財務・会計 Flashcards
計算書類等の作成義務や作成の際のガイドライン
株式会社は、会社法により計算書類(財務諸表)を作成することが義務付けられています。
計算書類には、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表(計算書類を読む際の注意事項を記したもの)があります。
なお、会社法では上記の計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)に、付属明細書、事業報告書を加えたものを計算書類等と呼びます。
取締役会設置会社では、定時株主総会の招集の通知に際して、株主に対し、計算書類及び事業報告(監査報告又は会計監査報告を含む)を提供しなければなりません。この通知の際に株主に提供する書類には、計算書類、連結計算書類、事業報告、会計監査報告、監査報告があります。
中小企業が計算書類を作成する際のガイドラインとして「中小企業の会計に関する指針」があります。
これは、日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所、企業会計基準委員会の4団体が、中小企業の拠るべき会計指針をまとめたものです。
「中小企業の会計に関する指針」は、中小企業が計算書類を作成する際のガイドラインであり、義務ではありません。
中小企業が、計算書類の作成に当たり、拠ることが望ましい会計処理や注記等を示すものです。
会計参与設置会社が計算書類を作成する際には、本指針に拠ることが適当です。
取締役会設置会社では、定時株主総会の招集の通知に際して、株主に対し、計算書類及び事業報告(監査報告又は会計監査報告を含む)を提供しなければなりません。
企業会計原則
企業会計原則は、企業会計の実務の中に慣習として発達したもののなかから、一般に公正妥当と認められたところを要約したものです。
企業会計原則は、一般原則、損益計算書原則、貸借対照表原則の3つから構成されており、さらに企業会計原則の規定を補うために企業会計原則注解が設けられています。
一般原則は、企業会計に関する一般的な指針を与える規範であり、損益計算書原則および貸借対照表原則に共通する基本原則です。
●真実性の原則:企業会計の究極目標を示したものであり、企業会計の実質的、形式的なすべての原則および手続を統括する地位にある基本原則で、企業会計は、企業の財政状態および経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならないというもの。
●正規の簿記の原則:企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならないというもの。
●資本取引・損益取引区分の原則:資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならないもの。
●明瞭性の原則:企業会計は、財務諸表によって、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならないというもの。
●継続性の原則:企業会計は、その処理の原則及び手続きを毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。
●保守主義の原則:企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならないというもの。また、企業会計原則注解では、「企業会計は、予測される将来の危険に備えて慎重な判断に基づく会計処理を行わなければならないが、過度に保守的な会計処理を行うことにより、企業の財政状態及び経営成績の真実な報告をゆがめてはならない」と規定されています。予測される将来の危険に備えて、合理的な見積額を上回る費用を計上することは、過度に保守的な会計処理であり、保守的な会計処理として認められません。
●単一性の原則:種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策考慮のために事実を歪めてはならないというもの。
*重要性の原則は、企業会計原則に規定されていません。重要性の原則は、企業会計原則注解に規定されています。
貸借対照表
貸借対照表は、損益計算書とともに中心となる財務諸表です。
