情動発達・自己と他者 Flashcards
心の理論:欲求ー信念ー行動理解
欲求:~したい
信念:~と考えている、~と思っている
2歳:自分のみならず他者の欲求についても話し、欲求が行動を引き起こすことや、人によって欲求が異なることを理解しているが、信念についての発話はほとんど見られない
3歳代:すでに起こったことならば信念という観点から説明できる反面、信念をもとに他者の行動を予測するのはまだ難しい→欲求と信念の未分化
4~5歳:人を信念という観点から理解できるようになる
心の理論 (theory of mind):直接見聞きできる相手の表情や行動を手掛かりとして、背景にある他者の心の働き(感情、願望、信念など)について推論するシステム
心の理論:誤信念課題
誤信念:現実とかけ離れた信念
誤信念課題:他者が誤った信念を持つことを理解できるかどうかを評価する課題
e.g. サリー・アン課題:サリーとアンがいます。サリーはビー玉をかごの中に入れて部屋を出て行きました。サリーがいない間に、アンはかごからビー玉を取り出して、箱の中に入れ替えました。サリーが部屋に帰ってきました。サリーがビー玉を探すのは、どこでしょう?
e.g. スマーティ課題:子どもにスマーティの箱を見せ、中に何が入っていると思うが尋ねる。子どもが「スマーティ」と答えると箱を開け、中からスマーティ以外のもの(鉛筆)を出して見せ、そして箱を閉じる。その後、この箱の中をまだ見ていない第三者は、中に何が入っていると思うか、と子どもに尋ねる。
3歳:課題を通過できない
4歳から:課題を通過できるようになる
自分自身が知っている現実とは区別して、他者の状況や考えをとらえることが必要
誤信念課題の問題点
生後15ヵ月の乳児が誤信念を理解しているという研究結果がある
2歳の幼児は親やきょうだいとの日常的な相互作用の中で、からかいやあざむきといった行動を示す→他者の信念の理解し、それを誤った方向に操作しようとする
誤信念課題では、子どもが言語的に質問されるので、通過が難しい?
心の理論の個人差①:養育者のmind-mindedness
①養育者のmind-mindedness
子どもに対して内的状態(意図・感情・記憶等)を読み取ること
感情や欲求を表す言葉をより多く用い、子どもが潜在的に有している心的状態に頻繫に名づけを行う、子どもが関心を向けていると思われる事物を介した三項関係コミュニケーションの展開するを豊富に行う→子どもは、直接は目に見えない自他の心的な世界に気づき、その理解を深めていく
養育者とのアタッチメント→乳児期のアッタチメントが安定している子どもの方が、不安定な子どもよりも、感情や誤信念を的確に理解する
心の理論の個人差②:家族とのやりとりの質
②家族とのやりとりの質
家族と感情をめぐる会話をよく行うことや、そこでどんな感情がなず生じたか、その結果どうなったといった因果的な側面がよく語られる場合に、子どもの感情理解や他者理解が進む
きょうだいの数の影響もあるかもしれない
言語発達→語彙理解、言語的表現から話者の知識や確信度を感知するなど
心の理論の個人差③:ミラーニューロンの発達
③ミラーニューロンの発達
鏡のような役割(自分が見たり聞いたりした他の人の動作や感情などを直接、自らの脳の中に映し込み、他の人と同じような内的経験をさせ、場合によっては同じ動作や感情までをも再現させる)を果たす神経組織
その発達には①と②も関与する
ミラーニューロンは心の理論と関与する可能性が指摘されている
e.g. 自閉症スペクトラム児、虐待経験のある子ども
心の理論の個人差④:実行機能
④実行機能
実行機能(目標のために行動、思考、感情を制御する能力)が働いていないから?状況を保持し、質問に対して解答すべき必要な情報にのみ注意を向けて答えることが難しいから?
