視覚系の初期伝達経路 Flashcards
1
Q
眼の誕生
A
- 眼の誕生
- 何をもって眼なのか
- 単細胞生物にも光感知器官はある
- 網膜があって、外界像を得られて「眼」
- カンブリア紀(5億4300万年前)
- 三葉虫が初
- 現生する体細胞動物の95%以上が眼をもつ
2
Q
- 眼の構造
A
- 名称
- 水晶体(crystal lens)
- レンズ
- 網膜(retina)
- 厚さ200~250μm
- 視神経(optic nerve)
- 強膜(sclera)
- 眼球全体を覆う厚くて白い膜
- 角膜(cornea)
- 強膜が出っ張って透明になったもの
- 虹彩(iris)
- 水晶体の全面を取り囲むドーナツ状の膜
- これを調節して瞳孔を通る光の量を調節
- 瞳孔(pupil)
- 虹彩の中央の孔
3
Q
- 動眼神経(oculomotor nerve)は何をする?
A
- 遠近調節をコントロールする
4
Q
- 焦点距離の調節方法
- 遠くを見る
- 近くを見る
A
- 焦点の遠近調節は水晶体の厚さを変えることにより行われる
- 水晶体は弾性をもつ
- 遠くを見る
- 無調節状態
- 毛様筋(ciliary muscle)が緩む
- チン小帯(Zinn’s zonule)が縮む
- 水晶体が薄くなる
- 近くを見る
- 毛様筋が収縮
- チン小帯が緩む
- 水晶体が厚くなる
5
Q
- 調節力
A
- 遠近調節の能力
- 数値化する
- (1/近点距離)ー(1/遠点距離)
- 近点距離
- 最も近い焦点までの距離
- 遠点距離
- 最も遠い焦点までの距離
6
Q
- 屈折異常の種類
A
- 近視(myopia)
- 屈折力が強すぎるため、網膜前方に焦点があう
- 凹レンズで矯正
- cf. 水晶体は厚すぎる状態
- 遠視(hyperopia)
- 屈折力が弱いため、網膜後方に焦点がある
- 凸レンズで矯正
- cf. 水晶体は薄すぎる状態
- 乱視(astigmatism)
- 角膜や水晶体のゆがみにより方向ごとに屈折力が異なる
7
Q
- 球面収差(spherical aberration)
A
- レンズ周辺部を通る光が曲がりすぎて焦点面がずれてしまう光学的問題
- 解決法
- カメラ
- レンズを複数枚組み合わせる
- 眼球
- 角膜と水晶体の光学的特性がお互いに打ち消し合うような逆向きの収差となっている(相補的関係)
8
Q
- レチノトピー(retinotopy)
A
- retina+topography
- 網膜上の位置関係のこと
- 網膜部位局在(レチノトピー)が保持される
- =網膜上の位置関係が脳の皮質でも保持される
9
Q
- 網膜は8層構造
A
- 色素上皮層(pigment epithelium)
- 視細胞層(bacillary layer)
- 外顆粒層(outer nuclear layer)
- 外網状層(outer plexiform layer)
- 内顆粒層(inner nuclear layer)
- 内網状層(inner plexiform layer)
- 神経節細胞層(ganglion cell layer)
- 視神経線維層(optic fiber layer)
10
Q
- 階層的結合関係
A
- 桿体(rod)
- 錐体(cone)
- 水平細胞(horizontal cell)
- 双極細胞(bipolar cell)
- 神経節細胞(ganglion cell)
11
Q
- 受容野 (receptive field)
A
- 感覚処理系の個々の細胞が、外界あるいは体内に生じた刺激に対し、感覚受容器を通じて、反応することのできる末梢器官上での空間範囲あるいはそれに対応する外界空間での範囲をいう。
- 受容野の位置、大きさ、形および内部構造は細胞により異なるため、個々の細胞はそれぞれ特定の刺激に感受性を示すようになる。感覚処理経路の初期段階の細胞ほど、小さく単純な構造の受容野をもち、後の段階の細胞ほど、広く複雑な構造の受容野を持つ。このため、感覚処理系では、その処理経路に沿って、逐次、複雑な情報伝達が行われるようになっている。
