言語発達 Flashcards

1
Q

リズムの聞き分け

A

胎児期から
新生児の選好:母親の声>他の女性の声;母語>外国語

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2
Q

音の聞き分け

A

乳児の音の識別能力が大人よりも優れている
しかし、0歳後半になると、識別能力は急速に低下する→母語で必要な音の区別はできるが、母語では区別されていない音の区別ができなくなる
新生児がどのような言語環境に生まれても基本的な言語音を習得できるように、脳で大量のシナプスが作られ効率的な学習が可能になっているが、その後あまり出会わない刺激に関係するシナプスはほどなく消える

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3
Q

単語の切り出し

A

単語の切り出しのための手がかり
①音素の遷移確率(8ヵ月から):ある音の後に別の音が続いて生起する確率を手がかりに単語を切り出す
②強く発音される音節:強く発音される音節を手がかりに単語を切り出す
③頻出する単語:発話に高い頻度で出てくる単語の音のかたまりを覚え、それを手がかりに隣接する単語を切り出す(自分の名前、自分の名前に続いて出てきた単語、助詞に続いて出てきた単語)

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4
Q

音声の発達(前言語期)

A

出生直後:泣く・くしゃみなどに伴う音を反射的に発することはできる、声を出すことはできない
生後2ヵ月:クーイング:「アー、ク」のような、鼻にかかったやわらかな音
生後4ヵ月:過度的喃語 (marginal babbling):「あーあーあーあー」のような、比較的長い音
生後6ヵ月:基準喃語・反復喃語 (canonical babbling):「ががが、ななな」のような、p, b, m, nなどの子音に母音をくつけた発音しやすい音;1人でいるときにもさかんに出す→唇、舌、喉などの構音器官を使って声を出す練習をし、また声を出すこと自体やその音を聞くことを楽しんでいる→様々な音が出せるようになる
生後10ヵ月:非反復喃語 (variegated babbling):「ばま、ががめ」のような、子音に母音をくつけた音を複数つなげた発声

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5
Q

語彙の発達:初語

A

生後10~15ヵ月:初語
喃語から生じることが多い
「〇〇」という語を、子どもが具体的なものと関連づけて使用し、さらに子どもを取り巻く周りの人が、子どもがあるものを見て「〇〇」といった(意味のあることばを発した)と認めたときに生じる
普通名詞(モノの名前)、社会語(あいさつなど社会的やりとりや人に関する語)、擬音語や擬態語などを含む幼児語が多い
初語から50語まで、語彙が非常にゆっくりと増加
過剰拡張:大人が使用するよりも広い範囲に適用させること
過剰縮小:大人が使用するよりも限定された範囲に適用させること
一語文:ことばをつなげてではなく、単語のみで発話する
一語でいろいろな意味を伝えようとしている

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6
Q

語彙の発達:語彙爆発

A

1歳半:語彙爆発 (vocabulary spurt)
50語を超えると、語彙が急速に増加する
二語文:単語を2つつなげて発話する
語彙爆発の原因:①共同注意の発達、②命名の洞察の獲得、③意味推論のコツの理解、④養育者側の要因

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7
Q

語彙爆発の原因①:共同注意

A

共同注意(生後9ヵ月から)
二項関係 (dyadic interaction):赤ちゃんと養育者との間での関係

三項関係 (triadic interaction):赤ちゃんと養育者と第3の対象との間での関係
共同注意 (joint attention)
①視線追従:養育者が見ている物を(偶然ではなく、養育者が見ていることを意識しながら)一緒に見る
②指さし:養育者に興味のあるものを指さす
③社会的参照:初めてのものに接したときに、近くにいる養育者が自分と同じものを見ていることを確認したうえで反応する、他者の視線と表情からものの意味を知ろうとする

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8
Q

語彙爆発の原因②:命名の洞察

A

命名の洞察:世の中のあらゆるものに名前があると気づくこと

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9
Q

語彙爆発の原因③:意味推論のコツ

A

意味推論のコツ
1つの事物に複数のことばが結びつくことが可能である
子どもは、言語を獲得する過程で、膨大な可能性(仮説)をすべて検討するのではなく、いくつかの簡単な仮説しか検討できない
その仮説を効率的に検討するために、意味推論のコツを理解する必要がある
相互排他性原理:ものの名前は1つ
事物全体原理:新しい単語はまだ自分が名前を知らないもののことを指すと考えて指示対象を探し、さらにその単語は、その指示対象の部分や属性ではなく全体を指すものとみなす
事物カテゴリー原理:新しい単語は固有名詞ではなく他の似た対象にも拡げて使うことのできるカテゴリー名だと考える

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10
Q

語彙爆発の原因④:養育者側の要因

A

赤ちゃんの喃語に対して、声のトーンや様子から、その気持ちや思いを読み取り、積極的に応答する→言語的やりとりを促す
おもちゃや日用品を子どもに提示する際、事物に対する適切な動作を同時に提示し、オトマトペを多用する→事物のどの特性に注目すべきか、どういう出来事の中でその事物はどのような役割を果たすかという情報を示す→子どもがより適切に事物とことばの結びつきを理解していく
育児語 (motherese):赤ちゃんに向かって話しかけるときに使う、声の調子が高くなり、抑揚が強調される話し方

