運営管理 Flashcards

1
Q

日本工業規格(JIS)における生産管理の定義

A

財・サービスの生産に関する管理活動。

備考1. 所定の品質・原価・数量および納期で生産するため、またはQ(Quality)・C(Cost)・D(Delivery)に関する最適化を図るため、
   人、物、金、情報を駆使して、需要予測、生産計画、生産実施、生産統制を行う手続およびその活動。

備考2. 狭義には、生産工程における生産統制を意味し、工程管理ともいう。

生産管理とは、生産の構成要素である「設計・調達・作業」活動を、QCDの観点から最適化を図る管理活動と言うことができます。
「設計・調達・作業」活動の管理目標となるQCDの水準は、全てが高いことが理想的ですが、実際には、この3つの要素はトレードオフの関係にあります。例えば、高品質を追求すると、コストが上昇したり、納期が遅くなる可能性があります。
よってQCDの管理は、顧客満足が最大となる最適なバランスを目標値として定め、その目標値を達成するためにPDSサイクルを回すことが重要となります。

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2
Q

PQCDSME

A

Productivity(生産性):労働生産性、時間あたりの利益など、インプットに対しアウトプットを可能な限り多くすること

Quality(品質):不良品率、戻入率、検品精度や計測機器類の管理など、決められた品質の製品やサービスを提供すること。
       品質をチェックする出荷検査、生産設備や検査測定器に異常がないか定期的にチェックする活動。

Cost(原価):安いコストで製品やサービスを生産すること

Delivery(納期・数量):納期達成率やリードタイム短縮など、決められた納期と数量を守って製品やサービスを提供すること。
          資材や製品の運搬・停滞・保管など状況を管理する現品管理、作業進捗管理、
          作業負荷と生産能力のバランス調整をとる余力管理。

Safety(安全性):安全勉強会開催件数や安全パトロールの実施件数など、安全な環境で作業ができ、安全な製品やサービスを提供すること

Morale(意欲):社員の能力開発や向上に努め、よい職場環境のもと意欲をもって仕事ができること

Environment(環境負荷):環境に負荷をかけない、製品やサービスを提供すること。
           消費電力が少なくなるような活動、工場からでる産業廃棄物の量を抑制したり、管理する活動。

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3
Q

生産の効率化の原則として「3S」「5S」「ECRS」

A

●3S
 標準化、単純化、専門化の頭文字を取ったもので、企業活動や生産活動を効率的に行うための考え方です。
標準化(Standardization):設計や生産方法について標準を設定すること
単純化(Simplification):設計や構造、組織、手法などを単純にすること
専門化(Specialization):企業や工場、工程が特定の機能に特化すること

●5S
 生産現場の管理の原則として有名です。5Sは、整理、整頓、清掃、清潔、躾(しつけ)を表します。
整理:必要なものと不要なものを区別して不要なものを捨てること
整頓:必要なものをすぐに使用できるように所定の場所に準備しておくこと
清掃:汚れを取り除き、綺麗な状態を保つこと
清潔:整理・整頓・清掃を繰り返し、汚れのない状態を維持しておくこと
躾 :決められたルールを必ず守ること

●ECRS
 ECRSの原則は、改善の原則とも呼ばれます。尚、ECRSは、E→C→R→Sの順番で検討する。
Eliminate:作業内容を見直し、作業をなくせないか(廃止)検討すること
Combine:複数の作業をまとめて一緒に処理(統合化)することで、業務時間を短くできないか検討すること
Replace/Rearrange:作業を別の方法に変更(置き換え)したり、順番を入れ替えることで、もっと効率的にならないか検討すること
Simplify:作業をもっと簡単なやり方に変更(単純化)し、同じ結果を生み出せないか検討すること

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4
Q

自主管理活動の目的と、内容

A

自主管理活動は、現場の従業員が自主性を発揮して行う小集団活動のことです。
この活動は、従業員の自主性を重視し、従業員の能力や創意工夫を引き出すことが目的の一つになっています。
よって経営者が強制すると自主管理活動ではなくなるので注意が必要です。小集団活動には、QCサークルやZD運動があります。

●QCサークル
 QCはQuality Controlの略で、QCサークルとは業務や製品の品質を向上させるための小集団活動のことです。
この活動では、現場で働く人々が小集団(サークル)を作り、各種のQC手法を用いて継続的に品質問題の解決に取組んでいきます。

●ZD運動
 Zero Defectsの略で、業務や製品の欠陥を無くすための小集団活動です。ZD運動では、製品の欠陥や仕事上のミスなどの
問題を解決するために、小集団で改善に取り組んでいきます。

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5
Q

見込生産の特徴や、受注生産との違い

A

製品を生産タイミングによって分類すると、見込生産と受注生産の2つに大別できます。

●見込生産:
需要予測に基づきあらかじめ製品を作っておき、在庫を販売します。
このため注文後の納期は短くなります。この生産方式の重点課題は次のとおりです。
・需要予測の精度を高め、過剰在庫や機会損失の発生を少なくすること。
・需要の変動に柔軟に対応できる生産体制を築き工場の操業度を高く保つこと。

不特定多数の消費者や企業に対し幅広く販売する製品は、見込生産を行うのが一般的です。
例えば、書籍・日用雑貨・家電品・携帯電話など、日頃店頭で目にしているものの多くが該当します。
見込生産では予測した需要量にもとづき生産数を決定します。
このため需要予測に対し、実際の需要(販売数)が少ない場合は過剰在庫が発生し、逆に需要が多い場合は機会損失が発生します。

●受注生産:
注文を受けてから生産を開始します。この中には顧客の注文に応じ毎回設計から行う「個別受注生産」と、
設計は事前に行っておき注文を受けてから生産を行う「繰返し受注生産」があります。この生産方式の重点課題は次のとおりです。
・生産リードタイムの短縮と納期を守るために、必要な材料の調達や設備・人員などの割当てを速やかに行うこと。
・受注をできるだけ平準化して工場の操業度を高く保つこと。

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6
Q

生産形態の3つの分類方法とレイアウトとの関連性

A

・個別生産は、個別のオーダーに応じて生産する形態です。受注生産との関連が強く、生産量は少なくなります。
また、多品種に柔軟に対応できるように、機能別(工程別)レイアウトが多く採用されます。
【個別生産ー多種少量生産ー機能別レイアウト】

・ロット生産は、一定の生産量の単位でまとめて生産する形態です。
複数の製品が交互に生産されます。ロット生産は、受注生産でも見込生産でも用いられます。
また、品種と生産量による分類では「中種中量生産(中品種中量生産)」と最も強い関係がありますが、
多種少量生産(多品種少量生産)と少種多量生産(少品種多量生産)にも対応することがあります。
ロット生産では、生産する品種の切換え時のロスをできるだけ抑制するために、
同じような加工経路をグループ別にまとめた、グループ別レイアウトが多く採用されます。
【ロット生産ー受注生産/見込生産/中種中量生産】

・連続生産は、同じ製品を続けて生産する形態です。
専用ラインなどを設けて、大量生産する生産形態で、最終消費者向けの製品でよく用いられます。
この場合、需要予測に基づいた見込生産で生産されます。大量の製品を効率よく生産するため、
製品ごとの加工の流れを重視した専用ラインを設ける、製品別レイアウトが多く採用されます。
【連続生産ー少種多量生産ー製品別レイアウト】

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7
Q

段取り

A

段取り作業を短時間で、タイミングよく、正確に行うことで、生産リードタイムの短縮・生産変動への対応・仕掛品の削減が実現できます。

●段取りの種類と生産効率(高→低)
 ゼロ段取り>シングル段取り> 外段取り >内段取り

 ・ゼロ段取り:3分以内で限りなくゼロを目指す段取り作業
 ・シングル段取り:10分未満で行う段取り作業
 ・内段取り:生産ライン内で、設備を止めて行う段取り作業
 ・外段取り:生産ラインの外で、設備を止めずに行う段取り作業

●仕事の流し方による段取り頻度(高→低)
 個別生産 > ロット生産 > 連続生産

 ・個別生産 :頻度「多」、原則注文ごと
 ・ロット生産:頻度「中」、ロットサイズによる。品種切換えの度に発生するため、生産量が減少すると段取りの頻度は増える。
 ・連続生産 :頻度「少」、品種を切換える際に発生

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8
Q

機械加工設備

A

●汎用工作機械
 主に金属の不要な部分を削り取って所要の形状に作り上げる機械が工作機械です。
汎用工作機械は、作業者がハンドルを回すことなどによって操作する機械で、
中小企業に多い多種少量生産(多品種少量生産)に適しています。

●FMS(Flexible Manufacturing System)
 FMSは生産設備の全体をコンピュータで統括的に制御・管理することによって、類似製品の混合生産、
生産内容の変更などが可能なシステムです。様々な製品種類への対応が可能ですが、
加工対象の類似性が求められることから汎用工作機械ほどの柔軟性はありません。
従って、中種中量生産(中品種中量生産)に適しています。

●トランスファーマシン
 単一部品を連続加工するための機械設備で、専用工作機械を加工順に配置し、
ベルトコンベア等の自動搬送装置で工作機械間を連結した設備です。
連続生産、少種多量生産(少品種多量生産)に適しています。

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9
Q

ライン生産の生産サイクル

A

ライン全体で1つの製品を生産する速度をサイクルタイム、もしくはピッチタイムと呼びます。
サイクルタイムは、最も作業時間が長い作業工程の作業時間と同じになります。

サイクル数を減らしたい場合は、まず最初に各作業工程の作業負荷を均一にすることを検討します。
すでに、均一化が十分図られているのであれば、次いで作業工程の数を増やす検討をします。

ライン生産方式では、各作業者は特定の作業工程を担当するため、作業が単調になる傾向があります。この結果、モチベーションが低下するなど労務管理上の問題が生じやすくなります。

混合ライン方式とは、作業手順や加工方法がほぼ同じ複数の品種を一緒に生産する方式です。
例えば、オレンジジュースとグレープジュースを一緒にライン上に流すようなイメージです。
時間によって生産するものを切り替える、ライン切り替え方式とは異なり、基本的に段取り替えは発生しません。

ライン生産方式では、各作業者は特定の作業工程を受け持ちます。
しかし、生産量の変動や、作業者が病気で休むなどの場合にも柔軟に対応できるように、
他の工程もできるようにしておくことが、望ましいと言えます。

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10
Q

ライン編成効率(ラインバランス効率)

A

ライン編成効率= 作業時間の合計 / サイクルタイム × 作業ステーション数

最も効率的なラインは、ライン編成効率が100%になります。

●バランスロス率
 工程間で発生するムダの程度を示す値で、次の式で求めます。

 バランスロス率=100%-ライン編成効率

●バランスロスの影響
 バランスロスは「手待ち」や「仕掛品」のムダが発生します。ある工程と1つ手前の工程の作業時間を比べた時に、
手前の工程の作業時間が長い場合は「手待ち」が発生し、逆に短い場合は「仕掛品」が発生します。
また、工程間の時間差が最も大きい箇所でそのムダも最大となります。

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11
Q

セル生産方式

A

セル生産方式は製品や部品を、形状・寸法・素材・工程などが類似しているものにグループ化し、
そのグループ単位で工程を編成する方式です。このグループ化のことを、グループテクノロジーと呼びます。
セル生産方式には、様々な形態がありますが、代表的なものに、U字ライン方式と、1人生産方式があります。

●U字ライン方式
 作業者がラインを取り巻きやすいように、U字型にラインを配置した方式です。
一人の作業者が担当する工程数を増やすことができ、仕掛品や手待ちのムダを減らして生産の効率化が図れます。

●1人生産方式
 1人で全工程を受持ち、最初から最後までの作業を行う方式です。
————————————————————————————————————————————————————————–
ライン生産方式では、少種多量生産(少品種多量生産)することを重視して、設備を配置し専用ラインを設けます。
一方、セル生産方式では多種少量生産(多品種少量生産)に対応するため、形状・寸法・素材・工程などの
類似しているものをグループ化して、それに適した機械と工程を配置してセルを構成します。

1人生産方式は全工程を1人で担当するため、生産中は仕掛品が発生しません。
一方、U字生産方式は少人数ですが、複数人で作業を分担するため仕掛品が発生します。

ライン生産方式と比べ、セル生産方式では1人の作業者が受け持つ工程が増えます。
このため、作業者の育成に時間がかかるというデメリットがあります。

ライン生産方式では、各作業者がそれぞれ特定の工程のみを担当するのに対し、
セル生産方式では1人で複数の工程を担当するため、工程間の待ち時間の発生が少なく、バランスロス率を下げることができます。

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12
Q

流動数分析

A

流動数分析とは、流動数曲線を用いて、数量の時間的変化を分析する手法です。流動数曲線とは、インプットの累計数とアウトプットの累計数の時間的変化を表したグラフで、滞留在庫の分析や、工程の仕掛り量のチェックなどに使われます。流動数分析は、在庫管理や進度管理に使う手法であり、工程や作業自体を無くしたり置き換えるような改善は難しいため、ECRSの原則を適用するには不向きです。

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13
Q

製品工程分析

A

製品工程分析とは、製品を生産する工程を分析する手法のことです。製品が生産される流れを、工程ごとに加工、運搬、貯蔵、検査などの作業種類に分類します。それをチャートとして図示して、どこに問題があるかを分析します。工程分析を基に改善する場合、付加価値を生んでいない作業をいかに削減していくかが重要です。そのため、ECRSの原則を適用することができます。たとえば、検査に関して、必要ない検査を減らしたり、加工と同時に検査をすることが考えられます。

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14
Q

両手動作分析

A

両手動作分析とは、作業者の両手の動作を分析するものです。
両手動作分析では、動作プロセスごとの左手と右手の動きを、
工程図記号などを使って表していきます。

両手動作分析では、左右のバランスを取ること、無駄な動きを排除することを狙いとしています。
そのため、ECRSの原則を適用して、無駄な動きの排除や動作の効率化を図ることができます。

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15
Q

連続稼働分析

A

連続稼働分析とは、観測対象につきっきりで観測する方法です。そのため、詳細に作業を分析でき、問題点を細かく分析できます。観測した作業内容に対してECRSの原則を適用し改善を検討することが可能です。

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16
Q

加工品の流れの違い

A

フローショップでは、すべてのジョブについて実行されるべき作業が類似のもので、機械の配置に沿って加工品が流されます。

ジョブショップはジョブについて実行されるべき作業内容や工程順序が異なるため、加工品の流れは複雑で錯綜したものになります。

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17
Q

製造指示の起点の違い

A

引取型は、受注生産において顧客の注文が起点となり、順番に製造指示が行われます。

押出型は見込生産において前工程が後工程に材料や部品を送り込んでいきます。

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18
Q

品種と生産量の違い

A

多品種少量生産、少品種多量生産は生産形態の分類における品種と生産量の違い。

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19
Q

注文と生産の時期の違い

A

見込生産と受注生産は、生産形態の分類における「注文と生産の時期」の違い。

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20
Q

工場内の設備レイアウトの特徴

A

●固定式レイアウト
 固定式レイアウトは、製品を固定するレイアウトで作業員や工具が製品の回りを移動します。
このため固定された設備はほとんどありません。生産効率を高めるためには、作業員や工具の移動ロスを減らすことが重要となります。

●機能別レイアウト
 設備の「機能」を重視して、機能が似ている設備をまとめて配置するレイアウト。
製品の生産工程が変わった場合は、類似した設備をまとめて配置してあるので、加工経路を見直すことで対応ができます。
各作業者は特定の設備を担当しますが、設備が同じでも、生産する製品が異なれば加工方法や操作方法も変わります。
この結果、担当する設備の熟練度が向上していきます。

●製品別レイアウト
 製品の加工の「流れ」を重視して、製品の加工順序に沿ったレイアウト。
生産する製品に合わせて専用のラインをつくるため、生産性は極めて高くなります。

●グループ別レイアウト
 グループ別レイアウトは、類似した製品をグループ化して生産できるように設備レイアウトされています。
製品の生産工程が変わった場合は設備レイアウトを見直す必要があります。類似性のある製品をグループ別にまとめることで
効率的な生産を目指しますが、製品別レイアウトと比べると生産性は劣ります。

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21
Q

SLP(Systematic Layout Planning)

A

SLPとは、工場の実際の設備レイアウトの設計を、システマティックに行う手法の一つです。
SLPでは、設備や機械、材料、倉庫などの構成要素を、アクティビティと呼び、
これらの流れや、アクティビティ間の関連性を分析することで、最適なレイアウトを計画していきます。

①P-Q 分析
 P-Q分析では、グラフの縦軸に生産量Qをとり、横軸に製品品種Pをとって、生産量が多いものから少ないものに左から順番に並べます。
この結果、グラフの左側の方は生産量が多い製品群、グラフの真ん中あたりは生産量が中ぐらいの製品群、右側の方には生産量が少ない
製品群が並びます。このように、製品と生産量を把握することで、各製品別に採用するレイアウトの種類を決定することができます。

②物の流れ分析
 加工の順番や物の流れを効率的にするために、どのような流れで製品を加工、移動するかを分析します。
物の流れ分析では、工程分析やフロムツーチャート(From to Chart)などの分析手法を用います。

③アクティビティ相互関係分析
 アクティビティ間の関連性を分析し、各アクティビティをどれぐらい近づけるかを検討します。
アクティビティを全てリストアップし、各アクティビティ間の近接性の重要度を(A:絶対重要 / B:重要 / C:普通 / D:低 などに)
ランク分けして、一覧で確認できるようします。

④アクティビティ相互関係ダイアグラム
 物の流れ分析における最適な加工経路の情報と、アクティビティ相互関係分析における近接性の重要度の、2つの情報を基に
各アクティビティの最適な配置を検討します。
 アクティビティ相互関係ダイアグラムでは、アクティビティ間の近接性の重要度を、線の太さや線の本数で表しますが、
この線の重なりは、物の動きが重なることを意味します。このため、アクティビティの配置は、近接性の重要度に配慮しつつ、
できるだけ線が重ならないように検討します。

⑤スペース相互関係ダイアグラム
 アクティビティ相互関係ダイアグラムに、各アクティビティに必要な面積の情報を組み込みます。
これを基に工場のレイアウト案を複数作成し、最終的に1つのレイアウトを決定します。

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22
Q

製品開発の内容

A

製品開発の活動目的は、『顧客のニーズを満たす製品を、最適なQCDのバランスで迅速に開発し、製造できるようにする』ことです。
そのために、次のような流れで製品開発を進めていきます。実際は開発する製品によって、製品設計から試作の間の工程を何回か
繰返したり、デザインレビューを複数回実施するなど、多少の違いはありますが、基本的な進め方はほぼ同じです。
 また、昨今の顧客ニーズの多様化や、市場競争の激化に対応するためには、製品開発のスピードアップが重要となります。
これに対応した開発手法として、コンカレント・エンジニアリングがあります。

●開発の進め方
①製品企画
 顧客のニーズに合った製品を企画。

②製品設計
 製品企画を基に、製品の構造を決定し、製品の図面や部品リストを作成
 製品設計には、次のような2つがあります。
 ・機能設計:期待する性能を発揮するのに必要な機能と構造を決定。
 ・生産設計:生産をし易いように、部品の数の削減や、組立しやすい構造を決定。

③工程設計
 製品設計を基に、製品を目標とする品質、生産量、納期で生産するための工程や作業方法、レイアウト、生産設備などを決定。

④試作品の作成
 試作品を作成し、目標として設定した機能、性能、品質、コスト、納期などを実現できるかを評価。

⑤デザインレビュー
 関連部門を集めて、デザインレビューを実施。繰返し審査と検討をくり返すことで製品のQCD が作りこまれる。
このため、時間が許す限り、各開発工程で、デザインレビューを実施することが望まれます。
なお、デザインレビューは節目管理として、一連の開発工程の重要なポイント毎に実施するのがよい。
例えば、製品企画が終了した時点で、どのような観点で調査や検討を行い企画決定に至ったか、妥当性をレビューする。

⑥生産準備
 当初の目標を達成できると判断されれば、生産準備を行い、生産を開始して市場へ投入。

●リバースエンジニアリング
 製品の動作を観察したり、機械を分解することで、製品の構造・動作原理・ソフトの中身・製造方法などを明らかにすることです。

●コンカレント・エンジニアリング
 設計、生産などの製品開発作業を、同時並行的に行う方法。
製品開発の期間を短縮し、市場にタイムリーに新製品を投入することを可能にする。

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23
Q

Value Engineering

A

VE はValue Engineering の略で、価値を高めるための体系的な活動です。
価値を高めることで顧客満足度が高い製品を低コストで開発することを目的としています。

●VEにおける価値の定義
 VEでは、製品の「機能」と「コスト」を基に、「価値(Value)」を定義し、価値を次の式で表します。  

 価値= 機能 / コスト

●機能
 製品の機能は大きく「使用機能」と「魅力機能」に分類されます。
 「使用機能」とは、製品の本来の価値を果たす機能です。
 「魅力機能」は「貴重機能」ともいい、色や形などにより顧客の欲求を喚起する機能です。

 「使用機能」はさらに「基本機能」と「補助機能」に分類されます。
 「基本機能」とは、これを取り除くと製品の存在意義が無くなるような基本的な機能で、「一次機能」ともいいます。
 「補助機能」とは、「基本機能」を果たすために補助的に付加される機能で、「二次機能」ともいいます。

 さらに「必要機能」と「不必要機能」という分類もあります。
 これは製品やサービスの使用者が必要とする機能を「必要機能」、使用者が必要としない機能を「不必要機能」といいます。

●価値向上の方法
 VE では、価値を高めるには、次の4 つのパターンがあります。
 ①コストダウンによる価値の向上:コストを下げ、機能は維持。
 ②機能の向上による価値の向上:コストを維持し、機能を向上。
 ③コストを上げ、それ以上に機能を向上:コストの増加分よりも、機能が向上。
 ④コストを下げ、機能を向上:コストダウンと機能向上が両立。最も効果の高い。

 なお、VE では機能を下げるというパターンはありません。

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24
Q

VEの手順

A

VEの手順
VEの手順は、機能定義、機能評価、代替案の作成、提案と実施という流れとなります。

①機能定義
 機能定義は「VE対象の情報収集」、「機能の定義」、「機能の整理」の詳細ステップから構成されます。
「VE対象の情報収集」では、対象の製品についてのあらゆる情報を収集します。「機能の定義」では、この情報から、
顧客の要求事項を明確にして、それを基に機能を定義します。「機能の整理」では、定義された機能について相互関係を
「目的-手段」の論理で機能系統図を作成して整理します。

②機能評価
 次の手順は、機能評価です。機能評価の詳細ステップは「機能別コスト分析」「機能の評価」「対象分野の選定」により構成されます。
「機能別コスト分析」によって定義した個々の機能を達成するために「現在のコスト」を把握し、果たすべき機能に対するコストの妥当性を判断します。「機能の評価」では、その機能がいくらであるべきかという「機能評価値」を特定します。
「対象分野の選定」では、VE活動が効果的に行われるために、「機能評価値」と「現在のコスト」の差の大きなものを特定し、優先順位付けを行います。

③代替案の作成
 代替案の作成です。代替案の作成の詳細ステップは「アイデア発想」「概略評価」「具体化」「詳細評価」から構成されます。
「アイデア発想」では、機能の価値を向上させるアイデアを洗い出し、その中から具体的な改善案を作成していきます。
改善案の作成では、最初に自由に価値を向上させるアイデアを出します。ここでは、価値の低い機能に対して、「他に同じ働きをするものはないか」と問いかけることにより、沢山のアイデアを出すことがポイントです。

アイデア出しの手法としてはブレーンストーミングがあり、次の4つのルールのもとに行います。
 ・批判は行わない。
 ・自由奔放なアイデアを歓迎。
 ・質より量。
 ・他人のアイデアを結合し発展させる。

 アイデアを出す手法には色々なものがあります。代表的な手法にブレーンストーミング法があります。ブレーンストーミング法では、
数人が集まって、自由にアイデアを出し合います。このとき、良い悪いといった判断や評価をせずに、自由にアイデアを量産するのが
ポイントです。アイデアを出したら、「概略評価」により使えるアイデアを選択し「具体化」でアイデアを総合化し、不具合や欠点を
排除する対策を講じます。「詳細評価」において、代替案を更に経済性と技術性の両面から詳細に検討を加え、使用者に好まれる
最も優れた案を選択します。