e.g. 自閉症スペクトラム児
情動とは
情動 (emotion):主観的経験+生理的変化+表出的変化+行為傾向
遭遇した出来事に対する直接的な反応ではなく、個々人に評価された出来事の意味に対して、生起してくるもの
情動の発達における役割
①コミュニケーションに役立つ
自分の情動を他者に伝える+他者の情動状態を読み取る
情動を表す+情動を隠す+実際経験しているものとは異なった情動を経験しているかのように振る舞う、など⇒関係作り、社会適応
②次の行為の準備を整える
危険的状況→“驚き”“恐怖”→“逃げる”“立ち向かう”
情動は、人に自分の身を守るための行動を起こす準備を一瞬のうちに整えさせる
③効率的な学習を促す
情動は、ある状況に対して表された心や身体の状態を、増幅・強調してフィードバックすることによって、そうした状況の重要性やそれに対する適切な準備体制、対処方略などを記憶させる
Lewisの情動発達のモデル
情動発達と認知発達の連動⇒新たな認知能力が発達することによって各種情動が分化・構成されていく
一次的な感情→二次的な感情
一次的な感情:自己意識や自己評価の関与を必要としない
二次的な感情:客観的に自分を見つめるといった自己意識や、自分の行いに対する善悪の判断のような自己評価の関与を必要とする
生後1年目における情動発達
出生時:充足、苦痛、興味
事象の新規性に対する原初的評価
生後3ヵ月:充足→喜び(社会的微笑)、苦痛→悲しみ、苦痛→嫌悪、興味
身体的・生理的・社会的刺激に対する好悪の評価
生後4~6ヵ月:苦痛→怒り、苦痛→恐れ、興味→驚き
自身の目標、それに達成するための手段、それを阻む障壁の認知
安全な状況に関する表象と直面している状況との比較(人見知り);記憶
期待していた表象と直面している状況との比較;記憶
移動能力の発達と一次的情動
①受身的に環境を知覚する→能動的に環境を移動・探索する
②養育者との物理的距離の増加→明確で分化した感情の表出の必要性の増加
③養育者の感情表出の増加(ポジティブもネガティブも)→子どもの感情表出の増加
視覚的断崖
生後6ヵ月まで:心拍数低下→興味
生後9ヶ月から:心拍数増加→恐れ
移動能力の発達につれて、経験事象の多様化(転ぶ)から、断崖の危険性を認知した
生後2年目以降における感情の発達
1歳半:てれ、共感、羨望(自己意識の介入)
自分が他者に注目されていることの認識、
自己と他者の区別の理解、他者の窮状・内的状態の意識
他者にはあって自分にはないことの認識
2歳後半:罪、恥、誇り(自己意識+自己評価の介入)
自分の行動が失敗したという感受+特異的帰属
自分の行動が失敗したという感受+全体的帰属
自分の行動が成功したという感受
自己の発達:主体的自己
主体的自己 (I):手足を動かしたり、考えたりというような行動をつかさどる主体としての側面
自分の身体の発見(生後3ヵ月から)
能動的感覚:自分の手でタオルをさわる
受動的感覚:ほかの人が自分の足をさわる
能動的感覚と受動的感覚の組み合わせ:自分の手で自分の足をさわる
「この手足は自分のものである」→外界の事物や他者とは区別された自己
「この手足を動かしているのは自分である」→行動をつかさどる主体としての自己
共同注意とことばの働き(生後9ヵ月から)
共同注意 (joint attention):他者の視線や指さしを追って、他者と一緒にものを注目して見る
ことば=表象能力
他者の注意が自己に向けられていることに気づく+自己を表象できるようになる
自分自身を思考の対象とする⇒自己の客体的側面への理解
自己の発達:客体的自己
客体的自己 (me):自分の姿や名前、性格など、周りの人がとらえることのできるさまざまな特徴
ルージュテスト:赤ちゃんに気づかれないように、赤ちゃんの鼻に口紅をつけ、しばらく遊んだりした後に、鏡の前に連れて行き、赤ちゃんがどのような反応をするかを観察
生後1歳頃まで:鏡に映った自分の姿に対してまるで他者がそこにいるかのように手で触れたり、笑いかけるといった行動を示す
1歳半~2歳頃:鏡に映った自分の姿を見て、口紅がついている自分の鼻をさわる
鏡映像の自己認知=自分を客観的に認識することができる
ステッカーテスト:子どもが遊んでいる間に気づかれないように頭にステッカーを貼り、この様子をビデオに収録しておき、数分後に子どもに録画を見せ、子どもがどのような反 応をするかを観察
2歳:ステッカーをとることができない
3歳から:ステッカーをとることができる
時間的一貫性(過去・現在・未来)を持つ自己認知
自己意識と自己評価
自己意識:自分と他者との異同や他者あるいは社会的基準から見た自分の意識
自己評価:あるルールや基準からして自分はいいか悪いのかという評価
劣等感:あの子はできるのに自分はできない
優越感:あの子より私はできる
理想の自己像と現実の自己像の比較
理想に達していない→羞恥心
理想に達している→自尊心・プライド