- 刺激がその神経細胞に影響を与えることができる視野の範囲
- 各細胞が受け持つ網膜上の範囲
- 1つの細胞に1つの受容野
- 絶えず自家放電しており、光の照射で変化
- 受容野の一部が明るい・暗い時に強く反応
- 広く視野を一様に照らす刺激が与えられたときにはほとんど反応しない
12
Q
- 2種類の神経節細胞
A
- ON中心/OFF周辺型(oncenter/offsurround type)
- 中心に明るい光→興奮
- 周辺に明るい光→抑制
- OFF中心/ON周辺型(offcenter/onsurround type)
- 中心に明るい光→抑制
- 周辺に明るい光→興奮
- 目的は空間コントラストの検出
13
Q
- 情報の収斂
A
- 網膜にある光受容体
- 1億2600万個
- 神経節細胞から出る神経線維
- 100万本
- ハイビジョン映像(105万画素)
14
Q
- 中心視(central vision)
A
- 眼球運動により視線が向く方向を中心として中心窩(fovea)とよばれる網膜中心部とその近傍での処理
- - - 中心視領域=視覚1度
15
Q
- 周辺視(peripheral vision)
A
- それ以外の網膜周辺部での処理
16
Q
- 視角(visual angle)
A
- 視線方向に投影される対象の大きさを角度で表したもの
- - - 視距離57cmで視角1°=1cm
17
Q
- 視力(visual acuity)
A
- 解像度、2つのものを分離してみることができる最小の間隔、解像度
18
Q
- 網膜偏心度(retinal eccentricity)
A
- 中心窩から網膜嬢の距離
- 通常は視角で表す
- 網膜偏心度=
- 視角1°=視力1/2
- 視角5°=視力1/4
19
Q
- 光感受性細胞(photosensitive neuron)
A
- 錐体(cone)
- - - - 桿体(rod)
20
Q
- 錐体(cone)
A
- 中心に多い、周辺に少ない
- コーンみたいな円錐型
- 片目あたり600万個
- 三種類ある
- L錐体(Long)赤
- M錐体(Middle)緑
- S錐体(Short)青
21
Q
- 桿体(rod)
A
- 中心にはない
- 片目あたり1億2000万個
- 数個の光量子(light quantum)でも反応するほど高感度
22
Q
- 空間解像度と感度のトレードオフ(tradeoff,二律背反)
A
- 光に対する感度を上げる=広い空間から光量子を集める
- 空間解像度が下がる
- 空間解像度を上げる=狭い空間から光量子を集める
- 感度が下がる
- だから2つの細胞があり、2つの情報処理システムが脳に至るまで保持される
23
Q
- 色素上皮層には大量の血管がある上皮層には大量の血管がある
A
- 光感受性細胞が光に背を向け、網膜の最奥に位置しているのは、色素上皮層から栄養を取り込む必要があるため
24
Q
- 盲点(blind spot)
A
- 光を検出できない小領域
- 視神経乳頭(optic disk)があるため
- 神経節細胞からでる神経線維が集まるため視細胞が入る余地がない
25
Q
- 盲点に気づかない2つの理由
A
- 両眼視において盲点位置の視野が重ならず常に補完されているため
- 充填(fillingin)が行われているため
- 存在しないものを勝手に埋め込んで見えるようにする作業
26
Q
- 人口盲点
A
- スノー・ノイズ(砂嵐)を表示したディスプレイ中心に円形、そこから離れた場所に正方形を表示
- 円形を10秒ほど固すると正方形が消える
- 周囲の過剰刺激により、正方形の存在を知らせるべき神経細胞の反応が疲労するため
27
Q
- 初期視覚領(early visual cortical area)においてはRetinotopyが再現されている(網膜と初期視覚領で視野の相対的位置関係は同じ)
- Retinotopy
