運営管理 Flashcards
日本工業規格(JIS)における生産管理の定義
財・サービスの生産に関する管理活動。
備考1. 所定の品質・原価・数量および納期で生産するため、またはQ(Quality)・C(Cost)・D(Delivery)に関する最適化を図るため、
人、物、金、情報を駆使して、需要予測、生産計画、生産実施、生産統制を行う手続およびその活動。
備考2. 狭義には、生産工程における生産統制を意味し、工程管理ともいう。
生産管理とは、生産の構成要素である「設計・調達・作業」活動を、QCDの観点から最適化を図る管理活動と言うことができます。
「設計・調達・作業」活動の管理目標となるQCDの水準は、全てが高いことが理想的ですが、実際には、この3つの要素はトレードオフの関係にあります。例えば、高品質を追求すると、コストが上昇したり、納期が遅くなる可能性があります。
よってQCDの管理は、顧客満足が最大となる最適なバランスを目標値として定め、その目標値を達成するためにPDSサイクルを回すことが重要となります。
PQCDSME
Productivity(生産性):労働生産性、時間あたりの利益など、インプットに対しアウトプットを可能な限り多くすること
Quality(品質):不良品率、戻入率、検品精度や計測機器類の管理など、決められた品質の製品やサービスを提供すること。
品質をチェックする出荷検査、生産設備や検査測定器に異常がないか定期的にチェックする活動。
Cost(原価):安いコストで製品やサービスを生産すること
Delivery(納期・数量):納期達成率やリードタイム短縮など、決められた納期と数量を守って製品やサービスを提供すること。
資材や製品の運搬・停滞・保管など状況を管理する現品管理、作業進捗管理、
作業負荷と生産能力のバランス調整をとる余力管理。
Safety(安全性):安全勉強会開催件数や安全パトロールの実施件数など、安全な環境で作業ができ、安全な製品やサービスを提供すること
Morale(意欲):社員の能力開発や向上に努め、よい職場環境のもと意欲をもって仕事ができること
Environment(環境負荷):環境に負荷をかけない、製品やサービスを提供すること。
消費電力が少なくなるような活動、工場からでる産業廃棄物の量を抑制したり、管理する活動。
生産の効率化の原則として「3S」「5S」「ECRS」
●3S
標準化、単純化、専門化の頭文字を取ったもので、企業活動や生産活動を効率的に行うための考え方です。
標準化(Standardization):設計や生産方法について標準を設定すること
単純化(Simplification):設計や構造、組織、手法などを単純にすること
専門化(Specialization):企業や工場、工程が特定の機能に特化すること
●5S 生産現場の管理の原則として有名です。5Sは、整理、整頓、清掃、清潔、躾(しつけ)を表します。 整理:必要なものと不要なものを区別して不要なものを捨てること 整頓:必要なものをすぐに使用できるように所定の場所に準備しておくこと 清掃:汚れを取り除き、綺麗な状態を保つこと 清潔:整理・整頓・清掃を繰り返し、汚れのない状態を維持しておくこと 躾 :決められたルールを必ず守ること
●ECRS
ECRSの原則は、改善の原則とも呼ばれます。尚、ECRSは、E→C→R→Sの順番で検討する。
Eliminate:作業内容を見直し、作業をなくせないか(廃止)検討すること
Combine:複数の作業をまとめて一緒に処理(統合化)することで、業務時間を短くできないか検討すること
Replace/Rearrange:作業を別の方法に変更(置き換え)したり、順番を入れ替えることで、もっと効率的にならないか検討すること
Simplify:作業をもっと簡単なやり方に変更(単純化)し、同じ結果を生み出せないか検討すること
自主管理活動の目的と、内容
自主管理活動は、現場の従業員が自主性を発揮して行う小集団活動のことです。
この活動は、従業員の自主性を重視し、従業員の能力や創意工夫を引き出すことが目的の一つになっています。
よって経営者が強制すると自主管理活動ではなくなるので注意が必要です。小集団活動には、QCサークルやZD運動があります。