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25
工場レイアウトとそれに適した生産形態
製品固定型レイアウトは、製品を固定して、そこで作業を行う方式です。製品は動かずに、作業員や工具などが製品の周りを移動します。 そのため、重量物などの製品を個別生産する場合に向いているレイアウトです。  製品別レイアウトは、製品の加工の流れを重視したレイアウトです。 製品別レイアウトでは、製品の加工の順番に沿って直線的に設備を配置します。 そのため、少ない品種の製品を大量に生産する、少品種多量生産に向いているレイアウトです。  工程別レイアウトは、機能別レイアウトとも呼ばれ、機能が似ている設備をまとめて配置するレイアウトです。 加工経路は、製品によって異なる形になります。工程別レイアウトは、製品ごとに専用のラインを設けなくても良いため、 多品種少量生産に向いているレイアウトです。  グループ別レイアウトは、製品別レイアウトと工程別レイアウトの中間に位置付けられるようなレイアウトです。 グループ別レイアウトでは、類似した製品をグループ化して、そのグループごとに、共通のラインで生産するようにするレイアウトです。 グループ別レイアウトは、多種少量生産に、量産効果を与えるためのレイアウトであり、中品種中量生産に向いています。
26
MRP(Material Requirement Planning)
資材所要量計画のことです。ある製品の生産に必要な資材が、いつ、どれだけ必要かを決定することであり、製品の生産計画を基に、 資材の所要量と時期を計画するための仕組みです。この仕組みは、1つの製品を長期間にわたり生産するケースに有効であり、 需要が安定していない寿命の短い製品では、生産計画が変わりやすく資材所要量計画も煩雑になってしまうため適していません。
27
多品種工程図表と流れ線図
多品種工程図表は、縦軸に製品、横軸に工程を記入した用紙を用意し、製品毎の工程順に番号を振って、各製品の加工の流れを可視化するツールです。 流れ線図は、工場などのレイアウト図の上に、工程図記号を記入することで、工程の流れを表すツールです。 フロー・ダイアグラムと呼ばれることもあります。また、流れ線図を使って、工程の流れを分析することを、流れ分析と呼びます。 流れ線図は「工程」の流れを分析するために用いられますが、「物の流れ分析」とは関連しません。 対して多品種工程図表は、各製品の加工の流れを可視化する、まさに、「物の流れ」の分析に貢献するツールと言えます。
28
フロントローディング
フロントローディングとは、問題解決のタイミングを前半に出すことで、全体の開発期間を短縮させることです。 | つまり、上流で下流において生じえる問題の防止を行い、短い設計納期を実現しようとするものです。
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試作品製作
試作品製作により、製品量産時に生じる問題や課題を量産前に実際に把握することができるため、 | 試作品製作は製品開発プロセスの中でも重要な位置を占めています。
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デザインレビュー
デザインレビューとは「設計の適切な段階において、設計の公式な文書に基づいて審査を計画し、実施すること。 各々のデザインレビューに参加するメンバーは、審査される設計段階に関係するすべての部門の代表者だけでなく、 必要に応じて、他の部門の専門家を含めること。これらの審査の記録は維持すること」と定義されています。 製品開発において、設計構造の矛盾や誤りを排除するためには、設計の熟練者がレビュアーとなることが有効です。
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モジュール設計
モジュール設計とはモジュールという機能ごとに設計等を行うもので、生産工程の合理化、簡素化が期待できます。 | しかし、モジュールの1つの設計に問題があった場合、その影響が全体に及ぶリスクがあります。
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生産計画
生産計画は、製品の生産量と生産時期を決定するものです。 生産計画を作成することで、納期や生産量の保証、適切な稼働率の維持、資材の調達、 機械設備や人員の手配を、効率的に行うことができます。 生産計画を業務別に分類すると、手順計画、工数計画、日程計画に分けられます。 生産計画を作成する順番は、手順計画、工数計画、日程計画の流れとなります。 手順計画は、工程設計とも呼ばれます。手順計画では、製品を生産するための作業や、工程の順序、作業条件などを決定します。 工数計画は、負荷計画とも呼ばれます。工数は、作業にかかる作業時間のことです。 1 人の作業者の 1 日の作業の工数は、1 人日となります。工数計画では、一定期間で生産する製品の納期や数量を一旦決定した後、 その生産に必要な工数を計算します。 次に、工数と生産能力を比較します。工数が生産能力を超えている場合は、超過分の工数を別の期間に振り分けるなどして、 工数が生産能力に収まるように調整します。 日程計画は、生産のスケジュールに関する計画です。 生産計画は、期間によって 3 つに分類できます。それは、大日程計画、中日程計画、小日程計画です。 大日程計画は、年単位の期間となります。設備や人員、リードタイムの長い部品や材料の調達など、 調達に時間がかかるリソースの必要量を計画するために作成します。 中日程計画は、月次の計画となります。中日程計画では、生産する製品、時期、数量はほぼ確定します。 中日程計画では、部品や材料の入手時期を決定したり、設備・人材・工具の手配などの計画を作成します。 小日程計画は、週や日単位の計画となります。小日程計画では、確定した納期や生産量に対して、 具体的な作業の手順や時期などを細かく決定し、人や機械に作業を割り当てる事が目的です。
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生産計画の役割や分類
生産計画を、業務別、期間別に分類すると次のようになります。 ●業務別の分類と手順  生産計画の業務は、次の3つに分類できます。また計画は①→②→③の順番で進めていきます。 ①手順計画(工程設計)  製品の作り方を決めます。具体的には、加工手順・必要設備・工具・標準工数(標準作業時間)などを検討し、 製品の効率的な生産方法を決定します。 ②工数計画(負荷計画)  必要な人員数と設備使用時間を算定します。具体的には、製品の納期や数量を決定した後に、生産に必要な工数を計算し、 生産能力と比較します。工数が生産能力を超える場合は、超過分の工数を残業でカバーしたり、別の期間に振り分るなどの調整を行います。 ③日程計画  各作業の開始と完了日を計画します。 ●期間別の分類  生産計画の期間は、次の3つに分類できます。 ①大日程計画  ・期間:年単位の長期計画。  ・内容:設備や人員、リードタイムの長い部品や材料の調達など、調達に時間がかかるリソースの必要量を計画。 ②中日程計画  ・対象期間:月次の計画。  ・内容:生産する製品、時期、数量をほぼ確定します。部品や材料の入手時期を決定し、設備・人材・工具の手配などを計画。 ③小日程計画  ・対象期間:週や日単位の計画。  ・内容:確定した納期や生産量に対して、具体的な作業の手順や時期などを細かく決め、人や機械に対して作業の割り当てを計画。
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スケジューリングの分類や手法
●スケジューリングの分類  スケジューリングは、次の2つに分類できます。 ①フォワードスケジューリング  作業が開始できる日を基準に、開始時点から、工程順序に沿って予定を組む方法。つまり、納期は後から決まる。 ②バックワードスケジューリング  製品の納期を基準に、完了時点から、工程順序に沿って予定を組む方法。  つまり、納期が先に決まっていて、納期を守るための作業開始日を決める。 ●スケジューリングの手法  スケジューリングの手法は沢山ありますが、ここでは代表的なものを3つ紹介します。 ①プロジェクトスケジューリング  概要:複数の作業からなるプロジェクトの全体日程を管理するために、個々の作業について、各作業の順番や、所用期間・開始日程・終了日程を決定するスケジューリングのこと。  適用:個別生産形態で多く用いられる。 ②ジョブショップスケジューリング  概要:複数の作業を、幾つかの機械を用いて行う場合に、全体の作業時間が最短になるように、作業や機械の順番を最適化するスケジューリングのこと。  適用:多種少量生産形態で、機能別レイアウトの場合に多く用いられる。 ③フローショップスケジューリング  概要:複数の作業を、同一の機械やラインを用いて行う場合に、機械を使用する時期を最適に割当てるスケジューリングのこと。  適用:少種多量生産形態で、製品別レイアウトの場合に多く用いられる。
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プロジェクトスケジューリングの手法の代表的なもの2つ
●ガントチャート  横軸に時間、縦軸にプロジェクトを構成する作業を記載し、各作業のスケジュールを線で表します。 各作業のスケジュールが一目で分かりやすいというメリットがあります。一方で大規模なプロジェクトを最適化するのが難しく、 作業間の前後関係が分かりにくいというデメリットがあります。 ●ネットワーク手法  ネットワーク手法は、先ほどのガントチャートでは不得手な、作業間の関連や順序を決定する方法です。 代表的なネットワーク手法に、PERT(Program Evaluation and Review Technique)があります。 PERTでは、プロジェクトを最短で完了するための、作業スケジュールを決定することができます。 PERTでは、以下の例のような作業の流れを表す「アローダイアグラム」と呼ばれる図を書きます。 この図の中では、作業のことをアクティビティと呼び線で表します。また、作業の開始と終了の時点は、丸で表します。 これをノードや結合点と呼びます。丸が作業ではなく、線が作業ですので注意してください。 PERTでは、次のような流れで、プロジェクトを最短で完了するための、作業スケジュールを決定します。
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PERTにおけるダミー矢線
●ダミー矢線  PERTでは、アローダイアグラムを用いて各作業の先行関係を表します。結合点には複数のアローが入ってくることがありますが、 次の作業工程に進むには必ず結合点に入ってくる工程が全て終了していなければなりません。他の工程の間に並行して行うことができる工程は ダミー矢線を点線で表します。ダミー矢線の工程は他の作業工程の間に行われるため、作業時間はカウントする必要がなく、ゼロになります。
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生産統制の構成とその内容
生産統制では、生産計画と実績に差異が発生しないように生産を統制し、納期を守ったり、適切な稼働率を維持するように活動します。 生産統制は大きく分けて、進捗管理、現品管理、余力管理の3つから構成されます。それぞれ活動内容は次のとおりです。 ●進捗管理(日程の管理 / 日程計画)  日程計画に対して、仕事の進捗状況を把握し、日々の仕事の進み具合を調整する活動です。 ●現品管理(物の管理 / 材料・部品計画)  部品や仕掛品などの運搬や保管の状況を管理する活動です。どこに何が何個あるかを把握することで、 部品の過不足による問題の発生を未然に防止します。 ●余力管理(工数の管理 / 工数計画)  工程や作業者の、現在の負荷状況と能力を把握し、余力や不足がある場合は、作業の再配分を行う活動です。 余力が大きすぎると無駄が発生し、コストが増加します。逆に、余力が不足すると、納期遅延が発生します。 このため、過剰な余力や不足分を適切に配分する必要があります。
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代表的な管理方式とその内容
●製番管理方式  ・概要:製品ごとに製番という固有の製造番号を発行し、製品を構成する全ての部品に対して同じ製番を付けて管理する方式。  ・適用:受注生産形態で多く用いられる。  ・メリット:製番を中心にすべてを管理するので、手配状況や進捗が把握しやすい。  ・デメリット:他の製品にも使う共通品目がある場合、共通番号に振り直したりする必要があり、管理が複雑になる。 ``` ●追番管理方式  ・概要:1番から順番に連続した番号をつける方式。(この番号を追番と呼ぶ)  ・適用:繰返し生産をする製品に多く用いられる。  ・メリット:追番は最後の番号が、累計生産台数と同じになるので、        この追番を用いて、計画と実績の差異の管理や、累積生産量の管理が容易にできる。 ``` ``` ●オーダーエントリー方式  ・概要:生産工程にある製品に対して、顧客のオーダーを引き当て、その顧客の要求に合わせ、製品仕様を変更し、      オプションの仕様を決定する生産方式。  ・適用:自動車や、パソコンのメーカー直販など。  ・メリット:量産しながら、個々の顧客のニーズに対応可能。 ``` ●生産座席予約方式  ・概要:受注時に、製造設備の使用日程や資材の使用予定などにオーダーを割り付け、顧客が要求する納期通りに生産する方式。  ・適用:飛行機や電車の座席を予約するようなイメージで設備や資材を割り付け。  ・メリット:販売部門と生産部門がリアルタイムで情報を共有するため、双方の連携が取り易く、顧客に対して素早い納期回答ができる。  ・デメリット:座席に余裕がない状態では、短納期の注文要求に対して柔軟な対応が難しい。
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トヨタ生産方式
●ジャストインタイム(JIT)  必要なものを、必要な時に、必要な数だけ生産する方式です。ジャストインタイムは、後工程引取方式やプルシステムとも呼ばれ、 後工程が使った分だけ前工程から引き取ることで余分な仕掛品を減らし、生産リードタイムを短縮することができます。 ただし、最終組立工程の生産量が一定でないと、効率的に生産ができなくなるため、生産量の平準化が重要です。 ●自働化  自働化は、不良品を作らないための仕組みで、異常が発生したときに、機械を自動的に停止します。 この時、どこで異常が発生したか一目で分かるように、「あんどん」というランプを点灯します。 ※注:自働化の「働」の字は、ニンベンがついています。 ●かんばん方式  後工程引取方式を実現するための情報伝達手段として、「生産指示かんばん」と「引取りかんばん」と呼ばれる 2種類のかんばんを使います。生産指示かんばんは、作業の指示を表し、引取りかんばんは、運搬を表します。 このかんばんによって、後工程から前工程に生産指示が出され、後工程が生産した分だけ、前工程で生産するため、無駄を極力排除することができます。かんばんは、生産量と在庫量をコントロールする道具です。かんばんは、全ての生産工程(最初の工程から最終工程まで)の中を、循環しながら用いられます。このため、その枚数とそこに指示される量の総和は、ライン上の生産量と仕掛品の量を意味します。
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生産形態と生産計画
ラインバランシングとは、ライン上の各工程の作業時間をなるべく均一にすることで、 ライン生産方式を想定している手法です。したがって単一品種多量生産が該当します。 PERTはそもそもプロジェクト管理手法の1つです。作業の順序関係を考慮したうえで、 短期間でプロジェクトを実行するスケジュールを決定することができます。 開発の手法として使われることが多く、生産で活用するときは複雑な組立工程を前提とした個別生産で使用する程度です。 サイクリックスケジューリングとは、一定の周期で繰り返し生産を行うスケジューリング手法のことです。 多品種の混合組立ラインで利用されるスケジューリング手法で、多品種ロット生産ではいくつかの品種を順番に繰り返し生産する方法です。 ジョブショップスケジューリングとは、多種少量生産形態で、機能別レイアウトの場合に多く用いられるスケジューリング手法です。 製品ごとに工程が異なるため、加工経路が複雑になり、スケジューリングも難しくなります。 単一品種多量生産に向いているのは、フローショップスケジューリングになります。
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工数計画と余力管理
生産計画は、手順計画、工数計画、日程計画に分けられます。 手順計画は、製品を生産するための作業や、工程の順序、作業条件などを決定する活動です。 工数計画は、生産に必要な工数を計算し、工数を調整する活動です。 日程計画は、生産のスケジュールを決定する活動です。 余力管理は、工程や作業者について、現在の負荷状況と能力を把握し、余力や不足がある場合は、作業の再配分を行う活動です。 手持仕事量が現有生産能力を超えている場合は、超過分の仕事量を別の期間に振り分けるなど、 「日程計画」によって再スケジュールをします。 工数計画において、仕事量や生産能力を算定するためには、一般的に、作業時間や作業量から仕事量や生産能力を算定します。 「日程計画で計画された納期までに完了する工程別の仕事量」(納期までに対応できる仕事の量)が生産能力であり、 これと工数計画を比較することで生産能力の過不足の状況を把握できます。 余力がマイナスのため、工数計画で計画した工数より、実際に発生した工数のほうが大きい状態になっています。 そのため、就業時間の延長、作業員の増員、外注の利用、機械・設備の増強といった、余力の確保が必要となります。
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生産現場の改善(あんどん・シングル段取り・1個流し・ポカヨケ)
あんどんとは、各工程の状況をランプで示し、工程内外に一目で見てわかるように工夫した工程管理方式の1つです。 機械設備の稼働状況を可視化する方式です。 シングル段取とは、機械の停止時間が10分未満の内段取のことです。 段取替え時間の短縮、改善方法には内段取そのものの短縮化、内段取の外段取化があります。 1個流しは、部品の生産から組み立てまで顧客が必要とする単位である「1個ずつ」流す方法です。 製品を1個加工したら、すぐ次工程に送るので工程間に仕掛品は置きません。 1個流しは中間仕掛品の滞留や工程における遊休防止のためですが、品種変更に伴う段取り替えの回数はむしろ増える可能性があります。 ポカヨケとは、生産ラインに設置される作業ミスを防止する仕組み、装置のことです。 部品の供給棚に「ポカヨケ」の改善を施すことは部品の組み付け忘れという間違いの予防に役立つと考えられます。
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JIS で定義される現品管理の活動
``` JISには以下のように定義されています。 「資材、仕掛品、製品などの物について、運搬・移動や停滞・保管の状況を管理する活動。  現品の経済的処理と数量、所在の確実な把握を目的とする。現物管理ともいう。」 【例】 ・受け入れ外注品の品質と数量の把握 ・仕掛品の適正な保管位置や保管方法の設定 ・製品の適正な運搬荷姿や運搬方法の検討 ```
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MRP(Material Requirement Planning:資材所要量計画)
MRP(Material Requirement Planning:資材所要量計画) 製品の基準生産計画、部品表、在庫・発注残情報などをもとに、資材の所要量と時期を計画するための仕組みです。 この中で特に重要となるのは、基準生産計画と、部品表です。 製品の生産計画を、MRPでは「基準生産計画」MPS(Master Production Schedule)と呼びますが、 トップダウンの計画に基づいているため、プルシステムに対してプッシュシステムと呼ばれることがあります。 MRPは、トヨタ生産方式の特徴であるジャストインタイム(プルシステム)と相反する特徴をもつシステムです。 MRPは、独立需要品目の生産計画を基準生産計画として与え、従属需要品目の所要量と時期を計算するための仕組みです。 ①独立需要品目  ・概要:最終製品や個別に提供されるサービスパーツなどのこと。(例:自転車本体)  ・所要量情報:受注または需要予測に基づいて時期や量が決定される。 ②従属需要品目  ・概要:製品を構成する部品のこと。(例:自転車のタイヤ、チェーンなど)  ・所要量情報:独立需要品目や上位の品目の需要から、時期や量が決定される。 ``` ●部品表(BOM)  製品を構成する部品の種類と数量をまとめたもので、部品構成表や、BOM(Bill Of Materials)と呼ばれることもあります。 部品表には、ストラクチャ型部品表と、サマリー型部品表の2種類があります。 ①ストラクチャ型部品表:製品を構成する全ての部品を階層型に表現したもの。  ・概要:製品を構成する全ての部品を階層型に表現したもの。  ・適用:比較的複雑な構成の製品によく使用する。  ・メリット:部品間の親子関係が明確で、中間部品や共通部品が分かりやすい。  ・デメリット:作成に手間がかかる。 ``` ``` ②サマリー型部品表:製品を構成する全ての部品をリストで表現したもの。  ・概要:製品を構成する全ての部品をリストで表現したもの。(部品を階層で表現せずに、横に一列に並べる形を取る)  ・適用:比較的単純な構成の製品によく使用する。  ・メリット:作成の手間があまりかからない。  ・デメリット:中間部品の構成がわからない。 ```
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セル生産方式
セル生産方式 加工機械のグループを作り、そのグループ単位で工程を編成する方式です。加工機械のグループのことをセルと呼びます。 セル生産方式では、グループテクノロジーを利用して部品をグループ化することで、それらの生産に適した機械を配置します。 グループテクノロジーとは、多種類の部品をなんらかの類似性に基づいて分類することで、多種少量生産に大量生産的効果を与える 管理手法です。一般的には、セル生産方式は、1人から数人の作業者で製品を最後まで作り上げる生産方式という意味で使われることが 多いですが、本来の意味では、グループテクノロジーが使われているのが、セル生産方式です。 セル生産方式は、トヨタ生産方式やジャストインタイムでライン形式を進化させて生まれた方式と言われますが、 トヨタ生産方式で必ず使用される方式というわけではなく、特徴的なものではありません。
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製番管理方式
製番管理方式 製品を中心に管理する手法です。製番管理方式では、製品ごとに製番という製造番号を発行し、製品を構成する全ての部品に対して 同じ製番を付けて管理します。製番管理方式は、受注生産形態で多く用いられている手法です。
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あんどん方式
あんどん方式 「あんどん」は、前述の通りトヨタ生産方式の自働化において、異常発生時にどこで停止しているかを可視化するランプのことです。 自働化を支える方式の1つです。
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資材管理
資材を適正に調達して管理する活動を資材管理と呼びます。この活動は、生産計画に沿って製品を生産するために極めて重要です。 また、資材管理を適切に行うことで、材料費の引下げや、在庫削減によるキャッシュフローの改善もできます。 資材管理は6つの活動から構成されており、概要は次のようになります。 ●資材管理  生産計画を基に、必要な資材の品目や数量、時期などを決定する活動。製造装置への燃料の補充は、生産活動の一部であり、資材管理の  活動には含まれません。工場内の製造装置が使う燃料の所要量計算に基づき、燃料を調達して保管したり、必要な場所まで運搬するところ  までが、資材管理の範囲です。 ●在庫管理  各種の資材を適切な在庫水準に維持するための活動。在庫管理では発注のタイミングや量が重要になる。  一般的な製造業では、材料や部品などの資材が製造原価の中で最も大きな割合を占めます。このため、不要な在庫を持たないことで  キャッシュフローの改善が図れます。 ●購買管理  外部から資材を調達するための活動。この時、適正な品質とコストの資材を、必要な時期に必要な量だけ調達することが重要になる。  資材を適正なコストで調達するために、値下げ交渉をしたり、新たな調達先を探索する活動は、資材管理の購買管理に該当します。 ●外注管理  外注することで外部の企業を効果的に活用するための活動。外注により外部企業の技術や生産力を活用できる。  適切な外注を選定したり、その後の外注の指導や維持に努めることは、外部企業を有効に使う上で重要です。 ●倉庫管理  資材や製品の保管や入出庫を、効率的に行うための活動。 ●運搬管理  工場内や工場間での資材の運搬や、それに必要な機器を管理する活動。
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資材を標準化する意義や内容
生産には、さまざまな資材が必要です。しかし資材の種類が増えると、資材を手配し管理するための手間が増えて、 コストが増加していきます。そのため、取扱資材を制限し、種類を削減することが重要です。このような取組みを、資材標準化と呼びます。 資材標準化の具体的な流れや特徴は次のようになります。 ●資材標準化の流れ  ①現状資材の使用状況調査:品目別に過去の使用実績を調査  ②標準資材の検討:使用実績を基に品目をグループ化し、共通化できるものを検討する。           更に、品質や価格、調達の容易性などを検討した上で、標準資材を確定  ③資材規格の決定:資材の品質などの基準を規格化  ④管理・運用方法を決定:標準化した資材の管理・運用方法を決定 ``` ●資材標準化のメリット  ・まとめ購入が出来るので、コストを削減できる。  ・資材を共通化できるので、在庫削減ができる。  ・標準資材を常備品として在庫しておけるので、納期を短縮できる。  ・管理する資材を減らすことで、品質を向上できる。  ・管理する資材を減らすことで、手配や運搬、保管などの管理負荷を削減できる。 ``` ●資材標準化のデメリット  ・使う資材の制約により、市場の変化や技術革新といった環境変化に対応しにくい。  ・使う資材の制約により、設計の制約が増え、設計工数が増える。  ・使う資材の制約により、設計時の自由で革新的な発想が阻害される可能性がある。
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資材の在庫の過不足
適正な在庫は調達時間を省ける分、市場のニーズに短納期で応えやすくなります。 しかし、近年では、製品のライフサイクルが短縮しており、豊富な在庫は、市場ニーズに対応した新製品への切換えタイミングを遅くしたり、 資材が死蔵在庫化するリスクを伴います。このため、いつでも市場のニーズに素早く対応出来るとは言えません。 在庫の不足は、資材の調達時間が余分にかかるため、その分製品の生産が遅れます。 この結果、納期の遅延を招きやすく、機会損失が増大するリスクがあります。 過剰在庫の問題は、運転資金が多くなり資金繰りが悪化することや、在庫維持のための保管料や倉庫費、 人件費等の費用が増加することです。 在庫の不足により資材を緊急調達する際は、市場在庫をストックすることで短納期納入を専門にしている業者から、 通常より高いコストで資材を仕入れることがあります。また、通常とは違う運送手段(船便→航空便)を用いることで、 資材の調達時間を短縮することがあります。
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定量発注方式
定量発注方式では、実在庫水準ではなく、有効在庫の水準が発注点を下回った時点で一定量を発注します。 有効在庫は、手持ち在庫に加えて、発注残と引当済みの量を考慮した、実質的に利用可能な在庫量のことです。 毎回発注する量のことを、経済的発注量と呼び、発注を行う在庫水準(タイミング)を発注点と呼びます。 ●発注点  発注してから、実際に資材が入荷するまでには調達リードタイムがかかります。 そのため、発注点を決める際は、調達リードタイムの間の需要量を考慮する必要があります。 また、需要にはバラツキがありますので、在庫切れを防ぐために安全在庫を残しておく必要があります。 これらを考慮して、発注点は次の式で求めます。  発注点 = 調達リードタイム x 1日平均需要量 + 安全在庫 ●安全在庫  安全在庫は次の式で求めます。  安全在庫 = 安全在庫係数 x 需要量の標準偏差 x √調達リードタイム  ここで、安全在庫係数は、どれぐらい品切れを防ぐかを決める係数です。 安全在庫係数が大きいほど品切れのリスクは減りますが、在庫量は多くなります。 需要量の標準偏差は、需要のバラツキを表します。バラツキが大きいほど、安全在庫も大きくする必要があります。 また、調達リードタイムが長いほど、品切れのリスクが高くなるため、安全在庫を大きくする必要があります。 ●経済的発注量  経済的発注量は、発注処理にかかる費用と、在庫の保管費用を合計した総費用が最も少なくなる発注量の事です。 英語ではEOQ(Economic Order Quantity)と呼ばれます。  一回あたりの発注量を増やすと、発注処理の費用は減りますが、在庫の保管費用が増加します。 逆に、一回あたりの発注量を減らすと、在庫の保管費用は減りますが、発注処理の費用が増えます。 よって、発注量は多すぎても少なすぎても在庫の総費用が増加しますので、適切な発注量になるように決定します。 ●定量発注方式のメリットとデメリット ・メリット:初めに経済的発注量と発注点を決めておけば、あとは在庫量だけを見ていれば良いため、管理が自動化しやすく簡単。 ・デメリット:需要の変動に対応し難い。常に同じ量しか発注しないため、需要が急に増加した場合には在庫切れするリスクがある。 仮に、これを避けるために、安全在庫を大きく取ると、在庫量が増加する。 これらの事を考慮すると、定量発注方式は、需要が安定しており、単価が低い品目に向いています。
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定期発注方式とダブルビン方式