貸借対照表の役割は、「一定時点の財政状態」を示すことです。
つまり、ある時点で企業がどのように資金を調達し、その資金をどのように運用しているかを表したものです。
貸借対照表は、現金や借入金、資本金などの企業の財政状態が期末の時点でどのような状態になっているかを表します。
貸借対照表には、「資産の部」、「負債の部」、「純資産の部」の3つの部分があります。
資金の調達源泉は、「負債の部」、「純資産の部」で表され、資金の運用状態は「資産の部」で表されます。
資金の調達側と運用側は必ずバランスします。なお、英語ではバランスシートといわれますが、英語でバランスは残高を意味します。
なお、貸借対照表は全ての株式会社に公告の義務がある財務諸表です。
貸借対照表の左側(借方)が資金の運用形態を表します。資金の運用状態は「資産の部」で表されます。
資産の部には、「流動資産」(「現金」、「棚卸資産」等)、「固定資産」(「土地」、「建物」等)、「繰延資産」(「開業費」等)が記載されます。
資産をマイナスする項目として「貸倒引当金」や「減価償却累計額」等があります。
貸借対照表の右側(貸方)が資金の調達源泉を表します。資金の調達源泉は「負債の部」「純資産の部」で表されます。
負債の部には「流動負債」に「短期借入金」や「買掛金」等が、「固定負債」には「長期借入金」等が入ります。
負債性引当金である「退職給与引当金」も「固定負債」に入ります。
純資産の定義は、資産総額から負債総額を差し引いたものです。
純資産の部には、株主資本である「資本金」や利益準備金と、新株予約権等も記載されます。
資産
貸借対照表の借方(左側)が「資産の部」です。
企業は利益を生み出すために、調達してきた資金を元に、様々な形で資金を運用します。
例えば、製品を作るための材料を調達したり、工場の設備を購入したりします。
「資産の部」には、このような資金の運用状態が表現されます。
「資産の部」は、さらに資産の種類により「流動資産」と「固定資産」、「繰延資産」に分類されます。
●流動資産
企業の通常の営業サイクルに含まれるか(正常営業循環基準)、1年以内と比較的短期に現金化できる(1年基準)資産です。
「流動性」とは「現金に近い、または現金化しやすい状態」のことをいいます。
◆当座資産
流動資産の中でも特に現金に近く、換金性が高い資産を表します。「現金」・「預金」が代表例です。
◆棚卸資産
販売されることで現金化される資産を表します。商業では、「商品」、
工業では「原材料」「仕掛品」「半製品」「製品」などのいわゆる在庫のことをいいます。当座資産より換金性には劣りますが、流動資産に入ります。
●固定資産
企業が長期間保有する資産のことです。具体的には、1年以内に現金化しない資産を表します。
固定資産は土地、建物、機械装置などの「有形固定資産」と特許権などの「無形固定資産」、投資有価証券などの「投資その他の資産」の3つに分類されます。
●繰延資産
実質的には費用ですが、その支払の効果が複数年にわたって期待されるため、一度に費用化せずに一時的に資産としての計上が認められているものです。
償却年数の限度は「創立費」「開業費」「開発費」は5年、「株式交付費」は3年、「社債発行費」は社債の償還期間内とされています。
流動資産の比較的短期間とする期間の基準
「流動資産」には、比較的短期間に現金化される資産が含まれます。
その基準としては、正常営業循環基準または1年基準に当てはまる資産を表します。
正常営業循環基準は、通常の営業サイクルで発生する資産を表し、現金、売掛金、受取手形、貸倒引当金、商品、製品、原材料、仕掛品などを含みます。
1年基準は、決算日の翌日から1年以内に決済期日が到来する資産を表し、短期貸付金などを含みます。
無形固定資産3種類
「無形固定資産」は、記述の通り形のない資産を表し、「特許権」を始めとする知的財産権(実用新案権、意匠権、商標権等)や、
企業の買収・合併で発生する「のれん」、「ソフトウェア」などを含みます。
無形固定資産 のれん
企業の買収・合併などで発生する無形固定資産です。企業を買収するときには、買収される企業の株式を時価で取得します。
このとき、買収にかかった投資額つまり時価総額と、買収された企業の純資産の金額に差額が発生します。
このような場合は、差額を「のれん」という科目に計上します。
