リテラシー Flashcards

1
Q

文章理解モデル

A

文章理解モデル
☆文章理解=ボトムアップとトップダウンの両方向の処理の相互作用のもと、“意味ある心的表象を構築する活動”
❏ Kintsch の構築-統合モデル
①「部分から全体へ」の軸
文章中の命題のまとまり・命題間の関連(ミクロ構造)から、文章全体を捉えていく(マクロ構造)という、ボトムアップの認知過程
➁「文章内容そのものの把握から知識と統合した理解へ」の軸文章を、書かれた内容(テキストベース)を、みずからの知識と統合して一貫した表象(状況モデル)にするという、トップダウンの認知過程
→ 知識やスキーマなどによって、文章中のつながりを補ったり精緻化したりする(Ex.推論)

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2
Q

基礎的処理

A

基礎的処理:符号化や単語意味の処理→ 命題間の関係の構築
・年少者など文章理解の初心者は基礎的処理スキルが理解に影響を与える
・熟達した読み手であっても、知らない単語がでてくると、理解が阻害される補償的処理モデル(compensatory-encoding model):全体の理解が阻害されたときに,読み手が以下の行動をとることで,文章のテキストベースを構築する
・補償的な活動(止まる、ゆっくり読む、見直す)
・補償的方略(他の情報源にあたる、読み直す)
時間制限あり→ 補償的処理× → 基礎的処理スキルと理解成績 正の相関
時間制限なし→ 補償的処理◎ → 基礎的処理スキルと理解成績 負の相関
➡ 基礎的処理スキルの不足が必ず理解を阻害するわけではない
補償的処理を支援することで文章理解が深まる

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3
Q

文章理解方略①:方略とは

A

基礎的処理だけではなく、体系的に情報を検索して他の情報と統合し,既有知識と結びつけて状況モデルを構築する必要がある
積極的な理解表象の構築活動→ 方略

❏ 学年が上がるにつれて複雑な文章を読むことが求められる→ 基礎的処理のスキルとともに方略の適切な使用が重要

❏ 方略のモデル化 (犬塚,2002)― 読解中の活動
理解補償方略→ 基礎的処理を助ける比較的処理レベルの低い方略
内容理解方略→ 文章全体に関わる方略
理解進化方略→ 文章を超えた理解を構築するためにより深い処理を行う方略

McNamara et al. (2007) の 4 面モデル(4-pronged framework)- 読解前・読解中・読解後
読み手のモニタリングに基づいて具体的な方略が用いられ

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4
Q

文章理解方略②:方略使用の効果と指導

A

方略使用の効果と指導
❏ 年齢が高くなるにつれ,方略を適切に使いこなす能力の重要性が高まる
年少時:短く単純な文章=基礎的処理スキルが文章理解に与える影響が大きい
高学年:長く複雑な文章=方略を適切に利用できないと理解ができない

<基礎的処理スキル,ワーキングメモリ容量,モニタリング方略使用の検討>
❏ 中学校 2 年生から高校 1 年生までの縦断調査(Cain et al. ,2004)
・推論とモニタリング方略の使用が、文章理解テストの成績と相関
・基礎的処理スキルとワーキングメモリと合わせて、方略使用が重要

<方略指導の効果の検討>
【単一の方略指導の効果の検討】
❏要約の作成、概念マップ・図にまとめる→ テキスト・ベースの理解を高める
❏自己説明、自己質問 メタ認知を促進
❏読み手の特性によって→方略の効果が異なる
・質問生成方略の指導効果が文章理解テスト成績の低い対象者にのみみられる
→ 成績の高い対象者は指導なしに自主的に方略を用いている
・精緻化方略が理解成績の低い対象者にのみ有効
→ 読解成績の高い読み手は、非方略的な記憶にすぐれている
➡ どんな読み手にも,どんな読解状況においても有効な方略はない
→ 読み手の特徴や文章理解時の状況に応じて柔軟に方略を使用することが大切
→ 文章理解の促進には,文章の中で体系的に方略を学習することが有効

【複数の方略の組み合わせ,方略使用を促進する環境設定の効果の検討】
❏ CORI(Concept-Oriented Reading Instruction)(Guthrie et al. 1998)
・個別の学習事項とされることを統一的なテーマで取り上げる
・方略使用や理解だけでなく,文章を理解することに対する動機づけも高める
学習者→ 現実世界とのやりとり、自律、協同を重視
指導者→ 方略指導、学習者自身による表現の支援、テーマとしての一貫性の構築を重視
・小学校 3 年生と 5 年生で CORI を指導
→ 方略使用を促進
方略を多く用いるほどテーマに関する知識や知識の転移が生じた

