D3 熟達した専門的能力および専門職としての正当な注意 Flashcards
18%
以下の状況の中で、監査人の客観性が損なわれないのはどれか。
a. 監査対象部門の者と利害関係にある。
b. 業務のローテーションがないため、監査される側が監査人と知り合いになっている。
c. 監査人が業務を一時的に引き受ける。
d. 適切な場合は、外部の専門家の意見に依存する。
【解答と解説】
正解:d
内部監査部門に一定の知識や専門的知識がない場合、内部監査人は、適宜に外部の専門家の意見に依存するべきである。
a.b.c. これらはすべて、監査人の客観性が毀損されるケースである。
DIII
「基準」において、内部監査人には、以下のどのスキルが要求され
I 内部監査人は、人間関係を理解し、優れた人材管理能力がなければな
い。
II 部監査人は、良好なビジネス慣行からの逸脱の重大性と重要性を評価することができなければならない。
III 内部監査人は、経済、会社法、税務、財務、および情報技術などについての専門的知識が必要である。
IV 内部監査人は、口頭および文書による、優れたコミュニケーション能力を有するべきである。
a. IIのみ
b. IおよびIII
c. IIIおよびIV
d. I、IIおよびIV
【解答と解説】
正解:d
内部監査人には、自らの職責を果たすために必要な知識等が求められているが、監査責任に関連する広範な分野の専門的知識は期待されていないため、IIIの専門的知識は求められていない。
内部監査人は、適切な業務運営の認識能力、人間関係の理解力および口頭や文書によるコミュニケーション能力が求められる。
監査人の資格および専門的能力に関しては、合理的な保証を得なければならない。
この原則の適用として不適切なものは、以下のうちどれか。
a. すべての志願者が会計学位を持っているか確認する。
b. 大学の成績証明書を取得する。
c. 志願者の身元を確認する。
d. 職歴を確認する。
【解答と解説】
正解:a
内部監査部門の構成員は、それぞれが、すべての分野の技能を有している必要はない。内部監査部門には、監査業務遂行に必要な知識、スキルおよび規律が要求される。内部監査スタッフは、組織内において専門的職業の実務に必要な知識、スキルをチームとして持っていなければならない。これらの属性には、内部監査基準、手続および
技能を適用する専門的能力が含まれる。
また、内部監査部門は、会計、監査、経済、財務、統計、情報技術、エンジニアリング、税務、法律、環境問題などの専門分野や、その他内部監査部門の責任を果たすために必要な能力を有した従業員を雇用するか、または外部のサービス提供者を活用すべきである。
b.c.候補者を決定するための適切な手続である。
d.職歴の確認は、適切な雇用プロセスである。
内部監査部門では、内部監査技能、会計および経営管理の原則については十分な理解を持っているが、経済とコンピュータ・システムの専門知識は持っていない者の雇用を考えている。この者を雇用するのが最も適切であると思われるのは、以下のうちどの場合か。
a. 実際の雇用前に、専門的能力の向上プログラムを受ける合意がある場合。
b. 個人に合わせて作られた専門的能力の向上プログラムを終了するために、指導者が割り当てられた場合
c. 他の監査人が、経済とコンピュータ・システムの十分な専門知識を
る場合。
d. 候補者が長期的にそれら分野における十分な知識を取得することが、合理的に期待されている場
【解答と解説】
正解:c
内部監査部門の構成員は、それぞれが、すべての分野の技能を有している必要はない。
内部監査部門には、監査業務遂行に必要な知識、スキルおよび規律が要求される。内部監査スタッフは、組織内において専門的職業の実務に必要な知識、スキルをチームとして持っていなければならない。これらの属性には、内部監査基準、手続および技能を適用する専門的能力が含まれる。
また、内部監査部門は、会計、監査、経済、財務、統計、情報技術、エンジニアリング、税務、法律、環境問題などの専門分野や、その他内部監査部門の責任を果たすために必要な能力を有した従業員を雇用するか、または外部のサービス提供者を活用すべきである。
a.b.d. これらはすべて、内部監査人としての専門的能力の向上として望ましい状況ではあるが、特にこのケースに限ったことではなく、あらゆる場合
にいえることである。
内部監査人の専門職としての正当な注意に関する、正しい記述はどれか。
a. 監査手続が適用される事項の相対的な重要性と意味を考慮しなければならない。
b. コストと関係なく、監査の潜在的なメリットについて強調すべきである。
c. 立された業務基準が満たされているかを考慮し、これらの基準が
かは考慮しない。
d. 法令違反が発生していないという絶対的な保証を与えなければならな
