代理

Question 1

代理の意義・効果

Answer 1

意義：
代理とは、他人（代理人）の独立の行為（意思表示）によって、本人が直接にその効果を取得する制度。
効果：
代理人が、その代理権の範囲内において本人のためにすることを示してした意思表示は、すべて、直接本人に対して効力が帰属する（99条1項）。

Question 2

使者

Answer 2

使者は、みずから意思表示をする権限を有さず、本人の意思表示を相手方に伝達するにとどまる。

Question 3

代理の機能

Answer 3

代理は、
①　私的自治の拡張
②　私的自治の補充
という機能を果たす。

Question 4

私的自治の拡張とは？

Answer 4

①　私的自治の拡張とは、本人の活動範囲を拡大するという代理の機能をいう。

②　任意代理の機能である。

Question 5

私的自治の補充とは？

Answer 5

①　本人の能力を補充するという代理の機能をいう。

②　法定代理の機能である。

Question 6

代理の本質（代理行為の主体はだれか）
・　本人行為説
結論/理由/批判

Answer 6

結論：代理行為の主体は本人である。
理由：代理をさせる本人の意思を重視すべきである。
批判：①代理人と使者の区別がつかなくなる。②本人の意思によらない代理である法定代理を説明できない。③意思表示の瑕疵等の有無を代理人につき定めるという101条1項と整合しない。

Question 7

代理の本質（代理行為の主体はだれか）
・　代理人行為説（判例・通説）
結論/理由

Answer 7

結論：代理行為の主体は代理人である。

理由：①代理人と使者の区別がつけられる。②本人の意思によらない代理である法定代理を説明できる。③意思表示の瑕疵等の有無を代理人につき定めるという101条1項と整合する。

Question 8

代理の規定の適用範囲

Answer 8

①　代理の規定は、法律行為のほか、観念の通知、意思の通知といった準法律行為にも類推適用される。
②　婚姻、離婚、縁組、認知、遺言などの身分行為は、本人の意思を尊重するべき行為であることから、代理は認められないと解されている。
③　15歳未満の子の養子縁組については、例外的に代理が認められている（代諾養子縁組）。

Question 9

代理の要件

Answer 9

①　顕名

②　顕名に先立つ代理権の存在

Question 10

顕名の意義・趣旨

Answer 10

意義：代理といえるためには、代理人が相手方に対し、本人のためにすることを示すことが必要であり、本人のためにすることを示す行為を顕名という。
趣旨：代理の成立に顕名が要求される趣旨は、意思表示の効果帰属主体を相手方に明らかにすることにある。

Question 11

顕名がない場合

Answer 11

①　顕名に欠ける意思表示は、自己のためにしたものとみなされる（100条本文）。

②　代理人による相手方への意思表示の時点において、その意思表示が本人のためにされたことを相手方が知り、または知ることができたときは、代理の効力が生じる（100条但書・99条1項）。

Question 12

本人の名のみを示した場合

Answer 12

①　顕名の趣旨は、相手方に対して効果帰属主体を明らかにすることにあるが、代理人が本人の名のみを示した場合にも、かかる趣旨はみたされる。
②　代理人が本人の名のみを示した場合であっても、なお顕名の要件はみたされるとするのが判例・通説である。