●QCサークル
QCはQuality Controlの略で、QCサークルとは業務や製品の品質を向上させるための小集団活動のことです。
この活動では、現場で働く人々が小集団(サークル)を作り、各種のQC手法を用いて継続的に品質問題の解決に取組んでいきます。
●ZD運動
Zero Defectsの略で、業務や製品の欠陥を無くすための小集団活動です。ZD運動では、製品の欠陥や仕事上のミスなどの
問題を解決するために、小集団で改善に取り組んでいきます。
見込生産の特徴や、受注生産との違い
製品を生産タイミングによって分類すると、見込生産と受注生産の2つに大別できます。
●見込生産: 需要予測に基づきあらかじめ製品を作っておき、在庫を販売します。 このため注文後の納期は短くなります。この生産方式の重点課題は次のとおりです。 ・需要予測の精度を高め、過剰在庫や機会損失の発生を少なくすること。 ・需要の変動に柔軟に対応できる生産体制を築き工場の操業度を高く保つこと。
不特定多数の消費者や企業に対し幅広く販売する製品は、見込生産を行うのが一般的です。
例えば、書籍・日用雑貨・家電品・携帯電話など、日頃店頭で目にしているものの多くが該当します。
見込生産では予測した需要量にもとづき生産数を決定します。
このため需要予測に対し、実際の需要(販売数)が少ない場合は過剰在庫が発生し、逆に需要が多い場合は機会損失が発生します。
●受注生産:
注文を受けてから生産を開始します。この中には顧客の注文に応じ毎回設計から行う「個別受注生産」と、
設計は事前に行っておき注文を受けてから生産を行う「繰返し受注生産」があります。この生産方式の重点課題は次のとおりです。
・生産リードタイムの短縮と納期を守るために、必要な材料の調達や設備・人員などの割当てを速やかに行うこと。
・受注をできるだけ平準化して工場の操業度を高く保つこと。
生産形態の3つの分類方法とレイアウトとの関連性
・個別生産は、個別のオーダーに応じて生産する形態です。受注生産との関連が強く、生産量は少なくなります。
また、多品種に柔軟に対応できるように、機能別(工程別)レイアウトが多く採用されます。
【個別生産ー多種少量生産ー機能別レイアウト】
・ロット生産は、一定の生産量の単位でまとめて生産する形態です。
複数の製品が交互に生産されます。ロット生産は、受注生産でも見込生産でも用いられます。
また、品種と生産量による分類では「中種中量生産(中品種中量生産)」と最も強い関係がありますが、
多種少量生産(多品種少量生産)と少種多量生産(少品種多量生産)にも対応することがあります。
ロット生産では、生産する品種の切換え時のロスをできるだけ抑制するために、
同じような加工経路をグループ別にまとめた、グループ別レイアウトが多く採用されます。
【ロット生産ー受注生産/見込生産/中種中量生産】
・連続生産は、同じ製品を続けて生産する形態です。
専用ラインなどを設けて、大量生産する生産形態で、最終消費者向けの製品でよく用いられます。
この場合、需要予測に基づいた見込生産で生産されます。大量の製品を効率よく生産するため、
製品ごとの加工の流れを重視した専用ラインを設ける、製品別レイアウトが多く採用されます。
【連続生産ー少種多量生産ー製品別レイアウト】
段取り
段取り作業を短時間で、タイミングよく、正確に行うことで、生産リードタイムの短縮・生産変動への対応・仕掛品の削減が実現できます。
●段取りの種類と生産効率(高→低)
ゼロ段取り>シングル段取り> 外段取り >内段取り
・ゼロ段取り:3分以内で限りなくゼロを目指す段取り作業
・シングル段取り:10分未満で行う段取り作業
・内段取り:生産ライン内で、設備を止めて行う段取り作業
・外段取り:生産ラインの外で、設備を止めずに行う段取り作業
●仕事の流し方による段取り頻度(高→低)
個別生産 > ロット生産 > 連続生産
・個別生産 :頻度「多」、原則注文ごと
・ロット生産:頻度「中」、ロットサイズによる。品種切換えの度に発生するため、生産量が減少すると段取りの頻度は増える。
・連続生産 :頻度「少」、品種を切換える際に発生
機械加工設備