➡ 読み手の文章理解は,認知的過程における能力やスキル・方略だけによって決まるのではなく,それらの背後にある動機づけや,動機づけを生じさせるような環境・文脈による影響を強く受ける

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5
Q

読み手の知識

A

(1)内容に関する知識
知識を多く有している読み手ほど読んだ内容の記憶をよく維持できる
専門領域での熟達が、深い理解につながる(Zeitz,1994)
専門領域での知識が豊かなほど方略使用が発達(Peskin,1998)
→ 状況モデルの構築において、内容に関する知識が影響を与える

(2)文章構造に関する知識
・ 宣言的説明文のパターン構造(Mayer et al. 2002)
①説明 ②連続 ③比較-対照化 ④問題-解決策 ⑤因果
→ パターンを明確にして意識して読むことで,読み手の理解が促進される
・ メタ認知的な側面を強調する方略指導プログラム
→ 中等教育以降の読み手に効果的
・ 文章中の手がかりやパターン化された構造に着目させる指導
→ 困難の大きい読み手や初等教育において有効

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6
Q

文章の構造と読み手の交互作用

A

・ わかりやすい文章は、理解が促進される
⇔ 文章の構造と読み手の構造には、交互作用がある
・ 命題間のミクロ構造の明確化の効果
知識を持たない読み手:構造が明確化されることで文章の理解が促進
知識を有する読み手:不明確な文章を読んだほうが読後の成績が高い
→ 不明確な部分が推論を促し、知識が文章内容を精緻化する
⇒ 逆一貫性効果(reverse cohesion effect)
・知識のある読み手にのみ生じる
・スキルの高い読み手 普段から推論などの方略を用いて読解
・スキルの低い読み手 文章理解において積極的に方略を用いず,文章構造の不明確さによって方略使用が促進
➡ 知識量の多いスキルの低い学習者にのみみられる
その他の読み手にとっては,構造が明確な方がよく理解される

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7
Q

文章の産出

A

わかりやすい文章で自分の知識や意見を伝える
→ 書く内容のプランニングと実際に書く活動、書いたものの見直しと修正が必要
未熟な書き手…「知識語り方略」=自分の書きたいことを思いついたまま書き連ねる
熟達者 …「知識構成方略」=目的に合致した文章になるようにコントロール

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8
Q

文章産出:作文方略の教授

A

作文方略の教授
熟達者…プランニングと修正に多くの時間をかける
未熟者…十分なプランニングなしに書き始め,見直しや修正をほとんどしない
<プランニング>:何をどう書くか、文章の概要を決める段階
最終的に産出される文章を大きく特徴づける
➡ 概念地図が有効
階層構造を持ち,因果関係を分かりやすく示せる
→ 文章に因果関係を反映でき,分かりやすい文章になる
⇔ 箇条書きは不十分
因果関係を示せない,準備書きに時間がかかる

<修正> ― 自己調整学習の観点
文章を分かりやすく書き直すスキル(Zimmerman &Kitsantas,2002)
①観察 ②模倣 ③自発的使用 ④自己調整
→ ①と②をうまく行うことが見直し・修正スキルの向上につながる
→ コーピングモデルの観察とフィードバックが有効

<プランニングと修正>
❏ 作文の全過程への介入(De la Paz&Graham,2002)
①PLAN&WRITE を学習者に示し、指導者が発話思考してみる
②必要なサポートを受けながらやってみる
③最後は自力で方略を使えるようになる
➡ 方略指導を受けた学習者のほうが、長い文章を産出し、洗練された単語を使用
教員による文章全体の質の評価も高い
❏ 方略の明示的指導の効果
メタ分析では方略指導を行った結果、効果量の平均は 1.03
⇔ 研究間でのばらつきが大きい

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9
Q

文章産出:メタ認知への着目

A

未熟な学習者に効果的なモニタリングの仕方が学習されにくい
→ 文章を書きながらそのモニタリングを同時に行わなければならないから
・「評価活動」:個人で評価を行った後に少人数のグループで話し合いながら評価
→ 話し合うためのベースが出来た状態で他者と話すことで,モニタリングの観点が充実
→ 文章の質が高くなる *「相互説明」(最後)
・協同:プランニングをグループで行い、それを他のグループに説明する
→ 文章のわかりやすさや構造が向上
➡ ・ただ直接的に方略を指導するだけでなく,他者の目を通すことで,適切なモニタ
リングが行えるようになる
・その話し合いを構造化した協同場面で行う必要がある

