感情や欲望を理解することは洞察という。洞察と解釈の繰り返しによって意識化になる感情を制御できるようになる。
移転と逆移転 / Transference and Countertransference
(フロイト / Freud.S)
心理療法・心理面接の具体的な技法は理論ごとに異なるが、クライエントが自分の内的葛藤から生じて、援助者に非合理的な感情を向けることがある。そんな現象は転移という。好意や恋愛感情を向ける陽性転移、敵意や怒りを向ける陰性転移に分ける。一方、援助者がクライエントに非合理的な感情を向けることを逆移転という。かつてフロイトは、逆転移が分析家の中立性を失わせるため、逆転移の発生を防止すべきと考えた。現在では逆転移も転移も少なからず生じるものであり、むしろ心理面接に生かすべきと考えられるから、援助者がそれらの発生を防止するのではなく、なぜ発生したかを洞察する。
ウェックスラー式知能検査/WAIS/WISC(Wechsler Intelligence Scale for Children)
(ウェックスラー/Wechsler.D)
アメリカの心理学者ウェックスラーによって開発された成人における知能の差異を検査する知能テストである。WAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale)とも呼ばれる。適用範囲は16歳以上となっている。課題内容は言語性と動作性に分ける。それらはそれぞれの下位検査に分けられている。結果はプロファイルを使って表示される。改訂されながら現在も用いられている。その後5〜15歳用の児童用知能尺度、学前児童用尺度も考案されて使用されている。
10つの基本検査、5つの補助検査で構成された。結果は全検査IQ、4つの指標得点で表された。それぞれは「言語理解指標」、「知覚推理指標」、「ワーキングメモリ指標」、「処理速度指標」に分ける。
集団式知能検査
アメリカが第一次世界大戦の時、軍隊検査のため心理学者たちによって開発された集団式知能テストである。言語式検査のA式と非言語検査B式に分ける。特点は集団である人の位置づけを定められるから、知能偏差値が指標とされることが多い。現在日本で児童、青年を対象日本よく用いられる田中B式知能検査はその軍隊検査の流れから汲むものである。
ビネ式知能検査
ビネ/Binet.A
フランスの心理学者ビネーによって開発された発達の遅れの子どもに対する診断用の項目からなる世界初の知能テストである。まずは特定年齢の子どもたちの50%から75%が正しく答えられるテスト項目を作って、対象になる子どもが正しく答えられれば、この特定年齢の発達水準に達すると評定したのである。その過程は標準化という。子どもたちは知能テストに評定された精神発達水準は精神年齢と呼ばれる。精神年齢が生活年齢を割って、100%をかける値は知能指数である。
日本語の改訂版田中ネビー知能検査が作製されて用いられてきている。対象は2歳から成人まで実施される。14歳以上の成人については偏差知能指数も算出できる。