●汎用工作機械
主に金属の不要な部分を削り取って所要の形状に作り上げる機械が工作機械です。
汎用工作機械は、作業者がハンドルを回すことなどによって操作する機械で、
中小企業に多い多種少量生産(多品種少量生産)に適しています。
●FMS(Flexible Manufacturing System) FMSは生産設備の全体をコンピュータで統括的に制御・管理することによって、類似製品の混合生産、 生産内容の変更などが可能なシステムです。様々な製品種類への対応が可能ですが、 加工対象の類似性が求められることから汎用工作機械ほどの柔軟性はありません。 従って、中種中量生産(中品種中量生産)に適しています。
●トランスファーマシン
単一部品を連続加工するための機械設備で、専用工作機械を加工順に配置し、
ベルトコンベア等の自動搬送装置で工作機械間を連結した設備です。
連続生産、少種多量生産(少品種多量生産)に適しています。
ライン生産の生産サイクル
ライン全体で1つの製品を生産する速度をサイクルタイム、もしくはピッチタイムと呼びます。
サイクルタイムは、最も作業時間が長い作業工程の作業時間と同じになります。
サイクル数を減らしたい場合は、まず最初に各作業工程の作業負荷を均一にすることを検討します。
すでに、均一化が十分図られているのであれば、次いで作業工程の数を増やす検討をします。
ライン生産方式では、各作業者は特定の作業工程を担当するため、作業が単調になる傾向があります。この結果、モチベーションが低下するなど労務管理上の問題が生じやすくなります。
混合ライン方式とは、作業手順や加工方法がほぼ同じ複数の品種を一緒に生産する方式です。
例えば、オレンジジュースとグレープジュースを一緒にライン上に流すようなイメージです。
時間によって生産するものを切り替える、ライン切り替え方式とは異なり、基本的に段取り替えは発生しません。
ライン生産方式では、各作業者は特定の作業工程を受け持ちます。
しかし、生産量の変動や、作業者が病気で休むなどの場合にも柔軟に対応できるように、
他の工程もできるようにしておくことが、望ましいと言えます。
ライン編成効率(ラインバランス効率)
ライン編成効率= 作業時間の合計 / サイクルタイム × 作業ステーション数
最も効率的なラインは、ライン編成効率が100%になります。
●バランスロス率
工程間で発生するムダの程度を示す値で、次の式で求めます。
バランスロス率=100%-ライン編成効率
●バランスロスの影響
バランスロスは「手待ち」や「仕掛品」のムダが発生します。ある工程と1つ手前の工程の作業時間を比べた時に、
手前の工程の作業時間が長い場合は「手待ち」が発生し、逆に短い場合は「仕掛品」が発生します。
また、工程間の時間差が最も大きい箇所でそのムダも最大となります。
セル生産方式
セル生産方式は製品や部品を、形状・寸法・素材・工程などが類似しているものにグループ化し、
そのグループ単位で工程を編成する方式です。このグループ化のことを、グループテクノロジーと呼びます。
セル生産方式には、様々な形態がありますが、代表的なものに、U字ライン方式と、1人生産方式があります。
●U字ライン方式
作業者がラインを取り巻きやすいように、U字型にラインを配置した方式です。
一人の作業者が担当する工程数を増やすことができ、仕掛品や手待ちのムダを減らして生産の効率化が図れます。
●1人生産方式
1人で全工程を受持ち、最初から最後までの作業を行う方式です。
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ライン生産方式では、少種多量生産(少品種多量生産)することを重視して、設備を配置し専用ラインを設けます。
一方、セル生産方式では多種少量生産(多品種少量生産)に対応するため、形状・寸法・素材・工程などの
類似しているものをグループ化して、それに適した機械と工程を配置してセルを構成します。
1人生産方式は全工程を1人で担当するため、生産中は仕掛品が発生しません。
一方、U字生産方式は少人数ですが、複数人で作業を分担するため仕掛品が発生します。
ライン生産方式と比べ、セル生産方式では1人の作業者が受け持つ工程が増えます。
