発達 Flashcards
輻輳説
(シュテルン / Stern.W )
人間の心の発達において遺伝要因と環境要因をともに重視する説である。
環境優位説
(ワトソン / Watson)
個人の育つ環境が心の発達を決定する説である。
成熟優位説
(ゲゼル / Gesell.A.L)
遺伝の要因は人間の心の発達を決定する説である。
相互作用説
静的な輻輳説に対し、遺伝要因と環境要因が互いに相互作用し合う点を強調している動的な理論である。
双生児法(twin method)
双生児を対象として発達における遺伝や環境の影響を推定する研究方法である。一卵性双生児は互いに100%同じ遺伝子を持つのに対し、二卵性双生児が共有する遺伝子が平均50%である。そこで、双生児間におけるある特徴の類似度を、一卵性双生児と二卵性双生児で比較するなどして、その特徴が遺伝や環境にどの程度影響を受けるのか推定を行うことができる。
コホート研究法
コホートとは一定の時期に人生における同一の重大な出来事を体験した人々である。時代環境の影響を明らかにするために異なる時代で同じ発達時期における被験者のデータを比較する方法である。
ピアジェの発達段階説
感覚運動的知能(生後1ヶ月ー2歳)
・生後1ヶ月までの新生児の行動がほとんど感覚支配の運動である。
・新生児も積極的に刺激を求めて種々の定位性の反応を行なっている。
・2歳頃までに、事物の永続性を理解し、シンボル機能、表象機能を発達してきた。
前操作期(7、8歳まで) 操作:内的な処理が正しくできるように内的構造のことである。 ・表象機能の発達。急速に言語能力を獲得し、象徴遊び、ごっこ遊びができる ・3つ山の問題。視点の変化によって事物の見え方も変化することを認知できない。 ・アニミズム。無意識の事物を意識があると見える。 ・中心性。事物のただ一つの性質しかを注意できない、保存の概念を理解できない。 ・自己中心性。他者が自分と異なる見方、考えを持つことを理解できない。 *保存の概念の実験(ピアジェ、1941) 同じ量のジュースを形の違う容器に入れても、ジュースの量も変わっていないことを理解できない。
具体的操作期(7、8歳以降)
・脱中心化。多面的、総合的、客観的にものごとをとらえるようになる。
・具体的操作に限って、抽象的な解決がまだできない。
形式的操作(12歳まで)
・課題の内容が現実的かどうかにかかわらず、抽象的な思考ができるようになった。
・結果が事実に一致するかどうかなど演繹的な仮説を立て推理を行う。
ピアジェの発達段階論に対する反論
・一連の実験によって幼児も操作の能力をある程度にもっていることを証明した。
・発達の段階が教育、訓練によってだいぶ違っている。
・発達の段階が全体が均質性を持つというわけではない。様々な方向で別々に能力を獲得する傾向がある。
・成人でも、いつも形式的に操作していない。非合理な行動が多い。
したがって、ピアジェが提唱した発達段階説が存在しているかどうかことに問いかけもある。
ライフ・サイクル
(エリクソン / Erikson)
エリクソン(1950)によると、ライフ・サイクルを8階段に分け、それぞれの階段では社会からのタスクをどのように解決していくか、心理社会の危機はどのように乗り切るのかによって、パーソナリティのあり方が決まってくる。
乳児期(0~0.5歳)基本的信頼ー基本的不信 早期乳児期(1.5~3歳)自律性ー恥と疑惑 遊戯期(3~6歳)自発性ー罪悪感 学齢期(6~12歳)勤勉ー劣等感 青年期(12~20歳)自我同一性ー役割拡散 初期成人期(20~40歳)親密さー孤独 成人期(40~60歳)生産性ー停滞 成熟期(60~)自我統合ー絶望
自我同一性:現実的に予想される将来へ向けて、それまで種々の同一視によって取り入れるものを再構成し統合する過程。
精神ー性的発達段階理論
(フロイト / Freud)
