精神的自由

Question 1

思想・良心の自由保障の意味

Answer 1

思想・良心が内心，つまり心の中にとどまる限りは 絶対的に保障される。また，思想・良心について国家権力から露顕を強制されないという沈黙の自由も 保障される

Question 2

(思想・良心の自由)

謝罪広告強制事件

Answer 2

選挙に際して，他の候補者の名誉を段損した候補者が，裁判所から謝罪広告を命じる判決を受けたことを，思想・良心の自由の保障に反するとして争った事件で， 判例は合憲であるとした。

Question 3

(思想・良心の自由)

南九州税理士会事件

Answer 3

税理士法で強制加入とされる税理士会が政治資金規正法上の政治団体に寄付をすることは，税理士会の目的の範囲外の行為であり，様々な思想，信条を持つ会員から特定の政治団体への寄付を目的として，特別会費を徴収する旨の総会決議は無効であるとした。

Question 4

(思想・良心の自由)

三菱樹脂事件

Answer 4

労働者の思想信条の調査の結果特定の思想，信条を有することをもって 採用を拒否することも，違法とすることはできない

Question 5

(政教分離原則)

津地鎮祭事件

Answer 5

津市が神式の地鎮祭を挙行し，それに公金を支出したことは懲法20条,８９条に反しないと判示された。

Question 6

(政教分離原則)

砂川政教分離判決

Answer 6

北海道砂川市が，町内会に対して，市有地を無償で神社施設の敷地としての利用に供している行為が争われた事件で，違憲判決が下された。(ただし，この判例は，目的効果基準を用いていないことに注意が必要である。)

Question 7

信教の自由の内容

①信仰の自由

Answer 7

宗教を信仰し，または信仰しないこと（無宗教）の自由であり，個人の内心の自由であるから，絶対に保障される

Question 8

信教の自由の内容

②宗教的行為の自由

Answer 8

宗教上の祝典儀式，行事などを行ったり，これに参加する自由である。２０条２項は，特に参加する ことを強制されない自由を規定している。

Question 9

信教の自由の内容

③宗教的結社の自由

Answer 9

宗教団体を結成する自由など

Question 10

(宗教的行為・結社の自由に対する制約)

加持祈祷事件

Answer 10

精神障害者の平癒を祈願するため宗教行為として線香護摩による加持祈祷を行い，そのためにその者を死に至らしめた祈祷師の行為などは，信教の自由の保障の限界を逸脱する。

Question 11

(宗教的行為・結社の自由に対する制約)

オウム真理教解散命令事件

Answer 11

宗教上の行為の自由は，もとより最大限に尊重すべきものではあるが，絶対無制限のものではなく，本件解散命令は，憲法20条に違背するものではないというべきである。

Question 12

(政教分離の原則)

神戸高専事件

Answer 12

正当な理由のない履修拒否と区別することなく，代替措置が不可能というわけでもないのに，代替措置についてなんら検討することもなく，学生を退学処分にした学校長の措置は，裁量権の範囲を超える違法なもの である。

Question 13

(反論権)

サンケイ新聞事件

Answer 13

不法行為が成立する場合は別として、具体的な成文法なしに反論権を認めることはできない。

Question 14

反論権(アクセス権)

Answer 14

マスメディアに対して、一般国民が自己の意見の発表の場を提供するよう要求する権利。

Question 15

(取材の自由)

博多駅テレビフィルム事件

Answer 15

テレビフィルムの提出命令は、公正な裁判の実現による利益と、取材の自由が制限されることによる不利益とを比較し、前者の利益が後者の不利益より大きい場合には、合憲であるとした。

Question 16

取材の自由

報道の自由・国民の知る権利

Answer 16

憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値する(比較考量)

憲法21条の保障のもとにある(厳格審査)

Question 17

新聞記者の証言拒否

刑事事件と民事事件の違い

Answer 17

刑事裁判→取材源の秘匿を理由に証言を拒絶することは認められない。

民事裁判→取材源の秘匿を理由に証言を拒絶することは、原則として認められる。

Question 18

(表現の自由)

裁判の傍聴人のメモ採取の権利

Answer 18

法廷において傍聴人がメモを取ることは、憲法上権利として保障されていないが、知る権利を保障するために尊重されるべきであり、公正かつ円滑な訴訟の運営が妨げられるという特段の事情のない限り、妨げられないとした。

Question 19

(表現の自由)

北海タイムス事件

Answer 19

公判廷における写真の撮影等の許可は裁量にゆだね、制限されることは憲法に違反するものではないとした。

Question 20

(表現の自由)

外務省秘密電文漏洩事件

Answer 20

国家機密の漏示をそそのかすことは、それが真に報道目的で手段が法秩序全体の精神に照らし相当なものであれば、相当な行為として違法性がないとした。

Question 21

伝達の自由に対する事後規制

Answer 21

制限はすべて合憲

Question 22

(表現の自由)

公立図書館に収蔵されている図書の著作者の表現の自由

Answer 22

公立図書館に収蔵されている図書をその図書館職員が恣意的に廃棄することは、当該図書の著作者が有する、図書館を通じて自己の意見等を公衆に伝達する利益の侵害であり、国家賠償法上違法であるとした。

Question 23

(表現の自由)

北方ジャーナル事件

Answer 23

裁判所による事前差止めは、表現内容が真実でなく、またはそれがもっぱら公益を図る目的のものではないことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれがあるときは、例外的に許されるとした。

Question 24

(表現の自由)

税関検閲

Answer 24

税関検閲は、すでに海外で発表済みの表現物の検査であることなどから、憲法が絶対的に禁止する検閲には該当しないから合憲であるとした。