●定期発注方式  一定期間ごとに、需要の予測や在庫量を考慮して発注量を決定する方式です。  定期発注方式の発注間隔は、品物の使用頻度や使用量の大きさやそのばらつきといった使用特性、物品の大きさ、単価、保管形態  といった在庫特性、さらには品質特性や費用特性によって決められます。さらに、発注先との関係、生産システムとの整合性や市場動向、  計画のサイクルなども考慮されます。 ●定期発注方式の発注量  発注量 = 在庫調整期間の需要予測量 - 現在の在庫量 - 発注残 + 安全在庫  ここで、在庫調整期間は、発注サイクルと、調達リードタイムをあわせた期間を表します。 例えば、発注サイクルが30日間、調達リードタイムが10日の場合は、在庫調整期間は40日となります。 また、現在の在庫量と発注残を引いているのは、既に在庫や発注残が沢山ある場合は、発注量を少なくするからです。 また、安全在庫を足すことで、最低限、安全在庫の分は在庫が残るようにしています。 ●定期発注方式のメリットとデメリット ・メリット:需要変動に対応しやすい。発注サイクルごとに発注量を変化させることで、きめ細かい在庫管理が可能で、在庫量を減少できる。 ・デメリット:発注のたびに発注量を計算する必要があるため、管理が複雑で手間がかかる。  これらの事を考慮すると、定期発注方式は、単価が高く、在庫調整の必要が高い品目に向いています。 ●ダブルビン方式  ダブルビン方式は、2つの入れ物を用意し、一方が空になったら発注するという、簡易的な発注方式です。 単価が安い小物などの管理に向いており、管理が簡単というメリットがあります。 しかし一方で、運用がルーズになりやすいデメリットがあります。
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ABC分析の内容や品目ごとの管理方法
在庫を効率的に管理するために、重点的に管理するものと、手間を省くものに分けて管理します。 ABC分析では、在庫の品目を、在庫金額などの基準によって、A、B、Cの3つに分類、分類に応じた適切な管理方法を選択する方法です。 ●パレート図  ABC分析では、パレート図と呼ばれるグラフを作成します。パレート図では、横軸に品目を取り、在庫金額が大きい順に左から並べます。 縦軸には、累計在庫金額を取ります。一般的にパレート図を作成すると、左側にある少ない品目で、大きい累計在庫金額を占めていることが多くなります。これは、よくパレートの法則や、80対20の法則と呼ばれている経験則です。 品目             内容               管理レベル                 発注方式 A 品目は少なくないが、在庫金額が高く重要度が高い品目  重点管理(在庫削減、回転率向上)         定期発注 B 品目がやや多くなり、重要度はAグループの次に高い品目 品目内をさらに金額別にグループ分けしてレベル設定 定期発注・定量発注 C 品目は多いが、重要度が低い品目            効率最優先(管理の手間をできるだけ削減)     ダブルビン方式 A品目は金額が大きいため、在庫水準を抑えるように、きめ細かく管理をしていきます。 このため、発注方式は、定期発注方式が多く採用されます。 B品目は、A品目とC品目の間に位置し、どちらの品目に近いかによって金額も大きく異なります。 このため、金額に応じて品目内を幾つかのグループに分け、各グループの管理レベルや発注方式を適切に選択することが望まれます。 C品目は金額が小さいため、管理の手間を極力省くことに重点が置かれます。 このため、手間のかかる需要予測に基づく発注は行わず、ダブルビン方式の発注が多く採用されます。
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生産・販売活動における在庫
●安全在庫  需要変動又は補充期間の不確実性を吸収するために必要とされる在庫。 ●見越在庫  あらかじめ予測できる変動への備えとしての在庫。 ●ロットサイズ在庫(サイクル在庫)  1回の補充で経済的理由から量をまとめることによって発生する在庫。 ●手持在庫(実在庫、現品在庫)  現物が手元にある在庫。 ●有効在庫  手持在庫に加えて発注残及び引当済みの量(引当量)を考慮した、実質的に利用可能な在庫。  有効在庫 = 手持在庫 - 引当量 + 発注残 ●発注残  発注済みであるがまだ手元にない在庫量。 ●在庫引当  注文または出庫要求に対して、在庫台帳の在庫残高からその量を割り当て引き落とす行為。 ●エシュロン在庫  サプライチェーンマネジメント等で使われる用語で、製造から小売りといったように多段階の在庫点がある場合に、  対象とする在庫点とその下流にある在庫の合計を表します。「エシュロン」とは「階層」のことを指します。
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購買管理と購買方式
●購買管理の5原則  適正な「品質」のものを、適正な「時期」に、適正な「数量」だけ、適正な「価格」で、適正な「購入先」から購入することです。  ちなみに、品質がQ、価格がC、数量と納期がDですので、QCD+取引先。  購買費用は、資材等の購入のために発生する費用のことです。この中には人件費に加え、運搬費や受入検査費なども含まれます。  購買計画は、購買方針、生産計画に基づいて、購入する品目、数量、納期、予算などを決める活動のことです。 ``` ●購買方式 ・購買の時期や量による分類  定期購買方式、定量購買方式、当用買(都度購入)方式、長期契約方式などの分類があります。 ・価格の契約による分類  競争入札方式、見積合わせ方式、随意契約方式などの分類があります。 ``` 競争入札による価格契約は、優位な価格で購入できるメリットがあります。 しかし価格を重視するあまり、品質や納期などで不適切な業者が選択されるリスクがあります。 当用買方式は、必要な物を必要なタイミングで都度購買するため、在庫の削減はできますが、購買単価が高くなったり、 安定した入手ができなかったりするリスクがあります。 見積合わせ方式は、複数の企業から価格の見積を取り、比較した上で最適な企業を選択する方式です。 選択時には、価格面の優位性に加え、取引実績なども加味して総合的に評価するため、適切な企業を選定できるメリットがあります。
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コック倉庫方式
コック倉庫方式とは、水道の蛇口から水道を出すように、必要なときに必要なだけ資材等を調達する簡易購買方式のことです。 自社倉庫に購買品を預かり、使用分を購買量として支払いを行います。購買先の倉庫ではなく、自社倉庫に購買品を預かる点がポイント。 買い手に有利な調達方法であり、買い手が強い力を持つような場合、このようなシステムが採用されることがあります。 ただし、このような方式は「下請けイジメ」に相当するとされ、現在では、公正取引委員会に禁止されており、 グループ会社間の取引など「下請けイジメ」に相当しない一定のケース以外は不法な取引行為です。
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外注管理の目的や内容
``` 外注管理は、外注することで外部の企業を効果的に活用するための管理活動で、次のような内容があります。 ●外注を利用する目的 ・コストの削減(自社よりも安いコストで生産できる外注先の利用) ・外部の生産能力の活用(需要変動に伴う生産量の変動の吸収や固定費の変動費化) ・外部の専門技術の活用(自社で保有していない特殊技術などの利用) ``` ●内外製区分の決定  自社で生産することを内作、外注することを外作と呼びます。何を内作して、何を外注するか決めることを、内外製区分と呼びます。  この区分は、QCDや稼働率、生産設備、専門技術などを基準に決定します。 ●外注先の管理  外注管理では、外注先企業の選定と指導が重要となります。 ・外注先の選定  技術レベル、企業の経営面や信用面、負荷状況、生産管理の管理レベル、製品のQCDなどを評価して選定します。 ・外注指導  外注先に望むQCDを達成してもらうために、各種の指導や育成を実施。指導形態には、集合教育、定期的訪問による巡回指導、  外注先への指導員出向などがあります。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 外注を利用する目的の1つに、固定費の変動費化があります。 例えば、高額な設備を自社で購入した場合、その設備の償却費は固定費となります。 しかし外注すれば、購入量に応じた外注費用の支払いだけになります。すなわち変動費化が可能となります。 外注を利用する場合は、自社が望むQCDを外注先に達成してもらうために、一般には各種の指導や育成を実施します。 このため、内作するよりも外注した方が、品質、コスト、納期を管理する労力がかかります。 内外製区分を決定する際は、コストだけでなく、品質や納期、自社の設備の稼働率、生産設備、専門技術、外注先の経営状態や、 負荷状況など、多くの観点で外注を利用するかどうか決めます。 内外製区分の決定には多面的な評価が必要です。 また仮に高品質が要求されなくても、自社の固有技術の流出が懸念される場合は、外注しないのが一般的です。
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アウトソーシング
アウトソーシングは、外部の企業の経営資源やノウハウなどを活用することです。 これにより、限られた経営資源をコアコンピタンスに集中することで、効率的な経営を行うことを狙いとしています。 外注の場合は、主に外部の生産力の活用が目的ですが、アウトソーシングは外部の専門知識やノウハウを生かすことを目的としています。 具体的には次のようなアウトソーシングの形態があります。 ●ファブレス ・概要:自社では工場を持たずに、製造を完全に外部に委託している製造業のこと。 ・メリット(委託側):生産設備への投資が不要で固定費が削減可能。設備にこだわらない、製品の企画や設計が可能。 ・デメリット(委託側):生産調整が困難。製造技術の蓄積ができない。 ``` ●OEM(Original Equipment Manufacturer) ・概要:自社ブランドではなく、相手先ブランドで製品を供給すること。 ・メリット(委託側):生産設備を持たずに、外部の生産力で生産が可能。 ・メリット(受託側):安定した売上や設備稼働率の確保が可能。 ・デメリット(委託側):製造技術の蓄積ができない。 ・デメリット(受託側):自社ブランドの育成が困難。市場ニーズの直接入手が困難。 ``` ●ファウンドリ ・概要:半導体業界で、半導体メーカーやファブレスからの受託を受けて、半導体チップの製造を行う企業。 ・メリット(受託側):安定した生産規模の確保が可能。 ・メリット(委託側):半導体製造にかかる莫大な設備投資の抑制が可能。 ●EMS(Electronics Manufacturing Service) ・概要:電子機器の受託生産を専門に行う企業。製品の設計も実施 ・メリット(受託側):安定した売上や設備稼働率の確保が可能、技術的経験が得られノウハウの蓄積が可能。 ・メリット(委託側):自社の製品ブランドを持ち、製品の企画やマーケティングに集中が可能。
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MRP(Material Requirement Planning:資材所要量計画)
MRP(Material Requirement Planning:資材所要量計画)とは、製品の生産計画をもとに、 資材の所要量と時期を計画するための仕組みです。生産計画、発注量、発注時期は密接に関連していることが特徴であり、 これらを独立して決定することはできません。
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内外作区分
「内作に適している場合」と「外作に適している場合」  内作に適しているのは、自社が競争優位な技術を持っている場合、コスト面、納期面で自社が有利な場合などです。  外作に適しているのは、コスト面で外注した方が安い場合、自社にない生産設備や専門技術が必要な場合、  自社の生産能力が足らないような場合などです。 自社で一過性の需要に対応するために設備を増強すると、将来の設備稼働率の低下やコスト増加につながります。 この場合は外作に適しています。 優位性を有する特殊技術に該当する部品を外作すると、他社が特殊技術を模倣するリスクがあります。 自社の優位性が損なわれるため、継続的に内作することが望ましいです。 特許技術のような特に優れた技術を他社が持っている場合、それを上回る技術を自社で開発するより、 他社が持っている技術を活用して外作するほうがコスト面で有利になります。 自社でコストが引き合わず、外作しても自社の競争優位性に影響がない場合には外作したほうが有利です。
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IE(Industrial Engineering)
IEは、生産性を高めるための工学的な手法の体系で、日本語では経営工学や生産工学、管理工学などと呼ばれています。 IEの対象は、製品だけでなく、人や物、設備、情報などを含めたシステム全体です。 システム全体を最適に設計・改善・運用していくために、次のような体系で構成されています。 ``` IE---方法研究---工程分析       ---動作研究   --作業測定---稼働分析       ---時間研究 ```
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工程分析の各手法と内容
●単純工程分析(オペレーション・プロセス・チャート) ・概要:原材料や部品が投入され、加工される過程を、工程図記号を用いて明らかにして分析する手法。 ・手法:運搬や貯蔵、滞留は記入せず、加工と検査のみを表す。そのため、加工の流れが単純に表現でき、  原材料からの加工プロセスの全体の流れをつかみやすい。 ・適用場面:工場のレイアウト設計や、詳細な工程分析を行う前の基礎資料として利用。 ●製品工程分析(フロー・プロセス・チャート) ・概要:製品が加工される流れを、運搬、検査、停滞を含めて明らかにして分析する手法。 ・手法:工程ごとに、作業の種類を表す工程図記号を線で結び、線の場所によって、どこに問題があるかを明確にする。 ・適用場面:製品の工程改善など。特に滞留工程(時間)の削減に活用。ECRSの原則(E:やめる、捨てる / C:一緒にする / R:置き換える、順番を変える / S:単純化する)を用いて改善方法を考えることで、多くのヒントが得られます。 ●流れ線図(フロー・ダイアグラム) ・概要:工場などのレイアウト図の上に、工程図記号を記入し、工程の流れを表したもの。 ・手法:機械・設備などの配置を記載したレイアウト図に、工程図記号を記入して、物の動きを具体的に表し、工程の流れを分析する。 ・適用場面:レイアウト設計や工程の流れの改善などに利用。 ●作業者工程分析 ・概要:作業者の作業を中心に、加工・移動・手待ち・検査を含めて、工程図記号で明らかにして分析する手法。 ・適用場面:作業手順や作業の無駄の改善などに利用。 ●フロムツーチャート(流出流入図表) ・概要:各工程の間でどれぐらいの物量が流れているかを分析する手法。 ・手法:工程の一覧を縦と横に記載した表を作成し、ある工程(From)から別の工程(To)に流れた運搬重量、  もしくは移動距離を表の中に記入する。工程上を正流方向(前から順)に流れている物量と、逆流している物量を明らかする。 ・適用場面:多品種製品でそれぞれの加工経路が異なる場合でも表現できるため、多種少量生産の工程分析や工場レイアウト設計に利用。
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工程分析
工程分析は、製品を生産し、運搬する工程を分析する手法です。 工程分析には、大きく分けて、製品や作業者の工程分析と、運搬の分析があります。 ``` 工程分析では、作業や物の流れを表すために、工程図記号を使って工程図を作成します。 工程図記号は、基本図記号と補助図記号に分類され、 基本図記号は「加工」、「運搬」、「貯蔵」、「滞留」、「数量検査」、「品質検査」の6つに分類されます。 2つの作業を1つの工程で同時に行う場合には複合記号で表すことができます。 一方、補助図記号は「流れ線」、「区分」、「省略」で構成されます。 ``` 工程図記号における「滞留」は、原料、材料、部品または製品が、計画に反して滞っている状態を表します。 計画により蓄えられている状態を表すのは「貯蔵」になります。
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工程図記号のうち複合記号
2つの作業を1つの工程で同時に行う場合には、複合記号で表すことができます。 この場合は、主となる作業を外側に書き、従属する作業を内側に書きます。 例えば、品質検査を主として行いながら、数量検査も同時に行なう場合は、品質検査の「◇」を外側に書き、 数量検査の「□」をその内側に記入します。
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運搬分析の内容
IE全体における、運搬分析の位置づけは次のようになっており、主な手法として、運搬工程分析、運搬活性分析、空運搬分析があります。 運搬自体は、付加価値を生まないため、できるだけ削減したり、効率化することが重要です。 ●運搬工程分析の種類  上記の運搬分析記号を使って物の移動を表現します。分析方法として、直線式運搬工程分析と、配置式運搬工程分析があります。 ・直線式運搬工程分析:製品工程分析のように、直線的に運搬の流れを記号で表し、運搬の流れや問題点を分析します。 ・配置式運搬工程分析:レイアウト図の上に運搬工程記号を記入して、レイアウトや運搬距離などの問題点を視覚的にわかりやすくして、運搬の流れを分析します。 ●空運搬分析  空運搬とは、物の移動を伴わずに、人や運搬機器のみが移動することです。 空運搬分析では、空運搬の割合を表すために、次の式で示す空運搬係数を計算します。 空運搬係数を、できるだけ小さくするため、人のみの移動を極力減らす必要があります。  空運搬係数= 空運搬距離 / 品物の移動距離 活性化示数は0から始まり、平の状態が最も低く活性度が0になります。
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動作経済の原則
動作経済の原則は、疲労を少なくして、できるだけ少ないエネルギーで楽に作業をするための原則です。 工具や設備に関する原則に「手で保持する代わりに工具などで保持すること」があります。 机にドライバが置いてある場合、使用時に持ち上げたり、使用中に保持する力が必要になります。 天井からドライバを吊るすことで、これらの動作を排除したり、緩和することができます。 身体の動作に関する原則に、「両手を同時かつ左右対照的に動かすこと」があります。 両手を同時に動かすことで生産性を高める狙いと、動作を対照的に進めることで、 保持・手待ちなどを解消してリズミカルな動作にする狙いがあります。 作業場の配置に関する原則に「材料や工具は作業順序に合わせて置くこと」があります。 工具を所定の場所に安定した状態で置いたり、使う順番に並べたりすることで、工具を取りやすくしたり、探す手間を省くことができます。 作業場の配置の原則に、「物は手の届く範囲で体の前方に配置すること」があります。 作業者の前に物を配置することで、作業がしやすくなります。また、手渡す側も真横に渡すより、前方に置く方が、動作が自然になります。
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稼動分析の内容
稼動分析では、作業者や機械の作業効率や無駄な稼動を分析します。 稼働率は、「稼働率 = 実際稼働時間 ÷ 総時間」で求めることができます。ここで総時間は、「実際の稼働時間+非稼働時間」となります。 実際に稼動状況を調査する方法には、大きく分けて、ワークサンプリングと連続観測法の2種類があります。 ``` ●ワークサンプリング  作業を瞬間的に観測して、稼働状況を統計的に求める方法です。時々観測を行い、その時の作業内容を記録して、 最後に集計することで稼動内容や稼働率の分析を行います。  ●ワークサンプリングのメリット  ・少ない労力で観測できる  ・1人の観測者で多くの観測対象の観測ができる  ・作業者が観測されることを意識しないため、偏りが少ないデータが取れる  ●ワークサンプリングのデメリット  ・瞬間的な観測のため深い分析には不向きである  ・サンプル数が少ない場合に誤差が大きくなる ``` ●連続観測法(連続稼働分析)  観測対象に付きっきりで観測する方法です。
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時間研究の内容
時間研究は、作業を分解し、各作業の標準時間を設定するための手法です。 ●標準時間  標準時間の定義には、次の4つの条件があります。 ①習熟した作業者 ②適切な所定の作業条件 ③必要な余裕を持つこと ④正常な無理のない作業ペースで作業 この4つの条件を全て満たした時の、作業にかかる時間が、標準時間となります。 標準時間は「主体作業時間」と「準備段取り作業時間」から構成されます。 標準時間を設定するには、作業測定などで時間を測定した上で、正味時間と余裕時間を合計する必要があります。 このとき、余裕率とレイティングという考え方を用います。 ``` ●余裕率  標準時間もしくは正味時間に占める、余裕時間の割合で、外掛け法と、内掛け法の2つの計算方法があります。 ・外掛け法  正味時間に対する余裕時間の割合で、次の式で求めます。   余裕率= 余裕時間 / 正味時間  また、外掛け法による余裕率を使って、標準時間を求める式は次になります。   標準時間 = 正味時間 x(1+余裕率) ``` ``` ・内掛け法  標準時間に対する余裕時間の割合で、次の式で求めます。   余裕率= 余裕時間 / 標準時間 = 余裕時間 / 正味時間+余裕時間  また、内掛け法による余裕率を使って、標準時間を求める式は次になります。   標準時間= 正味時間 / (1-余裕率) ``` ●レイティング  実際に観測した作業時間を、正味時間に修正することです。例えば、非常に作業が早い作業者を基に正味時間を設定すると、 標準作業時間としては不適切になるため、標準的な作業者の時間に修正する必要があります。これがレイティングです。 レイティング係数は、基準とする作業ペースを100%とした場合の、その作業者の作業ペースで、この係数を用いて 正味時間を次のように計算します。  正味時間 = 観測時間の基準値 x レイティング係数  また、標準時間の設定は、観測時間からレイティングで調整することで、正味時間を求めます。 次に、正味時間から余裕率を考慮して標準時間を設定します。これを、図のように、主体作業時間と準備段取作業時間について行い、 作業全体の標準時間を求めることができます。
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標準時間の設定法
●ストップウォッチ法  作業の要素ごとにストップウォッチで時間を測定し、レイティングして正味時間を求め、余裕時間を付加して標準時間を設定します。 また余裕率については、ワークサンプリング法などで求めます。 ●実績資料法  過去の実績から標準時間を見積る方法です。この方法は、新たに測定の必要が無いため手間があまりかからないメリットはありますが、 精度が低いというデメリットがあります。個別生産でよく利用されます。 ●標準時間資料法  直接時間を観測せずに、あらかじめ用意しておいた作業要素別の標準時間を合計することで、標準時間を合成する方法です。 この方法は、毎回観測をせずに標準時間を求めることができるメリットがあります。 ただし、事前に細かい作業単位で標準時間を定めておく必要があります。 ●PTS法(Predetermined Time Standard System)  動作を微動作(サーブリッグ)のレベルに分解し、あらかじめ定められた微動作ごとの標準時間を合計する方法です。 この方法は、標準時間資料法より、さらに細かい微動作まで分解するのが特徴です。作業者を直接計測する必要がなく、 繰返しの多い作業の標準時間の設定に適しています。一方で、作業を微動作レベルまで分析する必要があるため、手間がかかります。   PTS法では、細かく分解された微動作を基に標準時間を設定し、このレイティングの作業を行うことはありません。 また、標準時間資料法を用いて、既存製品の組立作業に対して時間分析を実施する必要はありません。  設備によって加工を行う場合、作業者の作業時間とは別に、設備による加工時間を把握した上で、作業者の作業時間に別途付与する 必要があります。そのため、設備で試加工を実施して加工時間を計測することで、その設備による加工時間を把握することができます。  製品組立の標準作業を決定するために、試作品を組み立てるための模擬ラインを敷設することは、標準作業の基となるラインの配置や 設備を定めることができ、標準時間を設定する準備として有効な方法です。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------  これらの標準時間の設定法のうち、ストップウォッチ法は直接時間を測定するため、レイティングが必要となります。 一方、残りの方法は、時間を測定せずに資料から間接的に標準時間を求めるため、レイティングは不要です。
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作業者工程分析における加工(作業)
加工をしていなくても、「移動」「手待ち」「検査」以外は「加工(作業)」に分類されます。 従って、「右から左に持ち替える」ことも加工(作業)に分類されます。 「機械設備での対象物の加工を作業者が監視する」のは、作業者と機械という組み合わせによる作業であり、 連合作業分析などにて分析されます。 作業者工程分析では、対象物の加工そのものだけでなく、「加工するための前準備や加工後の後始末」も加工に含まれます。 「出荷のために対象物の数量を確認する」のは、作業者工程分析の検査にあたります。検査は作業に含まれません。 なお、作業者工程分析では、数量検査と品質検査は分かれておらず、どちらも検査となります。
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P-Q チャート
P-Q チャートは、製品(Product)と生産量(Quantity)を分析する手法です。 どのような製品をどれだけ生産するのかを分析し、レイアウトの分類を決定する手法です。 SLPにおけるレイアウト計画を決めるための分析手法になります。 グラフの横軸には製品の種類(P)をとり、グラフの縦軸には生産量(Q)をとります。 製品は生産量が多いものから少ないものに左から順番に並べます。
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運搬活性示数
運搬活性示数とは、運搬活性分析で使用される数値であり、運搬のしやすさを表します。 運搬活性分析は、どれぐらい運搬がしやすい状態になっているかを明らかにするための分析です。 運搬活性示数は、0 から4 の間の数値を取り、0 がバラ置きの状態、1 が箱入りの状態、 2 が枕 (パレット)置きの状態、3 が車上置きの状態、4 が移動中の状態となります。
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サーブリッグ分析
ギルブレスが開発した微動作を分析するための手法です。作業者の動作を18の基本動作に分解して分析します。 18の基本動作を大きく3つに分類し、作業の基本となる動作である第1類、作業を遅らせる動作である第2類、 作業に必要ない動作である第3 類のうち、第2類、第3類の動作をできるだけ排除し、第1類の動作を改善していく手法です。
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両手動作分析
両手動作分析とは、作業者の両手の動作を分析するものです。 両手動作分析では、動作プロセスごとの左手と右手の動きを、工程図記号を使って表していきます。 両手動作分析の狙いは、左右のバランスを取ること、無駄な動きを排除することです。
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連合作業分析
連合作業分析とは、作業者と機械という組み合わせや、2人以上の作業者の組み合わせによる連合作業を分析する手法です。
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標準作業
標準作業の作成は、対象の管理者が中心に、技術やIEスタッフ、現場作業者などの意見を取り入れて、 全員が納得し、実施できる最善の方法を採用することが重要です。 標準作業は熟練作業者だけでなく、仕事に対する標準的な適性を持っている すべての作業者が実施可能となる最善の作業でなければなりません。 標準作業は製品または部品の生産を対象に、作業の目的である「よい品質のものを、より安く、より早く」 しかも「より安全」に行うために、生産の構成要素である4M(man, machine, material, method)を有効活用した作業でなければなりません。 作業標準とは、製品または部品の製造工程全体を対象にした作業条件、作業順序、 作業方法、管理方法、使用材料、使用設備、作業要領などに関する基準の規定です。
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ワークサンプリング法における、作業分類
作業 主体作業 主作業  材料を加工したり、部品を組み立てたりする、本来の作業         付随作業 主作業に付随して規則的に発生し、作業の目的に間接的に関与する作業    -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------    準備段取作業    ロットごと、もしくは始業や終業時に発生する、準備や段取、後始末など ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 管理余裕 作業余裕 必要な作業であるが、不規則、偶発的に発生する作業      職場余裕 作業の管理に必要な余裕      ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 人的余裕 用達余裕 休憩やトイレに行くなど人間的な要素で必要な余裕      疲労余裕 正規の休憩や他の余裕で作業による疲労の回復を回復できない場合に考慮する余裕 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 非作業       作業者の個人的理由や怠惰により発生するもの ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 「主体作業」とは、製品を直接生産している作業のことであり、作業サイクルに対して毎回又は一定の周期で行われる作業を指します。 この主体作業は、直接的に加工や組み立てをしている「主作業」と、その主作業に伴って間接的に発生する「付随作業」に分けられます。 ``` 「職場余裕」とは、本来の作業とは無関係に発生する職場特有の遅れを指します。 例えば、朝礼や職場内の打ち合わせ、作業指導や掃除の時間など、管理のやり方によって生じてしまう「作業ができない時間」の事です。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 【分類例】 ハンダ付け →主体作業(主作業) 基盤への部品の取り付け →主体作業(主作業) 基盤のネジ止め →主体作業(主作業) 組立作業完了後の製品検査(全数) →主体作業(付随作業) ロット単位での完成部品の運搬 →準備段取作業 不良品の手直し →作業余裕 ネジ・ハンダの補充(不定期) →作業余裕 部品不足による手待ち →職場余裕 打ち合わせ →職場余裕 朝礼 →職場余裕 水飲み →用達余裕 用便 →用達余裕 ```