【解答と解説】
正解:a
専門職としての正当な注意の行使は、合理的な監査スキルと判断を用いて監査を行うことを意味する。そのため、内部監査人は、(i)監査目的の達成のために必要な監査業務の範囲、(i)監査手続が適用される事項の相対的な重要性と意味、(iii)内部統制の妥当性と効果、(iv)重大な誤謬、法令違反等の可能性(v)潜在的なメリットと監査のコストの関係、などについて考慮しなければならない。
b. 内部監査人は、監査開始にあたり、費用対効果を考慮しなければならない。
c. 正当な注意には、「規定された業務基準の評価と、それら基準が受け入れられるか、満たされているかの判断」が含まれている。
d. 注意とは、全く過失のないことを意味するものではないため、「絶対的な保証は必要とされない。
「専門職としての正当な注意」に関する、正しい記述はどれか。
a. 監査人は、報告書を発行する前にすべての取引について詳細なテストを行うべきである。
b. 監査人が絶対的な確信を持っていない限り、その事について報告書で言及してはならない。
c. 監査報告書は、主題に関する絶対的な真実を提供するものと考えては
い。
d. 監査人は、改善提案を行う責任は有していない
【解答と解説】
正解:c
正当な注意とは、合理的な注意と能力を意味し、全く過失がないことまたは傑出した能力を意味するものではない。よって、監査報告書が絶対的真実を提供するものとはいえない。
正当な注意は、内部監査人に対して、合理的な範囲での検証および確認を要請するが、すべての取引について詳細なレビューを要請するものではない。
したがって、内部監査人は、法令違反または不正行為が発生していないという絶対的な保証を与えることはできない。しかし、内部監査人が内部監査業務を実施する場合はいつでも、重大な不正行為または法令違反の可能性を念頭に置くべきである。
a. 上記のとおり、すべての取引についての詳細なテスト(検証)は要求されていない。
b. 上記のとおり、絶対的な保証を与えることはできない。
d. 監査人は、許容可能な実務へのコンプライアンスを促進するために、改善提案を行うべきである。
内部監査人は、監査中に、従業員による不正行為を発見できなかった。
この「発見できなかった」という事態が「基準」の違反となり得るのは、次のどの場合か。
a. 当該分野におけるすべての取引について、詳細な監査が行われていなかったことを原因とする場合
b. 当該分野で行われた可能性のある一切の不正行為には重大な影響を与える金額が関係していないという判断を原因とする場合
c. 当該分野における監査手続の延長のコストが、潜在的な便益を超過するという判断を原因とする場合
d. 当該分野における内部統制システムが妥当で効果的であるという 仮定を原因とする場合
【解答と解説】
正解:d
内部監査人は、ガバナンス、リスク・マネジメントおよびコントロールの各プロセスの妥当性と有効性に配慮して、専門職としての正当な注意を払うことを求められている。
そのシステム(体制・手続等)の有効性を確認せず、単に「対象となる分野における内部統制システムが妥当で効果的であるという仮定」に基づいて、直ちに不正行為の可能性がないと判断すべきではない。
a. 内部監査人は、対象となる分野におけるすべての取引について、詳細な監査を行うことはできない。
b. 内部監査人は、アシュアランスの手続の適用対象事項の相対的な、複雑性、重要性に配慮すべきである。
c. 内部監査人は、監査手続の費用対果を考慮すべきである。
ある大手メーカーの内部監査部門長(CAE)は、教育および技能・資格の最低条件に関して内部監査部門の規程の改定を検討している。CAEはすべての監査スタッフに、内部監査人(CIA)や公認会計士(CPA)などの、会計や監査の専門的な資格の取得を条件としたいと考えている。このような条件を課すことについてのマイナス点として正しいものを次の中から選べ。
a. 企業の財務・会計システムの品質検査実施能力にマイナスの影響がある。
b. 内部監査部門のプロ意識が促進されない。
c. 特定の監査状況で必要とされるスキルや知識が内部監査部門にない場合に、外部コンサルタントを利用する際の障害になる。
d. 監査部門の専門知識や経歴が狭められることになり、内部監査部門がカバーできる監査の活動範囲が制限される
【解答と解説】
正解:d
内部監査スタッフのスキルの多様性は、監査の活動範囲に影響し、不足した場合その範囲が制限される。会計の有資格者のみで構成されれば、財務・会計システムなどの特定の業務には特に適切に対応できるが、生産技術の改善、法律・環境面へのコンプライアンス等についてはそうではない。
内部監査部門は、各組織の活動範囲に合わせ、経験、訓練、能力を適切なバランスに保つよう努力すべきである。