現行の会計制度では、他の企業の事業が持つ高い収益性を獲得しているブランド等を有償で取得した場合は、
その収益性を「のれん」として「無形固定資産」に計上することができます。
ただし、自社が獲得している収益性のあるブランド等を無形固定資産に計上することは認められていません。
無形固定資産 研究開発費
「研究開発費」には、人件費、原材料費、間接費の配賦額など研究開発により発生した全ての費用が含まれますが、
一般的に原価性がないものと考えられるため、通常は「一般管理費」として発生した期の費用に計上します。
したがって、自社の研究開発活動により特許権を取得した場合でも、それまでの年度に支出された研究開発費を戻し入れることはありません。
無形固定資産 ソフトウェア
ソフトウェアの会計処理は、将来の収益との対応関係から制作目的により異なります。
自社利用のソフトウェアは、そのソフトウェアを用いて外部にサービス提供するものや、社内の生産活動や管理活動等に利用するものが該当します。
例えば、会計ソフトを購入した場合の取得費用を計上します。その利用により、将来の収益獲得や費用削減が確実であるか認められるものは、
無形固定資産として計上します。それ以外は、発生時に全額費用処理となります。
市場販売目的のソフトウェアは研究開発活動により製品マスターが作られるまでは
知識を具現化するためにかかった費用として研究開発費を計上します。
その後製品マスターは市場販売するまでの活動により、会計処理が異なります。
市場販売における生産活動に移行した後は、ソフトウェアの制作費は棚卸資産として資産計上されます。
無形固定資産として資産計上する会計処理を行うのは、製品マスターが機能の改良・強化された場合のみです。
「受注制作のソフトウェア」とは、販売先のユーザーから受託して、ユーザーから要望された特定の仕様で制作するソフトウェアのことをいいます。
「受注制作のソフトウェア」の制作費用は、請負工事の会計処理に準じて処理します。また、「受注制作のソフトウェア」については、
ソフトウェアが完成していない段階でも、その進捗部分について成果の確実性が認められる場合には「工事進行基準」により
収益の認識を行うことが認められています。認められない場合は工事完成基準が適用されます。
したがって、受注制作のソフトウェアの制作費は、請負工事の会計処理に準じて処理され、
無形固定資産に計上されません。
無形固定資産として計上されたソフトウェアは一般的にはその利用期間(原則5年以内)にわたって月割りで残存価額0円まで償却されます。
繰延資産、研究開発費と開発費
その支出が将来にわたって価値を生む可能性がある(その支払いの効果が複数年に渡って期待される)費用を振り替えて、
一度に費用化せずに一時的に資産として計上しておくものです。例:株式交付費・社債発行費・創立費・開業費・開発費など
「研究開発費」と「開発費」については、共に商品の研究開発などにかかった費用を表しますが、
通常、毎年行う研究開発活動の費用は原則「研究開発費」として費用計上します。
一方、画期的な新技術・新商品・新市場を開発するなど特別に支出した費用の場合、
「開発費」という繰延資産として計上することが認められています。
→要は、一度に巨額の費用として計上するのではなく、平準化することが望ましければ開発費。
毎年ランニングコストとして発生する費用は研究開発費として計上する。
負債
「負債」とは、将来返済する義務がある債務です。そのため他人資本と呼ばれることもあります。
純資産を「自己資本」と称するのに対して、負債は「他人資本」と呼ばれることもあります。
「負債の部」は、大きく「流動負債」と「固定負債」に分類されます。
●流動負債
「支払手形」「買掛金」「短期借入金」、「その他の流動負債」として「前受収益」や「未払費用」といった経過勘定が表示されます。
企業の通常の営業サイクルに含まれており、比較的短期間に返済する項目が含まれます。
●固定負債
返済義務が1年を超える債務の項目が表示されています。「社債」「長期借入金」「退職給付引当金」などが含まれます。
「退職給付引当金」は負債性引当金なので、負債の部に記載されますが、「貸倒引当金」は評価性引当金として、資産の部のマイナス項目として表示されます。
一般的に「資産の部」「負債の部」は、現金化しやすいものから順に上から記載されます。
