株式の併合

Question 1

株式の併合

登記の事由（例）

Answer 1

株式の併合

発行可能株式総数の変更

Question 2

株式の併合

登記すべき事項（例）

Answer 2

平成28年6月10日（次のとおり変更）
　発行済株式の総数　5万株
　各種株式の数
　　普通株式　4万株　
　　優先株式　1万株
平成28年6月10日変更
　発行可能株式総数　20万株

Question 3

株式の併合

登記すべき事項は…

Answer 3

登記すべき事項は、発行済株式の総数（種類株式発行会社にあっては、発行済株式の種類及び数を含む）及び変更年月日（株主総会決議で定めた効力発生日）である。

Question 4

併合理由・併合比率の制限

Answer 4

併合理由・併合比率に制限はない。

Question 5

株式の併合と自己株式の数の関係

Answer 5

株式の併合においては、株式会社の有する自己株式の数も減少する。

Question 6

株式の併合と種類株式発行会社

Answer 6

・　ある種類の株式のみを併合することや、種類ごとに併合の割合を異ならせることも可能である。

・　異なる種類の株式の併合という概念は存しない。

Question 7

株式の併合と資本金の額

Answer 7

株式の併合をしても資本金の額は減少しない。

Question 8

新株予約権を発行している会社が株式の併合をした場合

Answer 8

新株予約権を発行している会社が株式の併合をした場合、通常、当該新株予約権の内容とされている調整条項に基づき、新株予約権の変更の登記も必要となる。

Question 9

株式の併合

登録免許税

Answer 9

金3万円

登録免許税法別表第1・24・（1）ツ

Question 10

登記申請書に添付された株主総会議事録に、株式の併合が必要な理由を開示した旨の記載がない場合

Answer 10

登記申請書に添付された株主総会議事録に、株式の併合が必要な理由を開示した旨の記載がない場合であっても、株式の併合の決議が適法に行われた旨の記載があるときは、当該株式の併合による変更の登記は受理される。

Question 11

株式の併合

意義

Answer 11

株式の併合とは、数個の発行済株式を合わせて、従来よりも少数の株式とすることをいう。

Question 12

種類株式発行会社である場合、特定の種類の株式についてのみ併合することの可否

Answer 12

種類株式発行会社である場合、すべての種類の株式について併合せず、特定の種類の株式についてのみ併合することもできる。

Question 13

株式の併合

決議要件

Answer 13

株式の併合は株主に重大な影響を及ぼすので、株式の併合をするには、会社は株主総会の特別決議によらなければならない。

※　取締役会設置会社であっても、株式の分割とは異なり、株主総会の決議を要する。

Question 14

株式の併合

決議事項

Answer 14

①　併合の割合
②　株式の併合がその効力を生ずる日（以下この款において効力発生日という）
③　株式会社が種類株式発行会社である場合には、併合する株式の種類
④　効力発生日における発行可能株式総数

Question 15

株式の併合と発行可能株式総数

Answer 15

効力発生日における発行可能株式総数は、効力発生日における発行済株式の総数の4倍を超えることができない。ただし、株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。

Question 16

取締役の説明義務

Answer 16

取締役は株主総会において、株式の併合をすることを必要とする理由を説明しなければならない（180Ⅳ）。

Question 17

株式の併合と株主に対する通知等（181）

Answer 17

・　株式会社は、効力発生日の2週間前までに、株主（種類株式発行会社にあっては、併合する株式の種類の種類株主）及びその登録株式質権者に対し、株式の併合の決議事項を通知しなければならない。
・　当該通知は、公告をもってこれに代えることができる。

Question 18

株券発行会社が株式の併合をする場合

Answer 18

株券発行会社が株式の併合をする場合、181条の通知等のほかに、株式の併合の効力が生ずる日までに当該株券発行会社に対し全部の株式（種類株式発行会社にあっては、併合する種類株式）に係る株券を提出しなければならない旨を当該日の1か月前までに公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、格別にこれを通知しなければならない。
ただし、当該株式の全部について株券を発行していない場合は、この限りでない。

Question 19

株券発行会社がする株式の併合による変更の登記

申請書に添付する書類

Answer 19

公告をしたことを証する書面又は当該株式の全部について株券を発行していないことを証する書面を添付しなければならない。

Question 20

現に株券を発行している株券発行会社
①　株券提供公告手続
②　株券提供公告手続に関する添付書面

Answer 20

現に株券を発行している株券発行会社
①　株券提供公告手続…必要
②　株券提供公告手続に関する添付書面…株券提供公告をしたことを証する書面

Question 21

株式の全部について株券を発行していない株券発行会社
①　株券提供公告手続
②　株券提供公告手続に関する添付書面

Answer 21

株式の全部について株券を発行していない株券発行会社
①　株券提供公告手続…不要
②　株券提供公告手続に関する添付書面…株式の全部について株券を発行していないことを証する書面（株主名簿等）