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11
Q

文法の発達①

A

文法:意味の通じる文をいくらでも作り出すことのできる抽象的なルール
二語文:単語を2つつなげて発話する;機能語や文法的形態素(助詞)が省略される(電文体発語)
多語文:単語を複数つなげて発話する;2歳前半:命令文が多い;2歳後半から:肯定の平叙文(疑問や命令などの機能を持たずに物事を客観的に述べる         文)が多い→否定の平叙文・疑問文
格助詞:名詞句について、述語との文法関係を示す助詞;2歳前後で誤用が多く、3歳から習得
語順:語や句などの構成要素の出現順序;幼い時から習得

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12
Q

文法の発達②

A

①「生得の文法知識」仮説(Chomsky)
普遍文法 (universal grammar):どの言語にもあてはまるような抽象的な文法知識
子どもは生得的に頭の中に普遍文法をもっていて、普遍文法をもとにして、外界からの情報(実際にことばにふれること)によって、特定の言語の具体的な文法を能動的に環境に作り上げる
②「動詞の島」仮説(Tomasello)
動詞の島:この動詞にはこの種の単語をこのようにつなげることができるといった、動詞ごとの具体的な知識の寄せ集め
似た構造で使うことのできる動詞が相当数蓄積されるにいたって、大人が身につけているような抽出的な文法ルールが作られる
③「生得の文法知識」仮説と「動詞の島」仮説の中間(Ninio)
ある構文で用いられる動詞の数は、はじめはなかなか増えていかなくても、同じ構文で使われる動詞の数が増えていくにしたがい、いっそう速いパースで増えていく

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13
Q

読み書きの発達

A

読む力
音韻意識 (phonological awareness):単語の音韻表象を文字に対応する大きさに分割したり、異なる単語に含まれる同じ音どうしを同じだと認識したりする能力
かな文字の習得:はじめの20文字には時間をかけているが、その後の習得スピードが急に上がり、一気にすべての字が読めるようになる
動機的な側面:かな文字が、自分が知っている単語にどのように対応しているかがわかれば、文字を読むのが楽しくなる
認知的な側面:かな文字の読みは、意味づけることの困難なただの音として覚えようとするより、知っている単語の一部とみなせたほうが覚えやすい
音韻意識を獲得する方法:自分の名前、五十音表、しりとり遊び

書く力
空間認識能力:三次元空間における物体の位置・形状・方向・大きさ・位置関係などを素早く正確に認識する能力
かな文字の習得:はじめは鏡映文字(鏡に映ったような左右の空間関係が逆転した文字)がみられるが、空間認識能力の成熟にともない、書き出す段階で左右の配置が適切にできるようになる

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14
Q

一次的ことばと二次的ことば

A

一次的ことば:親しい人との間で今ここにあることについてやりとりする時に用いることば;状況文脈に依存した具体的現実場面、親しい(少数の)特定者、1対1の関係、会話式の相互交渉、話しことば中心
二次的ことば:複数の相手または目の前にいない相手に向かって、今ここにはないことについて話を展開する時に用いることば;状況文脈から独立し現実を離れた場面、不特定の一般者、1対多の関係、一方向の自己設計、話しことばも書きことばも

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15
Q

二次的ことば:文章の理解

A

出来事の繰り返し:表面的類似性→抽象的類似性でもOK
文章の形式:物語形式→説明文形式でもOK
登場人物の目標の明示:明示>明示しない
ふだんの生活のなかでなじんできた知識や枠組みを利用することで、子どもは、ワーキングメモリーの限界を補い、文章で表現された世界を自分のなかに構築できるようになる

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16
Q

二次的ことば:公の場面での語り

A

相手と自分の知識状態の違いに配慮し、ことばや表現を選ぶ
語るに値する話題を選ぶ
出来事の輪郭を描き出すのに必要な情報に言及しつつ話を展開する
(保育園での生活発表場面の観察研究から)

17
Q

遺伝と言語発達

A

①気質:生まれつきの個性→情緒的安定性が語彙理解と語彙表出と正の相関がある
②実行機能:目標のために行動・思考・感情を制御する能力→実行機能は言語発達と正の相関がある⇒聞く・話すために注意のコントロールが必要? 
行動遺伝学の研究→言語発達の個人差に関して、遺伝的要因が小さい

18
Q

環境と言語発達

A

①養育者の言語入力:子どもへの話しかけの量、子どもの注意に寄り添うかどうか、子どもの発声に応えるかどうか、乳児に話しかけるときの幼児語の使用
②養育者以外の他者の言語入力:家の中にいる話者、幼稚園・保育園や学校にいる話者、先生のことばの複雑さ
③メディアの接触:テレビ番組の視聴、絵本の読み聞かせ