このため、作業者の育成に時間がかかるというデメリットがあります。
ライン生産方式では、各作業者がそれぞれ特定の工程のみを担当するのに対し、
セル生産方式では1人で複数の工程を担当するため、工程間の待ち時間の発生が少なく、バランスロス率を下げることができます。
流動数分析
流動数分析とは、流動数曲線を用いて、数量の時間的変化を分析する手法です。流動数曲線とは、インプットの累計数とアウトプットの累計数の時間的変化を表したグラフで、滞留在庫の分析や、工程の仕掛り量のチェックなどに使われます。流動数分析は、在庫管理や進度管理に使う手法であり、工程や作業自体を無くしたり置き換えるような改善は難しいため、ECRSの原則を適用するには不向きです。
製品工程分析
製品工程分析とは、製品を生産する工程を分析する手法のことです。製品が生産される流れを、工程ごとに加工、運搬、貯蔵、検査などの作業種類に分類します。それをチャートとして図示して、どこに問題があるかを分析します。工程分析を基に改善する場合、付加価値を生んでいない作業をいかに削減していくかが重要です。そのため、ECRSの原則を適用することができます。たとえば、検査に関して、必要ない検査を減らしたり、加工と同時に検査をすることが考えられます。
両手動作分析
両手動作分析とは、作業者の両手の動作を分析するものです。
両手動作分析では、動作プロセスごとの左手と右手の動きを、
工程図記号などを使って表していきます。
両手動作分析では、左右のバランスを取ること、無駄な動きを排除することを狙いとしています。
そのため、ECRSの原則を適用して、無駄な動きの排除や動作の効率化を図ることができます。
連続稼働分析
連続稼働分析とは、観測対象につきっきりで観測する方法です。そのため、詳細に作業を分析でき、問題点を細かく分析できます。観測した作業内容に対してECRSの原則を適用し改善を検討することが可能です。
加工品の流れの違い
フローショップでは、すべてのジョブについて実行されるべき作業が類似のもので、機械の配置に沿って加工品が流されます。
ジョブショップはジョブについて実行されるべき作業内容や工程順序が異なるため、加工品の流れは複雑で錯綜したものになります。
製造指示の起点の違い
引取型は、受注生産において顧客の注文が起点となり、順番に製造指示が行われます。
押出型は見込生産において前工程が後工程に材料や部品を送り込んでいきます。
品種と生産量の違い
多品種少量生産、少品種多量生産は生産形態の分類における品種と生産量の違い。
注文と生産の時期の違い
見込生産と受注生産は、生産形態の分類における「注文と生産の時期」の違い。
工場内の設備レイアウトの特徴
●固定式レイアウト
固定式レイアウトは、製品を固定するレイアウトで作業員や工具が製品の回りを移動します。
このため固定された設備はほとんどありません。生産効率を高めるためには、作業員や工具の移動ロスを減らすことが重要となります。
●機能別レイアウト
設備の「機能」を重視して、機能が似ている設備をまとめて配置するレイアウト。
製品の生産工程が変わった場合は、類似した設備をまとめて配置してあるので、加工経路を見直すことで対応ができます。
各作業者は特定の設備を担当しますが、設備が同じでも、生産する製品が異なれば加工方法や操作方法も変わります。
この結果、担当する設備の熟練度が向上していきます。
●製品別レイアウト
製品の加工の「流れ」を重視して、製品の加工順序に沿ったレイアウト。
生産する製品に合わせて専用のラインをつくるため、生産性は極めて高くなります。
●グループ別レイアウト
グループ別レイアウトは、類似した製品をグループ化して生産できるように設備レイアウトされています。
製品の生産工程が変わった場合は設備レイアウトを見直す必要があります。類似性のある製品をグループ別にまとめることで
効率的な生産を目指しますが、製品別レイアウトと比べると生産性は劣ります。
SLP(Systematic Layout Planning)
SLPとは、工場の実際の設備レイアウトの設計を、システマティックに行う手法の一つです。
SLPでは、設備や機械、材料、倉庫などの構成要素を、アクティビティと呼び、