現金化のしやすさのことを流動性と呼びますので、この配列法は「流動性配列法」と呼ばれています。
「支払手形」と「買掛金」をあわせて、仕入債務と呼びます。一方「受取手形」と「売掛金」を売上債権といいます。
また、経過勘定のうち、「前受収益」は翌期にその分の役務を提供する債務を負い、
「未払費用」はその費用分を翌期に支払う義務を負うので、両者とも流動負債に表示されます。
純資産
「純資産の部」は、「資産の部」から「負債の部」を差し引いた差額です。「純資産の部」は、投資家が出資した資金(返済義務なし)と、企業が蓄積してきた利益(内部留保)を合計したものです。負債の場合の他人資本のように、純資産も自己資本または単に資本と呼ばれることもあります。
「株主資本」には「資本金」や「資本剰余金」、「利益剰余金」、「自己株式」が含まれます。また「新株予約権」も純資産の部に含まれます。
「資本剰余金」「利益剰余金」のうち「資本準備金」「利益準備金」は法定準備金と呼ばれ、将来多額の損失が発生した場合などに備えて、
一定以上の金額を積み立てておくものです。
●株主資本
◆資本金
「資本金」は、企業が株式を発行し、株主から払い込みを受けた金額のうち、資本金として繰り入れられた金額です。
会社法では原則として株主から出資された全額を「資本金」とすることとしていますが、払込金額の2分の1以下までを資本に組み入れず、
その金額を「資本準備金」とすることも容認しています。
◆資本剰余金
「資本剰余金」には、「資本準備金」と「その他資本剰余金」が含まれます。「資本準備金」には、株主から払込みを受けた金額のうち、
資本金としなかった額が積み立てられます。さらに、「その他剰余金」から配当を行った場合に積み立てられた額も含まれます。
◆利益剰余金
「利益剰余金」には、「利益準備金」と「その他利益剰余金」が含まれます。「利益準備金」は、「その他利益剰余金」から配当を行った場合に積み立てられた金額です。「その他利益剰余金」には、「任意積立金」と「繰越利益剰余金」が含まれます。「任意積立金」は株主総会の決議によって任意に積み立てられた剰余金です。
「繰越利益剰余金」は、前期からの繰越利益に当期の利益を加え積立金を控除したもので、利益処分の原資となる金額です。
◆自己株式
自社が発行した株式を、自らが取得して保有しているものです。「
自己株式」は、本来であれば資金調達手段である株式を自社が買い取るため、株主資本からマイナスで控除されます。
●新株予約権
株式を特定の価格で購入できる権利で、コール・オプションのことを意味します。
企業側は資金調達、ストックオプション、ライツプラン(買収防衛策の一種)などに利用できます。
損益計算書
損益計算書は、Profit and Loss Statement、略してP/Lと呼ばれます。損益計算書の役割は、「一定期間の経営成績」を示すことです。
簡単に言えば、どれぐらい儲かっているのかを示したものです。
儲けは利益として表されます。また、利益は売上などの収益から、各種の費用を引いたものです。
よって損益計算書は、「収益」と「費用」、「利益」から構成されます。
損益計算書では、どのような活動で儲けが出ているのかを分かりやすく表現するために、利益を5段階で表します。
●売上総利益
売上から売上原価を差し引いた利益。商品力を表す。
●営業利益
本業である営業活動により稼いだ利益。売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引く。
●経常利益
本業ではないが経常的な営業活動や財務活動を含めて得た利益。営業利益から営業外収益を足し、営業外費用を引く。
●税引前当期純利益
経常利益に特別利益(臨時の固定資産売却など)を加え、特別損失(災害損失など)を引いた利益。
●当期純利益
税引前当期純利益から法人税・住民税及び事業税等を差し引いた額。これが配当や社内留保の原資となります。
売上高~売上総利益
「売上総利益」には、「売上高」から「売上原価」を差し引いた利益の額が示されています。粗利益や粗利とも呼ばれます。
原価がかからず、売上高が上がる商品は商品力が強いといえます。ここから、様々な費用が差し引かれていきます。
そもそも儲からない商品やサービスを展開すると、この下の諸費用を節約したところで企業収益改善のためには根本的な解決にはなりませんので、