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主作業と付随作業
主体作業は、直接的に加工や組み立てをしている「主作業」と、 その主作業に伴って間接的に発生する「付随作業」に分けられます。 主作業は材料を加工したり、部品を組み立てたりする作業です。 付随作業は主作業に付随して規則的に発生し、主作業に間接的に寄与する作業です。 付随作業には、機械の電源オンオフや製品検査(組立作業完了後の製品検査等)が該当します。
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連続観測法
連続観測法は、観測対象に付きっ切りで観測する方法です。 連続観測法のメリットは、詳細に作業を分析できるため、問題点の細かい分析に適していることです。 連続観測法のデメリットは、作業者が観測されることを意識して、偏ったデータになる可能性があることです。 pn管理図は計数値に対する管理図であるため、計量値である作業時間を管理する用途には向いていません。 この場合は、 Xbar-R管理図を用いて作業時間が管理状態にあるかどうかを確認します。 異常値を記録から除外すると、改善対象となる要素作業や異常の復旧に要する時間を記録できなくなります。 そのため、その要素作業が改善対象とならずに、作業改善を実行できなくなります。 規則的に表れる要素作業と不規則に表れる要素作業を区別して時間測定を行うと、規則的に表れる要素作業に要する時間の変化から、 作業方法が変化したことを見つけやすくなります。 測定対象となる作業者には、心理的負荷を軽減するために、観測目的を理解してもらい協力を得るようにします。 これを行わない場合、正しく時間を測定できない可能性があります。
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管理図
管理図には、管理対象がとる値や、管理する品質により、いくつかの種類があります。 長さ、重量、時間、硬さ、純度などといった計量値の管理では、Xbar-R管理図が用いられます。 不良数などの計数値の管理では、p管理図 (不良率)、pn管理図 (不良数の個数)、 c管理図 (一定単位の中の欠点数)、u管理図 (単位が一定でないものの欠点数)が用いられます。
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経験見積法
``` 経験見積法とは、経験者の実績と経験によって標準時間を見積もる方法です。 一般に主観的になりやすく、精度は悪い場合が多いという特徴があります。 経験により見積もられた時間に余裕時間が含まれていない場合には、別途余裕時間を算定しなければなりません。 しかし、実際には求めた作業時間に余裕時間も含まれている場合が多く、 余裕時間を必ず別途算定しなければならないわけではありません。 ```
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余裕
余裕は管理余裕と人的余裕に分けられます。 管理余裕は作業余裕と職場余裕、人的余裕は用達余裕と疲労余裕にそれぞれ分けられます。 用達余裕とは水飲みやトイレなどの生理的欲求で発生する時間、 疲労余裕とは作業者が疲労回復のために休憩する時間や疲労によって仕事が遅くなるために 余計に発生する時間のことを言います。
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品質管理
従来の品質管理は、不良や不具合を少なくすることが管理の中心でしたが、時代と共に、 より顧客の要求を満たすことが重視されるようになってきました。品質管理に関する具体的な内容は次のようになります。 ●品質管理の定義  JISの定義では「買い手の要求に合った品質の品物またはサービスを経済的に作り出すための手段の体系」としています。 つまり品質管理は、顧客要求を満たすために、質が高い製品をできるだけ安いコストで提供するための管理と言えます。 ``` ●品質管理の種類 ①設計品質(ねらいの品質)  設計時に、顧客の要求を満たすための目標として設定した品質。 ②製造品質(結果の品質)(適合の品質)  製品の製造時に結果として生じた品質。製造品質をできるだけ設計品質に近づけるためには、製造プロセス自体の品質向上や、品質検査により基準値に対する適合判定が必要となります。そのため、製造品質は「適合の品質」と呼ばれることもあります。 ``` ●品質管理のキーワード ①品質管理は、Quality Control(略してQC)とも呼ばれる。 ②TQC(Total Quality Control:全社的品質管理)  品質管理を効果的に実施するために、生産現場だけではなく、製品の企画や設計、購買、アフターサービス、人事・教育など、製品を提供する全ての段階で全社的に行う。 ③TQM(Total Quality Management:総合的品質管理)  顧客満足の向上を重視し、経営戦略としてトップダウンで顧客満足や、それを実現するために品質を向上させる手法。 ④QC サークル  小集団による、現場からのボトムアップの品質改善活動。 ⑤ISO9000シリーズ(国際標準規格)  製品やサービスの品質保証を通じて、顧客満足向上と品質マネジメントシステムの継続的な改善を実現する国際規格。 ``` ●品質保証の活動  品質保証では、「検査」「製造」「設計」の3 つの活動が重要です。  品質保証の基本は、 ①上流の設計時から、より安全で品質の高い製品を作り込む活動を行い ②次に製造工程の品質を高めて不良品を作らないように活動し、 ③最後に検査で不良品を社外に出さないように活動することで、品質保証を実現します。 ``` ``` ●検査の種類 ①全数検査  ・概要:ロット内の全ての製品を検査する方法。  ・メリット:不良品を確実に除外することが可能。  ・デメリット:検査の手間やコストがかかる。  ・適用:高価な製品や、医療機など品質が重視される製品。 ②抜取検査 ・概要:ロット内からサンプルを抜取って検査し、その結果でロット全体の合否を判定。 ・メリット:全数検査よりも手間やコストがかからない。 ・デメリット:合格となったロットの中にも不良品が含まれる可能性がある。       不合格にしたロットの中にも良品が含まれる可能性がある。 ・適用:電子部品など、比較的安価で大量に生産する製品。 ```  抜取検査では次のようなリスクが発生します。  ・生産者危険:本来は合格にするはずのロットを不合格にしてしまうため、生産者側に発生するリスク。  ・消費者危険:本来は不合格にするはずのロットを合格にしてしまうため、消費者側に発生するリスク。
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TQM(Total Quality Management:総合的品質管理)
TQMは、顧客満足の向上や利益創出を実現するために、戦略的に企業活動全体の品質を向上させる手法です。 「目的に関する原則」、「手段に関する原則」、「組織の運営に関する原則」の3つの原則に基づき、 経営者をはじめ、管理者・監督者・作業者など全員が参加して、企業全体の経営品質を向上させるように活動していきます。 TQM の 3 つの原則 ◆目的に関する原則 ⚫ 品質第一 品質のよいものが出来れば、手直しや廃棄が激減し、信用や売上の増大にもつながる。 ⚫ 後工程はお客様 後工程をお客様のように考え、後工程の立場に立ち担当業務の出来ばえを評価する。 ⚫ マーケットイン 会社ではなく、顧客のニーズやウォンツを把握し、顧客第一の考えで活動を進める。 ◆手段に関する原則 ⚫ プロセス重視 結果を生むプロセス(仕事の仕組み・やり方)に着目し、これを管理し、向上させる。 ⚫ 源流管理 仕事の仕組みの源流に遡り、品質やサービスの機能や原因を掘り下げ、管理していく。 ⚫ 標準化 最も優れた方法を標準として定め、これに沿って行動する。 ⚫ Q,C,D 結果に基づく管理 プロセスや仕組みのねらい・結果に着目して、総合的に議論することが重要。 ⚫ 事実に基づく管理経験や勘のみに頼るのではなく、データや事実に基づき管理する。 ⚫ 重点志向 複数の原因の中から、結果に最も影響を与えている要因を把握して対策を行う。 ⚫ PDCA のサイクル PDCA サイクルを確実に回すことで、継続的にプロセス・仕組みのレベルアップを図る。 ⚫ 再発防止 問題が発生した根本的な原因を調査して取り除き、問題が再発しないように対策する。 ⚫ 未然防止 計画段階で発生しそうな問題を予め洗い出し、それに対する修正や対策を講じる。 ⚫ 潜在トラブルの顕在化 表面化していないクレーム、トラブル、不良の顕在化をまず手掛ける。 ◆組織の運営に関する原則 ⚫ リーダーシップ 経営者は、顧客や利害関係者のニーズ・期待を考慮して、組織が進む方向を示す。 ⚫ 全員参加 経営トップから担当まで、全部門・全員が参加して品質管理を行うことが必要。 ⚫ 人間性尊重 人間らしさを尊び、人間の持つ感情を大切にして、能力をフルに発揮できようにする。 ⚫ 教育訓練の重視 各社員の能力や資質を把握し、長期的な視野で人材の開発・育成を図ることが重要。
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QC7つ道具
・パレート図  パレート図とは、分類項目別にデータを分け、数値の大きい順に並べた図です。棒グラフと折れ線グラフで表します。  パレート図を用いることで、各項目における重要度の把握が可能です。 ・ヒストグラム  ヒストグラムとは、データを一定の範囲で分け、各範囲に該当する数値を縦軸に取るグラフです。データの分布や平均、ばらつきなどを把握できます。 ・散布図  散布図とは、対になった2つのデータを、XY軸上に点の集合で表した図です。「特性」と「要因」や、「特性」間の関係が把握できます。 ・特性要因図  特性要因図とは、「特性(結果)」がどのような「要因」によって構成されており、どの要因に変動があると看過できない影響を及ぼすのか、視覚的に管理できる図です。  魚の骨のような形をしているので、「フィッシュボーン図」とも呼ばれています。 ・チェックシート  チェックシートとは点検、調査、確認などを可視化し見やすくするために、あらかじめデータを記入する項目を分類してチェックをする方法です。  チェックシートの利用によって、現場でデータを収集、整理しやすくなります。 ・グラフ  グラフは複数のデータを図示し、傾向や変化、大小関係を可視化する方法です。  主な図として棒グラフや折れ線グラフ、クモの巣グラフ(レーダーチャート)が挙げられます。 ・管理図  管理図は折れ線グラフに3本の線を引いたものです。上側の線を上方管理限界線(UCL)、真ん中の線を中心線(CL)、下側の線を下方管理限界線(LCL)といいます。  データを時系列に配置し、対策可能で回避できる原因と、偶発的で避けられない原因に分類が可能な方法です。
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新QC7つ道具
言語データを図に整理することによって、定性的に品質管理における問題の解決を目指す手法です。 英語にすると「New Quality Control – 7 Tools」なので、「N7」ともいわれています。 N7における7つの道具は親和図法、連関図法、系統図法、マトリックス図法、アローダイアグラム、PDPC法、マトリックスデータ解析法です。 ・親和図法  親和図法とは、問題となる要因を親和性(関連性)の高いグループに分け、整理・体系化する方法です。  ひとつの要因ではわからなかった課題を明確化し、問題の構造を掴むことができます。 ・連関図法  連関図法とは原因と結果、目的と手段などが複雑に絡み合った問題の因果関係を、論理的につなぐことで問題を明らかにする手法です。  要因と要因を矢印で結び、因果関係を見つけた上で主要因を追求します。 ・系統図法  系統図法とは、目的達成のために最適な手段や方法をツリー状に並べる方法です。この手法では、目的を達成するための手段を目的として捉え、  その手段を考えるという作業を何度も行います。その作業によって、目的と手段を多段階に展開でき、最終的に実行するための手段にたどり着くことができるのです。 ・マトリックス図法  マトリックス図法は、ふたつの要素を「列」と「行」に分け、その対応関係を明らかにする手法です。  系統図法によって展開した手段の重要度や役割分担などを決定するために用いられます。 ・アローダイアグラム  アローダイアグラムは問題を解決するための作業が複雑に絡み合っている場合、各作業の関係と日程の繋がりを明らかにします。  PERT(Program Evaluation and Review Technique/プログラム・エバリューション・アンド・レビュー・テクニック)という、  プロジェクトマネジメントに関するモデルを品質管理に適用させた手法です。  作業同士を線で結び、順序関係を記載することで、作業の最適な日程を計画・管理できます。  また、全体が一覧できるため、作業の着手をする前に工程の問題点が明確になるという点もメリットです。 ・PDPC法  PDPCは事前に考えられるさまざまな結果を予測し、目標達成までに不測の事態が起こっても代替できる案を明確にしておく方法です。 「Process Decision Program Chart」の略で、日本語では「過程決定計画図」と呼ばれています。プロセスが流動的で予測が困難な場合、  対応策をあらかじめ決めておくことで、問題が起こった際に予定を頓挫させずに済むことが可能です。 ・マトリックスデータ解析法  「新QC七つ道具」の中で、唯一数値データを取り扱う方法です。ふたつ以上の数値データを解析し、問題の整理や解決の糸口を見つけます。  「主成分分析」という統計学で扱う「多変量解析」の手法の一つです。
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設備保全
設備保全は、設備の性能を維持するための活動です。大きく分けて、設備を維持する活動と、改善する活動があります。 ●設備を「維持する活動」 ・予防保全は、故障を未然に防ぐための活動です。予防保全には、設備を定期的に 点検したり、古くなった部品を交換するような活動が含まれます。 ・事後保全は、故障が発見された後の活動です。事後保全には、故障した設備を修理するような活動が含まれます。 ●設備を「改善する活動」 ・改良保全は、設備そのものが故障しにくくなるように改良することです。改良保全は、単に故障を直すだけでなく、故障しやすい設備の構造自体を改良することで、  故障を防いだり性能を向上させるための活動です。 ・保全予防は、改良保全よりもさらに前段階の、設備の計画、設計段階から故障や性能の劣化を防ぐための活動です。  保全予防では、過去の保全実績を記録しておき、それを基に新しい設備を計画・設計します。
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TPM(Total Productive Maintenance)
TPM とは、生産部門をはじめ、開発・営業・管理などのあらゆる部門にわたってトップから第一線従業員にいたるまで全員が参加し、ロス・ゼロを達成する保全活動です。 TPM における保全活動は、次の 7 つのステップに分けて実施します。 ``` 1.初期清掃(清掃・点検):設備を中心とするゴミ・ヨゴレの一斉排除や給油、増締め等。 2.発生源・困難箇所対策:ゴミ・ヨゴレの発生源の防止や、点検の困難箇所の改善等。 3.自主保全の仮基準の作成:日常的に短時間で出来る行動基準の作成等。 4.総点検:点検マニュアルによる教育や総点検の実施等。 5.自主点検:点検チェックシートの作成や実施等。 6.標準化:現場の管理項目の標準化等。 7.自主管理の徹底:改善定常化によるムダ排除、保全活動の確実実施、改善の推進等。 ``` ここで、1~3は第一段階で、劣化を防ぐ活動となります。設備の清掃・点検等の基本的なことを徹底して行います。 また、4~5は、劣化を測る活動となります。感覚から理屈に裏付けられた日常点検ができることを目指します。 最後に6~7は、標準化と自主管理の活動となります。必要な保全技能の完成を図ることで、自主管理ができる職場となります。
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設備効率
設備の運用時には、できるだけ無駄な時間を少なくして、設備効率を高めることが重要となります。 設備の効率を表す指標には、「時間稼働率」「性能稼働率」、「良品率」の3つがあり、次の図のような関係になっています。 また、これら3つの指標を掛け合わせることで、設備の全体の効率である「設備総合効率」を求めることができます。 ●時間稼働率  設備の故障や、段取時間などで、設備が停止したロスを測定するための指標で、次の式で求められます。  時間稼働率 = 稼働時間 ÷ 負荷時間 ※稼働時間 = 負荷時間 - 停止ロス時間 ●性能稼働率  設備のチョコ停と呼ばれる一時的な停止、空転や速度低下などの、性能ロスを測定するための指標で、次の式で求められます。  性能稼働率 = 正味稼働時間 ÷ 稼働時間 ※正味稼働時間 = 稼働時間 - 性能ロス時間 ●良品率  不良品や手直しなどの、不良ロスを測定するための指標で、次の式で求められます。  良品率 = 価値稼働時間 ÷ 正味稼働時間 ※価値稼働時間 = 正味稼働時間 - 不良ロス時間 ●設備総合効率  設備全体の効率で、次の式で求められます。  設備総合効率 =時間稼働率 x 性能稼働率 x 良品率 ※標準時間とは、実際の作業時間に、準備時間や適切な余裕時間なども加えて、設定された作業の標準時間のことです。 ※段取りや故障による設備の停止とは別に、一時的なトラブルのために設備が停止する状態をチョコ停と呼びます。
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環境保全
●環境基本法  基本理念として、環境への負荷が少ない社会を構築すること、国際的協力による環境保全を推進することなどを挙げています。 また、事業者への責務として、廃棄物の適正処理、公害防止、環境負荷の低減、再生資源の利用などを挙げています。 さらに、これを推進するために、環境基本計画として長期的な目標が定められています。 ●循環型社会形成推進基本法  環境基本法に基づいた循環型社会の形成を目的に制定された法律です。この法律では環境負荷をできるだけ低減して、循環型社会を構築できるように、 廃棄物の処理の優先順位を次のように定めています。①発生抑制、②再利用、③再生利用、④熱回収、⑤適正処分です。尚、この中で、②~④を循環資源としています。 ●廃棄物の処理・管理 ・廃棄物削減の3R 「リデュース(廃棄物の発生抑制)」「リユース(再使用)」「リサイクル(再利用)」の3つの頭文字をとったものです。  尚、この3Rに「リフューズ(廃棄物になるものを買わない)」を加えて4R、さらに「リペア(修理して使う)」を加えて5Rと言う場合もあります。 ・ゼロエミッション  企業が廃棄物をゼロにする取組みのことで、廃棄物を捨てるのではく、3Rなどを推進することで、廃棄物をゼロにすることを目指します。
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LCA(ライフサイクルアセスメント)
LCA とは製品やサービスに対する、環境影響評価の手法です。 製品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して環境に与える影響を客観的に評価し、 その結果に基づいて適切な意思決定や改善活動を図る目的で開発されました。 近年では、CO2 排出量など「環境負荷の見える化」のための指標を計算するためのツールとしても用いられています。 ISO14040 では LCA を、次の 4 つの段階で規定しています。 1アセスメントの目的及び調査範囲の設定  評価するプロセスとその範囲や単位、環境負荷を決め、評価の目的を明らかにする。 2ライフサイクルインベントリ分析  ライフサイクル全体の各段階における、インプット(投入される資源、エネルギー等)及びアウトプット(排出物等)のまとめ、並びに定量化を行う。 3ライフサイクル影響評価  インベントリ分析の結果に基づき、潜在的に環境に与える影響の大きさ及び重要度を定量的・総合的に評価する。 4ライフサイクルの解釈  インベントリ分析もしくは影響評価のいずれか、またはその両方から得られた結果に基づき、  設定した目的及び調査範囲に関して、結論や提言を得るための考察や議論を行う。
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省エネルギー法
省エネルギー法とは、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」の略称であり、省エネ法とも呼ばれます。昭和 54 年に制定されました。 目的としては、「内外のエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保」と 「工場、輸送、建築物および機械器具についてのエネルギーの使用の合理化を総合的に進めるための必要な措置を講ずる」ことなど。 省エネルギー法における「エネルギー」とは、燃料、熱、電気を対象としています。 また、規制する分野としては、工場・事業場、輸送、住宅・建築物、機械器具を対象としています。 一定規模以上の工場や輸送主などは、省エネ計画の提出やエネルギーの使用状況の報告などが求められます。 また、一層のエネルギーの使用の合理化を進めるため、省エネルギー法は平成 20 年度に改正されました。 改正のポイントは、住宅・建築物分野の対策の強化やエネルギー管理の工場単位から事業者単位への変更などです。 この改正により、チェーン展開する流通業や小売業なども規模によっては新たに規制対象となりました。 対象となったのは、企業全体としてのエネルギー使用量が年間 1,500kl 以上の事業者です。 規模の目安としては、小売業であれば約 3 万㎡以上、コンビニエンスストアであれば 30~40 店舗以上とされています。
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コンピュータを利用した開発・設計の情報システム
コンピュータを利用した設計には、次のようなものがあります。 ●CAD(Computer-Aided Design)  コンピュータを利用して行う製品の設計システムです。CADでは製品の形状やその他の属性データからなるモデルをコンピュータ内部に作成し、製品の設計を進めます。 作成した設計データをモデルと呼び、このデータにサイズなどのパラメータで与えることで、似たような部品のバリエーションを簡単に作成できます。 このように、CADを利用することで設計作業を効率化することができます。 ●CAM(Computer-Aided Manufacturing)  コンピュータ内部に作成したモデルの情報を、加工機械などに直接インプットするシステムです。 CAMでは、CADなどで設計したモデルを、実際に生産ができるようにNC工作機械などにインプットします。 ●CAE(Computer-Aided Engineering)  コンピュータ内部に作成したモデルの情報を基に、製品や部品の解析評価を行うシステムです。CAEは、製品を実際に作る前に、強度や安定性、性能などの解析や シミュレーションによる評価ができます。CAEを利用することで、実際に試作品を作る前にある程度の確認がコンピュータ上でできるため、設計のリードタイムを 短縮することができます。 ●PDM(Product Data Management:製品情報管理システム)  CADで作成した製品の設計情報や、部品構成を表す部品表、製品の開発プロセス、およびこれらの変更履歴などを管理するシステムです。 PDMの導入によって、製品情報が一元的に管理できるため、関連部門間で情報を共有しながら同時進行で設計を行う、コンカレントエンジニアリングの実現が可能となります。 製品開発とは異なる分野ですが、コンピュータを用いたシステムとしてCAIがあります。 ●参考:CAI(Computer-Aided Instruction)  コンピュータを用いた教育システムです。複数の人に同時に教えながら、個々の理解力や進度に合わせた個別教育も行えます。
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製造の情報システム
コンピュータを利用した、製造のシステムには次のようなものがあります。 ●NC(Numerical Control)  CADなどの設計データから作成したプログラムを使って、自動的に製品を加工するように数値制御される工作機械です。 CAD などで作成したモデルから、プログラムを作成し、そのプログラムを使って工作機械が自動的に製品を加工します。 また、コンピュータが組み込まれたNCのことをCNC(Computer Numerical Control)と呼びます。 ●MC(Machining Center)  機械に多数の工具がセットされており、工具を自動的に使い分けながら加工する工作機械です。MCは、1台で様々な加工が行える特徴があります。 ●FMC(Flexible Manufacturing Cell)  NCやロボットなどの個々の機械を組み合わせたものです。FMCは、まとまった工程を自動化するものです。 ●FMS(Flexible Manufacturing System)  工程全体をコンピュータで管理する生産システムです。FMSは、複数のFMCや自動搬送装置から構成された工程を管理します。 FMSにより、1つの生産ラインで様々な製品を生産できるため、多品種少量生産に対応することができます。 ●FA(Factory Automation)  工場全体を管理するシステムです。 ●CIM(Computer Integrated Manufacturing)  生産だけでなく、受注や設計、物流など、製造業のオペレーション全体を管理するためのシステムです。
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コンピュータを利用したシミュレーション
代表的なシミュレーションとしては、次のようなものがあります。 ●バーチャルマニファクチャリング  製品の開発・設計・製造(生産設備 / 作業者)・検査など、生産に関わる全てをコンピュータの中に構築します。 なるべく少ない情報を用いて、現実に近い生産システムのモデルを作り、実際に生産する前に仮想的に生産を行う、シミュレーションシステムです。 ●DMU(ディジタルモックアップ)  設計段階で実物の試作品(モックアップ)を作らずに、三次元CADによる製品設計モデルを用いて、製品の外観や、内部構成、動作などの比較・検討を行います。 ●モンテカルロ法  乱数(ランダムに変動する変数)を用いて、シミュレーションや数値計算を行う、統計的推測法の総称です。 コンピュータにより発生させた乱数を、疑似データとしてモデルに入力して挙動解析を行う、シミュレーションシステムです。 例えば、乾いた路面で走っている車が、急に濡れた路面に乗った時にどの程度安定した状態を保つか、 モンテカルロ法などによって生成したパラメータをモデルに入力して挙動を調べ、ロバスト(性)を確認します。
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生産情報システム
MRPとは、資材の調達活動の計画、実施と統制を行うために導入されるシステムで、資材所要量計画のことです。 MRPⅡとは、資材だけではなく、生産要員や生産設備といった資源も管理対象としています。従来のMRPと区別するためにMRPⅡと呼ばれることがあります。 POPとは、生産情報をリアルタイムに処理し、現場管理者に提供するために導入する生産時点情報管理のこと。 ERPとは、企業内のあらゆる経営資源を企業全体で統合的に管理し、最適に配置・配分することで、経営の効率化を図るための手法・概念のことをいいます。 CAEとは、製品のモデルを用いて製品設計を仮想的に評価するために、ERP を導入します。 CAIは、Computer-Aided Instructionの略で、コンピュータを活用して教育プログラムを提供するシステムです。 生産活動やシステムの運用、管理に限らず、子どもの教育や学生の勉強、大人の資格や趣味の学習など、活用範囲は多岐にわたります。 CAMは、コンピュータ内部で表現されたモデルに基づいて生産に必要な情報を生成するシステムです。 CAMでは、CADなどで設計したモデルを基に、NC工作機械などで生産できるようなプログラムを生成します。
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サプライチェーンマネジメント(SCM:Supply Chain Management)
サプライチェーンマネジメント(SCM:Supply Chain Management)は、材料から生産、販売を経て製品が消費者に渡るまでの 一連のサプライチェーン(供給連鎖)の全体を最適化するための手法です。 サプライチェーンの中で需要情報や販売情報、生産情報などをリアルタイムで共有し全体を最適化します。 これにより、最適な量の製品を迅速に提供できるようになるため、在庫を削減し、リードタイムを短縮するなどの経営の効率化が図れます。 JISではその内容と目標を次のように定義しています。 ●JISのサプライチェーンマネジメントの定義  サプライチェーンマネジメントは、資材供給から生産、流通、販売に至る物又はサービスの供給連鎖をネットワークで結び、 販売情報、需要情報などを部門間又は企業間でリアルタイムに共有することによって、経営業務全体のスピード及び効率を高めながら顧客満足を実現する経営コンセプト。 備考:SCMの目標は、キャッシュフローマネジメントを実現するとともに、最新情報 技術及び制約理論、APSというサプライチェーン計画などの管理技術に基づき、 市場の変化に対してサプライチェーン全体を俊敏に変化させ、ダイナミックな環境のもとで部門間や企業間における業務の全体最適化を図ることである。 サプライチェーンマネジメントシステムについては、 「資材供給から生産、流通、販売に至る供給連鎖」「情報共有」「俊敏な対応」「全体最適化」などが、重要キーワード。 サプライチェーンマネジメントでは、企業間で情報共有することで、 市場のニーズに迅速に対応して顧客満足を高めるとともに、各企業で抱える安全在庫や、 死蔵在庫を削減することでキャッシュフローを高める目的があります。
