研究法・生涯発達心理学 Flashcards

1
Q

実験法

A

実験室実験:実験室に参加者に来てもらい、参加してもらう方法
利点:利便性が高い
欠点:現実性が低い;倫理的な問題で実施が困難である場合がある;乳幼児が環境に慣れるまで時間を要する;乳幼児と保護者にとってアクセスしにくい場所にある場合がある
ランダム化比較試験:乱数表やコンピュータの乱数発生機能を用いて被験者を各群にランダムに割り当て、各群が操作した独立変数の値以外では違いがないようにする;割り当ての手続きとは別に、盲検という手続き(被験者が自分がどの群に割り当てられたかを知らない状態にする)も導入し、余計な要因が結果に影響を与えないように工夫する
利点:交絡要因が統制され、予測の精度が高まるので、因果関係について強い推論が可能になる
欠点:同上
質問紙実験:複数の条件の質問紙を多数の人に配布して実験を行う方法(場面想定法:参加者に特定の場面にいることを想定させて、そういう場面でどのような行動をとるのかを尋ねる)
利点:遠隔地の参加者・時間の融通が利きにくい参加者からもデータを取得することができる;倫理的な問題は発生しにくい
欠点:場面想定法の現実性が低い;言語的な問題で実施が困難である場合がある
実験法全体の利点:結果の再現性が高く、法則化が可能であり、因果関係を見出すのに適している

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2
Q

調査法

A

調査法:人の行動、考え方、態度、意識等に関する研究データを、回答者の自己報告によって収集する
利点:多くのデータを一度に収集できる;実施が容易である
欠点:質問内容の理解が言語能力に依存する;回答にゆがみが生じる可能性がある
中心化傾向:ある対象の属性について診断・評価をする時に、その尺度上の中央に回答が集まる傾向;黙従傾向:質問に対して、内容に関係なく考えずに肯定してしまう傾向;キャリーオーバー効果:ある質問内容によって、それ以降の質問に対する回答にゆがみが生じること

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3
Q

観察法

A

観察法:観察対象の行動や反応を観察・記録する
自然的観察法:観察対象に人為的な統制群や操作を加えず、自然な状態での観察を行う
実験的観察法:実験的な状況を設定して、観察・記録を行って行動の特徴を明らかにする
利点:非言語的な反応や、観察された状況、行動の経過も記録することができる
欠点:目的とする事象が生起する時間・場所を選べない;観察者が対象に影響を与える可能性がある
観察者バイアス:観察者が見出すことを期待している行動を強調しすぎて、それ以外の行動に気づかないという測定における誤差

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4
Q

面接法

A

面接法:面接者と対象が直接顔を合わせる、会話を通して必要な情報をやり取りする
構造化面接:あらかじめ決められた内容と順番で質問を行う
半構造化面接:構造化面接と非構造化面接の中間
非構造化面接:アドリブで質問を行う
利点:対象の理解が深まり、より正確な個別の情報が収集できる
欠点:情報収集の時間や手間がかかる;面接者が回答を誘導してしまう可能性がある

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5
Q

研究法で生じる現象

A

確証バイアス:研究者が自分の仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、それに反する情報を無視または集めようとしない傾向
実験者効果:実験者が意図せずに被験者の行動に影響を及ぼす
反応バイアス:研究協力者が過去の出来事や経験を想起して得られた、回想の正確性や完全性の違いから生じる誤差

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6
Q

マルチメソッド・アプローチ

A

マルチメソッド・アプローチ:一つの研究テーマに対して複数の研究方法を用いる
利点:複数の研究法の利点を組み合わせ、欠点を補い合わせる;単一の研究手法による現象のとりこぼしをおさえ、現象のリアリティに迫る

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7
Q

横断的研究

A

横断的方法 (cross-sectional study):年齢の異なる複数の集団に対して実験や調査を行い、それらの集団を比較することで発達的変化をとらえようとする方法(個人間比較)
利点:短期間に多くのデータを集めることができる
欠点:データは同一集団の発達過程を実際に追ったものではないため、世代の違いが交絡し、時間経過の影響を正確に反映されない可能性がある⇒因果関係が推測できない

