D1 内部監査の基礎 Flashcards
15%
内部監査の目的として、最も適切なものはどれか。
a. 独立にして、客観的なアシュアランス業務およびコンサルティング・サービスを提供することで組織体の目的達成に役立つこと。
b. 最高経営者による、会計、コントロールシステムの設計および実施を支援する。
c. 最高経営者へのサービスとして、組織の会計システムを検証する。
d. 外部監査人のために、組織の内部統制システムを監視する。
正解:a
内部監査は、組織の運営に関し価値を付加し、また改善するために行われる、独立的で、客観的なアシュアランスおよびコンサルティング活動である。内部監査は、組織の目的の達成に役立つことにある。このためにリスク・マネジメント、コントロールおよびガバナンスの各プロセスの有効性の評価、改善を、内部監査の専門職として規律ある姿勢で体系的な手法をもって行う(「内部監査の定義」)。
b. c. 内部監査の内容としては限定的である。内部監査の範囲は、より広いものである。内部監査は、会計、コントロール(統制)システムの設計および実施に関する意見は提供するが、それら手続の直接支援は原則として行わない。直接支援に
より、内部監査の客観性が損なわれることがあるためである。
d. 内部監査の目的は、外部監査人ではなく内部監査人に資することである。
内部監査部門の基本規程に含まれるものは、以下のうちどれか。
a.組織の内部監査部門の構造
b.年次内部監查計画
c. 内部監査の目的
d. 内部監査部門の目的、権限および責任
正解:d
内部監査部門の基本規程(内部監査基本規程)は、内部監査部門の目的、権限およ
び責任を定義する正式な文書である。内部監査部門長は、最高経営者による基本規程の認可と取締役会による承認を求めなければならない。
基本規程は、(a)組織における内部監査部門の位置付けを明確にし、(b)内部監査業務の遂行にあたって、必要な諸記録や関係者および物的な諸財産にアクセスする権限を認め、(c)内部監査部門における諸活動の範囲を定義するものでなければならない。
a. 内部監査部門の基本規程には、組織の内部監査部門の構造は含組まれない。
b. 年次内部監査計画は年に1度提出され、レビューおよび承認を受けるものであ
る。このような詳細な業務は、基本規程には含まれてはいない。
c. 内部監査の目的は監査ごとに規定されるもので、基本規程には含まれない。
倫理綱要に規定される倫理行為規範について、正しい記述を次の中から選べ。
a. 内部監査実施における倫理的行動の指針を規定している。
b. 内部監査人による監査対象部門への対応を支援する指針である。
c. あらゆる状況において従うべき規則である。
d. 内部監査の責任についての一般的な解釈を規定している。
正解:a
IIAの倫理綱要は、内部監査の定義に加え、次の2項目を含むように範囲を拡張している。
- 内部監査の専門職と内部監査の実践に関する「原則」
- 内部監査人に期待される行動規範を記述した「倫理行為規範」
この「倫理行為規範」は、「原則」を実際に適用する際の解釈の助けとなるものであり、内部監査人の倫理行為の指針となることを目的としている。
b. 上記に比べ対象範囲が狭いため、不適切である。
c. 上記2.には、「行為規範(行動指針)として期待される倫理規則」とある。「期
待される」のであるため、一切の例外なく遵守すると解釈することは不適切であ
d. 倫理綱要は、「解釈」ではなく「指針(原則)」である。
内部監査部門長に求められていない事項を以下より選べ。
a. 財務諸表の年次監査の情報源を提供する。
b. 外部監査人による監査業務との調整を行う。
c. 内部監査人と外部監査人との間の調整についての評価結果を、最高経営者と
取締役会に伝達する。
d. 外部監査人の業績についての評価結果を、最高経営者と取締役会に伝達する。
正解:a
通常、年次財務諸表監査は外部監査人が行うが、内部監査部門長は、年次財務諸表に関連した作業を内部監査人が実施することに同意してもよい。ただし、それが常に求められるわけではない。
b. 外部監査人の監査活動の調整は、内部監査部門長の責任で行わなければなら
c. d. 部監査部門長は、内部監査人と外部監査人の調整に関する評価結果を、必要に応じて外部監査人の業績に関するコメントを加えて、最高経営者および取締役会に伝達しなければならない。
組織に対する内部監査の適切な役割について、正しい記述はどれか。
a. 外部監査費用を削減するために、外部監査人を支援する。
b. より効率的な業務を達成するために、調査を実施する。