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ブルウィップ効果(Bullwhip Effect)
ブルウィップ効果(Bullwhip Effect)とは、需要を予測しながら発注する形態の流通経路で見られる現象です。川下にある小売店での需要の変化が、卸業者、メーカーと川上に向かっていく段階で、その変動幅が拡大してしまい、全体で過剰な在庫を生み出してしまいます。これは流通経路の各段階で、独自の判断によって通常より多く注文してしまうことが原因です。 川下にある小売店での需要の変化が、卸業者、メーカーと川上に向かっていく段階で、独自の判断により需要が水増しされ、在庫の拡大が連鎖します。 この結果、ブルウィップ効果が発生します。サプライチェーンの各段階における業者での情報共有が進めば、より適切な判断が出来ますから、 ブルウィップ効果を抑制できます。 具体的には、卸売業が小売業のPOS データを自らの在庫管理に活用する、メーカーが小売業の販売実績データを入手し自社の生産計画に活用するなどです。 ベンダー(サプライヤー)が、小売店の販売量、すなわち需要の変化を正確にリアルタイムで把握することで、ブルウィップ効果を抑制できます。 例えば、小売業の物流センターの在庫をサプライヤーが管理して、必要量を補充する場合、VMI(Vendor Management Inventory:ベンダー主導型在庫管理)と呼ばれます。 これは、サプライチェーン全体の情報共有化を図ることができると、需要予測とのブレが小さくなり、各段階での適正在庫が維持できるようになるためです。 製造メーカーが直販店を運営して、販売量すなわち需要の変化を正確に把握すれば、ブルウィップ効果を抑制できます。 卸売業者から小売店に納品する回数が減ると、発注頻度は減るため、その分在庫量を増やす必要があります。 また、需要予測の期間も長くなることから、需要予測の精度が下がり、小売店は余裕を持って注文する傾向が強くなるため、ブルウィップ効果は大きくなります。 納品頻度を増やすと、多頻度小口配送が実現し、需要予測とのブレが小さくなるので、品切れ防止や過剰在庫の防止ができるようになり、ブルウィップ効果は抑制されます。 各店舗への納品を複数のサプライヤーによる共同配送に切り替えると、今までより納品に時間がかかるようになります。 そうすると、卸業者は余裕をもたせた注文を行うようになり、各工場でも欠品を恐れて余裕をもたせた生産を行うようになります。 この結果、需要予測のブレが拡大し、各段階で過剰在庫を生むことになります。この現象はブルウィップ現象そのものです。 ブルウィップ現象を抑制するのであれば、複数のサプライヤーの商品を少数のトラックに混載し、多頻度小口配送を実施する策が考えられます。
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品質管理の種類と品質特性
品質管理の種類には、「設計品質」と「製造品質」の2種類があります。 「設計品質」は「ねらいの品質」とも呼ばれ、顧客の要求を満たすために目標として設定した品質のことです。 「製造品質」は「結果の品質」と呼ばれ、製品の製造時に結果として生じた品質のことです。  品質特性とは、製造した部品や製品が本来持っている特性のことで、「実用特性」と「代用特性」とに大別されます。 「実用特性」(真の特性)とは、顧客が求める品質特性そのもののことで、具体的な測定方法と数値で表現できます。 「代用特性」とは、主観的な品質で数値化できない特性や、破壊を伴ったり、測定が困難な特性について、代用として用いたりする品質特性のことです。
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HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)
HACCPは、食品の安全を確保するための衛生管理上の手法です。 食品を製造・加工する工程で発生するおそれのある危害を分析(Hazard Analysis)し、危害を防ぐための重要管理点(Critical Control Point)を定めて そのポイントを継続的に監視することにより、食品の安全を確保します。 HACCPの取組は12手順によって実施されます。手順の内、手順6~12までを7原則といいます。 手順1~5を7原則のための準備の手順となりますが、HACCPを実効性の高い取組みにするためには重要な手順となります。
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店舗立地
●立地条件  店舗の立地選定では、来店客数だけでなく、出店コストなども含めて検討する必要があります。また、扱う商品によっても、適した立地条件は変わります。 例えば、コンビニエンスストアの場合は、店舗から数100 メートル以内から来店する顧客が主な対象となるため、住宅街やビジネス街、駅周辺などの 出店比率が高くなっています。一方、ホームセンターでは、もっと遠い距離から車で来店する顧客もいるため、ロードサイドなどの出店比率も高くなっています。 ●商圏  来店する顧客の地理的な範囲のことを、商圏と呼びます。また、来店客の数によって(多い順に)1次商圏、2次商圏、3次商圏などと商圏を分類することがあります。 商圏の広さは、扱う商品によっても異なり、一般的にコンビニエンスストアで扱うような最寄品よりも、ホームセンターで扱うような買回品の方が商圏はより広くなります。 店舗を出店する前の商圏調査では、商圏を定めた上で、「人口や世帯構成の特徴」「競合店の調査」「通行量の調査」などを行い、出店の可否や 出店に際してのマーケティング戦略を検討していきます。
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商圏の理論(法則
商圏の理論については、次のようなものがあります。 ●ライリーの法則 「2つの都市がその間にある都市から、顧客を吸引する割合は、その2つの都市の人口に比例し、距離の2乗に反比例する」という法則です。式で示すと次のようになります。 Aの購買金額 / Bの購買金額 = Aの人口 / Bの人口 ×(Bとの距離 / Aとの距離)^ 2 この法則は、ライリーが米国において買回品の購買を研究した結果、提唱したものです。ただし、あまりにも単純化し過ぎているとの批判も多く最寄品の購買などには、あまり向きません。実際は商品の特性に応じて、距離のパラメータを(買い物に行くまでにかかる時間や費用、利用できる公共の交通機関の頻度なども考慮して)調整した方がよいと言われています。 ●ライリー&コンバースの法則  ライリーの法則に基づいた、商圏分岐点(2つの都市への吸引力が同じになる地点)、を計算するための法則です。 都市Aとの距離は、商圏分岐点を表しています。都市Bの人口に対して、都市Aの人口が少なければ、商圏分岐点は都市Aに近づき、 逆に都市Aの人口が多ければ都市Aから遠ざかることになります。
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商店街や共同店舗
●商店街  商店街は、店舗が自然発生的に集まって形成された商業集積です。近年では、後継者不足による問題や、郊外の大規模ショッピングセンターなどの影響で、 古くからの商店街が衰退していく現象が見られます。こうした衰退を食い止め、商店街を活性化するために、商店街が持つ機能を強化することが重要。 商店街が抱える大きな問題として、平成12年度以前は、「大型小売店舗による影響」など外部的な要因によるものが大きな割合を占めていました。 しかし、平成15年度以降は、「経営者の高齢化による後継者難(51.3%)」、「魅力ある店舗が少ない(42.7%)」、「核となる店舗がない(27.2%)」などの、 内部的な要因が大きな割合を占めています。 ●共同店舗  共同店舗は、複数の店舗が集まってテナントビルなどを作り、商業集積の機能を実現するものです。共同店舗の経営は、一般的に、複数の事業者による協同組合や合弁会社 という形になるため、運営が難しいという問題があります。また、集客力の強い共同店舗にするためには、店舗コンセプトの設定や、魅力ある店舗の参加、メンバーの協力 体制、共同での販売促進活動などが必要です。
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ショッピングセンター(SC)の特徴
ショッピングセンターは、デベロッパー(開発の専門業者)が、立地や店舗の選定、配置、施設の設計などを計画的に行い、 全体のコンセプトを統一して作った商業集積のことです。 ・アウトレットモールは、メーカーや小売の、過剰在庫、旧モデル、キズものなどを安価で販売する商業集積のことです。 ・パワーセンターは、カテゴリーキラーと呼ばれる大型専門店を複数集めたショッピングセンターです。 ・ホールセールクラブとは、会員制の倉庫形式の店舗です。陳列や包装に手間をかけず、ケース単位で陳列・販売することで、  コストを抑えて、卸売り価格に近い低価格で販売することを特徴としています。 ・ハイパーマーケットとは、広大な売場面積と、豊富な品揃え、低価格で、まとめ買いをする顧客をターゲットとした、大型の小売店舗です。
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店舗機能
◆店舗機能には次のようなものがあります。 ・訴求機能とは、店舗の存在を知ってもらい、顧客の注意をひきための機能で、看板や店構え、ショーウィンドウの充実などが該当します。 ・誘導機能とは、店内や店内の奥まで顧客を誘導する機能で、美容室をガラス張りにして店内のカットの様子が見られるようにしたり、店頭に割引券を置くなどが該当します。 ・演出機能とは、商品の魅力を演出し、顧客の購買欲求を高める機能です。具体的には、展示の陳列や色彩、照明などを工夫したり、BGMをかけて雰囲気を演出するなどが  該当します。 ・選択機能とは、顧客に商品を選ばせる機能です。手に取りやすく、選びやすい商品陳列などが該当します。 ・購買促進機能は、顧客に最終的に購買行動を取ってもらうための機能です。具体的には、POPなどで品質や価格を明確にしたり、試食を通じて実際に味わってもらったり、  接客により購入を促進するなどが該当します。 ・情報発信機能とは、顧客に店舗や商品などの情報を発信する機能です。具体的には、チラシやメールマガジン、案内板や館内放送を利用して、店舗や商品の情報を発信する  ことなどが該当します。
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販売形態
◆小売店の販売形態には次のようなものがあります。 ・対面販売:顧客が自由に商品に触れないように、陳列ケースなどに入れる場合が多く、商品は常に販売員によって管理されています。  このため、商品の管理がしやすく、破損や汚れなどの商品ロスが少ないメリットがあります。 ・側面販売:必要に応じて商品説明などを行いますが、一般的には、選択肢の記述にあるような顧客に密着した対応はしません。  買回品とは、消費者が複数の店舗や売り場に足を運び購買を検討するような製品で、家電品などが該当します。これらの製品の販売には、一般的に側面販売が採用され、  必要に応じて店員が商品説明などをします。 ・セルフサービス:スーパーマーケットやコンビニエンスストアでは、セルフサービスが採用されます。これは取り扱い商品の多くが、既に商品説明が不要な最寄品であり、  顧客自身で商品を自由に選べるためです。また比較的、商品が安価であることも理由にあります。
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店舗の外装
●ファサード  店舗の正面の外観のこと。ファサードは店舗の顔となり、店舗の存在を訴求していくもの。 ※注:店頭と言った場合、広い意味ではファサードとほぼ同じだが、狭い意味では、ファサードのうち、パラペットよりも下部(シャッターボックスから下の部分)を指す。 ●パラペット  ファサードの上部を意味し、店の名前などの看板がある部分。 ``` ●看板 ・パラペット看板:パラペット部分にある看板。 ・屋上看板:屋上に立てた看板。 ・袖看板:店舗から道路に突き出すように設置された看板。 ・スタンド看板:店頭の前の歩道に置く看板。 ```
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店舗の出入り口の役割
店舗の出入口は顧客を店舗の中に誘導する役割を果たす重要なものです。次のことに配慮して設計する必要があります。 ●開放度 ・店頭部の開け放たれた度合いのこと。(出入口がオープンになっていたり、幅が広い場合に開放度が高いという) ・購買頻度が高い最寄品を扱う店は、一般的に入り口の幅を広く取り開放度を高くする。 ・宝飾品店などは、一般的に防音、防犯を考慮したり、高級なイメージを出すため開放度を低くする。  防音効果を高めるために「開放度」を低くすることは効果的です。しかし、「開放感(透視度)」の高い・低いは防音効果に影響を与えません。 ●透視度(開放感) ・店舗の外部から内部が見通せる割合のこと。 ・透視度が高いと親しみやすくなる効果がある。 ・透視度が低いと高級感を出す効果がある。  コンビニエンスストアは、外装のほとんどがガラスウィンドウなので、透視度が高くなっています。
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売場レイアウト
◆売場レイアウトに関連する、キーワードは次のようになります。 ・客動線は、顧客が店内をくまなく回るように長く設計することが重要です。こうすることで顧客が商品と接する機会を増やし、売上げを増やすことができます。  一方で、接客やレジ打ち、在庫を取りに行くなどの従業員動線は、できるだけ短く設計する方が作業を効率的に行えます。 ・従業員導線は、従業員が店内で移動する経路で、できるだけ短くして作業を効率化し、客導線とできるだけ重ならないようにします。 ・商品導線は、商品が移動する経路のことで、客導線とできるだけ重ならないようにします。 ・ワンウェイコントロールとは、客動線がスムーズに一方に流れるように制御することです。 ・主通路は、多くの顧客が通るため幅を広く設定します。店舗の入り口から順に置くに進み、店内を巡回して出口まで一方向に導くようにします。 ・副通路とは、多くの顧客が通る主通路から枝分かれする、幅が狭い通路のことです。 ・ゾーニングは、商品のグループを売り場に配置することです。顧客が商品を探しやすく買いやすいよう配置を工夫します。  何らかの基準によって商品をグルーピングして配置します。例:用途別、ブランド別など ・マグネットとは、選択肢の記述にあるような、顧客を引きつける売り場のことです。顧客を引き付けるために、売れ筋の商品や、話題の商品、季節性のある商品、特売品など  を配置します。
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効果的なゾーニング
ゾーニングは、商品のグループを売場に配置することです。ゾーニングを効果的に行うことで、顧客が商品を探しやすくし、顧客の購買意欲を高めることができます。 また、これによって売上げを増やすことが期待できます。 効果的なゾーニングのポイントについては、次のような内容があります。 ●グルーピングの工夫 「ニーズ距離の最小化」や「クロスマーチャンダイジング」という考え方に基づき、商品間のつながりを考えてグルーピングして商品を配置することで、関連購買を促進します。 これは、ついで買いを促し、購入品を決めずに来店した顧客に対して購買を促す効果があるからです。スーパーなどで、鍋用コーナーを設け、関連する具材(野菜・肉・魚介 類・ポン酢など)を近接して配置するのはそういった理由からです。 ●マグネット(顧客を引きつける売場)の利用  マグネットは、主通路を奥まで進んでもらうために通路の突当たりなどに配置したり、副通路に誘導するために棚のエンドに配置したりします。 このように、マグネットの配置を工夫することで動線をコントロールすることができます。 ●商品価格帯への配慮  入り口に近い方に安い商品を配置し、奥に進むごとに徐々に価格の高い商品を配置します。これにより、心理的抵抗を和らげて、自然に奥に誘導することができます。 ●商品特性への配慮  計画購買性の高い、買回品については店の奥の方に配置します。計画購買品を店頭奥に配置することで、客動線が長くなり、他の商品と接する機会が増えるため 追加購買が期待できます。計画購買性が高い商品を店頭近辺に配置した場合は、顧客がその商品のみしか購入しない確率が高くなります。また、非計画購買品は店頭に置くことでついで買いなどを期待できます。コンビニエンスストアで飲料水の棚が店頭奥にあるのはそういった理由からです。 ●購買頻度への配慮  購買頻度が高い商品を店頭の近くに配置します。これは、頻繁に購入する商品が、店の奥に置いてあると、顧客は不便さを感じるためです。 また、購買頻度が低い商品は、じっくり比較検討することが多いため、店の奥に配置して商品説明をしながら販売するのが効果的です。 ●ストーリー性やカラ―・コンディショニングなどの配慮  商品の配置に、ストーリー性やカラ―・コンディショニングを持たせることで、視認性が高まり顧客の関心を高めることができる上、売場の中で求める商品のある場所を 分かりやすくすることができます。
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売場の什器
◆売り場の什器 ・ステージとは、床より一段高いスペースを作り、そこに商品を陳列する什器です。 ・陳列台とは、スーパーなどでよく見かけられる什器で、様々な商品が並べられるように複数の棚がついています。 ・リーチインケースは、商品をケースの前面から補充するタイプの冷凍・冷蔵庫で扉があるタイプがほとんどです。 ・ウォークインケースは、商品を後ろから補充するタイプの冷蔵庫です。これはコンビニエンスストアの飲料やビールなどの陳列でよく使用されています。 ・ショーケースは、商品が見やすいようにガラスなどで出来ているケースです。 ・ショーウィンドウは、ブランド品の小売店などでよく見かけられる什器で、通行人を引きつけるように、通りに面した部分に商品を飾り付けることができます。
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照明の種類や方法
●照明の種類 ・ベース照明:全体を明るくする照明。 ・スポットライト:(重点照明):目立たせたい部分だけを明るくする照明。 ・装飾照明:明るさよりも装飾性を重視した照明(例:シャンデリアや、電飾、色付き照明) ・直接照明:光源から直接対象を照らす方法。途中に遮るものが無いため、照明効率は最も高くなるが、まぶしく感じることもある。 ・間接照明:光源から直接ではなく、壁や天井などに反射させた光で照らす方法。照明効率は下がるが、落ち着いた雰囲気になるため、演出上の効果が高くなる。 ・半直接照明:主に対象を直接照らすが、一部の光がカバーを通して上に漏れる方法。この方法では、天井が少し明るくなるため、ソフトな雰囲気を出すことが可能です。 ・半間接照明:間接照明と同じように壁や天井などに反射させた光が中心だが、一部の光がカバーを通して下に漏れる方法です。  この方法も、ソフトな雰囲気を出すために使用される。 ・拡散照明:全方位に光を拡散させる方法。拡散照明では全方位を明るくすることが可能です。
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照明と色彩の内容や単位
・光束とは、光の明るさの度合いを定量的に表したもので、単位はルーメン(lm)となります。 ・照度とは、光により照らされる面の明るさを定量的に表したもので、単位はルクス(lx)となります。光源から離れるほど照度は小さくなっていきます。 ・色温度とは、光源がもつ光の色を定量的に表したもので、単位はケルビン(K)となります。色温度の値は、青白い光に比べて、赤い光の方が低くなります。 ・光色とは、光の色みで、青みがかったものや赤みがかったものなどあります。光源の光色は色温度で表されます。 ・演色とは、光で照明された物体の色の見え方です。照明される光源の違いによって色の見え方は変わってきます。  演色を客観的に評価できるよう数値化された基準に「演色評価数」があります。単位はアールエイ(Ra)で、この値が高い程、色を忠実に再現できます。
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平均演色評価数
ある物体を照らしたとき、その物体の色の見え方に及ぼす光源の性質
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カンデラ(cd)
光度:光源からある方向に向かう光の強さを示す単位。
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ルーメン(lm)
光束:光源から出る光の量を示す単位。
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ルクス(Lx)
照度:光源に照らされる面の明るさを示す単位。
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スチルブ(sb)
輝度:ものの輝きの強さを示す単位。
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まちづくり3法のうち、都市計画法
●まちづくり3法 「都市計画法」、「大規模小売店舗立地法(略して大店立地法)」、「中心市街地活性化法」の3つを指す ●都市計画法 ・目的:都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することにあります。 ・区域の指定:都市計画区域の定義として、都道府県は一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域を都市計画区域として指定します。  市街化区域:   市街化区域とは、すでに市街地になっている区域、または住宅、公共施設、商業施設、都市施設などの整備を行うことにより、積極的に市街化を促進する区域です。   市街化区域には、良好な都市環境による市街地を形成することを目的に用途地域が定められ、各用途に応じた土地利用の規制が図られています。  市街化調整区域:   市街化調整区域とは、都市計画区域のうち市街化を抑制する目的で、原則として開発や建築等が禁止されている区域です。   市街化調整区域内では、農林水産業用の建物や、一定の計画的開発などを除いて開発行為は許可されず、原則として用途地域も定めないとされています。 都市計画法では、住居・商業・工業の3つを大枠として、13種類の用途地域を定めて、それぞれについて用途の制限や規制を設けています。 代表的な規制としては次のようなものがあります。 ①第一種低層住居専用地域における規制環境基本法 床面積の合計が50平方メートルまでの住居を兼ねた一定条件の店舗や、小規模な公共施設、小中学校、診療所などを建てることができるが、 住居を兼ねていない場合は、床面積に関わらず建設が出来ない。なお、一定条件の店舗としては、床面積が建物の1/2未満で、 日用品を主に扱う店舗、食堂、喫茶店、理髪店等がある。 ②規模集客施設の立地規制 床面積10,000平方メートルを超える規模の商業施設は、「商業地域」、「近隣商業地域」、「準工業地域」の3地域に建設が限定されている。 なお、一部の地域では、条例により準工業地域への出店を禁止している。 ・2006年の改正ポイント  ①都市計画区域や準都市計画区域内での、床面積が1万平方メートルを超える大規模集客施設の建設は原則禁止(以前は、制限のみ)。   ただし、一定の手続きを行う事で、「商業地域」、「近隣商業地域」、「準工業地域」の3つの用途地域での建設が可能。  ②準都市計画区域の指定は「都道府県」が行う(以前は、「市町村」)  ③社会福祉施設や医療施設、学校、国や都道府県が行う開発行為なども開発許可が必要(以前は、開発許可が不要)
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まちづくり3法のうち、大規模小売店舗立地法と中心市街地活性化法
●大規模小売店舗立地法(大店立地法) ・目的:大規模小売店の出店の際に、周辺地域の生活環境の保持をするための法律。 ・対象店舗:店舗面積が1,000平方メートルを超える店舗で、飲食店を除く小売業。 ・要求内容:対象となる店舗に対しては、「渋滞や駐車・駐輪」「騒音」「廃棄物」「街並みづくりなど」への配慮が求められる。 ・義務内容:対象となる店舗に対しては、地域住民への説明会の開催が義務となっている。  この法律の運用主体は都道府県、政令指定都市となっていて、大規模小売店設置希望者による届け出制になっています。 ``` ●中心市街地活性化法 ・目的:中心市街地を活性化するための法律。 ・基本的な仕組み  ①国が、中心市街地活性化の基本方針を作成。  ②各市町村が、①の基本方針を基に、中心市街地を定めて基本計画を作成。  ③市町村や民間業者が、②の基本計画を基に、市街地の整備や商業の活性化などの事業を推進。  ④国による、各種の支援措置が受けられる。 ```  第2条条文では、上記の3つの要件をすべて満たすことが中心市街地の要件とされています。  ①相当数の小売商業者が集積し、都市機能が相当程度集積している市街地であり、その存在している市町村の中心としての役割を果たしていること。  ②土地利用及び商業活動の状況等からみて、機能的な都市活動の確保又は経済活力の維持に支障を生じ、又は生ずるおそれがあると認められる市街地であること。  ③都市機能の増進及び経済活力の向上を総合的かつ一体的に推進することが市街地の存する市町村及びその周辺の地域の発展にとって有効かつ適切であると認められること。 ・2006年の改正ポイント  ①中心市街地ごとに、(商工会や商工会議所、市街地の整備を行う事業者や地権者などが参加した)中心市街地活性化協議会の設置が必要。 (以前は、TMO(タウンマネジメント機関)制度)  ②国による支援措置の選択と集中。認定をする際には市町村が基本計画を作成し、内閣総理大臣の認定。(以前は、バラマキに近い支援)
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用途地域
``` 用途地域は全部で13種類あります。 ・住居系:  第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、  第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、  第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域田園居住地域の8種類 ・商業系:近隣商業地域、商業地域の2種類 ・工業系:準工業地域、工業地域、工業専用地域の3種類 ```
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都市計画法や建築基準法で定められている用途地域の制限や規制
第一種低層住居専用地域は、低層住宅の良好な住環境を守るための地域で、厳しい規制が設けられています。 床面積の合計が50m2までの住居を兼ねた一定条件の店舗や、小規模な公共施設、小中学校、診療所などを建てることができます。 第二種中高層住居専用地域は、中高層住宅の良好な住環境を守るための地域で、1,500m2までの一定条件の店舗・事務所などを建てられます。 第一種住居地域は、住居の環境を保護するための地域で、3000m2までの一定条件の店舗・事務所などを建てられます。 準住居地域は、幹線道路の沿線などで自動車関連施設と住居が調和した環境を保護するための地域です。10,000m2までの店舗、一定条件の工場、倉庫などを建てられます。 近隣商業地域は、近隣住民が日用品の買物をする店舗などのために定められる地域で、 ほとんどの店舗・事務所や、住宅、ホテル、小規模の工場なども建てられます。店舗・事務所には延べ床面積の規制はありません。
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建築基準法で用いられる用語
●敷地面積:敷地の水平投影面積。  ※1敷地:建築物のある土地。  ※2水平投影面積:真上から見たときの面積。 ●建築面積:建築物の水平投影面積。 ●床面積:各階の床の水平投影面積。 ●延べ面積:建築物の各階の床面積の合計。 ●建ぺい率:敷地面積に対する建築面積の割合。  建ぺい率 = 建築面積 ÷ 敷地面積 ●容積率は、敷地面積に対する延べ面積の割合。  容積率 = 延べ面積 ÷ 敷地面積 なお、建築基準法では、地域によって建ぺい率や容積率の上限が定められています。
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地域商店街活性化法
地域商店街活性化法は、商店街が「地域コミュニティの担い手」として行う地域住民の生活の利便を高める試みを支援することにより、 地域と一体となったコミュニティづくりを促進し、商店街の活性化を図ることを目的として、平成21年8月に施行されました。 商店街が実施しようとする商店街活性化事業計画が、地域住民のニーズに応じて行うソフト事業を含めた事業です。 商店街活性化の効果が見込まれ、他の商店街の参考となりうるものについては、本法に基づき経済産業大臣の認定を受けることができ、 法律の認定に基づき各種支援が行われます。事業は原則としてハード事業(例:アーケードの取替等)のみで地域商店街活性化法の認定を受けることはできません。 商店街活性化事業は、地域住民の需要に応じた商店街活性化のための事業で、次のいずれにも該当するものです。 ① 住民の需要地域住民を対象にしたアンケート調査や地域住民等からの要望書等により把握した  地域住民の商店街に対するニーズを十分に踏まえた事業であることが求められます。 ② 商店街の活性化の効果として、商店街への来訪者の増加、空き店舗数の減少等、商店街活性化の効果が具体的な指標により定量的に見込まれることが求められます。 ③ 参考となり得る事業、つまり、事業内容の新規性や、実施体制や実施方法に創意工夫が認められることなど、他の商店街が商店街活性化事業に取り組むに当たって  参考となり得る事業であることが求められます。
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商圏