a.監査部門がCIAやCPAなど、会計の有資格者のみを雇用した場合、そうでない場合と比較して、財務・会計システムなど特定の業務には適切に対応できる。
b.内部監査部門の規程に、CIAやCPAなどの専門職を最低条件として設ければ、プロ意識は促進される。
c. これが外部コンサルタントの利用に影響することはない。監査人に適切な知識やスキルがない場合、外部コンサルタントを利用すべきある。CAEは、内部監査部門が十分に能力を有していない領域について、内部監査部門の外部から支援を得るべきである。
組織が、内部監査機能のアウトソーシングの可能性を検討する場合がある。大規模な組織の最高経営者が、内部監査人より外部監査人の方が有利であると考える場合、その理由として適切なものを次の中から選べ。
a. 組織に対する知識での優位性。
外部監査人の方が、年次監査で組織に対する詳細な知識が得られる。
b. 規模の面での優位性。部監査人の方が、知識が豊富で有資格の熟練したスタッフを雇用すができる。
c. 規模の面での優位性。優先事項に左右されることのないスタッフを継続的に確保することができる。
d. ネットワークなどの組織構造面での優位性。離れた場所での監査要件に対応しやすい。
【解答と解説】
正解:d
大規模な組織の場合、事業所が地理的に離れた地域に散在していることがある。監査対象となるこれら事業所の近隣にオフィスを有する外部監査人に監
ーシング(外注) した場合には、より緊密で、より良いサービスを受けられることが多い。
a. 内部監査人の方が、継続的な監査経験により、組織についての詳細な知識を蓄積することができる。
b. 監査人の場合、知識が豊富で有資格の者が担当するであろうが、雇用の都度、異なる者が担当する恐れがあり、その組織の監査について熟達していることは稀である。一方、内部監査人の場合、「知豊富な有資格の監査人を長期雇用すれば、熟達したスタッフとなり得、安定した監査が行える。
c. 内部監査人の方が継続的に自社業務に専従でき、外部監査人とは異なり、他のクライアント(他社)の業務が優先されるおそれもない。
内部監査部門が、「医療給付についての専門知識を有する外部のコンサルを利用することが適切とされるのは、以下のうちどの場合か。
a. 医療給付を含む、退職後給付の負債見積を行う場合
b. 療給付プログラム(制度)と、同業他社のプログラムとの比較を行う場合
c. 組織の主な部門における、「医療コストの監査実施に関する訓練をスタッフに行う場合
d. 上記すべての場合
【解答と解説】
正解:d
a.〜c.すべての場合において、コンサルタントの利用が適切である。
内部監査部門長は、内部監査部門が十分に能力を有していない領域について、内部監査部門の外部から支援を得るべきである。
内部監査部門は、会計、監査、経済、財務、統計、情報技術、エンジニアリング、税務、法律、環境問題などの専門分野や、その他内部監査部門の責任を果たすために必要な能力を有した従業員を雇用するか、または外部のサービス提供者を活用すべきである。内部監査部門の構成員それぞれが、すべての分野の技能を有している必要はない。
特定の監査業務実施にあたり、必要なスキルを有する内部監査スタッフがいないため、専門家に依頼することになった。この場合、どこに依頼することができるか。次の組み合わせのうち正しいものを選べ。
I 組織が利用している外部監査事務所
II 外部のコンサルタント会社
III 現在、監査対象となっている部門
IV 大学の同期
a. IおよびII
b. IIおよびIV
c. I、IIおよびIII
d. I、IIおよびIV
【解答と解説】
正解:d
I、IIおよびIVが正しい。
IおよびIIの組織が利用している外部監査事務所、外部のコンサルタント会社は、外部専門家に依頼する場合の選択肢として適切である。
また、IVの出身大学の同期生に依頼する場合は、その同期生が外部専門家としての十分な能力を持ち、独立性と客観性を毀損しない者であれば適切である。
III 現在、監査対象となっている部門の専門家に依頼をした場合、(組織上の)独立性が損なわれる可能性がある。また、実際に損なわれなくとも、その監査業務につき、社会的な評価(信頼性等)を損なうおそれが少なからずある。
監査人は、虚偽記載の可能性についての疑いを感じているが、証拠はない。以下の行為のうち、専門職としての正当な注意に関する「基準」に違反しているものを選べ。
a. エラーが生じる可能性について検討し、監査対象のランク付けを行う。
b. 監査マネージャー(管理者)に疑いの存在を伝達し、対応についてアドバイスを求める。
c. 監査プログラムは既に監査担当役員に承認されているため、虚偽記載の可能性についてのテストは行わない。