19
Q

言語と記憶

A

自伝的記憶 (autobiographical memory)
自分の生活史の一部となるような個人にとって重要な体験やエピソードについての記憶
2~3歳:過去形で過去の経験について話し始めるが、独力で思い出して語ることが難しい
3~5歳:経験を共通した人に支えられ、過去について共同で語り合う経験を積み重ねることによって、語りの能力が獲得される
4~5歳:自伝的記憶の確立→現在の自己だけでなく、過去や未来の経験とを対比することができるようになる

幼児期健忘 (childhood amnesia):記憶を遡って自分の最も古い記憶を思い出そうとしても、おおむね3歳から4歳よりも前の経験はほとんど思い出せない
2歳児は過去にあった出来事を語ることができるが、言い間違えや空想が混じることが多い
4歳以降:自伝的記憶が成立し、自分自身が体験し、特定の過去になされたという認識をともなって、過去を報告できるようになる
幼児期健忘が起こる原因
①脳の発達: 海馬→記憶機能(記憶の貯蔵・想起)
②言語発達:過去の出来事の言語化(記憶の記名)
③自己概念の発達:自己と他者の分離、出来事が自分に起きたという理解(記憶の記名)
④親子の相互作用:過去の出来事についてどうやって語るかを学ぶ(記憶の記名)

20
Q

言語と思考①

A

言語相対性仮説・サピアウォーフ仮説 (linguistic relativity hypothesis・Sapir-Whorf hypothesis):言語が認識や思考を規定している;言語で世界を分割し概念化する

言語が思考を規定するわけではない
色の認識:英語とダニ語
色の認識とは言語によって規定されるものではなく、もともとヒトにとって認識しやすい色というのがあって、その上に言語発達ラベルを与えたり与えなかったりするだけ
言語装置と抽象的思考:英語と中国語
特化した言語装置はなくても、発話状況や複数の言語装置の使われ方のパターンまで含めて総合的にみるなら、抽象的思考はきちんとなされている

21
Q

言語と思考②

A

弱いウォーフ仮説サピアウォーフ仮説:言語が思考を方向づける可能性はある

色の認識:英語とヒンバ語
色名を学習することによって色名のついた色の方が正確に覚えられるようになる
色名以前に認識しやすい色というものがあり、それを基礎にしながら色名が学習され、学習された色名体系が今度は、それ以前には認識上それほどはっきりとは浮かび上がっていなかった部分の認識しやすさを引き上げる

空間の認識::英語と韓国語
韓国語話者はものが「ぴったりとはめこまれているかどうか」という基準に注目する
空間語彙が獲得され使われるにつれて、その言語において採用されている基準が認識上でもより顕著でアクセシビリティの高いものになっていく

言語の影響とは、何かそれ以前にはなかったまったく新しいものをつくりだすことなのではなく、もともと可能であったことを微調整したり、その一部を強めまた別の一部を弱めたりする

言語は自分や他者の感情を理解し、表出する手段である

22
Q

言語と自己制御

A

自己制御機能の発達には、言語の獲得と個体内コミュニケーションが関与している
個人内コミュニケーション:心のなかで自分に言い聞かせたり、自分と会話したりすること
1歳半まで:言葉の発達機能により行動が促進されるが、言葉の意味的側面に応じた行動調整はできない
3~4歳:外部からの言葉の意味に応じた行動ができるようになる
5~6歳:自分自身に向けた言葉の意味に応じた行動調整ができるようになり、意思的なふるまいができるようになる(自分への外言→自分への内言)

23
Q

子どもの言語発達に関する誤解

A

①子どもはみなその言語の完璧な使い手になる
ヒトは、母語でのコミュニケーションでも、外国語で困ると同じところで考え込んだり苦労したりする

②子どもの言語習得は速い(短期間で完成する)
子どもが会話できるよう見えるのは、大人が、子どもの気持ちを汲み取り、子どもの答えやすそうな質問をし、よくわかっていなさそうであれば別の言い方を探し、と努力して子どもと会話しようとしているから

③子どもはラクをして言語を身につける
子どもは、言語とは何なのかも知らない状態から、音の聞き分けや音のかたまり、共同注意や指さし、命名の洞察や意味推論のコツなどについて自分で発見して学習しなければならないので、ラクではない

24
Q

子どもの母語と成人の外国語

A

子どもの母語:到達点:ネイティブ;習得スピード:ゆっくり;言語モデル:なし;学習のしかた:自分で発見(ボトムアップ)・音の聞き分けや音のかたまり、共同注意や指さし、命名の洞察や意味推論のコツから;必要性、インプットの量:大→集中的な言語学習

成人の外国語
到達点:細かな文法要素の使いまわしに難;習得スピード:速い;言語モデル:あり(母語)・新しい言語の学習を邪魔することも、支えることもある;学習のしかた:意図的(トップダウン)・教えてもらえる;必要性、インプットの量:状況に応じる