A
- 網膜における相対的位置関係
- 視野の上側が下側(腹側)に、下側が上側(背側)に投影される
- 視野の周辺部が内側、中心部が外側に割り当てられる
28
Q
- 初期視覚領
A
- 初期視覚領=第一次視覚野(primary visual cortex)
- =V1
- =線条皮質(striate cortex)
- 縞模様で肉眼でも見える
29
Q
- 受容野
A
- 刺激がその神経細胞に影響を与えることができる視野の範囲
- - - 各細胞が受け持つ網膜上の範囲
30
Q
- 単純細胞(simple cell)
A
- 方位選択性(orientation selectivity)をもつ
- - - - 特定の位置で特定の方位をもつエッジ(境界)に反応する受容野をもつ
31
Q
- 複雑細胞(complex cell)
A
- 単純細胞よりも大きい受容野
- 方位選択性(orientation selectivity)をもつ
- 方位が合っていれば、受容野のどこに呈示しても反応する
32
Q
- 機能コラム(functional column)
A
- 似通った性質を持つ細胞群が、大脳皮質に垂直に分布する構造のこと
- 電極を大脳(cerebral cortex)に刺す(垂直に)と同じ方位選択性を持つ複数細胞が見つかる
- 選択的に反応する方向の違いが大きい細胞は皮質における距離が遠い
- 隣り合う機能コラムの方位選択性は体系的で緩やかに変化している
33
Q
- 眼球優位性(ocular dominance)
A
- 多くの細胞が、片側の眼球入力に対し、より強く反応すること
34
Q
- ブロブ(blob)
A
- 色や明るさに選択性を示す
- 線分の傾きには選択性を持たない
- 機能コラム構造における利点
- 類似した刺激属性を表象する細胞間の距離が近い
- 刺激の弁別を助ける
- 似たような刺激を表象する細胞結合を強化を助ける
35
Q
- 網膜からV1に至る過程は2つの経路がある
A
- 大細胞系(magnocellular pathway)
- - - 小細胞系(parvocellular pathway)
36
Q
- 並列処理(parallel processing)
A
- 神経節細胞以降、「形・色」と「動き・奥行」は、別の経路で伝達される
37
Q
- 大細胞系(magnocellular pathway)
A
- 桿体に対応
- M神経節細胞
- 動きの検出
- 高い光感度と時間解像度
- 反応までの時間遅れが少ない
- 短時間の(一過性)の反応特性
38
Q
- 小細胞系(parvocellular pathway)
A
- 錐体に対応
- P神経節細胞
- 物体の認知
- 高い空間解像度と色選択性
- 反応までの時間遅れが大きい
- 活動が持続的
39
Q
- 網膜においては混在しているMとPはLGNにおいては2つの層に分けられる
A
- 大細胞層(magnocellular layer)
- - - - 小細胞層(parvocellular layer)
40
Q
- 網膜においては混在しているMとPはLGNにおいては2つの層に分けられる
A
- 大細胞層(magnocellular layer)
- - - - 小細胞層(parvocellular layer)
41
Q
- 眼球運動の範囲
- - 外界を適切に映し出すには3つの方法を使用する必要がある
A
- 姿勢
- 頭部運動
- 眼球運動
42
Q
- アイ・フィールド(eye field)
A
- 眼球運動だけで視線移動できる範囲(偏心度20°)
43
Q
- ヘッド・フィールド(head field)
A
- 眼球運動と頭部運動だけで視線移動できる範囲(偏心度90°)
44
Q
- 前庭動眼反射(vestibuloocular reflex)
A
- 姿勢変化や頭部運動により、内耳の平衡器官から信号が生起し、眼球が逆方向に動く現象
- 身体や頭部の移動時に視対象を網膜の中心窩にとらえつづけるための眼球運動の代表