最終的な利益を確保するためにも売上総利益=いわゆる「粗利」が確保されていることは、企業活動上重要なことになります。
●売上高
売上高 = 商品の販売額 + 役務の提供金額
●売上原価
売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 ― 期末商品棚卸高(+ 棚卸減耗費 + 商品評価損)
で求めます。売れ残った分(期末在庫)については、当期の商品仕入高から「期末商品棚卸高」として差し引かれ、
その分は「繰越商品」(資産)で翌期に繰越され、「売上原価」とはなりません。
「繰越商品」は「期首商品棚卸高」として、その期の売上原価に算入されます。
販売にかかる費用は「販売費および一般管理費」となり、「売上原価」には入りません。
「材料費」や「労務費」は当期に消費した分だけ、「製造原価」に入ります。
そして当期に完成した製品の中から売上に関わった製品だけが、当期の「売上原価」に算入されます。
当期製造された中でも売れずに在庫になった製品は翌期以降に繰り越され、当期の費用とはなりません。
営業利益
「営業利益」には、「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」を差し引いた利益の額が示されています。
●販売費及び一般管理費
販売費と一般管理費を合計した費用です。「販売管理費」または「販管費」とも呼ばれます。
◆販売費・・・広告宣伝費や販売員の給与など販売活動にかかった経費。 (例) 「販売手数料」 「荷造費」 「運搬費」など
◆一般管理費・・・事務所の家賃や、間接部門の給与など、管理活動にかかった経費。 (例) 「光熱費」 「消耗品費」 「減価償却費」 「通信費」 「貸倒引当金繰入額」など
*直接工員の直接作業時間の賃金は、製造原価に算入されます。
*「販売費及び一般管理費」には、「減価償却費」や「貸倒引当金繰入額」も含まれますが、「支払利息」は営業外費用になります。
経常利益、営業外収益、営業外費用
「経常利益」には、「営業利益」に「営業外収益」を加え、「営業外費用」を差し引いた利益の額が示されています。
したがって、「経常利益」は、経営活動全般を通じた利益を表します。
このような資金調達にかかる費用を含めて計算した利益が、「経常利益」となります。通常では発生しない費用や収益は特別損失、特別利益になります。
●営業外収益・・・本来の営業活動以外の活動から生じる収益。 (例) 「受取利息」 「有価証券利息」 「受取配当金」 「仕入割引」 「有価証券売却益」 「有価証券評価益」など
●営業外費用・・・本来の営業活動以外の活動から生じる費用。 (例) 「支払利息」 「売上割引」 「社債発行費償却」 「開業費償却」 「有価証券売却損」 「有価証券評価損」など
*「前期損益修正益」は特別利益です。
*「減価償却費」は販売費及び一般管理費です。
税引前当期純利益、特別利益、特別損失及び当期純利益
「税引前当期純利益」には、「経常利益」に「特別利益」を加え、「特別損失」を差し引いた利益の額が示されています。
「税引前当期純利益」は、臨時的な利益・費用を含めた、企業の総合的な利益を表しています。
税制は各国によってかなり違うため、税引前当期純利益は企業の国際比較などによく利用されています。
●特別利益
前期損益修正益、固定資産売却益など臨時的・例外的に発生した収益です。
●特別損失
前期損益修正損、固定資産売却損、減損損失、災害による損失、設備の廃棄による損失、など臨時的・例外的に発生した費用です。
●税引前当期純利益
「税引前当期純利益」には、「経常利益」に「特別利益」を加え、「特別損失」を差し引いた利益の額が示されています。
●当期純利益
「当期純利益」には、「税引前当期純利益」から「法人税、住民税及び事業税」を差し引いた利益の額が示されています。
「当期純利益」と前期繰越利益を合わせて、貸借対照表の「繰越利益剰余金」となります。
「繰越利益剰余金」から、利益処分として株主への配当などが行われます。
さらに、残った金額が企業の内部留保として、成長していくために使われていきます。
*雑収入は「営業外収益」に属します。
収益の認識基準
収益の認識基準には、「現金主義」、「発生主義」、「実現主義」の3つの考え方があります。