これらの流れや、アクティビティ間の関連性を分析することで、最適なレイアウトを計画していきます。
①P-Q 分析
P-Q分析では、グラフの縦軸に生産量Qをとり、横軸に製品品種Pをとって、生産量が多いものから少ないものに左から順番に並べます。
この結果、グラフの左側の方は生産量が多い製品群、グラフの真ん中あたりは生産量が中ぐらいの製品群、右側の方には生産量が少ない
製品群が並びます。このように、製品と生産量を把握することで、各製品別に採用するレイアウトの種類を決定することができます。
②物の流れ分析
加工の順番や物の流れを効率的にするために、どのような流れで製品を加工、移動するかを分析します。
物の流れ分析では、工程分析やフロムツーチャート(From to Chart)などの分析手法を用います。
③アクティビティ相互関係分析
アクティビティ間の関連性を分析し、各アクティビティをどれぐらい近づけるかを検討します。
アクティビティを全てリストアップし、各アクティビティ間の近接性の重要度を(A:絶対重要 / B:重要 / C:普通 / D:低 などに)
ランク分けして、一覧で確認できるようします。
④アクティビティ相互関係ダイアグラム
物の流れ分析における最適な加工経路の情報と、アクティビティ相互関係分析における近接性の重要度の、2つの情報を基に
各アクティビティの最適な配置を検討します。
アクティビティ相互関係ダイアグラムでは、アクティビティ間の近接性の重要度を、線の太さや線の本数で表しますが、
この線の重なりは、物の動きが重なることを意味します。このため、アクティビティの配置は、近接性の重要度に配慮しつつ、
できるだけ線が重ならないように検討します。
⑤スペース相互関係ダイアグラム
アクティビティ相互関係ダイアグラムに、各アクティビティに必要な面積の情報を組み込みます。
これを基に工場のレイアウト案を複数作成し、最終的に1つのレイアウトを決定します。
製品開発の内容
製品開発の活動目的は、『顧客のニーズを満たす製品を、最適なQCDのバランスで迅速に開発し、製造できるようにする』ことです。
そのために、次のような流れで製品開発を進めていきます。実際は開発する製品によって、製品設計から試作の間の工程を何回か
繰返したり、デザインレビューを複数回実施するなど、多少の違いはありますが、基本的な進め方はほぼ同じです。
また、昨今の顧客ニーズの多様化や、市場競争の激化に対応するためには、製品開発のスピードアップが重要となります。
これに対応した開発手法として、コンカレント・エンジニアリングがあります。
●開発の進め方
①製品企画
顧客のニーズに合った製品を企画。
②製品設計 製品企画を基に、製品の構造を決定し、製品の図面や部品リストを作成 製品設計には、次のような2つがあります。 ・機能設計:期待する性能を発揮するのに必要な機能と構造を決定。 ・生産設計:生産をし易いように、部品の数の削減や、組立しやすい構造を決定。
③工程設計
製品設計を基に、製品を目標とする品質、生産量、納期で生産するための工程や作業方法、レイアウト、生産設備などを決定。
④試作品の作成
試作品を作成し、目標として設定した機能、性能、品質、コスト、納期などを実現できるかを評価。
⑤デザインレビュー
関連部門を集めて、デザインレビューを実施。繰返し審査と検討をくり返すことで製品のQCD が作りこまれる。
このため、時間が許す限り、各開発工程で、デザインレビューを実施することが望まれます。
なお、デザインレビューは節目管理として、一連の開発工程の重要なポイント毎に実施するのがよい。
例えば、製品企画が終了した時点で、どのような観点で調査や検討を行い企画決定に至ったか、妥当性をレビューする。
⑥生産準備
当初の目標を達成できると判断されれば、生産準備を行い、生産を開始して市場へ投入。
●リバースエンジニアリング
製品の動作を観察したり、機械を分解することで、製品の構造・動作原理・ソフトの中身・製造方法などを明らかにすることです。
●コンカレント・エンジニアリング
設計、生産などの製品開発作業を、同時並行的に行う方法。