フロイトが提唱したパーソナリティの発達段階に関する理論である。
フロイトは性を追求する本能衝動を人生の原動力を考えた。
口唇愛期:生後1歳までは、吸乳時に生じる口唇快感がリビドーを満たすが、離乳によってそれを抑制される。
肛門愛期:1歳を過ぎると、排泄時に尿道・肛門快感が求められるが、トイレット・トレーニングによって抑制される。
男根愛期:3歳前後より男根快感(ペニス・クリとリス)が求められるが、厳しい禁止を受ける。この時期、異性の親に心理的な性愛の愛着が芽生え、異性の親に拒絶されると恨みを生み、同性の親とのライバル関係に敵意が生じる。
エディプス期:そうした好ましくない感情が養育の拒否をもたらすのではないかという恐れから抑圧されるが、相反感情(両面価値)に基づく不安や罪悪感が生まれる。
潜伏期:同性の親への同一視を通じて、これらが克服された充足を得られる。児童期に入ると、運動技能、知識の獲得という心理的な快感に昇華される。
性器愛期:成人になると異性愛へ移行する。
アイデンティティ・ステイタス
(マーシャ / Marcia.J.E)
マーシャはエリクソンの理論に基づいて、将来の選択肢の探求、危機の経験があるがどうかと採用した選択肢に対する関与を指すコミットメントの有無に応じて、アイデンティティ・ステイタスを分類した。 アイデンティティ達成: アイデンティティを探求した上でコミットメントしている状態 モラトリアム: 探求の最中でコミットメントしようとしている状態 早期完了: 探求せずにコミットメントしている状態 アイデンティティ拡散: 探求の有無は人によって異なるがコミットメントしていない状態
分離ー個体化理論
(マーラー / Mahler.M.S)
精神分析的観点に基づく直接観察法を導入によって乳幼児の分離ー個体化過程を報告した。正常な自閉期(0~1カ月)、正常な共生期(2~5カ月)、分離ー個体化は概ね5〜36カ月の期間であるとされる。分離個体化期は分化期、練習期、再接近期、再個体化期に分けられる。再個体化期にそれまでの両価的な母親像の統合がうまくいかないと、すなわち見捨てられ不安が生じることになり、それが後の境界例の発症につながると考えた。
生涯発達心理学
(バルテス / Baltes.P.B)
バルテスは人間の発達を全生涯発達の視点からとらえ直し、生涯発達心理学の理論化を行われた。発達の過程を成長、獲得だけでなく減退、喪失も含め、両者のダイナミックで持続的な相互作用の過程としてとらえた。その過程では人は喪失を別の手段で補う「補償」、可能な資源、選択肢の中から重要なものを選ぶ「選択」、持っている資源を目指すものへ向けて利用する「最適化」などによって、獲得を最大化していくとされている。
刷り込み・インプリンティング
初期の経験が人の発達に深い影響を与えるという理論である。ニワトリやカモなどの孵化した直後から開眼し、移動可能な生物の雛は、孵化後の特定の時期で目にした動く物体の後追尾する反応がある。それはロレンツによって刷り込みと呼ばれる。その期間が臨界期あるいは敏感期という、その期間を過ぎると刷り込みが起こらなくなること、また不可逆性などが特徴である。また、性成熟してから刷り込みの対象に愛情が生じることが性的刷り込みという。
環境閾値説
(ジェンセン / Jesen.A.R)
発達における環境は閾値要因として働くとする考え方である。個人が持つ潜在的な特徴が実際に発見するには一定水準の環境刺激が必要である。また、特徴によって、必要になる刺激の水準が異なる。
視覚の断崖(visual cliff)ギブソン
ギブソンらに開発された、断崖の上に丈夫なガラスをかぶせた見せかけの断崖を乳児にのらせて、奥行く知覚の発達を調べる装置である。実験の結果は、1カ月の新生児が深い側と浅い側とも特別の変化が見られなかったが、2カ月児では深い側で心拍数が低くなる。そして6カ月〜14カ月、ハイハイできる乳児が怖がって進めなかった。