Question 22

株券発行会社でない会社
①　株券提供公告手続
②　株券提供公告手続に関する添付書面

Answer 22

株券発行会社でない会社
①　株券提供公告手続…不要
②　株券提供公告手続に関する添付書面…不要

Question 23

株式の併合

定款変更の擬制

Answer 23

株式の併合をした株式会社は、効力発生日に、効力発生日における発行可能株式総数に関する事項についての定めに従い、当該事項に係る定款の変更をしたものとみなす（182Ⅱ）。

Question 24

株式会社が株式の分割又は株式の併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生ずるとき（235）

Answer 24

株式会社が株式の分割又は株式の併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生ずるときは、その端数の合計数（その合計数に1に満たない端数が生ずる場合にあっては、これを切り捨てるものとする）に相当する数の株式を競売し、かつ、その端数に応じてその競売により得られた代金を株主に交付しなければならない（235）。

Question 25

株式の併合の意義と自己株式との関係

Answer 25

株式の併合とは、数個の発行済株式を合わせて、従来よりも少数の株式とすることをいう。

株式の併合は、株主の有する株式の数が一律に減少するものであり、それにより、株式会社の有する自己株式の数も減少する。

Question 26

株式の併合

決議要件

Answer 26

株式の併合は株主に重大な影響を及ぼすので、株式の併合をするには、会社は株主総会の特別決議によらなければならない。

Question 27

株式の併合

決議事項（簡易版）

Answer 27

①　併合の割合
②　株式の併合の効力発生日
③　種類株式発行会社である場合には、併合する株式の種類
④　効力発生日における発行可能株式総数

Question 28

株式の併合の割合には…

Answer 28

株式の併合の割合には、会社法上特に限界は定められていない。したがって、すべての株式を1株にするような株式の併合も理論上は可能である。

Question 29

株式の併合は株式の種類ごとに行うこととされており…

Answer 29

株式の併合は株式の種類ごとに行うこととされており、異なる種類の間の株式の併合という概念は存在しない。

Question 30

すべての種類の株式について同一の併合の割合を定めることの可否

Answer 30

すべての種類の株式について同一の併合の割合を定めることは可能であるが、その場合でも、併合の効果は各種類の株式ごとに生ずる。

Question 31

複数の種類株式を一種類の株式にまとめる方法

Answer 31

複数の種類株式を一種類の株式にまとめるためには、消滅させる種類株式に全部取得条項を付し、その対価を残存させる種類株式として、全部取得するという方法が考えられる。

Question 32

株式の併合をする場合における発行可能株式総数の規律

①

Answer 32

①　株式会社が株式の併合をしようとするときに株主総会の決議によって定めなければならない事項に、株式の併合がその効力を生ずる日における発行可能株式総数が追加された（180Ⅱ④）。

Question 33

株式の併合をする場合における発行可能株式総数の規律

②

Answer 33

②　株式の併合の効力発生日における発行可能株式総数は、当該株式会社が公開会社でない場合を除き、効力発生日における発行済株式の総数の4倍を超えることができないとされた（180Ⅲ）。

Question 34

株式の併合をする場合における発行可能株式総数の規律

③

Answer 34

③　株式の併合をした株式会社は、効力発生日に、株主総会決議で定めた事項に従い、発行可能株式総数に係る定款の変更をしたものとみなすとされた（182Ⅱ）。

Question 35

取締役の理由の説明義務

Answer 35

取締役は、株主総会において株式の併合をすることを必要とする理由を説明しなければならない（180Ⅳ）。

Question 36

株式の併合をすることを必要とする理由（例）

Answer 36

「会社分割（合併、株式交換、株式移転）の準備行為として行うため」
「株主管理コストを節減するため、あるいは株価を正当な水準に引き上げて株式の市場性を高めるため」
「同業他社の株価と比較して1株当たりの株価が低いため」
等具体的に開示しなければならない。

Question 37

株主総会の議事録に株式の併合をすることを必要とする理由を説明した旨の記載がない場合

Answer 37

株主総会の議事録に株式の併合をすることを必要とする理由を説明した旨の記載がない場合でも、株式の併合の決議が適法に行われた旨の記載があるときは、当該株式の併合による変更の登記は受理される。

Question 38

株式の併合によりある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるとき

Answer 38

株式の併合によりある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、定款に別段の定めがない限り、種類株主総会の特別決議がなければ、その効力を生じない。

Question 39

種類株主総会の決議を要しない旨を定款で定めたとき（322Ⅱ、116Ⅰ③イ）

Answer 39

種類株主総会の決議を要しない旨を定款で定めたときは、これに代えて、効力発生日の20日前までにする株主に対する通知又は公告及び反対株主による株式買取請求の手続きが必要である（322Ⅱ、116Ⅰ③イ）。