d. 監査対象部門の承認は得ずに、監査プログラムを拡大し、虚偽記載発生の背景として最も可能性が高い状況について検討する。
正解:c
これは「基準」に違反している。監査の拡大の必要性を示唆する監査証拠があるにもかかわらず対応を怠っている。
内部監査人は、通常の業務において、不正行為が発生している可能性に応じ、不正発見に関して、「専門職としての正当な注意」を払う義務がある。
内部監査人は、不正が発生している兆候を発見するため、不正に関する十分な知識を有し、不正の発生を許す状況に注意を払い、追加調査の必要性の有無を判断し、また、権限を有する適切な者に報告すべきである。
a.b これらは、「専門職としての正当な注意」に関する「基準」を満たす適正な行為である。なお、本問における「エラー」は業務上の障害を指す。
d. これは「基準」を満たす適正な行為である。監査人が監査テスト(検証)の範囲を拡大する際、監査対象部門の承認は不要である。
「基準」によると、「内部監査人は、自らの専門的能力を維持するため、継続的な自己教育を行う責任を有している。」とされている。内部監査人の継続教育に関する記述として、適切なものを次の中から選べ。
a. CIAは、毎年40時間、少なくとも3年で120時間の継続的な専門的を行うことが求められている。
b. CIAには、CIAとしての資格を維持するために満たすべき正式な要件がある。
c. 内部監査協会の会合に役員または委員会メンバーとして参加しても、継続的な専門的能力の向上としての要件を満たさない。
d. 社内プログラムは、IIAの事前承認を得ている場合のみ、継続的な専門的能力の向上として認められる。
【解答と解説】
正解:b
専門資格を有する内部監査人は、保有する資格に応じた要件を充足するような十分な継続的な専門的教育を受けるべきである。
CIAの資格を維持するには、継続的な専門的能力の向上のための正式な教育プログラムに参加し、IIAの認定部門に報告しなければならない。
a. 「基準」では、正式な「時間数」の要件は規定されていない。「基準」の目的は、専門的な能力の維持を確保することである。
c. 専門職の会合への出席は、継続的な専門的能力の向上としての要件を満たしている。継続教育には、専門職団体への加盟および参加、会議・セミナー・大学の講義・社内の教育プログラム(研修制度等)への出席、および調査プロジェクトへ参加等がある。
d. 継続的な専門的能力の向上のための教育プログラムには、IIA(内部監査人協会)の事前承認は不要である。
継続教育を通じた専門的能力の向上を怠った内部監査人は、以下のどの項目に違反しているか。
a. 内部監査の専門職的実施の国際基準(「基準」)
b. IIAの倫理綱要
c. a.およびb.の両方に違反している。
d. a.およびb.の両方に違反していない
【解答と解説】
正解:c
a.およびb.の両方に違反している。
「内部監査の専門職的実施の国際基準」では「内部監査人は継続的な専門的能力の向上を通じて、知識、技能その他の能力を高めなければならない。」と定めており、「IIAの倫理綱要」では「自らの能力、およびその業務の有効性と質とを継続的に向上させる。(「専門的能力」倫理行為規範4.3)」と定めている。
双方とも、継続教育を通じた専門的能力の向上を求めており、これを怠った内部監査人は、これらを違反したことになる。
内部監査部門長(CAE)は監査委員会から、化学工場での監査業務を可能な限り速やかに実施するよう要求された。監査業務には、健康・安全・環境(HSE)に関する管理とプロセスのレビューが含まれる予定である。CAEは、当該業務の実施に必要なHSEに関する知識が内部監査部門にないと認識している。CAEがとらなければならない行為は、次のうちどれか。
a. 監査業務を開始し、フォローアップ業務に向けて準備すべく、翌年
HSE研修を取り入れる。
b. 工場独自のHSE担当者が監査業務を実施するよう、監査委員会に
c. HSEの専門家から適切な支援を受けるべく、監査委員会の許可を求める。
d. 監査業務を延期し、当該業務のために内部監査要員を訓練するには数カ月を要する旨監査委員会に伝える。
【解答と解説】
正解:c
a. 不正解。知識に関する問題を監査委員会に知らせず、また、その問題の解決を試みることなく、内部監査部門長(CAE)は監査を開始してはならない。
b. 不正解。これにより、HSEに関する管理・プロセスの独立性のあるレビューが監査委員会にもたらされるわけではない。
c. 正解。計画されている業務や要求があった業務に必要な知識・技能が内部監査部門にないとCAEが認識する場合、IA基準によれば、監査委員会に適切な独立資源の使用を承認するよう要求しなければならない。
d. 不正解。問題となるHSEに関する内容が原因で重大な影響が生じる可能性がある。