- 内耳にある前庭器からの信号に基づいて,眼球運動の方向や大きさが反射によって制御される
45
Q
- 眼球運動(eye movement)
A
- 6本の眼筋の協調によって生じる動き
- - - 外直筋、内直筋、上直筋、下直筋、上斜筋、下斜筋
46
Q
- 不随意的眼球運動(involuntary eye movement)
A
- 固視微動(fixation nystagmus)
47
Q
- 固視微動(fixation nystagmus)
A
- 常に起こる微少な振動の繰り返し
- 輪郭情報の持続的抽出を視神経において可能にしている
- か「何も変化がなければ、何も報告するな」
- 静止網膜像(Stabilized)
- 固視微動の強制停止により、外界像が崩壊・消失し、一様になったもの
- トロクスラー効果(Troxler’s effect)
- 低空間周波数のみから生成した円形図形を片目で固視し続けると円環が消失する現象
- 固視微動による輪郭の変化信号が発生しにくいため静止網膜像と同様になる
- ジター錯視(jiter’s effect)
- 2重の同心円状図形に順応
- 周辺部
- 静止ランダムノイズ(静止画)
- 中心部
- ダイナミックランダムノイズ(動画)
- その後、中心部も静止すると、周辺部が動いて見える錯視
- 周辺部
- 静止ランダムノイズ(静止画)
- 中心部
- 静止ランダムノイズ(静止画)
- 順応した後の少しの間、ぶれ補正メカニズムが働きにくくなるため静止像に運動が見えてしまう現象
48
Q
- 随意的眼球運動(voluntary eye movement)における
- - 位置の恒常性(position constancy)・視覚世界の安定性(visual stability)
A
- 眼球が常に動いていても,外界が止まって見える現象
49
Q
- 随従運動・滑動性追跡眼球運動(smooth pursuit eye movement)
A
- 運動する対象を追う時に生起する
- - - 運動対象に随従できなくなると跳躍運動になる
50
Q
- 跳躍運動・衝動性眼球運動・サッケード(saccadic eye movement)
A
- 静止している対象を追う時に生起する
51
Q
- サッケード抑制(saccadic suppression)
A
- サッケードしている間は視覚情報を取り込んでいない
- - - - 大細胞系(桿体=動き)の情報がサッケードにより選択的に抑制されている
52
Q
- サッケードの特徴
A
- いったん動き始めると目的位置までは停止しない(中断や方向修正不可、”衝動性”眼球運動)
- 移動距離が大きくなると速度も速くなる(最大速度視角1000°/秒超え)
- 連続してサッケードするとき、次のサッケード開始まで160~170ミリ秒遅延する
53
Q
- ギャップ効果(gap effect)
A
- サッケードは固視点呈示により、次の固視点にサッケードする時間遅れが短くなる
- つまり
- ある固視点から次の固視点への移動
- 次のサッケード開始まで160~170ミリ秒遅延する
- 現固視点を一旦消去、視覚刺激が呈示されていないギャップ期間後、次の固視点へ移動
- 次のサッケード開始までの時間遅れが短くなる
- e.g. X固視点を呈示すると、A固視点移動後、X固視点に戻ってから、B固視点に移動することになる。この方が時間が掛からない
- 現固視点の消去がサッケードの準備を促すため
54
Q
- 修正サッケード(corrective saccade)
A
- 視角10°以上の大きなサッケードの後に伴う小さなサッケードのこと
- - - - - これ以下のサッケードなら1回で正確に定位可能
55
Q
- サッケード間統合の問題(transsaccade integration)
A
- サッケードによる不規則なサンプリング処理を断続的に行いながら、整合性のある安定した世界をどのように構築しているかという問題
- サッケード前後で単純な加算的情景統合が行われているわけではない