ハフモデルとは、消費者がある特定の商業集積を選択して、買い物をする確率を求める計算モデルです。 考え方としては、商業集積の売り場面積の規模に比例し、そこに到達する時間距離に反比例するというものです。 なお、このハフモデルを日本向けにアレンジしたものが修正ハフモデルです。 最寄品は一般食料品のように購買頻度が高く、計画性も少ないことから、近隣のスーパーのように便利な立地の店舗を選択する傾向があります。 逆に、買回品は計画性と比較購買の努力が大きいため、商圏は最寄品より広くなります。 「ライリー・コンバースの法則」は、2つの都市の商圏分岐点を算出する法則です。 商圏は、その店舗を利用する来店客数の多さによって1次商圏、2次商圏、3次商圏に分けることができます。 また、1次商圏から3次商圏の外にあっても、影響を受ける地域のことを「影響圏」といいます。 通信販売は、郵便や電話が整備されている地域はすべて商圏となります。 国内すべてのニーズに対応できます。またインターネットを通じた電子商取引は、インターネット回線の利用できる地域であれば世界中のニーズに対応できます。 従来の商圏という概念に制約されることはありません。
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ワンウェイコントロール
ワンウェイコントロールとは、買物客に店内の売場回遊促進により非計画購買を促し、買上点数および客単価を向上させる動線計画のことです。 ワンウェイコントロールは動線に関するもので陳列位置による買上率とは直接関係がありません。 商品を買いやすい順に配置すると買物客の利便性は高まりますが、店内動線長が短くなると非計画購買を促しづらくなります。
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最寄品、買回品、専門品
最寄品は、最寄店舗で毎日のように購入する商品です。主に食品、日用雑貨、家庭用品などの多くの商品があります。 値ごろ感が重要で、購買に関する意思決定時間は短い傾向があります。 買回品はいくつかの店舗を訪れて商品を比較しニーズにより近いものを買い求める商品です。 消費者は複数店舗で買回品の品質、価格などの比較を行い時間をかけます。家電品、衣料品、スーツ、靴などがあります。 専門品は消費者が特別な魅力を感じて購買に時間を惜しまない商品です。高額商品を専門に扱う店、有名ブランドショップなどでしか販売していない商品です。 高額品で買回品より購買頻度が低く、品質、デザイン、性能などに強い関心をもって購買を行う消費財です。
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動線長を伸ばす施策
計画購買率が高い商品を店舗の奥に配置することで、消費者は店舗の奥まで入っていくことになり、客動線を長くすることができます。 客動線が長くなることで非計画購買が促されます。 ゴールデンライン(ゾーン)とは商品の陳列において、最も手に取りやすい高さをいいます。 仮に、ゴールデンラインを店舗の入り口周辺に複数配置したとしても客動線が長くなることは期待できません。 特売品を店舗入り口付近に配置すると、消費者は特売品だけを買って店を離れるおそれがあり客動線が長くなることは期待できません。 パワーカテゴリーは購買率が高い商品群です。店舗設計ではマグネットポイントになります。 マグネットポイントとは顧客の目を引き付ける陳列ポイントです。 パワーカテゴリーを集中配置すると、消費者はマグネットポイントに集中してしまって移動しなくなるため、客動線が長くなることは期待できません。
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色彩
色彩は、色相・明度・彩度という3つの要素で表され、これらを色の3属性と言います。 この3属性の特徴を利用することで、売場に様々な演出効果をもたらすことができます。 色相は、赤・青・黄といった「色みの違い」を表し、「色あい」と呼ぶこともあります。 赤・青・黄などを有彩色、黒・白・灰を色みのない無彩色と呼びます。 色相は、虹色の順に「赤、橙、黄、緑、青、藍、紫」のように整理することができ、この色相を円環上に並べたものを「色相環」といいます。 「色相環」で隣り合った色を「類似色」、向かい合う色を「補色」といいます。 明度は、色の「明るさ」の度合いを表します。一番明度が高いのが白で、一番明度が低いのが黒となります。 彩度は、色みの「鮮やかさ」を表します。彩度が高いと鮮やかな色になり、彩度が低いとくすんだ色になります。 対比現象とは、ある色が他の色の影響を受けて、本来とは異なる色に見える現象です。 一方、ある色が他の色に線状あるいは網状に囲まれているとき、囲まれた色が囲んだ色(周囲の色)に似て見える現象を同化現象と言います。 この現象は、囲まれた色の面積が小さく、囲んだ色の色相・明度・彩度が近似しているほど大きく現れます。 例えば、オクラを類似色のネットに入れることでより鮮やかに見せるといった場合は、同化現象に該当します。 色相が連続するように商品を陳列することで、売場に連続性が形成されるため、顧客の足が止まらずに、売場内の回遊性を高める効果が期待できます。 フェイスアウトとは商品を正面向きに陳列している状態です。この陳列を行う際は、高明度の色の商品を手前に、暗い色の商品を奥に置くのが一般的です。 こうすることで手前の商品が際立ち、顧客の目に留りやすくなる効果が期待できます。 色彩が人間心理に与える影響は意外と大きいと言われており、一般的には次のような特性があります。 明度(高):柔らかいイメージ / 明度(低):硬いイメージ。彩度(高):エネルギッシュで強いイメージ / 彩度(低):自然で落ち着いたイメージ。 ベビー用品は、水彩絵の具のような明るく柔らかい色を使うことで、優しい印象を与えているものが多いです。
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マーチャンダイジングの定義(5つの適正)
AMA(アメリカ・マーケティング協会)では、マーチャンダイジングの定義を「適正な商品またはサービスを、適正な場所で、適正な時期に、適正な数量を、適正な価格で、マーケティングすることに関する諸計画である」としています。これは、一般に5つの適正と呼ばれています。
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マーチャンダイジングの構成要素
一般的にはマーチャンダイジングは、品揃えを中心とした活動との捉え方もありますが、5つの適正を実現していくためには、品揃え、仕入、価格設定、陳列、販売促進などの活動を最適化する必要があります。
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品揃え
●商品ミックス ・商品ミックス:品揃えのこと。商品ラインと商品アイテムをどのように揃えるかということ。  ※1 商品ライン:相互に関連をもっている品種のこと(例 スポーツ用品店:シューズ、ウェア、用具など)  ※2 商品アイテム:特定の品目のこと(例:ブランド、スタイル、素材など) ・商品ラインの幅:商品ラインの数のこと。 ・アイテムの深さ:商品アイテムの数のこと。 ●限定ライン戦略  商品ラインの幅を狭く絞り込み、商品アイテムを深くし、特定の品種の品揃えを豊富にする戦略。 例)ダイハツ工業:軽自動車に特化 ●フルライン戦略  商品ラインの幅を広くする戦略。 例)トヨタ自動車:小型車~高級セダンまで幅広くラインアップ。
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仕入の形態
●買取仕入 ・概要:小売業が商品を買い取って仕入れる方法。 ・売れ残り商品のリスク負担:小売店。 ・適用:量販店など。 ``` ●委託仕入れ ・概要:メーカーなどの委託者が在庫の所有権を持ったまま、小売業が販売を行う方法。 ・売れ残り商品のリスク負担:委託者のメーカーや、個人の依頼者など。 ・適用:専門店における、ブランド中古品の委託販売など。 ・収入源:販売手数料を委託者から受取る。 ``` ●消化仕入(売上仕入) ・概要:店頭に商品を置き、売れた分を同時に仕入として計上する方法。 ・売れ残り商品のリスク負担:メーカーなどの納入業者。 ・適用:販売力を持った百貨店などの小売業。
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価格設定
●値入(マークアップ)  商品の販売価格を決定すること。つまり、商品の仕入価格に、どれだけ上乗せして販売価格にするかを決定すること。 ●値入率  仕入れ価格に上乗せする割合のこと。 ●ロスリーダー政策  目玉商品(ロスリーダー)の値入率を下げて安く販売し、その商品目当てに来店した顧客に、他の値入率の高い商品も購入してもらうことで、利益を確保する政策。 ●エブリデーロープライス政策(EDLP政策)  全体的に値入率を下げ、常に低価格で販売する政策 ●プライスライン  段階的な価格帯のこと。(例:Yシャツ 2,000円 , 3,000円 , 5,000円均一などの価格帯で設定) ●プライスポイント  プライスラインの中で最も売れる価格帯のこと。
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消費者心理を考慮した価格設定
消費者心理を考慮した代表的な価格決定の方法には次のようなものがあります。 ●端数価格  小売価格を1,000円とせずに980円のように端数とすることで、実際は僅かな価格差でも最初の桁の数字や桁数が変わることで、割安感を増大させる価格設定の手法。 ●慣習価格  慣習価格は、長期間に亘り消費者に親しまれているような商品において、一般的に定着した価格(慣習価格)に基づいて価格を設定する手法。 ●威光価格(名声価格、象徴価格、プレミアムプライスとも呼ばれる)  消費者が価格により品質を判断するような、嗜好品やブランド品において、高品質であることを連想させ、ステータス性を増大させるために、意識的に高価格を設定する手法。 ●マーケットプライス法  国内共通の価格を設定するのではなく、競合他社の価格や、顧客の動向、地域毎の需要、市場の動向や状況などを考慮して価格を個別に設定する手法。 ●内的参照価格  内的参照価格とは、過去の購買経験などに基づき、消費者の中に設定された基準価格のこと。例えば特売価格での購入経験を持つと、内的参照価格が低下してしまい、通常価格での購入が難しくなる。これを回避するため、商品価格を直接下げるのではなく、クーポン券による割引や、ポイント還元、キャッシュバックの実施、バンドル販売(まとめ買い)時のみ価格を下げることで、お得感を感じてもらうといった対処が必要。 ●参考(その他の価格決定法) ①原価計算法(コストプラス法、マークアップ法):製品原価に一定の利益を付加して価格を決定する方法。 ②競争的価格決定:競業企業の設定価格に対して、競争的水準に価格を決定する方法。 ③市場価格決定:消費者や市場のニーズに合わせて価格を決定する方法。 ④略奪的価格決定(プライスリーダー戦略):商圏内の競争価格の主導権を確保する水準で価格を決定する方法。 ⑤模倣的価格決定:競合他社の価格設定を真似たり、それより少し安く価格を決定する方法。
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値入率
値入率とは、仕入れ価格に上乗せする割合のことで、売価基準と原価基準の2つの表示方法があります。それぞれ次のように求めます。 ●売価基準の値入率  売価値入率 = 値入額 ÷ 売価 例)100円で仕入れた商品を、125円で販売した場合は、25÷125で20%となる。 ●原価基準の値入率  原価値入率 = 値入額 ÷ 原価 例)100円で仕入れた商品を、125円で販売した場合は、25÷100で25%となる。  値入率には売価基準と原価基準の2つがあります。分母の値が変わりますので、注意。
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プライスラインとプライスポイント
プライスラインとは、企業経営理論で学んだように、段階的な価格帯の事を指します。たとえば、スーツやメガネなどでプライスラインを設定しているケースが見られます。  プライスポイントとは、プライスラインの中で最も売れる価格帯の事を指します。プライスポイントは「値ごろ」とも呼ばれます。  たとえば、Tシャツについて、1000円、2000円、3000円、5000円というプライスラインがあり、それぞれの販売数量が、30点、40点、20点、10点だった場合、プライスポイントは最もよく売れている価格帯である「2000円」となります。
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商品の陳列の原則
商品の陳列の原則としては、「探しやすいこと」「見やすいこと」「選びやすいこと」「手に取りやすいこと」の4つがあり、具体的には次のような内容になります。 ●探しやすい陳列  顧客の立場から探しやすいということ。そのために、商品のグルーピングやレイアウト、POPなどによって、どこに何があるかがすぐに分かるように工夫する。 ●見やすい陳列  商品が顧客の目につきやすいように、陳列の高さや陳列の量などを工夫すること。 ●選びやすい陳列  顧客が一目で似たような商品を比較できるように、同じ用途の商品をまとめて陳列すること。 ●手に取りやすい陳列  顧客が商品を手に取りやすい位置に配置したり、触っても崩れないように安定した陳列にすること。
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陳列方法
・ジャンブル陳列は、投げ込み陳列とも呼ばれ、カゴの中に商品が大量に投げ込まれている陳列方法です。  小さい商品を1つずつ陳列する必要がないため陳列が容易で、顧客が商品を手に取りやすく親しみやすい陳列方法です。 ・島出し陳列は、一部を通路にはみ出し陳列する方法です。  陳列に変化を与えることで活気を出し、顧客に商品を注目させることが可能です。新商品や目玉品を仮設ステージ上や箱を積み上げて配置します。  通路の一部を使うため、必ずその影になる商品がでてきます。島出し陳列する商品のことだけでなく、それにより顧客の目に触れにくくなる  商品の確認も合わせて行う必要があります。   ・カットケース陳列は、商品が入っていたダンボール箱をカットしてそのまま陳列する方法です。  陳列の手間がかからず、安さを訴求することが可能なため、ディスカウントストアなどで販売される最寄品の陳列によく用いられます。 ・レジ前陳列は、レジ待ちや精算中は手持ちぶさたになるため、レジ周辺の商品は顧客の目に触れやすくなります。  この結果、ついで買いや衝動買いを促進できます。また、こうした絶好の場所であることから、  ガムや電池など高利益率の商品が陳列されるケースがよく見受けられます。 ・展示陳列は、商品の展示に手間が掛かりますが、商品を演出しやすいというメリットがあります。
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陳列範囲と方法
●有効陳列範囲  顧客の手に届く範囲のことで、一般的には床から60cmの高さから、210cmの間と言われています。 基本的に、商品はこの有効陳列範囲の中に陳列する必要があります。 ●ゴールデンゾーン  最も手に取りやすい範囲のことで、一般的には、男性の場合は床から80~140cm、女性の場合は床から70~130cm程度と言われています。 これは、目の高さから、立ったまま手を下ろしたときの指先ぐらいの範囲です。 ゴールデンゾーンにある商品は、無理なく手に取ることができるため、売れ筋の商品や、重点商品を配置するのが基本です。 ●陳列方向 ・縦割り陳列は、同じ種類の商品を縦に並べる方法です。 ・横割り陳列は、同じ種類の商品を横に並べる方法です。 通常、顧客が買い物をするときは、横方向に売場を歩きます。そして、欲しい種類の商品があると立ち止まり、サイズや色などの細かいアイテムを探します。 このとき、縦割り陳列であれば、顧客は立ち止まったまま縦にアイテムを探すことができるため便利です。 一方、横割り陳列の場合は、アイテムを探すために横に歩く必要があり不便です。以上のことから、陳列の方向は、縦割り陳列にするのが原則です。
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商品のフェイシング管理
フェイスとは商品の顔という意味で、フェイス数は、顧客の目に触れる商品の数のことです。 フェイシング管理では、陳列スペースを有効利用するために、フェイシング数を次のような観点で管理していきます。 ①基本的に、売れ筋商品のフェイス数を増やし、死に筋商品のフェイス数を減らす。 ②フェイス数が増えるほど、顧客の目に商品が触れる機会が増えるため、売上は増加する。但し、ある範囲を超えると限界効用逓減の法則により、微増もしくは横ばいになる。 ③同じ品目でも時期によって売れ行きが変わることがあるので、仮説と検証をくり返して、時期に合わせてフェイス数を見直していく。 ④重点商品やおすすめ商品については、フェイス数を増やして積極的に提案していく。
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ビジュアルマーチャンダイジング(VMD:Visual Merchandising)
ビジュアルマーチャンダイジング(VMD:Visual Merchandising)とは、ストアコンセプトに沿って、視覚的に商品をより良く見せていくための活動です。 ビジュアルマーチャンダイジングでは、品揃えや陳列だけでなく、インテリアや什器、POPなどを含めて、 統一したコンセプトの基に視覚化することで、次のような効果を狙っています。 ``` 【メリット】 ・ストアコンセプトを明確にする。 ・重点商品を明確にする。 ・商品価値を高める。 ・陳列商品の販売促進の有効性を高める。 【デメリット】 ・通常は同じ品目は同一場所に陳列するので、店頭在庫数なども一目で分かりますが、  ビジュアルマーチャンダイジングにより、同じ品目が店内のあちこちにある場合は、在庫数が分かりにくく欠品の可能性が高まります。 ```
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インストアマーチャンダイジング
インストアマーチャンダイジングは、小売店内で顧客への販売を促進するため、来店客の購買時の心理や行動などを調査した結果を整理し、体系化した科学的手法です。 売上高は、「来店客数 x 客単価」という式に分解できます。このうち、来店客数を増やすための活動は、店の外が中心となる一方、 インストアマーチャンダイジングでは、店内を中心として客単価を上げるための活動を行います。 一般的に、来店客数を増やすための活動は、店の外が中心となるため、例えば、広告を打つにしても多額の費用がかかります。 一方、客単価を上げるための活動は店内が中心になるため、あまり費用をかけずに実行することができます。 インストアマーチャンダイジングが生まれた背景は、調査の結果、買い物のうち計画購買の占める割合がわずか1割であり、 残りの9割は店内で購買決定をする非計画購買だったということがあります。このため、来店客の非計画購買を促進することで、 客単価を向上させるための方法として、インストアマーチャンダイジングという考え方が体系化されました。
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客単価を上げる構成要素と具体的な方法
客単価を分解すると、次のようになります。 客単価 = 動線長 x 立寄率 x 視認率 x 買上率 x 買上個数 x 商品単価 つまり、顧客に、歩いてもらい、売場に立ち寄ってもらい、商品を見てもらい、購買を決定してもらい、 沢山の商品をまとめて買ってもらい、かつ高い単価の商品を買ってもらうことができれば、客単価は向上します。 ・動線長: 客導線の長さのこと ゾーニングやレイアウトを工夫したりマグネットポイントを設ける等 ・立寄率: それぞれの売り場に立ち寄る率のこと ディスプレイや陳列を工夫するなど ・視認率: それぞれの商品を見てもらう率のこと 陳列の工夫やPOPによって商品を見やすくし、商品の情報を分かりやすく伝達するなど ・買上率: 商品を買ってもらう率のこと 価格設定を工夫したり、POPでおすすめをしたり、でも販売を行うなど ・買上個数:まとめて多くの商品を買ってもらうこと 関連陳列を工夫したり、メニュー提案をしたり、セット販売にするなど ・商品単価:より高い商品を買ってもらうこと 加工度を上げてより高い付加価値を提供するなど 例:食品であれば、素材を加工して惣菜にする など ※ミールソリューション:  食事の解決策とも呼ばれ、食品の加工度をあげて家庭の料理に関する大変さを解消する販売方法です。  具体的には、自店で取り扱う食材を調理してお惣菜として販売するような場合です。
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インストアプロモーション(ISP)とスペースマネジメント
スペースマネジメントは、売場の単位スペースあたりの売上・利益を最大化していく方法です。 具体的には、販売データに基づき、商品の陳列場所や、陳列量を計画し、コントロールすることで、売場の生産性を向上させていきます。 プラノグラムとは棚割り計画のことで、棚の中の陳列位置やフェイス数を決める活動です。 棚割は、棚の中の陳列位置やフェイス数を決めることです。陳列位置やフェイス数を決定する際には、 アイテムごとの粗利や商品回転率などの販売データを分析し、売場や棚の生産性が最も高くなるように計画します。 スペースマネジメントにおいて、店内の商品配置を決める活動は「スペースアロケーション」です。 価格弾力性の高い商品とは、価格が変わると需要が大きく変動する商品のことです。つまり価格を少し下げただけでも、販売量の増加が期待できます。 こうした商品は価格主導型の活動、すなわち価格プロモーションを実施することで、効果的に販売量を増やすことができます。 クロスマーチャンダイジングとは、関連商品をまとめて陳列・演出することで関連購買を促進する活動です。 クロスマーチャンダイジングは、関連購買を促進することで、1 人あたりの買上個数を増やすことを目的としています。 例えば、肉を単品で売るのではなく、焼肉のたれと並べて、焼肉コーナーとして演出するといったものです。 こうした活動では、顧客の購買行動に配慮して関連商品の陳列や演出を工夫し、価格を変えることなく売上の増加を目指します。 このため、クロスマーチャンダイジングは非価格主導型の活動に該当します。
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カテゴリーマネジメント
●カテゴリーマネジメントの概要  カテゴリーマネジメントは、顧客の視点でカテゴリーを構築し、そのカテゴリー単位で品揃え、仕入、陳列、販売促進、損益管理などをマネジメントする手法です。 これにより店舗内では、従来のメーカー単位や、品種単位中心の品揃えや陳列ではなく、顧客の視点にたって構築し、そのカテゴリー単位で品揃え、仕入、陳列、 販売促進、損益管理などのマネジメントをしていきます。 ●カテゴリーマネジメントの実現  カテゴリーマネジメントの実現のためには、陳列や販売促進だけでなく、カテゴリー単位に経営管理を行う組織を編成する必要があります。 そのため、カテゴリーは戦略的事業単位となります。また、仕入や商品管理をカテゴリー単位で行う必要があるため、小売業だけでなく、 メーカーや卸が協力しながら取り組む必要があります。
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人時生産性
人時生産性=粗利益 / 総労働時間 分子の粗利益は、営業利益等を採用することもあります。人時生産性は従業員一人の時間当たりの生産性を意味しており、 1人の従業員が1時間にどれだけの粗利を稼いだかを表す指標です。高いほど良く、生産性・効率の高い企業(事業所・店舗)であるといえます。 人時生産性を向上させるためには、粗利益の増加、総労働時間の削減が求められます。
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GMROI(商品投下資本粗利益率)
多くの小売業では、利益の目標をGMROI(商品投下資本粗利益率)で設定します。GMROIとは投下した商品に対する粗利益の割合で、次の式で求めます。 GMROI = 粗利益 / 平均在庫高(原価) ここで、平均在庫高(原価)は、「 { 期首商品在庫高(原価) + 期末商品在庫高(原価) }÷ 2 」で、計算される在庫の平均値です。 GMROIを高めるには、粗利益率を上げるか、商品投下資本回転率を上げるか、売価値入率を上げることが必要となります。
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交差比率
●交差比率(交差主義比率)  交差比率は、GMROIの代わりの指標として用いられるもので、GMROIの分母の平均在庫高を売価にしたものになります。   交差比率 = 粗利益 / 平均在庫高(売価)   交差比率 = 粗利益 / 売上高 x 売上高 / 平均在庫高(売価) = 粗利益率 x 商品回転率(売価) ``` ●商品回転率  商品回転率は、売価基準と原価基準の2つの計算方法があり、それぞれ次の式で求めます。なお、分子と分母の基準が、それぞれ売価と原価で揃っていることに注意。    商品回転率(売価)= 売上 / 平均在庫高(売価)  商品回転率(原価)= 売上原価 / 平均在庫高(原価) ```
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●在庫高予算  売上高予算を決定した後に、在庫高予算を編成しますが、月初の適正在庫高を決定する方法として、基準在庫法と百分率変異法の2つがあります。それぞれ、次の式で求めます。 ①基準在庫法(商品回転率が6回以下の商品向き)  
●在庫高予算  売上高予算を決定した後に、在庫高予算を編成しますが、月初の適正在庫高を決定する方法として、基準在庫法と百分率変異法の2つがあります。それぞれ、次の式で求めます。 ①基準在庫法(商品回転率が6回以下の商品向き)  
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各種指標
``` ●在庫高予算  売上高予算を決定した後に、在庫高予算を編成しますが、月初の適正在庫高を決定する方法として、基準在庫法と百分率変異法の2つがあります。 それぞれ、次の式で求めます。 ①基準在庫法(商品回転率が6回以下の商品向き) ②百分率変異法(商品回転率が6回以上の商品向き) ``` ●値入高予算  商品の仕入価格を基に、どれだけ上乗せして販売価格にするかを決定します。上乗せする割合は、「値入率」で決定します。 なお、値入率には、売価基準と原価基準の2種類があるので注意しましょう。 ●仕入高予算  仕入高予算は、売上高予算と在庫高予算から、次の式で計算します。  仕入高予算(売価)  = 売上高予算 + 期末在庫高予算(売価)- 期首在庫高予算(売価)
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相乗積
複数の部門や店舗を有する小売業では、各部門が小売店全体の収益にどの程度貢献しているかを把握する必要があります。 この各部門の利益貢献度を示す指標として相乗積があります。相乗積について押さえておきたいポイントは、次のようになります。 ・相乗積 = 各部門の粗利益率 × 各部門の売上高構成比 ・各部門の相乗積の和は、小売店全体の粗利益率と等しくなる ・各店舗の相乗積は、小売店全体の売上高に対する、当該店舗の粗利益高の割合を示す
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陳列の種類と方法
展示陳列は、テーマを決めて小物などと商品を一緒に商品を演出する陳列方法です。展示に手間がかかりますが、洋服のコーディネートの提案などに向いています。 ゴンドラ陳列で用いられる前進立体陳列とは、手前の方に商品が積み上がるように陳列する方法です。陳列しきれなくなったら、後ろ側に補充用の商品として置く陳列します。商品の豊富感を出す効果があります。 量感陳列により、商品の豊富さをアピールして購買意欲を高めます。主な商品は、食料品や日用雑貨などの最寄品です。 ゴンドラエンドに、特売品や目玉商品を大量に陳列し、マグネットポイントとして利用することで、そこに通じる副通路に顧客を誘導することができます。
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委託仕入と消化仕入の違い
所有権を持ったまま小売店が販売を行う方法です。委託仕入は、商品が売れ残った場合には、メーカーなどに返品ができます。ただし、在庫の所有権はメーカーなどにありますので、小売店は販売価格を決められず販売した商品に関して販売手数料を受け取ります。  消化仕入(売上仕入ともいいます)は、店頭に商品を置き、売れた分を同時に仕入として計上する方法です。消化仕入では売れない限り、仕入をする必要がないため、小売店は売れ残りのリスクを負いません。
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価格政策と価格決定
慣習価格政策とは、消費者が慣習的に一定の価格のみ受け入れている場合に、その価格に基づいて価格を決定する政策です。 例えば、現在は、自動販売機の缶ジュースは130円で売られていることが多いです。 これは、一般的に浸透している130円よりも高い価格を設定すると需要が急激に減るためです。 コストプラス方式では、製品の原価に一定の利益を上乗せした価格を設定します。 この方式は、供給者側の事情を優先した価格設定のため、市場の実情と合わない場合があります。 マーケットプライス法は、市場の状況、例えば、顧客の動向や、競合店の価格等を考慮して価格を設定する手法です。 全国共通の価格を設定する手法ではありません。 名声価格政策とは、あえて高い価格をつけることで、消費者に高い価値があると認識させる政策です。 名声価格は威光価格と呼ばれることもあります。高級時計などのブランド品は、高い価格の方がステータスが上がり、 低い価格をつけたときよりも、売れることがあります。
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フェイシング管理