現行の制度会計では、費用については原則として発生主義を、収益については原則として実現主義を採っています。
収益について発生主義でなく、実現主義を採っているのは、収益の確実性と客観性、処分可能性を確保するためです。
●現金主義
「現金主義」とは、現金収入があったとき(現金の受取時点)に、収益を計上する考え方です。
通常は企業間の取引では「現金」ではなく、企業間信用に基づいて取引されているため、「現金主義」では期間損益を適切に表現できません。
●発生主義
「発生主義」とは、現金の受取りとは関係なく、収益を「発生を意味する経済的事実」に基づいて計上する考え方です。
発生主義は、事実上収益の発生が確定した時点で計上する考え方です。
●実現主義
「実現主義」は、「発生主義」をより厳しくしたものと言えます。
「実現主義」では、商品やサービスを販売し、債権の発生が確定した時点ではなく、債権の回収が確定した時点で計上する考え方です。
つまり、企業が(企業外部に)商品・サービスを提供し、その対価として現金または売掛金・受取手形などの
現金同等物を受け取った時点(①企業外部の第三者に財貨または用役を提供していること、
②その対価として現金または現金同等物を受領するこという2つの要件を満たしたとき)で計上する考え方となります。
実現主義は、具体的には販売という行為をもって収益の実現とすることから、販売基準ともよばれます。
損益計算書の作成
売上総利益 = 売上高 - 売上原価
営業利益 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費
経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用
税引前当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 - 特別損失
当期純利益 = 税引前当期純利益 - 法人税・住民税及び事業税
株主資本等変動計算書
「株主資本等変動計算書」は、Statements of Shareholder’s Equity、略してS/Sと呼ばれます。
株主資本等変動計算書の役割は、「貸借対照表の【純資産】の変動状況」を示すことです。
平成18年の会社法施行時に、株式会社は株主総会や取締役会の決議で剰余金の配当がいつでもできるようになりました。
そのため、資本金等の数値の変動を連続的に一覧で把握できるよう作られたものです。
「当期純利益」は「繰越利益剰余金」に繰り入れられます。
また、配当などの利益処分を行なったり、増資などを行うことで純資産の金額は変動します。
株主資本等変動計算書では、純資産の部の項目が表の列として表現されます。
一番上の行は、純資産の部の「当期首残高」、一番下の行が「当期末残高」となっています。
また、その間が「当期変動額」となっており、年間の純資産の変動がわかるようになっています。
剰余金の配当による利益準備金積立
「剰余金の配当による利益準備金積立」は、剰余金の配当を行った場合に、一定の割合を「利益準備金」に積み立てたものです。
「利益準備金」には積み立てた額、「繰越利益剰余金」には同じ額だけマイナスした額が表示されます。
株主資本等変動計算書における「当期純利益」
株主資本等変動計算書における「当期純利益」は、損益計算書の「当期純利益」ですので、数値は同じです。
また、株主資本等変動計算書の列に表示されている各項目の当期末残高と貸借対照表の純資産の部の各項目の残高は一致します。
当期末純資産合計額当期末純資産合計額は、次の公式で計算します。
当期末純資産合計額は、次の公式で計算します。
当期末純資産合計 = 前期末残高 + 当期変動額合計
工事契約に関する会計基準
「工事契約に関する会計基準」とは、仕事の完成に対して対価が支払われる請負工事のうち、
基本的な仕様や作業内容を顧客の指図に基づいて行う工事契約について適用される会計基準です。
工事契約に関して、工事収益総額、工事原価総額および決算日における工事進捗度を合理的に見積もり、
これに応じて当期の工事収益を認識する方法です。
原価比例法とは、決算日までに実施した工事に関して発生した工事原価が工事総額に占める割合をもって決算日における工事進捗度とする方法です。
工事進捗度 = 決算日までに発生した工事原価累計額 ÷ 工事原価総額