c. 取締役会の監査委員会の調査機能を担う。
d. 組織の運営に関し価値を付加することを目的とし、独立的で、客観的なアシ
ュアランスおよびコンサルティング活動を行う。
正解:d
内部監査は、組織の業務に関し価値を付加し、また改善するために行われる、独立的で、客観的なアシュアランスおよびコンサルティング活動である。
内部監査の目的は、組織の目的の達成に役立つことにある。
このためにリスク・マネジメント、コントロールおよびガバナンスの各プロセスの有効性の評価、改善を、内部監査の専門職として規律ある姿勢で体系的な手法をもって行う。
a. 内部監査の目的は、組織の目的達成に資することであり、外部監査人を支援することではない。
b. 内部監査の目的は、組織の目的達成に資することでる。効率的な運営達成の
責任は執行部門にある。
c. 内部監査部門は、組織上独立していなければならない。よって、監査委員会の調査機能を担うことはない。
品質保証部門は他部門の様々な業務に影響を及ぼす。そのため、監査人は、品質
保証部門の有効性に関する監査を計画した。しかし、品質保証部門は、「このような監査は内部監査部門の業務範囲外であり、我々の管轄下に置くべきである」と主張している。内部監査部門として適切な対応を選べ。
a. 内部監査部門の基本規程と、承認された監査計画(今年度指定された監査範
囲を含むもの)に言及する。
b. 品質保証は新しい部門なので、監査範囲の設定について最高経営者から許可
を求め、仲裁役となってもらう。
c. 品質保証部門に対する監査は、品質保証部門が設定し監査開始前にあらかじ
め承認した基準に従って行われると説明する。
d. 監査対象部門からの協力がなければ業務監査から生産的な結果は得られない
ので、監査を中止する。
正解:a
これが最適な対応である。当該の監査計画は、内部監査部門の基本規程(内部監査
程)で規定された正当な権限と責任に基づくものであり、た、最監査委員会によって承認された正式な計画であることに言及すべきである。
b.現行の内部監査部門の基本規程と監査計画は最高経営者によって承認されてい
あり、それは、内部監査部門に当該監査を円滑に遂行するために権限と責任が委譲されていることを意味する。よって、監査人と監査対象部門の間の意見の衝突によるトラブル解決を、すべて最高経営者に任せるのは不適切である。
c. 監査実施計画書の策定時には、「監査対象部門による基準も参考にすべが、それはあくまでも参考にとどめ、「監査実施時には、「あらかじめ最高経営責任者と監査人が取り決めた基準を最優先して監査を遂行すべき
組織にとって必要かつ有用であれば、遂行上の困難があっても監査を中止すべきではない。
支店長は内部監査部門を最高経営者の番犬(監視係) と考えている。このような考え方を変え、より協力的になってもらうために、内部監査部門が取るべき方策を
選べ。
a. コントロール責任をより重視する。
b. 専門的スキルを上げる。
c. 恐怖心を減らすために、調査的監査の機密保持のレベルを高める。
d. 監査対象部門の関心事、懸念内容についてもっと耳を傾けるようにする。
正解:d
内部監査部門が決して最高経営者の飼い犬ではないということをライン・スタッフに理解してもらい、協力的な関係を築くには、双方向のコミュニケーションが重要である。
a. ライン・スタッフの協力を得ようとせずに、重いコントロールの責任を課すだけでは、協力ではなく対立が生じてしまう。
b. 協力的な関係を築くには、専門的スキルよりも、対人スキルの方が重要である。
c. 機密保持のレベルを高めて開示する情報を大幅に減らしてしまうと、ライン・スタッフは上級経営者と監査人が何か不都合な情報を隠蔽しているのではないかと考え、逆に恐怖心を煽ってしまう。
大手地銀の持ち株会社の内部監査人が、地元銀行の取締役就任の要請を受けた。
地元銀行は大手地銀の持ち株会社と同じ市場の様々な分野で競合しているが、法人向け投資より個人向け融資に力を入れている。内部監査人の取締役就任について、正しい記述の組み合わせを選べ。
I 取締役就任は、監査人の雇用主の最善の利益に反するので、IIA倫理綱要の
秘密保持の原則に対する違反となる。
II 地元銀行の取締役として得た情報は、買収の可能性に関する勧告内容に影響する可能性があるので、IA倫理綱要の客観性の原則に対する違反となる。
a. Iのみ
b. IIのみ
c. IとII
d. IもIIも正しくない
正解:c
IもIIも正しい記述である。