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8
Q

縦断的研究

A

縦断的方法 (longitudinal study):同一の集団に対して一定期間にわたって継続的に実験・調査を行い、各時点のデータを比較することで発達的変化をとらえようとする方法(個人内比較)
利点:世代の違いが交絡しないため、横断データよりも実際の時間経過の影響を反映したデータが得られる⇒因果関係が推測できる
欠点:繰り返し調査すること自体が結果を歪める可能性がある長期間にわたって複数回に分けてデータを収集する必要があるため、非常に大きな労力や費用がかかる;病気や死亡、転居なおによって、調査対象となる集団が徐々に小さくなってしまい、データが不足しがち→調べたい内容によっては、最後まで残った集団と途中ではずれた集団の違いがデータに大きく影響する可能性がある
コホート研究:何らかの経験、人口統計学的な特性を共有する人々の集団(コホート)を、長期間にわたって反復調査する

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9
Q

生理的指標

A

生理的指標 
心拍数、脳波、皮膚温などの指標を通じて、赤ちゃんの生理的状態を測定
赤ちゃんに害を及ぼさない脳機能画像法などを通じて、赤ちゃんの脳神経系の活動状態を可視化

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10
Q

選好注視法

A

選好注視法 (preferential looking procedure)
乳児の性質:近距離にある対象や養育者の顔を見つめたり、動きているものに視線を向けて追従したりする;選好を示す
実験の手続き:乳児に対して二つの視覚刺激を提示する。乳児が、二つの視覚刺激のうち、いずれか一方をより長く注視すれば、二つの刺激の違いを弁別しているとみなす。e.g. 単純な図形より複雑な図形を見るのが好き
利点:手間・時間・コストがかからない
欠点:注視時間の偏りが見られないことは分別できないことを必ずしも意味するわけではない→分別能力を過小評価する可能性

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11
Q

馴化ー脱馴化法

A

馴化ー脱馴化法 (habituation-dishabituation procedure)
乳児の性質:見慣れた対象よりも、新奇な対象のほうをより長く注視する
実験の手続き:まず、乳児に対して、同一の視覚刺激を繰り返し呈示すると、注視時間が次第に減少する(馴化)。その後、新奇な視覚刺激を呈示することにより、注視時間の回復が見られるならば(脱馴化)、二つの刺激の違いを弁別しているとみなす。e.g. 緑色と青色を区別できる
利点:手間・時間・コストがかからない
欠点:結果の解釈はグループ全体の傾向であり、“程度”の個人差が反映されない

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12
Q

期待違反法

A

期待違反法 (violation-of-expectation method)
乳児の性質:特定の事象に引き続いて、ある事象が生じることが予想される場合に、予想に反する新奇で不自然な事象が生じると注視時間が増加する
実験の手続き:まず、乳児に対して、特定の事象を呈示する。その後、新奇で不自然な事象を呈示することにより、注視時間の増加・びっくりしたような反応が見られるならば、不自然な事象が予想に反するとみなす。e.g. 物理法則・数の概念(人形の数)・ものの永続性(つい立ての回転と箱)
利点:柔軟性が高い
欠点:注視時間の偏りが見られるとは概念を持っていることではない→統制条件との比較が必要

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13
Q

高振幅吸啜法

A

高振幅吸啜法 (high amplitude sucking procedure)
実験の手続き:まず、乳児に対して、おしゃぶりをくわえてもらう。それから、乳児がおしゃぶりを吸った回数やその速さに応じて、音を流したり、流すのをやめたりする。乳児が自分のおしゃぶりの吸い片と音との関係を理解したら、おしゃぶりの吸い方をコントロールし、自分の聞きたい音を選ぶ。e.g. 他の女性の声より、母親の声を聞くのが好き
利点:手間・コストがかからない
欠点:結果の解釈はグループ全体の傾向で、“程度”の個人差が反映されない;乳児の覚醒度・空腹度が結果に影響を与える可能性がある

