国税徴収法(税大教本) Flashcards
【1.総説】
国税徴収法の特徴(3つ)
①国税債権の確保
②私的秩序の尊重
③納税者の保護
徴収職員の自力執行権が認められている理由(2つ)
①国税の重要性(国家の財政力を確保)及び特殊性(反対給付がない)
②大量性及び反復性を有する
ことから、徴収職員の「自力執行権」が認められている
私法秩序の尊重(2つ)
①国税の優先権の制限(法定納期限等以前に設定された質権など)
②第三者の権利の尊重
・差押財産の選択にあたっての第三者の権利の尊重
・第三者からの差押換えの請求
納税者の保護の制度(2つ)
①納税の緩和制度
・換価の猶予
・滞納処分の禁止
②超過差押え、無益な差押えの禁止等
滞納処分とは何か
徴収事務のうち、差押え(参加差押え、交付要求を含む)、換価、配当などの事務
滞納処分の各手続(差押え、換価、配当など)は、それぞれ独立して、不服申立てまたは行政訴訟の対象となるか
・滞納処分の各手続(差押え、換価、配当など)は、それぞれ独立した行政処分のため、不服申立または行政訴訟の対象となる
・ただし申立て期限については、徴171(滞納処分に関する不服申立て等の期限の特例)により、通常とは異なる
差押え処分と公売処分との間に違法性の継承はあるか
・差押え処分と公売処分は、「租税債権の強制的実現」という同一目的ため、両者の間には、違法性の継承がある
・なお「課税処分」と「滞納処分」は目的と異なる処分のため、両者の間には、違法性の継承はない
(参考)先行処分の違法性が継承されると、後行処分に違法性がなくとも、先行処分の違法性を理由として後行処分もまた違法であるという主張が許容される
【2.財産の調査】
財産調査のための権限(2つ)
①任意調査:質問及び検査
②強制調査:捜索、出入禁止
質問および検査の相手方(6つ)
・滞納者 ・滞納者の財産を占有する第三者 ・滞納者の財産を占有していると認めるに足りる相当の理由がある第三者 ・滞納者に対し債権・債務があると認める足りる相当の理由がある者 ・滞納者から財産を取得したと認めるに足りる相当の理由がある者 ・滞納者が株主または出資者である法人
捜索の立会人(4つ)
・滞納者
・滞納者の同居の親族で相当のわきまえのあるもの
・滞納者の使用人その他の従業員で相当のわきまえのあるもの
・(上記の者が不在ないし立会に応じない場合、)成年に達した者2人以上あたは地方公共団体の職員若しくは警察官
出入禁止ができない者
滞納者、捜索を受けた第三者、同居の親族および代理人に対しては、出入りを禁止することはできない(徴145)
【3.財産の差押え】
差押えとは
滞納者の財産について、法律上または事実上の処分を禁止し、それを換価できる状態に置く強制的な処分
差押えの要件
督促状を発した日から、10日を経過した日までに、滞納国税を完納しないとき
(例)4月28日に督促状の発出(day0、初日不算入)。5月8日(day10)。10日を経過した日は、5月9日(day11)になるので、同日から差押え可
滞納者に帰属する財産とは
・動産、有価証券:滞納者が所持
・不動産、電話加入権等:滞納者名義で登記・登録(※ 実質的に滞納者に帰属している場合、名義変更が必要)
・債権:財産調査により、滞納者に帰属していることが認められること
差押え禁止財産とは(2つ)
・絶対的差押え禁止財産
・条件付き差押え禁止財産
差押え財産の選択
・超過差押えの禁止(徴48①) ・無益な差押えの禁止(徴48②) ・第三者の権利の尊重(徴49) ・換価等の容易性 ・相続財産の優先(徴51①)
国税徴収法上の財産区分(7つ)
①動産・有価証券 ②債権 ③不動産 ④船舶または航空機 ⑤自動車、建設機械または小型船舶 ⑥第三債務者等がない無体財産権等(特許、商標権、著作権など) ⑦第三債務者等がある無体財産権等(株式、ゴルフ会員権、特許権の専用実施権など。振替社債など)
差押え調書の作成
・差押えをしたときは、財産の区分を問わず、差押え調書を作成(徴54)
・差押調書または謄本を、滞納者に交付・送達
(謄本)動産または有価証券、債権、第三債務者等がある無体財産権等
(原本)不動産、船舶または航空機、自動車・建設機械または小型船舶、三債務者等がない無体財産権等
・質権者等の財産上の権利者に対し、差押えの通知を行う(徴55)