I IIA倫理綱要「秘密の保持」は、法的または(監査の)専門職と しての義務がある場合を除き、監査人は、職務上知りえた情報を開示してはならないことを規定
している(倫理行為規範※3.1・3.2・1.3・2.1)。しかし、取締役に就任した地元
銀行の利益を優先すれば、競合相手である(大手地銀の)持ち株会社に関する情報を開示せざるをえない。これは、明らかに「秘密の保持」に違反しており、雇
用主(持ち株会社)の最善の利益に反する。
II IIA倫理綱要「客観性」は、監査人が、自己の客観性を毀損する、あるいは毀損
すると予想されるどのような事柄にも関与してはならないことを規定している。
しかし、地元銀行の取締役として得た情報が監査結果に影響を与える可能性があ
るのならば、それは客観性の毀損が予想される事柄であり「客観性」に違反している。
IIA倫理網要に明確に規定されていない倫理的ジレンマに陥った内部監査人に関する記述で、正しいのはどれか。
a. 独立した弁護士と相談し、潜在的行為の個人的な影響について決定する。
b. IIA倫理網要の精神に従って行動する。
c. 監査委員会と相談してから、取るべき行動について決定
d. IIA倫理絢要と矛盾していても、雇用組織の倫理規程に従い行動する。
【解答と解説】
正解:b
b.の行動は、IIA倫理綱要の概念と一致している。
a. 内部監査人は、常にIIA倫理綱要の精神に基づき行動しなければならない。倫理
的決定について、弁護士に相談するのは現実的ではない。ここでの倫理とは、モ
ラルに係わる職業的な概念であり、法的な概念ではない。
c. すべての潜在的なジレンマの際に、監査委員会のアドバイスを求めるのは現実
的ではない。さらに、そのアドバイスは、内部監査人の職業的基準とは矛盾している可能性がある。
d. 雇用組織の倫理規程が、内部監査人の職業基準であるIIA倫理綱要と一致してい
ない場合、または同程度に高いレベルにない場合、職業的専間家としての内部監
査人は、内部監査人の職業基準であるIIA倫理綱要に従わなければならない。
次の監査人の行動のうち、IIA倫理綱要に違反するものを選べ。
a. 監査人の会社にだまされたとして、合併の相手企業が裁判を起こした。召喚にに応じて裁判所に出廷した監査人は、機密扱いの監査情報を開示した。
b. オフィス製品メーカーの監査人は、最近、マーケティング部門の監査を終えた。その後、この経験を活かし、ある週末、地元病院のマーケティング部門の監査を目的とするコンサルタント業務を有償で行った。
c. 監査人は地元のIIA支部のミーティングで、自身が開発したEDI(電子データ交換) 監査プログラムの概要についてスピーチを行った。競合相手が何人か出席していた。
d. 監査人は会社が業界に多大な影響を与える新製品の発表準備を行っていることを知った。新製品が成功する可能性は高く、監査人は製品担当マネージャーから会社の株式を購入するよう勧められ、購入した
正解:d
内部情報を利用した株取引は、違法行為(インサイダー取引)で
人は、組織の適法かつ倫理的な目標にとって望ましくなく、あるいは法律に反するような場合には、いかなる個人的な利益のためにも、またいかなる方法においても、情報を利用しない(倫理行為規範3.2)。
a. これは倫理綱要違反とはならない。監査人が召喚状に応じないことは違法
である。内部監査人は、法律を遵守し、法律において、また専門職として、期
開示を行う(倫理行為規範1.2)。
b. この臨時的なコンサルタント業務は、競合他社やサプライヤーに対するものではなく、組織に不利益を与えず、違法でもないため、違反とはならない。
c. スピーチを行うことは、倫理綱要の違反ではない。IIAの信条は(情報やノウハウの)「共有を通じた前進」である。なお、ここでいう「プログラム」とは、コンピュータプログラム(ソフトウェア)を指す。
監査中にあなたは、業務上、良好な関係を築いている、ある従業員より、「経営トップが違法行為に関与し、組織にダメージを与える恐れがある。」という情報を得た。この従業員は情報に関して名前を伏せて欲しいと考えている。次のうちIIA「倫理網要」と「基準」に矛盾しているものを選べ。
a. その従業員に、「匿名性を守る(維持できる)。」と伝え、情報を聞く。
b. その従業員に、弁護士に連絡するよう提案する。
c. その従業員に、「私は情報源については秘密にする。」と伝え、詳細な調査をする。
d. その従業員に、名前を伏せたまま情報を提供できる別の方法を伝える。
正解:a
内部監査人は、その職務の実施過程で知り得た情報を利用し、保有することには慎重を期する(倫理行為規範3.1)。