フェイシング管理とは、効率よく販売するために、品目ごとの販売量に応じて、陳列スペースを決定していく管理手法のことです。 一般的にフェイスの数が増加すれば、その商品の視認率が高まり、売上は増加します。 しかし、その効果は正比例ではありません。ある程度のフェイス数までは急増しますが、それ以上は微増もしくは横ばいになります。 いわゆる限界効用逓減の原則が働きます。 陳列効果を高めるフェイス数というのは、一般的に、300坪の店舗では3フェイスから5フェイス、 600坪の店舗では5フェイスから7フェイスと言われています。 回転率の高い商品の陳列を多くとることで、売場での品薄や欠品による補充・発注の回数を減らすことができます。 また、回転率の低い商品の陳列が少ない場合、商品入替え作業が効率的に行えます。 このように、商品販売量に比例した陳列量の決定は、発注や陳列等の作業管理が効率的に行えるメリットがあります。 水平陳列は横割り陳列と同じ意味です。この配列の効果としては、サイズ別陳列や、関連商品との組み合わせ陳列が容易になります。 買い物中の顧客の視線は、横方向に流れていくことが多いので、商品グループの中で機能や品質に差がある場合は、水平陳列をすることで 視認性を高めることができます。ただし、その反面、他の商品探索がしづらく、顧客の立ち止まる回数に比較して買い上げ率が低く、 買い物動線の無駄が生じやすい特徴もあります。 フェイス数は増加・減少によるそれぞれの効果があります。 フェイス数を増加させると、その商品の売上が増加する、機会ロスを防ぐことができる、管理コストを削減できるといった効果があります。 一方、フェイス数を減少させると、品揃えの充実が図れる、商品入替え等の柔軟性が上がるといった効果があります。 これらの効果を最大限に高めて、効率性の高い売場を実現するために、仮説検証を繰り返しながらフェイス調整を行う必要があります。
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棚割(プラノグラム)
棚割(プラノグラム)とは、棚の中の陳列位置やフェイス数を決めることです。 ``` 客動線とは、買い物客が店内をどのように見て回るかということです。 客動線が長くなるほど、たくさんの商品を見てもらうことができます。 ゾーニングとは、売場で商品群ごとの配置領域を区画することです。 商品群をどの位置に、どのくらいのスペースをとり、どのように配置するかということです。 一般的に、ゾーニングを工夫することで、客動線を長くすることができます。 どの棚にどの商品群を置くかということによって客動線を長くすることはできますが、 1つ棚の中で商品群の配置を変えても客動線は長くなるとは考えられません。 ``` バーティカル陳列とは、縦割り陳列とも呼ばれ、同じグループの商品を縦に並べる方法です。 顧客が、買い物をするときは、横方向に売場を歩いていきます。 ここで、欲しい種類の商品があると立ち止まり、サイズや色などの細かいアイテムを探します。 このとき、縦割り陳列になっていると、顧客は立ち止まったまま縦にアイテムを探すことができるため便利です。 ただし、同じグループの商品を比較する場合は、上下を見て比べたり、下の方の商品はしゃがんで見る必要もあります。 この場合は、横割り陳列(ホリゾンタル陳列)の方が便利です。 フェイシングとは、売場に陳列する商品と、その商品のフェイス数を決定することをいいます。 フェイスとは、商品の顔のことであり、フェイス数は、顧客の目に触れる商品の数のことです。 ある商品のフェイス数が多いほど、顧客の目に触れる機会が増えるため、売上は増加します。 一方、裏の方に隠れている商品は、顧客の目に触れることがないため、陳列量が多くても売れません。 このように、フェイシングによって、売上や商品回転率は変わります。 ホリゾンタル陳列とは、横割り陳列とも呼ばれ、同じグループの商品を横に並べる方法です。 そのため、同じグループの商品を比較しやすい売り場となります。 一方で、他のグループ間の比較をしようとすると、上下を見て比べたり、下の方の商品はしゃがんで見たりする必要があります。 この場合は、縦割り陳列の方が便利です。
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在庫高予算
在庫高予算は売上高予算が決定した後に編成するもので、月初の適正在庫高を見積もります。その方法は、基準在庫法と百分率変異法です。 基準在庫法とは、商品回転率が6 回以下の商品に向いているとされています。 基準在庫法による月初在庫高予算は、当月売上高予算に安全在庫を加えることで計算します。 基準在庫法による月初在庫高予算は、当月売上高予算に安全在庫を加えることで計算します。具体的には、次の式で計算します。 月初在庫高予算 = 当月売上高予算 + 安全在庫 「安全在庫」は、次のように求められます。 安全在庫 = 年間平均在庫高 − 月平均売上高      = 年間売上高予算 / 年間予定商品回転率 − 年間売上高予算 / 12 一方の百分率変異法とは、商品回転率が6 回以上の商品に向いているとされています。 百分率変異法による月初在庫高予算は、年間平均在庫高をもとに、各月の売上高予算のズレを掛けて計算します。 月初在庫高予算 = 年間平均在庫高 x 1/2 (1+ 当月売上高予算 / 月平均売上高 )         = 年間売上高予算 / 年間予定商品回転率 x 1/2 (1+ 当月売上高予算 / 月平均売上高 )
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物流の機能や種類
●物流の機能  物流は、様々な機能から構成されています。物流の主な機能には、輸送、保管、荷役(にやく)、包装、流通加工があり、 「物流の5大機能」と呼ばれています。 ●物流の種類  物流の種類には大きく分けて、動脈物流(調達物流・社内物流・販売物流)と静脈物流(回収物流)があります。  なお、静脈物流(回収物流)とは、廃棄物やリサイクル物資などを回収するための物流のことです。 ``` ●物流チャネル  製品が消費者に届けられるまでの、物的な経路のことを、物流チャンネルと呼びます。  例えば次のようなものがあります。 ・例1) 工場倉庫 → 物流センター(メーカー) → 物流センター(卸売) → 小売店舗 ・例2) 工場倉庫 → 物流センター(メーカー) → 小売店舗 ※  ※「卸中抜き」と呼ばれる形態で、卸売業を排除した物流チャンネル。 ```
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包装
物流機能の包装とは、輸送や保管をするために、荷物を保護するような活動です。 | 例えば、保管や輸送用に複数の製品を一つのダンボール箱に梱包する、エアパッキンで包むといった活動が該当します。
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流通加工
製品の、値札などのラベル貼りや、小分け、検品、詰合せなどは、物流機能の流通加工に該当します。
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卸中抜き
卸中抜きとは、従来、メーカーと小売業者との間に介在していた卸売業者を排除して、メーカーと小売業者が直接取引したり、メーカーが消費者に直接販売し、中間の流通業者を全て不要にするような現象を言います。
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物流センターで行う作業や、利用されている仕組み
``` ●入荷と検品 ・入荷では、メーカーから届いた商品を荷受けします。 ・検品では、荷受けした商品や商品の数に間違いが無いか確認します。  現在では、EDI システムを介して、入荷前にメーカーから送付される事前出荷明細(ASN:Advanced Shipping Notice)を使用して検品作業を行うケースが多くなっています。具体的には、「ASNの商品や数量の情報」と、「検品の際にハンディ端末で読み取った商品バーコードの 情報」を、コンピュータ上で照合することで、高速かつ正確に検品作業を行います。 ``` ●流通加工  流通加工は、製品に対して行われる様々な加工作業のことで、値札やラベル貼り、小分け、詰合せと言ったものがあります。 仕分け 仕分けは、店舗別に商品を分類する作業です。近年では、さらにカテゴリー別納品を行うためにカテゴリー別に仕分けを行うこともあります。 ●保管  入荷した商品は、荷捌きを行った上で所定の場所に保管します。商品の場所を決めて、どこに保管されているかを管理することを、 ロケーション管理と呼びます。 ・固定ロケーション:ピッキング作業が効率的。品種が多いときはスペース効率が悪くなります。           定番商品が多い場合、品種が少ない場合に適用します。 ・フリーロケーション:スペース効率を高めることが可能。都度場所を決めるため管理が複雑なため、自動倉庫システムの導入が前提。            取り扱い品種の入れ替わりが多い、または多品種少量の場合に適用します。 一般的に出荷量が多く高回転の商品は、倉庫の出入り口の近くに配置した方が、作業の動線などが短くなり効率的です。 多品種少量の商品の検品作業は、取り扱う品目が多く、付き合せする情報の量も多くなるため大変です。 ハンディ端末を利用することで、読みとったバーコード情報と、ASNのデータをコンピュータ上で素早く照合できるため、 検品作業が高速かつ正確に行えます。 フリーロケーションは、固定的に保管場所を決めずに、その都度最適な場所を決める方式です。 このため入荷日が異なれば、同一品目でも違う場所に保管される場合があります。
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ASN(Advanced Shipping Notice)、SCM(Shipping Carton Marking)
EDIを介してメーカーから事前に送付される出荷明細は、ASN(Advanced Shipping Notice)と呼ばれます。 SCM(Shipping Carton Marking)ラベルとは、ASNと納品された商品とを照合するため、納品される段ボールなどに貼られる バーコードラベルのことです。
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ピッキング作業
物流センター内のピッキング作業とは、出荷オーダーに従って、商品を棚から取り出す作業で、次の2種類があります。 ●種まき方式(トータルピッキング・バッチピッキング・品種別ピッキング) 複数のオーダーをまとめて品種別にピッキングして後で店舗別に仕分けする方法  メリット:1度のピッキングデフ数のオーダーに対応できるためピッキング作業が効率的 デメリット:仕分け作業が複雑になるため、品種が多い場合は、かえって効率が低下することがある。    適用:品種が少なく出荷数量が多い場合に適している。 ●摘み取り方式(シングルピッキング・オーダーピッキング・リレー式ピッキング) 店舗単位、オーダー単位でピッキングをする方法  メリット:ピッキングと仕分け作業が同時に行える デメリット:オーダーごとに摘み取るため、移動距離が長くなる*      *リレー式ピッキングは自分の担当作業範囲が終了したら、次の範囲の作業者にコンテナを受け渡す、       というように複数人で作業を行う方式のため、このデメリットを解消できる。    適用:多品種少量の場合に適している。
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一括物流と一括物流センター
複数のメーカーの商品を一括して小売店に配送することを「一括物流」と呼びます。 また、一括物流を実現するための物流センターを「一括物流センター」と呼びます。 ●一括物流のメリット  一括物流によって、カテゴリーマネジメントを実現する「カテゴリー納品」、指定した時間に納品される「定時定配」、物流センターが 検品を代行することによって小売店頭での検品を省略する「ノー検品」といった、小売業が求める納品が実現しやすくなります。 ●一括物流センターの種類  一括物流センターの種類には、在庫を持つ「在庫型センター」と、在庫を持たない「通過型センター」の2種類があります。  また、通過型センターには、さらに「ベンダー仕分型」と「センター仕分型」の2つのタイプがあります。
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クロスドッキング
通過型センターで行われるような、商品を在庫せずに出荷する仕組みやシステムのこと。 クロスドッキングを効率的に行うためには、入荷と出荷の情報が EDI によって管理されていることが必要です。 *EDI は、小売とベンダーの間の受発注などを電子化することです。
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ユニットロード
ユニットロードとは、コンテナやパレットなどを使用し、複数の貨物をひとまとめにして、1 つの貨物にしたものです。 貨物をユニットロードにすることで、輸送や荷役の効率化が図れます。 ユニットロードシステムは、貨物をユニットロードにまとめた状態で、輸送、保管、荷役を行うシステムです。 ユニットロードシステムを導入することで、荷役の機械化を行ったり、出荷地点から着地点まで一貫した荷姿で輸送することが出来ます。 さらに、物品の破損や紛失の防止、包装費の削減が可能になります。また、船・航空機・トラックなど複数の輸送手段で、物品を積み替える ことなく輸送する「複合一貫輸送」に対応できます。 ネスティング形容器とは、容器の側面に上開きの傾斜がついていて、落とし込みによる積重ねが可能なものを言います。 折畳み容器はネスティング形容器に分類されません。 通い容器とは、一定の企業や事業所などの輸送間で用いられる容器のことであり、繰り返し使用されるという特徴があります。 物流クレートとは、商品を輸送する際に使用されるプラスチック製の通い箱のことです。 これまではメーカー各社が自社専用のものを使用していましたが、「物流クレート標準化協議会」が発足し、 2007年4月に2種類の規格(標準サイズ)が策定されました。
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パレチゼーション
パレチゼーションとは、荷物をパレットに載せて、そのまま荷役や輸送、保管などの物流を行うことです。 出発地から到着地まで、同じパレットに載せたまま輸送などを行う方法を一貫パレチゼーションといいます。 車両や船舶などの異なる輸送機関においても、すべてパレットにより輸送します。 パレチゼーションを用いると、フォークリフトを用いて荷物をパレットごと積み替えたりできるため、 輸送作業の合理化や効率化が図れます。しかし、荷物だけでなくパレットも合わせて載せる必要があるため、 積載効率や保管効率は悪くなり、輸送量の増加にはつながりません。パレチゼーションは、ユニットロードシステムの一種です。
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モーダルシフト
モーダルシフトとは、貨物の輸送方法を転換することです。 一般的には、トラック等による輸送から、鉄道や船舶による輸送に転換することを指します。 これにより、CO2 の排出量を抑制し、環境負荷を減らすことが期待されています。 モーダルシフトは、国土交通省等、政府で推進しています。 モーダルシフトを推進することにより、CO2 削減、エネルギー節約、道路交通混雑・騒音の低減などのメリットが期待されています。 また、鉄道や船舶による長距離区間の一括大量輸送が可能になり、コスト削減につながります。 一方、モーダルシフトに対応した港湾設備やコンテナ船などの整備が必要になります。 また、工場から店舗へ貨物を輸送する場合、鉄道や船舶だけで全区間を輸送することはできません。 工場などから駅や港まではトラック等での輸送が必要です。そのため、モーダルシフトでは、トラックから船舶などへの貨物の積み直しが 発生します。さらに、鉄道の路線は定まっているため、トラック等に比べて遠回りになる場合があります。これらによって、リードタイムが 長期化するというデメリットがあります。
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共同物流の特徴
共同物流は、物流を効率化するために、複数の事業者が共同で物流を行うことです。 共同物流を推進した場合、共同物流に対応できる事業者が選択され、その業者に物流の依頼が集約される傾向になります。 この結果、物流事業者は減少する傾向となります。 共同物流により、異なるメーカーの商品を同時に配達できるため、小売店側の受入作業の回数を減らすことができます。 この結果、物流のサービスレベルは高くなる傾向となります。 ●共同物流のメリット(事業者側) ・同じトラックに、複数の卸売企業の商品を混載して配送することで、1社で配送するよりも積載効率が良くなる。 ・物流を効率化しコストを削減できる。 ・道路混雑の緩和や環境負荷の低減が期待できる。 ●共同物流のメリット(小売店側) ・一括で納品されることで、受入作業を軽減できる。 ●共同物流の課題(理論上はメリットが大きいが、実際にうまく行かないケースもある) ・今まで競合だった複数の業者が連携する必要があり、足並みが揃わないことが多い。 ・共同化によって、荷動きなどの情報が同業者に知られることになるため、それを避けたいという意識が働きやすい。 ・共同化をするための、業者間での作業の分担方法や、ルールの統一化などの運営ノウハウが十分でない。 ・納品頻度や配送時間の、個別要求への対応が難しい。
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トレーサビリティ
トレーサビリティとは、例えばスーパーに並んでいる食品が、いつ、どこで、誰によって生産されたのか、どのような流通経路を通って 店頭に並んでいるのか、を追跡できる仕組みのことです。特に食品業界ではBSE問題を契機にトレーサビリティが重視されおり、農水省が トレーサビリティの解説や導入するための手引きを発表しています。 ●食品トレーサビリティシステムの導入目的と留意点 (1) 食品の安全確保への寄与  ① 食品事故や不適合が生じた場合に、その原因を探索するために、迅速かつ容易にプロセスを遡ることができる。   その食品の安全性に関するモニタリング・データが記録されていれば、原因の探索が容易になる。  ② また、正確で迅速な撤去・回収を行うために、事故や不適合が生じた食品を絞り込み、その行き先を特定することができる。  ③ さらに、食品の履歴に由来する健康への予期せぬ影響や長期的な影響が明らかになった場合、その食品の履歴情報が保存されて    いれば、データの収集を容易にしリスク管理手法の発展を助ける。  ④ 事業者の責任を明確にする。 (2) 情報の信頼性の向上  ① 経路の透明性を確保する。  ② 消費者と取引先、国および地方公共団体への迅速かつ積極的な情報提供を行うことができる。  ③ 食品と記録の照合関係を確保することによって、表示の正しさを検証できる。 (3) 業務の効率性の向上への寄与   食品を識別記号によって管理することや、食品の素性に関する情報の保管や伝達を行うことによって、在庫管理や品質管理を 効率的に行うことができるようになる。これによって費用の節減や品質向上の効果を期待できる。 ※農林水産省「食品トレーサビリティシステム導入の手引き(食品トレーサビリティガイドライン)」平成20年3月第2版  P15~P16より抜粋
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POSシステムの導入効果v
POSシステムは、Point of Salesの略で、各商品のバーコードを精算時に読み取り、販売時点の情報を収集・管理するシステムです。 このシステムについて押さえておきたいポイントとして、次のような内容があります。 ●プライスルックアップ(PLU)  商品に付いているバーコードは、一般的にJANコード※が広く用いられていますが、このバーコードには、価格情報が含まれていません。 このため、POSレジでバーコードをスキャンする際には、店舗にあるストアコントローラーと呼ばれるコンピュータから価格情報を取得 します。このように価格情報を取り出すことをプライスルックアップ(PLU:Price Look Up)と呼びます。 ※JANコード:市販されている商品に幅広く使われているバーコードで、商品共通コードとも呼ばれる。なお、詳細は以降の問題で扱います。 ``` ●POSシステムのメリット(ハード面) ・レジ作業が効率的になる。 ・入力ミスが排除できる。 ・従業員の不正防止に役立つ。 ・伝票処理業務が軽減できる。 ``` ●(参考)個人情報の保護に対する留意  POSシステムにより、「いつ」、「何が」、「どれくらい」売れたかを把握することはできますが、「誰に」「なぜ」売れたか、までは 分かりません。このため、多くの小売店で会員カードなどを発行して個人情報データベースを作り、顧客の属性情報とPOSデータを組み合わせ ることで、様々な分析を行います。こうした顧客の属性情報の取り扱いは、個人情報保護法により次のように定められています。 【個人情報保護法】  特定の個人を識別できる個人情報(氏名や住所、電話番号、電子メール、業績等の評価情報など)を保有する企業は、利用目的の特定・ 公表や、取得に際しての利用目的の通知、第三者への提供の制限などの義務があります。 POSシステムを導入するだけでは、受発注業務の効率化はできません。POSデータを、発注システムや在庫管理システムと連動させることで、 はじめて効率化が実現できます。 POSレジスタの導入により、レジの操作者や取引内容(顧客からの受取り金額や、お釣りなど)が記録されるため、POSレジスタの導入前と 比較すると不正が防止しやすくなります。 商品に付いているバーコードには、JANコードが広く用いられていますが、このコードには価格情報が含まれていません。 このため、POSレジスタでは、バーコードをスキャンすると同時に、店舗内にあるストアコントローラーから価格情報を取得、精算します。 多くの小売店では、POSシステムをより高度に活用するために、会員カードなどを発行して個人情報データベースを作り、この顧客の属性情報 をPOSデータと組み合わせて、様々な分析を行っています。こうした顧客の属性情報は、個人情報の保護が必要となりますが、POSシステムで 実現するものではありません。
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POSデータを利用した、分析手法やその活用方法
POSシステムを使用して得られた販売情報を分析して、「品揃え」「売場レイアウトや棚割の決定」「販売促進の効果測定」などに 活用すれば、様々なメリットが得られます。具体的な分析方法や活用方法には、次のようなものがあります。 ●売れ筋・死に筋分析  商品別の売上や粗利益を基準にABC分析を行います。これにより、売上や利益が大きい売れ筋商品と、売上や利益が小さい死に筋商品を 特定し、各商品の取り扱い方針について、次のように決定できます。 ・Aランクの商品(売れ筋商品):重点商品として陳列したり、販売促進に力を入れる。 ・Cランクの商品(死に筋商品):定番からカットする。 ・(参考)見せ筋商品:売上は期待できないものの、顧客を集める事ができる商品のことです。 こうした「見せ筋」で集客をして、売れ筋商品の販売や関連購買を促進します。  また、さらに市場のPOSデータと自店のPOSデータ比較することで、どのような対応が必要か、見極めることができます。 ●バスケット分析  バスケット分析では、買い物カゴの中に一緒に入っているものを分析します。これにより、一緒に購買されるものを把握し、関連陳列や、 セット販売に反映することで、客単価を向上させることができます。 ●プラノグラム  販売データに基づいて、棚割(各商品をどの棚の、どの位置に、いくつ陳列するか)を決定するシステムです。 POSデータを活用することで、棚割の変化による売上の変化がわかるため、売上が最大となる各商品の最適な配置を検討できます。 ●顧客分析  顧客情報と販売情報を組み合わせることで、顧客分析を行います。POSデータには、顧客のデータは含まれていません。 このため、例えば会員カードを発行して顧客データを入手し、個人情報データベースを作ります。このデータベースの顧客の属性情報と、 POSデータを組み合わせて分析を行うことで、次のようなことが可能となります。  ①どのような顧客が、どのような商品を購入しているかを分析し、ストアコンセプトの設定や品揃え、販売促進に幅広く役立てられる。  ②収益性の高い顧客を明確化し、顧客ごとに最適なマーケティング・ミックスを適用するといった、CRM(Customer Relationship   Management)への活用が可能となる。  ③頻繁に購入してくれる優良顧客に対して様々なインセンティブを提供する、FSP(Frequent Shoppers Program)を実施することで、   優良顧客の囲い込みが可能となる。 FSPの例)マイレージプログラムなど。
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JANコード
JAN(Japan Article Number)コードは、商品に幅広く使われているバーコードで、商品共通コードとも呼ばれます。 JANコードは、日本のJISによって規格化されており、国際的な規格であるEAN(European Article Number)コードと互換性がある13桁の 標準タイプと、日本独自の8桁の短縮タイプがあります。またそれぞれ、メーカーがつける「ソースマーキング」と、小売業が独自にコードを つける「インストアマーキング」があります。 ●JANコードの意味づけ ・国コード(ソースマーキングの上2桁) : 45または49 ・PF[プリフィックス](インストアマーキングの上2桁) : 02または20~29 ・CD(最終桁): チェックデジット(誤読を防ぐためのコード) メーカーで行うソースマーキングには、(書籍など一部の例外を除き)、価格情報が原則含まれていません。これは、価格を入れてしまうと小売店などが独自に販売価格を設定するのに支障があるためです。小売店では、各商品(JANコード毎)の販売価格をあらかじめコンピュータ上に登録し、先の問題で取り扱ったPLUを利用してレジで精算を行います。 JANコードの上2桁は、原産国を表すものではなく、商品の供給責任者の「国番号」を表します。 このため(一部例外はありますが)原産国が海外のものでも、日本の業者が輸入販売する場合は、 原則日本の国番号(49または45)が表示されます。
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ITFとGS1
●ITFコード(Interleaved Two of Five) ・概要:標準物流コードとも呼ばれるもので、物流梱包の段ボールなどの外装に表示されるバーコードです。このバーコードには、包装容器内 の商品の数量や、商品のJANコードが含まれており、箱を開けずに中身を確認できるため、仕分けや検品などで活用されています。 ・メリット:黒いバーの部分と白の空白部分の両方に意味を持たせるため、情報密度が高いということです。つまり、同じスペースで沢山の       情報を盛り込むことができます。 ・デメリット:桁落ちが発生しやすいという問題点があります。桁落ちは、途中までしか読み込めなかった場合などに発生します。 ●GS1  GS1は、グローバルなサプライチェーンにおける効率性や透明性を高めるために、国際規格を設計・策定する国際流通標準化機関です。 商品コードをはじめとして、さまざまな規格の整備を行っており、代表的なものに次のような種類があります。 ・GTIN(Global Trade Item Number):国際間の企業間取引で使用する標準的な商品コードです。 ・GLN(Global Location Number):国際間の企業間取引で、相互に企業や事業所を唯一に識別できる、国際標準の事業所コードとして  位置づけられています。 ・GDS(Global Data Synchronization):企業間で商品マスター情報を標準化し、共有する仕組みのことです。これにより、企業間取引の  効率化を高めようとしています。 ・EPC(Electronic Product Code):RFID用の商品識別コードです。 ・GS1-128:JANコードやITFコードで表示できなかった多様なデータを表示できます。例えば、製造日や製造番号などの商品関連データ、  注文番号などの業務管理データ、梱包番号などの物流管理データ、などの表示が可能です。 (Global)Trade Item:取引商品コード (Global)Location Number:事業所コード (Global)Data Synchronization:データ同期(情報共有)
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EOSの導入効果や、EOSの方式
EOSは、小売店からの発注業務を、卸売や本部などに対して、ネットワーク経由で行うオンライン受発注システムです。 ●EOSの方式  オーダーブック方式:商品一覧が掲載されているオーダーブック内のバーコードをスキャンして発注            従来自社で取り扱っていない商品でもブック上に掲載されている商品であれば発注できる。  バーコード棚札方式:陳列棚に商品バーコードを貼っておき陳列棚のバーコードをスキャンして発注            棚の在庫を実際に目視しながら発注できるためミスを防止しやすい。取り扱いのない商品は発注できない。  EOB方式     :オーダーブックが電子化された方式            POSによる売上実績データなどを見ながら発注量を決めることができる。 ●EOSを導入する「小売店」のメリット ・発注作業を省力化し効率的に行える。 ・手作業による発注ミスを防ぐことができる。 ・発注側や受注側の手作業が簡略化できるため、発注から納品までのリードタイムを短縮できる。在庫を削減できる。 ・発注時の入力データを仕入検収時のチェックリストとして使用することで、検収作業を合理化できる。 ●EOSを導入する「卸売店」のメリット ・受注作業を効率化できる。 ・EOSで受け取った受注データを使って、ピッキングや出荷などの業務を連動して行えるため、業務を効率化できる。
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CAO(Computer Assisted Ordering)
CAO(Computer Assisted Ordering)とは、小売店が自店のPOSデータを分析して、適正在庫を保つように、コンピュータを用いて自動的に 商品を補充発注するシステムです。EOSも同じ機能を持っていますが、CAOとEOSでは発注量の計算方式が異なるため、区別しています。 ●CAOの導入メリット ・適正在庫水準を維持することができるため、品切れを防止することができる。 ・自動発注を行うことによって、発注作業を大きく減らすことができる。 ・品目別の発注頻度を適正化できる。 ●CAOの留意点 ・自動発注を行う場合においても、需要の変動が見込まれる限り、変動に対応するための安全在庫を考慮する必要がある。 ●導入事例  アメリカのウォルマートが有名で、近年、小売業での導入も増えている。
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EDI(Electronic Data Interchange)