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10
Q

マルチメディア教材を用いた学習

A

ハイパーテキストや、マルチメディア教材の理解も広い意味での「文章の理解」
<初期の研究>
・図やイラストが文章に付置された場合
→ 情報間の層別的関係や同値関係がより理解され,状況モデルの構築を助ける
→ 読み手の理解を促進
➡ 視覚的な情報と言語的な情報が別々に処理された後に統合されることで理解表象がより強固になる(Mayer,2001)
➡ 図のほうが文章よりも認知的な負荷が軽い(Laekin&Simon,1987)

<未検討点>
・図が理解促進を促すメカニズムの解明
・図の読み取り方に関する知識やスキルとの関連の検討

<近年の研究>
・マルチメディアの有効性に関する原則

⇒ 個人差がある
知識が少ない・空間操作スキルが高い→ 影響が大きい
知識が多い・空間操作スキルが低い → 影響が小さい
➡ 学習内容や学習者の特徴にあった教材になるようにデザインすることが大切

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11
Q

批判的読解と論理的表現への発展

A

批判的思考:「姿勢(構え)」と「スキル」によって構成される「合理的で省察的な思考」
(1)批判的文章理解
・演繹的に正しい推論ができるかに注目した研究が多い
限界点 ・批判的思考が領域一般とは限らない
・批判的な文章理解の促進方法がわからない
・心理学初学者の大学生の論文の批判的理解を検討するために、ディスカッションとガイダンスの介入を実施(沖林,2004)
→ ディスカッションだけでは不十分で,批判的に検討するための観点を的確に教示することが重要
(2)論理的表現
「論理的で説得力がある」文章
→「反対意見を考慮し、それに反駁する文章」(O’Keefe,1999)
自分の意見を一面的に主張するだけではなく、反対意見の考慮を取り上げること
⇔ 反対意見を取り入れて論ずることはなかなか難しい(Perkins et al.)
自発的には行われにくい
・反対意見を提示して反駁するというモデルを示した上で、意見文を書くように求めると、反対意見や反駁の記述が増える
→ 書く目的を明確にすると読み手へのイメージが明確になるが,必ずしも論理的な文
章にはならない
→ 書き手の「説得的な文章観」に対する介入が必要

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12
Q

読解に必要なもの

A

・理解構築活動 :文章中の情報を頭の中で組み立て,「表象」と呼ばれる知識を作り上げること
・メタ認知活動 :理解構築活動における状況をモニター(点検・評価)し,活動をコントロールす
る働き
「対象レベル(object-level)」…課題に直接働きかける認知的な処理
「メタレベル(meta-level)」の相互作用…それをモニターおよびコントロールするメタレベルの処理

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13
Q

相互教授法

A

「相互教授法(Reciprocal Teaching)」(Palincsar & Brown, 1984):要約,質問,明確化,予測
→ 指導効果が,直後のテストだけでなく,3 週間後でも持続した
=方略の理解,方略の定着,読解の改善
→ 理由…方略知識の指導だけでなく,それを「いかにして使うのか」について学習させたから
→ 教授 + ①本来は個人の内的な処理を個人間の役割として外化して明確化し,
②指導者が適宜援助を行いつつ,
③各役割を担う個人同士にやりとりを行わせる
➡ しかし,彼らの設定した役割は,理解構築活動とメタ認知的活動が混在
それぞれがどのようなものであるのかは十分にわからない

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14
Q

相互説明

A

「相互説明」(清河・犬塚,2003):メタ認知的活動を,対象レベルとメタレベルの相互作用と捉えた
<一人の頭の中で行われている読解活動>
「対象レベル」→ 「課題遂行役」…読んだ内容をモニター役に説明
「メタレベル」→ 「モニター役」…課題遂行役に質問する
<他者の役割>
「評価役」…どっかの遂行を外からみている他者を模した役割
2 人のやり取りの方向づけとフィードバックを行う
➡ 本来は個人内の処理である「対象レベル」の活動と「メタレベル」の活動が別々の個人の役割として分けられ,両者が相互に関わることによって他者との共同が生まれ,指導の促進効果が生じた
初学者…不要な情報,本分からの抜き書き,情報間の繋がりが理解されていない
熟達者…本文にない言葉を用いて情報間の関係を示すことができる

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