製品開発の期間を短縮し、市場にタイムリーに新製品を投入することを可能にする。
Value Engineering
VE はValue Engineering の略で、価値を高めるための体系的な活動です。
価値を高めることで顧客満足度が高い製品を低コストで開発することを目的としています。
●VEにおける価値の定義
VEでは、製品の「機能」と「コスト」を基に、「価値(Value)」を定義し、価値を次の式で表します。
価値= 機能 / コスト
●機能
製品の機能は大きく「使用機能」と「魅力機能」に分類されます。
「使用機能」とは、製品の本来の価値を果たす機能です。
「魅力機能」は「貴重機能」ともいい、色や形などにより顧客の欲求を喚起する機能です。
「使用機能」はさらに「基本機能」と「補助機能」に分類されます。
「基本機能」とは、これを取り除くと製品の存在意義が無くなるような基本的な機能で、「一次機能」ともいいます。
「補助機能」とは、「基本機能」を果たすために補助的に付加される機能で、「二次機能」ともいいます。
さらに「必要機能」と「不必要機能」という分類もあります。
これは製品やサービスの使用者が必要とする機能を「必要機能」、使用者が必要としない機能を「不必要機能」といいます。
●価値向上の方法 VE では、価値を高めるには、次の4 つのパターンがあります。 ①コストダウンによる価値の向上:コストを下げ、機能は維持。 ②機能の向上による価値の向上:コストを維持し、機能を向上。 ③コストを上げ、それ以上に機能を向上:コストの増加分よりも、機能が向上。 ④コストを下げ、機能を向上:コストダウンと機能向上が両立。最も効果の高い。
なお、VE では機能を下げるというパターンはありません。
VEの手順
VEの手順
VEの手順は、機能定義、機能評価、代替案の作成、提案と実施という流れとなります。
①機能定義
機能定義は「VE対象の情報収集」、「機能の定義」、「機能の整理」の詳細ステップから構成されます。
「VE対象の情報収集」では、対象の製品についてのあらゆる情報を収集します。「機能の定義」では、この情報から、
顧客の要求事項を明確にして、それを基に機能を定義します。「機能の整理」では、定義された機能について相互関係を
「目的-手段」の論理で機能系統図を作成して整理します。
②機能評価
次の手順は、機能評価です。機能評価の詳細ステップは「機能別コスト分析」「機能の評価」「対象分野の選定」により構成されます。
「機能別コスト分析」によって定義した個々の機能を達成するために「現在のコスト」を把握し、果たすべき機能に対するコストの妥当性を判断します。「機能の評価」では、その機能がいくらであるべきかという「機能評価値」を特定します。
「対象分野の選定」では、VE活動が効果的に行われるために、「機能評価値」と「現在のコスト」の差の大きなものを特定し、優先順位付けを行います。
③代替案の作成
代替案の作成です。代替案の作成の詳細ステップは「アイデア発想」「概略評価」「具体化」「詳細評価」から構成されます。
「アイデア発想」では、機能の価値を向上させるアイデアを洗い出し、その中から具体的な改善案を作成していきます。
改善案の作成では、最初に自由に価値を向上させるアイデアを出します。ここでは、価値の低い機能に対して、「他に同じ働きをするものはないか」と問いかけることにより、沢山のアイデアを出すことがポイントです。
アイデア出しの手法としてはブレーンストーミングがあり、次の4つのルールのもとに行います。 ・批判は行わない。 ・自由奔放なアイデアを歓迎。 ・質より量。 ・他人のアイデアを結合し発展させる。
アイデアを出す手法には色々なものがあります。代表的な手法にブレーンストーミング法があります。ブレーンストーミング法では、
数人が集まって、自由にアイデアを出し合います。このとき、良い悪いといった判断や評価をせずに、自由にアイデアを量産するのが
ポイントです。アイデアを出したら、「概略評価」により使えるアイデアを選択し「具体化」でアイデアを総合化し、不具合や欠点を
排除する対策を講じます。「詳細評価」において、代替案を更に経済性と技術性の両面から詳細に検討を加え、使用者に好まれる
最も優れた案を選択します。