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14
Q

条件付け振り向き法

A

条件付け振り向き法 (conditioned head-turning procedure)
実験の手続き:まず、比較的違いが明確な音を用いて、乳児に振り向き反応を学習させる。いずれかの刺激を一定の周期でスピーカから連続して流し続け(背景刺激)、ところどころで別の刺激(比較刺激)に一定期間変化させる。乳児か、比較刺激に変化したことに気付いてスピーカの方を振り向くと、正答のご褒美としておもちゃが音を出して動くのが見られるが、それ以外の時には振り向いても何も見えない。乳児が振り向き反応を学習したら、ターゲットとなる音を提示し、乳児の振り向き反応の正答率を検討する。e.g. 音節の違い、声の違いを区別できる
利点:“程度”の個人差が反映される→学習段階と実験段階で個々の乳児の正答率が得られるので、刺激体間の知覚的な距離の測定や判断境界閾値の測定ができる
欠点:手間・時間・コストがかかる

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15
Q

発達心理学

A

発達心理学の目標
①人間の発達的変化において基礎となるメカニズムを明らかにする
②胎児から高齢者に至るまでの生活の質を高める

発達:人間が生まれてから死ぬまでの心身の変化

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16
Q

生涯発達心理学

A

生涯発達心理学 (lifespan developmental psychology):発達は成長と衰退(獲得と喪失)両方合わせての変化;人は生涯にわたって発達し続ける存在

生涯発達に影響を与える与える要因
①標準年齢的要因
人間という存在にほぼ共通して当てはまる生物学的要因および社会的要因
生物学的成熟(思春期・更年期)や年齢規範的な社会化(家庭・学校教育・結婚・就労・退職)など
乳児期~青年期に影響が大きい→発達に細かく節目をもうけ社会のなかでの位置付けや役割を与える制度や慣習があるから
②標準歴史的要因
それぞれの世代が固有に経験する歴史・社会・文化的要因
青年期~成人期に影響が大きい→人生の重要な選択は社会経済状況や「適齢期」の考え方に左右される
③非標準的要因
それぞれの個人が人生の中で特異的に経験するライフ・イベント
年を取るにつれて影響が大きくなる

17
Q

エリクソンの心理社会的発達段階論

A

心理社会的発達 (psychosocial development):個人が周囲の人間関係(社会)に向けて自分の意思や能力を示し、社会がそれにどう応えるかという、自己と社会との関係としての発達
発達段階の移行のタイミングには個人差があったり、文化や時代の変遷とともに変化したりする
心理社会的危機(psychosocial crisis):「土台となる強さ」と「病理を引き起こす」対立項目の間の葛藤
各心理社会的危機では葛藤の両側面を経験し、バランスのよい状態でその段階を終え、心理的活力を獲得して次の発達段階に移行する
・乳幼児期:基本的信頼 対 不信(希望)
・幼児期前期:自律性 対 恥(意志)
・幼児期後期:自発性 対 罪悪感(目標)
・児童期:勤勉性 対 劣等感(有能感)
・青年期:アイデンティティの確立 対 拡散(忠誠)
・成人期前期:親密 対 孤立(愛)
・成人期後期:生成継承性 対 停滞(世話)
・老年期:総合 対 絶望(英知)

18
Q

ブロンフェンブレンナーの生態学的モデル

A

人間と環境との相互作用+環境間の相互作用としての発達
エコロジカルシステム (ecological system):人間をとりまく環境;それぞれが次々に組み込まれていくような、同じ中心を持つ入れ子構造
マイクロシステム:子どもが実際にかかわる具体的な行動場面
メゾシステム:子どもが実際に参加する行動場面の相互関係
エクソシステム:子どもは直接参加していなくても、環境の中の出来事に直接影響を与えるようなもの
マクロシステム:下位システムの構造や内容に一貫性をもたらす信念体系やイデオロギー

19
Q

遺伝と環境

A

★人の発達の道筋や帰結を、主に規定するのは、私たち1人ひとりがもって生まれた遺伝的要因なのか、それとも時間軸の中で経験する個々人に固有の環境要因なのか?

臨界期 (critical period):機能の確立のためには,経験が非常に重要な役割を果たし,この時期を逃すと経験が効果を持ち得なくなる、という発達上の特定の時期
敏感期 (sensitive period):この時期以外でも学習は可能であるが,経験や学習が比較的大きな効果を持つ時期

人の発達は、遺伝的なプランをもとにしつつ、各生物個体がその時々の環境条件に応答することによって進む
遺伝子にはグラウンドプランとともに、可塑性(生物個体が環境条件に順応して発達する性質)を実現するメカニズムが組み込まれている
個体が環境条件に順応し、また環境に働きかけることを通じて、その環境にフィットした大人になっていく