EDI(Electronic Data Interchange)は電子データ交換を意味します。 EDIにより、企業間の受発注だけでなく、見積もりや、契約書、新商品などの情報を交換することができます。 ●EDIを利用した商品補充の仕組み EDIを利用した商品補充の仕組みには、次の2種類があります。いずれも、受発注作業を効率化し、在庫を適正な水準に管理することが狙い。 ・CRP 自動補充プログラム。POSデータや基準在庫量に基づいて商品が少なくなったら自動的に発注する仕組み。     需要変動が少ない定番品の発注を行う例が多い。 ・VMI 小売側が発注する代わりに納入業者であるベンダー側で商品を送り込む仕組み。     メーカーが小売業者や卸売業者に対して行う例が多い。 ●インターネットEDI コストが安いインターネットを利用した、インターネットEDIが増えてきています。代表的なものに次の2種類があります。 ・Web-EDI ブラウザを使用したEDI  メリット:回線コストを抑えられる。画像データなどを送受信しやすい。 デメリット:取引先ごとに操作画面やフォーマットが異なる。社内システムと連携する際に手作業が発生し、全体効率化に結びつかない。 ・XML-EDI 個々のデータに特定の意味を持たせた属性を定義することが可能になる。  メリット:社内システムとの連動や取引の自動化が実現しやすい。       メッセージの標準化を行うことで異なる取引先や異なるシステム間でのデータ交換の効率化が可能 デメリット:ソフト開発が必要となるため、Web-EDIに比べるとシステム導入費が高くなる。      *ebXML:WML -EDIの国際標準で受発注やみつもりなどビジネス上のデータ交換の手順や表現形式を定めたもの ・OCR処理はEDIはデータ電子化の一形式です。 ・XML形式でのデータ交換は、システム同士でデータをやり取りする場合のもので、基本的に人が直接操作するものではありません。  同じマークアップ言語でも、HTMLはブラウザ操作などで人手を介するものになります。 ・オープンEDIとは、インターネットを介してオープンな取引に適用されるEDIのことです。インターネットEDIとも呼ばれます。  従来のEDIは専用線や専用ソフトを用いて、特定の企業同士でデータを交換していた点が異なります。 ・e-mail EDIとは、まさに電子メールにファイルを添付しデータ交換を行うことです。
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Web-EDI
Web-EDIでは、商品の売り手または買い手が用意したWebサーバーにアクセスして情報の授受を行います。 Web サーバーを用意すれば、利用者はWebブラウザを用いて利用可能になるため、比較的低コストで利用でき、ASP利用も可能です。 しかし、使用者の個別仕様となる場合が多く、全体として効率化には必ずしも結びついていない事例が多いとも言われています。 XMLでは、データ構造をユーザーが自由に定義できます。そのうえ、すべてのデータに属性を持たせ、Webブラウザなどで表示するための定義を分離したことで、コンピュータでの自動処理などに適用できます。このようにXMLは自由度が高いです。 旧来のEDIでは、漢字や画像が使えない、通信速度が遅いといった問題点がありました。そこで旧来のEDIの問題を解決しようと、画像データ を取り扱うことができるWeb-EDIの導入、活用、普及が推進されることになりました。
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EDIの規格や、交換するデータの内容
EDIの規格は、国・地域や業界によっていくつかの規格がありますが、押さえておきたい代表的なものとして次のものがあります。 ●EDIFACT(ISO 9735 / JIS X 7011)  米国と欧州が採用している標準EDI ●CII標準(JIS X 7012)  日本が採用している標準EDI。JIS(日本工業規格)で詳細を規定しています。  CIIにおけるEDIデータは、「シンタックスルール」(メッセージの構文規制)と「標準メッセージ」より構成される。  なお、標準メッセージは業界ごとに標準的なものを定めて運用している。 ``` ●JEDICOS(流通標準EDI)  経済産業省の委託調査・研究成果としてまとめられた、EANCOM(流通業用国際標準)に完全準拠したEDI。  交換されるメッセージとして次のような情報がある。(←は情報の方向)。  ・商品マスター情報 : 小売業←卸売業 / 卸売業←商品メーカー  ・発注データ : 小売業→卸売業 / 卸売業→商品メーカー  ・品切情報 : 小売業←卸売業 / 卸売業←商品メーカー  ・在庫情報 : 小売業→卸売業 / 卸売業→商品メーカー  ・POS売上情報 : 小売業→卸売業 / 商品メーカー  ・入荷予定データ : 小売業←卸売業 / 卸売業←商品メーカー  ・検品受領データ : 小売業→卸売業 / 商品メーカー  ・返品データ : 小売業→卸売業/卸売業→商品メーカー ```
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コンバージョンレート(CVR)
●コンバージョンレート(CVR)  WEB広告やダイレクトメールなどの広告では、広告の評価指標として、コンバージョンレート(CVR:転換率)があります。 コンバージョンというのは、申込や購入といった、広告の目的であるアクションを表します。 例えば、WEBサイトに訪問した人に、資料請求してもらうことが広告目的の場合は、資料請求することがコンバージョンになります。 コンバージョンレート(CVR)は、WEBの訪問者がアクションに結び付いた割合です。コンバージョンレートが大きい方が広告効果は高くなります。  CVR = アクションの数 ÷ 訪問者数 × 100(%)
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ロングテール
●ロングテール  従来、店舗では、2割の商品だけで8割の売上を占めるというパレートの法則が信じられていました。 残りの8割の商品は、あまり売上に貢献していないため、重視されていませんでした。ところが、インターネット販売では、店舗や陳列に 物理的な制約がないため、大量の品種を低コストで扱うことができます。そうすると、個別には少量しか売れていない商品でも、品種が大量 にあるため、積み上げれば大きな売上になります。インターネット販売では、実店舗と比較してロングテールが多くみられます。  グラフの縦軸は販売数です。横軸は、左から商品を売れている順に並べます。右肩下がりのグラフになりますが、インターネット販売では 商品の数が多いので、右に行っても販売数が0にならず、長く続くことになります。
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小売業の専用センター
日本での小売業の専用センターは、【卸売業者】によって、設置・運営されることが一般的です。 小売業の専用センターで共同配送を行う場合、複数の事業者が共同で物流を行います。例えば、同じトラックに、複数の事業者の商品を 混載して配送します。これによって、店舗から見ると、一度に多種類の商品を納入することができるため、結果的に配送頻度が高まり、 サービスレベルが向上するほか、トラックの積載効率が上がるため、物流コストは下がります。 通過型センターとは、在庫を持たないセンターのことです。クロスドッキングとは、商品を在庫せずに出荷する仕組みやシステムをいい、 通過型センターはクロスドッキングの機能を持っています。ただし、専用センターには、通過型センターだけではなく、在庫型センターも あります。在庫型センターは、その名の通り、在庫を持つセンターです。在庫型センターでは、各メーカーから卸売業者が運んできた商品は、一旦センターの中に在庫として保持されます。そして、小売店舗ごとにピッキングや仕分けを行って、配送・納品します。 センターフィーとは、納入業者が物流センターに商品を納入する際、そのセンターの使用料として支払う料金のことです。 大規模小売業告示とは、大規模小売業者による納入業者に対する優越的地位の濫用を規制するために、公正取引委員会によって定められた ものです。大規模小売業告示では、【納入業者】が得る利益等を勘案して合理的であると認められる範囲を超えるセンターフィーの要請を 禁止行為としています。 在庫型物流センターは、文字通り、商品の在庫を持つ物流センターのことです。在庫型物流センターでは、各メーカーから卸売業者が 運んできた商品は、一旦センターの中に在庫として保持されます。そして、小売店舗ごとにピッキングや仕分けを行って、配送・納品 します。商品在庫の所有権は、店舗に納品されるまでは物流センターに帰属します。「小売業の仕入条件が店頭渡し」とは、小売業の仕入 価格に運送費などを含めて提供する引き渡し方法のことをいいますが、仕入条件が店頭渡しであっても、物流センター在庫の所有権は、 店舗に納品するまで物流センターが持ちます。 カテゴリー納品とは、店舗に納品する際、カテゴリーが同一の商品をまとめて納品する形態のことをいいます。 これにより、店舗の売場ゾーンに即した仕分け納品が実現でき、店舗での陳列作業の負荷が軽減されるメリットがあります。 ケース、ボール、ピースの単位は、以下の分類です。 *カテゴリー納品において、特に納品単位の制約はなく、ケース、ボール、ピースのいずれの単位でも納品が可能です。 ケース:ダンボールなどの外装単位(例 缶ビール24本入りのダンボールケース) ボール:外装のなかの、小箱単位(例 缶ビール6本入りのボール紙パック) ピース:個々の商品単位(例 缶ビール1本単位) 物流センターに対して商品を店舗別に仕分けて納入するものとして、通過型の物流センターで行われる「ベンダー仕分型」があります。 物流センターで検品した後にすぐに出荷場に運び、一括配送できるメリットがあります。 物流センターを利用した取引では、商品の所有権の移転経路が「製造業→卸売業→小売業」である場合でも、物流経路は卸売業を経由させずに「製造業→小売業」のようなメーカーの直接納品とすることができます。
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一括物流センター
小売店がいくつかのメーカーに商品を発注すると、各メーカーから集まった商品を一括物流センターでまとめて梱包し、 それに応じた事前出荷明細が送信されます。小売店側では、納品前の段階で自分のところにある発注リストと、送信されてきた事前出荷明細 を突き合せれば、納品の際は事前出荷明細と現品のチェックだけで足りることになります。もし事前出荷明細がなければ、小売店側では、 自分のところにある発注リストと現品を突き合せしなければならないため、時間と手間がかかります。 小売チェーンによっては、取扱商品の多さや多店舗への配送管理が複雑な場合も多く、3PLのような物流事業者などに物流機能を一括して 任せることが多くあります。これにより、効率的なロジスティクスを実現しながら、小売業務に特化することができます。 3PL(Third Party Logistics)とは、物流機能の全体もしくは一部を外部の企業に委託することを言います。単に物流業者が配送を受託する という形態ではなく、物流戦略の企画やシステム構築なども含めて引き受ける形態を指します。荷主企業にとっては、3PLを活用することに よって、本業に経営資源を集中できるというメリットがあります。3PL事業者には、自社で倉庫や車両などの施設や設備を持つ「アセット型」 と、自社ではこれらの資産を持たない「ノンアセット型」があります。ノンアセット型の事業者は、外部の倉庫業者や物流業者を使って サービスを提供します。したがって、ノンアセット型であることによって、荷主に対してサービスを提供できなくなることはありません。 効率的にカテゴリー納品を行うには、在庫型センターが適しています。これは、ベンダー側で出荷先別またはカテゴリーごとの仕分けを行って も、通過型センターに各ベンダーから出荷商品が集まった時点で、再び出荷先別への仕分けが発生するため、二度手間になるためです。 在庫型センターは、特定の卸売業者が他の卸売業者の分も含めて、在庫を共同保管することで、一括物流を実現する方式です。
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デジタルピッキング
デジタルピッキングとは、棚に設置された表示器を用いて物流センターでのピッキング作業を支援するシステムです。 作業者は、表示器に表示された数量に従い、その棚の商品をピッキングします。作業者は紙のピッキングリストを参照することなく ピッキング作業ができるので、作業の効率化やミスの低減のメリットがあります。人の手を介さずにピッキング作業を自動化する ものではなく、表示器に従って作業者の手でピッキングを行うものです。
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ピッキングの摘み取り方式と種まき方式
ピッキング作業の摘み取り方式とは、店舗単位、つまりオーダー単位でピッキングをする方法です。 オーダー単位でピッキングするため、ピッキングと仕分け作業が同時に行えるのがメリットです。 ただし、オーダーごとに摘み取る必要があるため、移動距離が長くなります。そのため摘み取り方式は、多品種少量の場合に向いています。 種まき方式とは、複数のオーダーをまとめて品種別にピッキングして、後で店舗別に仕分けする方法です。 1度のピッキングで、複数のオーダーに対応できるためピッキング作業を効率的に行えることがメリットです。 ただし、仕分け作業が複雑になるため、品種が多い場合は、逆に効率が低下することがあります。 そのため、品種が少なく、出荷数量が多い場合に向いています。
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マテハン機器とピッキング
マテハン機器とは、「マテリアルハンドリング機器」の略称で、コンベア、フォークリフト、自動倉庫など、運搬、保管などの物流業務効率化 を支援するために用いられる機器のことをいいます。 ソーターとは、商品を店舗別、種類別などに仕分けするマテハン機器で人手を介さずに短時間に大量の仕分けを正確に行うことができます。 フローラックとは、傾斜式流動棚と言われるもので、商品を置く台が斜めになっていて、背面から前面にかけて下がっているラック(棚)の ことをいいます。商品を補充する際は背面より入れ、ピッキングする際は前面より取り出すことができます。このような構造により先入先出し が行いやすく、補充とピッキングが重なっても待ちが発生しない運用が可能です。 まとめると、ソーターは仕分用の機器であり、フローラックは保管用の機器です。
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共同物流
共同物流は、物流を効率化するために、複数の事業者が共同で物流を行うことです。 たとえば、同じトラックに、複数の卸売企業の商品を混載して配送することで、1社で配送するよりも積載効率が良くなります。 共同物流のメリットは、物流を効率化しコストを削減できることです。そのため、卸売業者の提携戦略として位置づけられます。 また、小売店側のメリットは、一括で納品されることで、受入作業を軽減できることです。 ・物流拠点の共通化などによって効率化を図ることができれば、異業種が共同物流を行うことがあります。 ・配送車両の共通化などによって効率化を図ることができれば、異なる配送先への配送も行われます。 ・共同物流ではメーカーや卸が主導する場合と小売業が主導する場合があります。  後者の場合は、着荷主である小売業側から共同物流を担う物流事業者を指定することがあります。 ・共同物流を行うことによって配送車両の積載効率が高まりますが、各企業にとっての配送数量が減るわけではありません。 ・共同物流の目的は、複数の事業者が物流を効率化することです。  物流の効率化のために、一括物流センターには複数企業の商品が保管されています。
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RFID
RFIDは、電波を使って物を認識する技術です。 例えば、SUICAやICOCAのように、ID情報が埋め込まれたタグを、接触せずに認識することに使われています。 RFID技術では、ID情報をICチップの中に記憶しています。このIC チップのことをIC タグと呼びます。 ICタグは、非常に小さく、自由に読み書きができ、数メートルまで離れても認識できるという特徴があります。 また、複数のタグの情報を同時に読み込むことも可能です。 ICチップにはメモリが搭載されており、ID情報が記憶されていますが、読み取りには電波が使われるため、金属で被覆すると 電波がさえぎられて、通常は読み取りができなくなります。 タグは不正な読み取りや書き込みを防ぐために、必要に応じてメモリに書き込まれたデータを保護し、セキュリティを強化できます。 ICタグは、商品が箱に入った状態や積み重なっている状態でも読み取りが可能です。 検品や入出庫時に、わざわざ商品を箱から取り出して読み取る必要がありません。 そのため、検品や入出庫の時間を短縮することが可能です。 ICタグは数メートル離れていても認識されます。そのため、人が商品1つ1つをバーコードリーダーで読み取ることなく、 商品の入出庫や移動を把握することができます。情報を在庫情報に即時反映させれば、リアルタイムで在庫状況を把握することが可能です。 ICタグは自由に読み書きすることができます。商品の流通過程、つまり生産、製造から物流、販売といった各段階で、 その履歴を記録していくことができます。たとえば、商品にどのような材料や部品が使われているか、その商品がどのように流通したか、 どこで販売されたか、といった情報が記録されます。このように、トレーサビリティの情報管理に活用できます。 RFIDの現在の課題の1つとして、ICタグの価格が従来のバーコードに比べて高価であることが挙げられます。 そのため、RFIDを活用した商品管理システムの導入コストはバーコードの場合よりも高価になってしまいます。
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食品トレーサビリティ
食品トレーサビリティシステムの導入の目的は、食品の安全確保への寄与、情報の信頼性の向上、業務の効率性の向上への寄与 という3点が挙げられます。目的は問題への対応だけではありません。 農水省作成資料によるとトレーサビリティとは、食品がどこから来てどこへ行ったか分かるようにするものと明記されています。 あくまで食品の移動を追跡できるようにしておくことであり、直ちに食品の安全が確保されるものではないと定義されています。 したがって、問題が起きないように、食品の安全管理を直接的に行う効果を期待するものではありません。 一方、トレーサビリティの効果の1つとして、安全な他の流通ルートを確保し、安定的に供給することがあります。 トレーサビリティの効果の1つとして、商品を特定した迅速な回収があげられています。 また、もう1 つの効果は、問題の発生個所の速やかな特定です。 トレーサビリティに取り組むためには、個々の生産者や食品事業者が、何を、いつ、どこから入荷し、何を、いつ、どこへ出荷したかを 入出荷時に記録・保存し、荷受情報の記帳をすることなどが必要になります。食品を識別記号によって管理することや、食品の 素性に関する情報の保管や伝達を行うことによって、在庫管理や品質管理を効率的に行うことができるようになります。
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・一貫パレチゼーション ・平パレット ・ワンウェイパレット ・ロールボックスパレット
・一貫パレチゼーションは、荷物を出発地から到着地まで同一のパレットに乗せたまま輸送・保管することをいいます。 ・平パレットは非常によく利用されるパレットです。平パレットは木製、鋼製、プラスチック製があり、  荷物をパレットの上においてフォークリフト等で作業するものです。 ・ワンウェイパレットは、使い捨てのパレットです。一回限りの使い捨てのパレットで、プラスチック製パレットがよくつかわれます。  従って、平パレットには木製や鋼製のものもある ・かご形状のキャスター付きパレットです。荷物を積み重ねて大量運搬することが可能です。  かご台車とも呼ばれます。従って、人力だけでも荷役することができます。
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PI値を用いた需要予測
PI値は「購買指数」と呼ばれる指標です。PI値は、客数1000人当たりの売上実績を表します。 つまり、レジを通過した1000人の顧客が、どれぐらい商品を購入したかを表すものです。 PI値には、数量ベースのものと金額ベースのものがあります。数量ベースのPI値は、1000人当たりの売上点数を表します。 金額ベースのPI値は、1000人当たりの売上金額を表します。 「ある小売店舗で、ある日3,000人がレジを通過した。この日に商品Xが60個売れた」場合、数量ベースのPI値を求めます。 PI値は1000人当たりの売上点数ですので、60÷3000×1000=20となります。 また、ある商品のPI値と客数が予想できれば、次の式で販売予測をすることができます。  販売予測 = PI値 × 客数 ÷ 1000 PI値は20なので、この店舗で翌週の同曜日に見込まれるレジ通過人数が4,000人のとき、商品Xの販売数量の予測は、次のとおり。  20×4000÷1000=80(個)
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個人情報保護法における個人情報
個人情報保護法で定められている個人情報とは、生存する個人に関する情報であり、特定の個人を識別できるものを言います。 たとえば、氏名のほか、個人を識別できる住所、電話番号、電子メール、業績等の評価情報などが該当します。 特定の個人を識別できない統計情報や、法人の情報は個人情報には該当しません。 経済産業省から出された「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」には、 個人情報保護法における個人情報について次のように示されています。 「個人に関する情報」は、氏名、性別、生年月日等個人を識別する情報に限られず、個人の身体、財産、職種、肩書等の属性に関して、 事実、判断、評価を表すすべての情報であり、評価情報、公刊物等によって公にされている情報や、映像、音声による情報も含まれ、 暗号化等によって秘匿化されているかどうかを問わない。 個人情報は、公にされている情報かどうかを問わないことが記載されています。 個人情報保護法における個人情報とは、特定の個人を識別できるものを言います。これは幅広い概念であり、特定の個人を識別できるもので あれば、プライバシーに関する情報かどうかを問いません。また、個人の思想、医療に関する事項、社会的差別の原因となる事項などは センシティブな情報と呼ばれますが、個人情報保護法における個人情報はセンシティブな情報かどうかも問いません。 ただし、このようなセンシティブな情報は、特に慎重な取り扱いが求められます。 個人情報保護法における個人情報について、「他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることと なるものを含む」とあります。そのため、それ自体は特定の個人を識別できる情報が記述されていなくても、特別な費用や手間をかけること なく他の情報を補って特定の個人を識別できる情報は、個人情報に該当します。
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個人情報保護法における個人情報
個人情報保護法で定められている個人情報とは、生存する個人に関する情報であり、特定の個人を識別できるものを言います。 たとえば、氏名のほか、個人を識別できる住所、電話番号、電子メール、業績等の評価情報などが該当します。 特定の個人を識別できない統計情報や、法人の情報は個人情報には該当しません。 経済産業省から出された「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」には、 個人情報保護法における個人情報について次のように示されています。 「個人に関する情報」は、氏名、性別、生年月日等個人を識別する情報に限られず、個人の身体、財産、職種、肩書等の属性に関して、 事実、判断、評価を表すすべての情報であり、評価情報、公刊物等によって公にされている情報や、映像、音声による情報も含まれ、 暗号化等によって秘匿化されているかどうかを問わない。 個人情報は、公にされている情報かどうかを問わないことが記載されています。 個人情報保護法における個人情報とは、特定の個人を識別できるものを言います。これは幅広い概念であり、特定の個人を識別できるもので あれば、プライバシーに関する情報かどうかを問いません。また、個人の思想、医療に関する事項、社会的差別の原因となる事項などは センシティブな情報と呼ばれますが、個人情報保護法における個人情報はセンシティブな情報かどうかも問いません。 ただし、このようなセンシティブな情報は、特に慎重な取り扱いが求められます。 個人情報保護法における個人情報について、「他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることと なるものを含む」とあります。そのため、それ自体は特定の個人を識別できる情報が記述されていなくても、特別な費用や手間をかけること なく他の情報を補って特定の個人を識別できる情報は、個人情報に該当します。
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販売データの分析
売れ筋・死に筋分析は、売上や利益が大きい売れ筋商品と、売上や利益が小さい死に筋商品を特定するものです。 商品別の売上や粗利益、回転率などを基準として、商品をランク付けして、売れ筋・死に筋の特定をします。 そのため、いったん売れ筋商品と位置付けられた商品でも、ビジネス環境や売れ行きなどが変わると、その位置付けは変わります。 インターネット通信販売では、店舗や陳列に物理的な制約がないため、大量の品種を低コストで扱うことができます。 そうすると、個別には少量しか売れていない商品でも、品種が大量にあるため、積み上げれば大きな売上になります。 これをロングテール現象と言います。これによって、死に筋商品でも数多く集めることで、少数の売れ筋商品に依存することなく 収益を上げるビジネスモデルの構築が可能となりました。 交差比率とは、商品がどれくらい効率よく利益を生み出しているかを測る指標です。交差比率は次の式で表されます  交差比率=粗利益率×商品回転率 交差比率が高い商品ほど、効率よく利益を生み出しており、利益貢献度が高いということです。 そのため、一般的には、小売店舗では交差比率の高い売れ筋商品を並べて、交差比率の低い死に筋商品を排除することを検討します。 ただし、交差比率だけで判断して直ちに商品を排除することには疑問が生じます。その商品だけで見ると死に筋商品ではあるが、 他の商品と一緒に購入されている可能性や「見せ筋」商品になっている可能性もあります。 「見せ筋」とは、その商品自体を販売することが目的ではなく、客寄せや他の商品の販売を促進することが目的である商品を指します。 例えば、派手で見栄えがする商品やグレードの高い商品は、それ自体はあまり売れませんが、集客効果があり、より手頃な売れ筋商品の 販売を促進できます。
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JANコード
・JANコードには標準タイプ(13桁)と短縮タイプ(8桁)の2種類があります。 ・JANコードは「どの事業者の、どの商品か」を表す番号で国内だけでなく、世界共通の商品識別番号です。 ・JANコード標準タイプは、上図のとおり①GS1事業者コード、②商品アイテムコード、③チェックデジットで構成されています。 ・集合包装コード(GTIN-14)の1桁目はインジケータであり、1~8の数字を使います。 ・商品アイテム数が増えて、コードが足りなくなったときは未使用の商品コードがあればそれを使用し、  それでも足りなくなったときは、GSI事業者に追加登録申請をすることができます。
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小売店舗における在庫管理、理論在庫
小売業では、在庫は、次の納入までの平均的需要に対応する在庫であるサイクル在庫と、 次の納入までに生じる不確実性に対応するための安全在庫に分けられます。 サイクル在庫は発注1回当たりの発注量を多くし発注頻度を引き下げると、増加します。 ◆理論在庫: 理論在庫は、売上報告書、仕入れ伝票、営業報告書等を元に記録された入出庫情報による帳簿上の理論的な在庫であり 帳簿在庫とも呼ばれます。平均在庫には安全在庫が含まれています。 在庫=サイクル在庫+安全在庫
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マーケットバスケット分析の相関ルールの評価
マーケットバスケット分析とは、小売店の POS データなどを解析する手法の一つです。 ある商品と他の商品がともに購入される可能性を明らかにする手法です。 同じ買い物かごに入っていることが多い商品の組み合わせを解明することからこのように呼ばれます。 <コンバージョン率> サイト訪問者が実際に取引(購買、資料請求、お問い合わせ、会員登録)に結びつけることをコンバージョンといいます。 コンバージョン率は、インターネット広告や ECサイトの効率を計るために用いられ、 たとえば EC サイトで、ある商品を実際に購入したユーザの数をその商品の紹介ページを見たユーザの数で割れば、 紹介ページのコンバージョン率となります。 <支持度(サポート率)> 顧客が商品の中で、特定の商品(X)と特定の商品(Y)の組み合わせを買う割合です。 特定の商品(X)と商品(Y)の同時購入顧客数÷全体顧客数で算出されます。 <信頼度> 特定の商品(X)を買った人が特定の商品(Y)も買う確率で、関連の強さを表します。 特定の商品(X)と商品(Y)の同時購買顧客数÷商品(X)の顧客数で算出します。 <期待信頼度> 特定の商品(Y)を単独で買う確率でその商品の人気を判断する割合です。 特定の商品(Y)の顧客数÷全体顧客数で算出されます。 <リフト値> 信頼度と期待信頼度の比率です。たとえば、特定の商品(X)、もしくは特定の商品(Y)単体の人気度と、 商品(X)と商品(Y)の因果関係のどちらが強いかを判断します。 信頼度÷期待信頼度で算出されます。
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コンバージョン率
コンバージョン率は、インターネット広告やECサイトで、効率を図るために用いられる比率です。 たとえばECサイトで、ある商品を実際に購入したユーザーの数をその商品の紹介ページを見たユーザーの数で割れば、 紹介ページのコンバージョン率となります。