「倫理綱要」と「基準」は、情報の厳密な機密性については規定しておらず、慎重な取り扱いを求めるに留めている。したがって、監査人の立場と権限では匿名
呆証することはできないため、「匿名性を守る (匿名性を維持できる)。」と伝えることは無責任で慎重とはいえず、「倫理綱要」や「基準」に矛盾する。
b. 弁護士には守秘義務と証言者を保護するための法的権限がある。
c. 監査人個人が自己の権限で情報源の秘匿を実行することは可能であり、慎重な
取り扱いにも該当する。ただし、監査人以外から情報が漏れることは防ぐことが
できず、匿名性は保証されない。
d. 機密保持が目的ならば、従業員に他の方法での情報提供を指示することができる。内部監査部門や外部監査機関には匿名通報窓口が設置されている場合がある。また、法律によって証言者を保護するプログラムが定められている場合
め、それらの利用を勧めることは可能である。
倫理綱要に規定される行動指針(原則・規則)の適用において、内部監査人に期待される内容を選べ。
a. 個々の内部監査人が、独自に判断を行うこと。
b. 内部監査人の行動指針を、他の専門職の倫理規範と比較す
c. 監査対象部門の要求に合わせること。
d. 行動指針に従うか否かについて自ら判断すること。
正解:a
倫理綱要は、内部監査人が、個々に判断を迫られた場合に、守るべき基本原則を規定している。内部監査人の誠実性は、信頼を確固なものとする。このゆえに、誠実性は、自らの判断が信用される基礎となる(原則「誠実性」)。
b. 他の専門職の倫理規範との比較は異味深いものであるが、内部監査人の倫理網
要による行動指針とは当然異なる。したがって、内部監査人の行動指針をいかに
適用するかを決定する際には、参考にならない。
c. 倫理綱要による行動指針の適用は、必ずしも監査対象部門の利益とは一致して
いない。
d. 内部監査人が判断すべきは、行動指針の適用の方法についてであり、行動指針に従うか否かについてではない。
DI
13
内部財務報告に関する内部監査について、正しい機能は次のうちどれか。
a、 報告手順の遵守の確保
b. 支出項目のレビューを行い、各項目を発生した費用と対応させること
権限なく資金を支出する従業員がいないか確認すること
d.
権限なき支出が発生する可能性を増大させるような不適切な統制を特定する
こと
C.
【解答と解説】
正解:d
a. 不正解。IIA基準では、内部監査人に報告手順の遵守の確保を求めない。
b.不正解。単一の期間で資金の流れと支出項目とを対応させることは求められない。
c. 不正解。c.は人事部または財務部の機能である。
d. 正解。内部監査人は、不適切な統制の特定、経営能力の評価、一般的なリスク
の指摘について責任を負う。
14
CIA Part I
DI
14
内部監査の目標や、内部監査の範疇にある典型的な活動でないものは、次のうち
どれか。
a. 組織体の構成員による効率的な職務遂行の支援
b.組織体の所定のゴール達成における事業部門の有効性評価
c.法令および規則の遵守の確認
d. 会社の目標およびゴールの設定
(選購二若】
罩内恭18孝1升李资運时内了冰要@香营線,女菌谢
二對@內速典了了事日查意
【解答と解説】
Aそ天心精海,气天情会校
正解:d
d. 正解。内部監査の目標と、内部監査の範疇にある典型的活動は、以下に掲げる
機能によって表される。
1.組織内の構成員による効率的な職務遂行の支援
2.組織体の所定のゴール達成における事業部門の有効性評価
3.法令および規則の遵守の確認
4.既定の目標・ゴールの評価
15
ClA Part I
DI
15
内部監査の目標として典型的ではないのは、次のうちどれか。
a. 組織内の構成員による効率的な職務遂行の支援
b. 組織体の所定のゴール達成における事業部門の有効性評価
c. 会計制度・統制制度の設計および実施における経営者支援
d.既定の目標・ゴールの評価
【解答と解説】
正解:c
C.
解。次の機能は、経営者の要求に応じて内部監査で実行「できる」
監査の目標として典型的なものではない。
1、会計システム・統制システムの設計および実施において、経営者を支援す
ること
2、経営者に対するサービスとして、組織の会計システムの調査および評価を
行うこと
3.外部監査人のために組織体の内部統制システムをモニターすること
4.外部監査料金を軽減させるため、外部監査人を補助すること
5.より効率的な業務の実現を支援するため、研究を行うこと
6.監査委員会の調査部門としての役割を果たすこと
7.資産の保全を評価すること
16
CIA Part I